(コロンブスの卵)

本書の正式な題名は「経済の基本に忠実で最も効果の高い成熱経済における新経済
成長理論」であり、この題名の中に「本書の本質」が凝縮されています。
さて本書は我々大衆が常々当たり前ではないかと、漠然と考えている経済問題、社
会問題について、出来るだけ分かりやすく解説した「コロンブスの卵のような本」
になればと考えています。
そして成熟経済における経済成長の新しいモデルとして理論的支柱をうち立て、未
来の日本の社会経済の発展進化に寄与したいとして著したのが本書であります。
しかし場合によっては、この世は多様な価値観、多様な考え方の人々の集まりであ
る所から「ドンキホーテ」か「犬の遠吠え」に終わる可能性もありますが、大衆の
66%(三分の二)以上とエリートを目指す若者の50%以上の共感を得られるよ
うになることを願っています。そこでここ12年以上も景気回復も財政再建も達成で
きない既成経済理論や固定観念による「洗脳からまず脱却しなければなりません。」
人類のみが行っている「経済活動の根源」は地球上に存在する他の何百万種の動物
には無い人類のみが特別に持つ遺伝子DNAの作用によるものなのです。
そして領土も国民の数も狭く限定され需要の伸びも停滞している「成熟国家の経済
成長」は、人口の増加と潜在需要が強い発展途上国と全く異なり「進化システムに
よる個人消費の自己回帰的自己拡大原理」と「人間は消費を所得へ変換して生活し
ている経済原理」を強く理解し「全動物が保有する生物学的な生き残りの本能に基
づく自ら幸福になりたい、家族も幸福にしたいという本能と人類のみが特に保有す
る遺伝子DNAに刻み込まれた好奇心という強烈な本能の発現方法」としての「個
人消費の増加を直接抑制規制しない」原則と「科学技術の進歩を直接抑制規制しな
い」原則の二つの原則を遵守することによってのみ自己回帰的な自己拡大原理で経
済成長が実現される原理を直視し本書のプラグマチズムの精神に基づく「経済の基
本に忠実で最も効果の高い成熟経済における新経済成長理論」で達成する以外方法
は無いのです。
もちろんそこには国民の幸福の追求に反する場合は規制できるという制限が付され
るのは当然であります。
そして私は特に深い人間性とか高い倫理性を持つ道徳的な人間ではなく世俗の平凡
な普通の人間であります。 しかしこの世で最も人数の多い普通の人に理解される
ことが最も大切と考える価値観の人間として本書を著しました。
特にエリートの方、大衆の方を問わず経済の発展進化の解決策についてご意見をお
持ちの方は本書をドンドン利用したり活用していただければ幸いです。
さて自然界の生態系と同じように少数の経済的強者は大多数の経済的弱者の存在が
あるからこそ、成り立っている現実を認識し、経済的強者がより安心して暮らせる
世になりますように!!
そして経済的弱者はより豊かになり普通の生活が送れ「結果として」国家も豊かに
なりますように!!
この本の趣旨を読者が理解して頂き願わくばこの本が「コロンブスの卵」になりま
すように!!
コロンブスがアメリカ大陸を発見した始めての人といわれていますが、実はコロン
ブスの前にアメリカへ到達した人は数多く存在したのであり、コロンブスの偉大さ
はそれを必要とした時代に的確に多くの人に周知した点にあるのです。
同様に本書も既に読者が良く調べれば分かる程度の幅は広いが既知の知識を分かり
やすく区分、区別し体系化して説明する進化システム的思考で成り立っています。
さて「物事の本質」は簡単に理解できる位に極めて単純であり、その単純な原理、
原則がいくつか組み合わさって始めて複雑で難解な人間社会のシステムが出来上が
っているのです。
したがって余程頭の良いエリートでなければ理解が難しいと思われがちな人間社会
の経済のシステムが実は誰でも分かる程度の単純な原理、原則の組み合わせに過ぎ
ないことを理解することによって、「物事の本質」を明らかにしていきたいと考え
ているのです。
そして物事の現実や事実を自らの目や耳や足で確かめそして自らの頭脳と「自らの
経験」に基づき「縦から横から斜めからそして表から裏から」良く見て吟味した上、
奇策を用いず「価値観が多様化している現代だからこそ基本に忠実な政策を立案し
たり選択できる経験豊かで誠実で正直な人材をエリートの中から育成することが大
切になるのです。」 
そしてそのように立案される規制やルール作りが、「結果」として人間の幸福追求
に資するとともに自然に進化発展の方向へ均衡し、収斂する人間ドックの数値のよ
うなカウンター・オブヂェクティブ(反対目標)を持った自動均衡作用を持つ対策
であり、かつ良い結果をもたらすものであり更に「誠実で正直で勤勉な国民」に不
利益を与える違反者を適切に発見し対処できる統一ルールを伴った基準(違反者を
発見できないルールはこれを守る誠実で正直で勤勉な国民だけが損を被り、違反者
が利益を得る不公正な制度だからであります)をつくることが強く望まれているの
です。
稚拙な本でありますがこの本が日本の国の運営(経営)を任されている政界、官界
の超エリートを目指す人材と若者と、超エリートに強い影響力を持つ各界のエリー
トを目指す人材と若者にとって真に役に立つ書の一冊として、活用していただけれ
ば幸せであります。
そしてこの本の執筆に当たり本書が日本の社会経済の根幹をなす現状の経済政策や
税制の方向性について与野党の政界や官界、経済界、労働界、学界、マスコミ界な
ど日本の多くのエリート層が主として目ざす方向性を全く否定しており、これによ
って起こる論争が今後の混乱の原因になるのではないかと非常に危惧しております
ので冷静な論争を望んでいます。
私は自説にもかかわらず本書は消費税導入に努力された多くのエリートの方々が第
一線を完全に退いた後執筆しようと考えていましたが日本の国家意志の決定方法や
経済の根幹の税制が日々悪しき方向に向かって行くのを見るにつけ私の年齢と健康
状態から考えこのままでは間に合わなくなるとの危機感から、この際問題点を徹底
的に洗い出すために、この書を著したわけであります。
さてこの世は現代物理学の素粒子論で明らかになった「不確定性原理の働く世界」
であり、無常(常無し)の不可逆的な世界に我々は存在するわけであり、相互作用
のある何種類かの素粒子で構成されている人間同士の心理や肉体に相互作用がある
のはこれ又当然であり、その心理は相互に影響を与え合いながら常に変動し、波が
あり、したがって経済や景気にも波や循環があるのもまた当然であり経済学でも真
剣に研究されているのです。(経済学のコンドラチェフの波など)
そこで経済の景気循環に対して「金融政策、財政政策」という「経済の微調整手法」
を使って微調整することは当然でありますが、経済を根本的に発展進化させるには
全く別の手法を取る以外方法は無いのです。
しかし「経済とは何であるのか」「成熟経済において民意を反映した力強い経済成
長を達成するにはどのような手法を用いるべきか」の根本的理論とシステムを明確
に分析し提案したものを見たことがありません。
そこで「成熟経済における壮大な民意を反映した力強い経済成長の手法の分析と提
案こそが本書の目的」なのであります。
さて不況の対処法が見いだせない現状の国政を担当しておられるエリートの方々は
基本に忠実な経済運営についての明確な理論的根拠を持っておらないのではないか
と見受けられ今後将来どういう方向性で日本を運営すべきか困窮されている状況が
ヒシヒシと伝わって参ります。
今日本の現状で「結論」を言えば必要なのは崇高な理念や観念や最善の政策の模索
ではなく「現状の最悪部分の具体的な淘汰」と「適正な国家の自動均衡目標の設定」
と「それを達成するその時代時代の民意を反映した政策決定への進化システムルー
ルの徹底した導入」こそ多様性と豊かさを兼ね備えた進化発展する日本の正しい未
来をもたらすのであります。
これこそが日本の経済社会(国家)の進化の法則なのであります。

それでは「特殊な日本人の国民性によって増幅される日本経済における最悪部分」
とは何でありましょうか。
それは「国家という独占組織における意志決定に内部競争方式(国の構成員である
国民の意志決定のための憲法で定められた正しいルール)の進化システムルールが
作動していない問題」と「経済に最も強い影響を及ぼす基幹税制」について正しい
科学的実証的な検証が為されないまま消費規制税制と所得規制税制が並立している
大きな2つの問題点が存在するのです。
さて特に基幹税制のあり方については消費規制税制の導入に責任を持って力を注い
だ当時のエリートの方々が現在では第一線を退きつつあります。
そこで今要職にあるエリートの方々は経済社会の進化の出発点てある消費に対する
規制である消費税導入の直接の責任者は少なくしたがって、消費規制税制と所得規
制税制の経済に及ぼす影響について客観的に適正に評価できる立場に立ちつつある
と考えています。
今後将来の日本の経済運営については現在活躍しているエリートの方々が日本の社
会経済を再発展させるためには、経済進化の入り口に位置する消費規制税制と経済
の終末点に位置する所得規制税制のいづれの規制(課税)が経済に悪影響を与える
か(又逆に悪影響を与えないか)について、その本質を既成概念や固定概念を廃し
て実証的に徹底的に分析しそれに対する規制つまり課税のあり方について真剣に検
討して頂きたいと考えています。
「未来の日本が良くなるも悪くなるも」「今のエリートの政策次第」だからであり
ます。
そして更に国家運営の意志決定方法について後に述べる最悪部分を淘汰しなければ
なりません。
現在は過去の政策が「原因」となった「結果」であり。
未来は現在の政策が「原因」になって「結果」が出るからであります。
そして現在の止めどもない不況の深刻化が進む日本の市場経済システムの中で存在
するべき民意を反映した経済の進化成長システムと国民意志を正しく反映した国家
の選択肢の決定方法と税制がどうあるべきかについて警鐘を鳴らさざるを得なく
「誤りを正すに、はばかる事なかれ」の精神で 本書を執筆したしだいであります。
国家100年の大計を考える場合(国民の今後100年の幸福を考えた場合)、現
状の国家運営の基本ルールと施行後12年を経過し「実験した消費税」の現実や事
実を正確に分析し評価しこれを今後とも継続すべきかどうかについて正しい判断
(ジャジメント)を今することが大切と考えました。
そして日本の政治システムが何故進化システムが機能するはずの日本において機能
しないのかの根本的な問題点と弱点を明らかにし改善策を提案したいと考えていま
す。
願わくば知識も経験も少ない一市民の私がやむにやまれず書いた稚拙な本書が、「コ
ロンブスの卵」としての論争の根拠となり、国政運営の大転換の端緒となり、更に
消費税の再検討と直接税の再構築の始まりとなり、結果として機能不全に陥ってい
る金利政策や財政面で限界に近づきつつある政府主導の財政政策の負担を縮小し、
個人消費(需要)の等速度または等加速度的増加に基づく民間主導の自立的景気回
復と今後100年間の合計特殊出生率の向上と景気循環を伴った成長力のある経済
システムの再構築が計れる対策が確立することを強く望んでいます。
さて「供給側」(サプライサイド)つまり国家や企業など「組織中心の規制緩和の
手法」
で構造改革を進めることは財政再建のため国家自身のコスト削減と国内産業
の進化と効率化を進める上で極めて重要であり、小泉内閣がこれに全力で当たろう
としておりますが、これを強く支持しエールを送りたいと思います。
必要なことは「何が最悪かを見ぬく能力であります。」「国民が納得する少数の最
悪は強制淘汰し、多数の普通のものは競争させて結果を見ることの出来るルールを
設定すれば良いのです。」
ある程度の期間は努力を見守り、それでも結果が出なければルールに従って淘汰す
るのです。
構造改革は民間企業における「合理化」に相当する手法です。
これを意志強く実行することは民間でも少数の有能な経営者が達成できるだけであ
り、リーダーに必須な能力は、「良き未来を予測し、それを実現する為に現在の計
画を立案できる能力」と「経営上実行が必要であるが皆がいやがることを実行でき
る能力」であると考えているからであります。
一般に民間企業ではこのような手法の他に必ず販売力の強化も同時に打ち出し、本
格的な会社再建を目指すのです。
一民間企業にとっては市場という無限の開放系の中で競争しているのであるから、
販売チャンスは無限にあるのにその民間企業の本格的な再建策でさえ、売上の増進
策と費用(コスト)の削減策が同時に検討されるのは民間企業の経営目標が生き残
りと現在と未来の利潤の極大化である以上、
経営再建の観点から見て当然の事なの
です。
国内市場全体を統括する「国家」の経営目標は民間企業と全く異なり「生き残りと
現在と未来の失業率とその反対目標であるインフレ率の同時低下を効率的に実現す
ること」
であります。
これを日本国という閉鎖系の中で実現するわけであるから、合理化だけでは本格的
財政再建も本格的景気回復も達成できないことは明かです。
国家が本格的な財政再建と景気回復を同時に達成するには「国内経済の自己回帰的
な発展」を前向きに模索することが不可欠であり、「需要が一定なのに」国内の構
造改革という組織の合理化と生産性向上ばかりを追い求めると、深刻な失業問題が
露呈するのは当然なのです。
国のように「閉鎖系」の中で財政再建を模索するには、構造改革という「供給側で
ある組織中心の規制緩和」
によって財政負担のコスト削減策をはかると同時に「需
要側である人間個人の消費中心の規制緩和」
を行ない「景気回復による税収増加を
計る」という民間企業の販売強化策に相当する「需要側の規制緩和」(消費への規
制撤廃)つまり国民の消費意欲を回復し「これによって自然に回復し増加する消費
を所得に変換しながら自己回帰的に国民所得の増加をはかり経済の進化発展拡大」
を行うことが、国家の基本的で本格的な財政再建と景気回復の同時達成の基本戦略
となるのです。  これ以外の方法での達成は不可能なのです。
国家の経営目標が失業率とその反対目標であるインフレ率の極小である以上これは
当然のことなのです。
是非とも私の期待する小泉内閣でこの問題についても議論の
端緒だけでも開始され本格的な景気回復のために国民的議論が開始されることを強
く願っております。
国家の正統な運営は「個人消費の自然な増加によって生ずる企業業績の上昇や新規
産業の増加に伴って失業率が低下し、その反対目標であるインフレ率が上昇しそう
になったとき」「国家、民間を問わず構造改革という組織の合理化を行い組織の効
率化を実行し余剰人員をひねり出し、供給不足のためインフレが発生し始めている
雇用不足の深刻な既存産業、新規産業へ雇用の再配置を実行し、もって個々の組織
を効率化しながら消費の選択肢の増大を実現しながら供給増を計り、もって国家全
体の生産性を向上し、失業率の低下を維持しながら相反するインフレ率の低下も維
持する、これが正統的な国家の経済運営だからであります。」
さて持続的で自律的な景気拡大を見込むには まず最大の眼目である経済の全ての
出発点である「需要の根源」の「個人消費」(設備投資も政府支出も個人消費の増加
があってこそ長期的に始めて可能となる)について「経済の基本に忠実に」「消費
への規制緩和」を行い消費の自己回帰的で自己決定的な(所得は他から稼得しなけ
ればならない性格上、自己決定性も自己回帰性も無い)自然な増加を通じて景気拡
大の環境を作るとともに、「人間は総消費(個人消費+貯蓄(設備投資へ還元)を
所得に変換して生活している)事実を真に理解し、税が消費を規制せず且つ税のイ
ンセンティフを通じて憲法の予定している全ての国民の幸福の追求を実現するため
市場機能としての消費性向の高い低所得者層への所得の分配(補助金の支給ではな
い)を行う税制の採用を組み合わせることによって自己回帰的で自己決定的な人間
の本能に基づく自然な消費の増加を容認し「結果」として勤労者への所得増をはか
り自己回帰的に更なる個人消費の回復を計るシステムの再構築を計る以外に改善の
余地は全く無いというのが、結論であります。(これこそが国民大衆の自由な意志
に基づく自然な経済の過剰性の拡大をもたらす)
私は仕事柄多くの中小企業経営者と良く面談する立場にあり、本書の要点について
意見を聞いてみると、多くの中小企業経営者は「吉越さんの考えは金回りが悪くな
ってくるのに歯止めが掛からない我々の実感と合致しているから正しいと思う。」
「しかし絶対に改善しないと思う。それは現状の方がエリートの利益になるから彼
らはそうやっているのであって、国や国民の利益など誰も考えてはいないのである
から、吉越さんの意見など誰も取り上げるはずが無い」という意見が大部分なので
あります。    
しかし私はそう考えていないのです。 
これはエリートの皆様が、基本を突き詰めて思考せず、世界の大勢に疑問を持たず
流されている結果に過ぎず、経済の真の基本を知ればエリートの中に10−15%
の勇気あるオピニオンリーダーが出現し、進化改善に乗り出してくれると私は固く
信じているのです。
また企業の販売戦略立案の参考にする為、仕事柄、消費税の導入前後や3%から5
%へ消費税率が引き上げられた前後の消費者懇談会という主婦の集まりに出席した
経験から、「消費税を取られるなら出来るだけ消費を節約する」と言った意見を述
べた主婦は実に80%以上に達しており、エリートが述べる全ての商品やサービス
に課税する以上必要な物は購入せざるを得ないのであるから、消費は減少しないと
いう理論と正反対の結果が生じているのであるが、筆者は現実の主婦の意見が「事
実であり真実である」と実感しているのです。一つの消費が無駄なものか、そうで
ないのかの議論は個人個人の哲学思想に絡む神学論争に入り込む問題である以上、
「国民の幸福の追求に反する消費」は規制しても良いという厳しく限定した基準で
考えるべきなのであり、全面的にどんな消費でも節約しようという気持ちを起こさ
せる税制は、「消費を所得へ変換して経済生活と経済成長を享受している」我々人
間にとってこれは重大な問題なのです。    世間から見れば無駄と思える消費
も実は経済的に見れば、それの生産に関与している人の所得獲得に大きな貢献をし
ているのであり、経済的な意味は大きいのです。 無駄という名の消費を削ぎ落と
す経済生活を送るということは、結果として国民や企業の所得が大幅に減少し、設
備投資どころか設備は廃棄される為、大量失業時代となり、銀行は国民にほとんど
金利を支払えない上金融不安が生じ、株価や不動産価格は暴落し、年金財政は成り
立たず、いずれ福祉も破綻するのです。縄文・弥生時代と比べれば現代人の生活は
全て無駄で成り立っており、消費を削ぎ落とし古代に生活を回帰すれば餓えに苦し
み年金とか福祉とか医療などは全く成り立たないのです。       
つまりこれは消費を規制する政策の自己回帰的結果にすぎないのです。
したがって現代では消費の増加を容認しながら、その厳密な正しい方向性の確保こ
そ最も大切な問題となるのです。

この中小企業経営者の実感と主に主婦である消費者の実感が私の理論を影で支えて
いるのです。

であるから「家計における人間の行う消費を規制しなければ」、「現在よりさらに良
い生活をしたいという人間の根源的な本能によって自然に少し個人消費を増加する
と」使用した通貨が直ちに企業を通じて「少し増額した個人所得として還元される
のであり」そしてその増額した所得によってさらに少し増額した消費が行われさら
に少し所得が増加するスパイラル的な自己回帰現象に合わせて、国が紙幣を増発す
る触媒行為によって一億二千万人の膨大な日本国民が行動を起こし経済は自己回帰
的にスパイラル的に成長するのが経済成長の基本構造なのであり、人為的なバブル
の発生に注意しこれを管理抑制しながら経済成長の正しい方向性を決定するルール
を融合し組み込むことによって、経済や科学技術の進展によるその時代時代に合わ
せた自然な過剰性は徐々に拡大するのであり、人間生活の向上の手段としての資本
主義における資本の増殖拡大もこの消費の選択肢の増大のメカニズムで行われるの
であります。
そして「金融政策」と「財政政策」は、その基本構造の微調整手段でしかないので
す。
そして生産の基本構造はノーベル経済学賞を受賞したロバート・ソロー氏が述べる
如く企業における人間の勤労(労働)と科学技術の進歩の融合によって、新製品開
発と生産性向上が果たされるのであり、更に消費への還元のインセンティブ(動機
付け)として全ての国民に対する所得分配(補助金の支給ではない)が重要な作用
をして生産面と消費面での経済成長の基礎構造を支えているのです。

「競争力」の意義については1985年のアメリカ産業競争力委員会の奥深い国家
の役割を定義した「競争力とは市民の実質所得を維持するかまたは拡大しながら、
国際市場のテストに耐える財やサービスを自由で公正な市場条件のもとで国民がつ
くり提供しうる度合いのことである。 この定義は何が問題であるかを示している。
世界市場における我々の競争力は我々の生活水準向上の基礎である。
我が国民の実質所得を減らして競争するのは、我々の目標ではない。
他の国民は低賃金で競争するかもしれないが、それは米国が選ぶところではない。
そして課題と言うのはますます競争が激化する世界環境の中で、我々の高い生活水
準を維持することである。
」と述べていることを改めて指摘することによって、日
本のエリート層の一部にある「ドル建ての人件費水準を下げなければ競争に勝てな
い」などの意見がいかに本末転倒の議論か本書を見ればすぐにご理解頂けると思い
ます。
日本人は「勝つためには手段を選ばないことがある」という悪い性癖があります。
「現代では目的を明確にたて目的のためには手段を選ばなければならないのです。
国の政策であれば尚更なのです。」

経済問題は本質的に哲学的思想を根本的に必要とする事を忘れてはなりません。
したがって本書は定量的な経済解説の本ではありません。
原因の徹底的な分析を元に改善の提案を表した本であります。
どちらかと言えば重点を見据えた動態的で疫学的な経済の本質の分析本であります。
したがって仮説は出来るだけわかりやすく提示するため、重要性の原則を重視し、
定量的な部分は統計書を時間を掛けて分析する時間も無いので全てカットしている
ことをご了承下さい。
定量的つまり詳しい数字に基づく経済成長理論や消費税の問題点を精密に分析した
書籍、例えばチャールズI.ジョーンズ 香西 泰監訳「経済成長理論入門」日本
経済新聞社やジョンズ・ホプキンス大学経済学部教授・大阪大学経済研究所教授を
歴任している八田達夫氏著「消費税はやはりいらない」東洋経済新報社など優れた
書籍が既に発売され、この書の補強をしてくれますので、ご参照下さい。
さて最新の進化論や社会生物学や動物行動学から「人間の本能や本質」を理解
し、更に経済問題の本質に横たわる「全生物中唯一人類のみが持つ過剰性の文
化こそ経済成長の根源である」ことを考えるとき、本論文がコロンブスの卵に
なるかもしれません。
近年の15年間の経験で、直接税の持つ利点が無い間接税制は予想と全く異な
り税率アップの増税をすればするほど景気が悪化し、あらゆる資産価値は下落
し、失業率は高まり、そのため他の税収も減少し、更に景気悪化による後ろ向
きの財政支出ばかりが増加し、財政再建には全く役立たずの税制であることが
明らかになってきました。
これに対して「直接税制」は間接税制と比べて経済の出発点となる「個人消費
の進化シスム機能を100%
発揮できる」こと、「国民の所得階層別消費性向
に適応したシステム設計を税制に取り入れ、国家全体の個人消費を高いレベル
に維持できること」など大きな利点があり、長い日米の経済史の中で直接税の
税率アップによる増税をすればするほど、景気は良くなり、資産価値が安定し、
国家全体の個人消費が増加し高い経済成長を維持され、後ろ向きの財政支出が
激減し財政再建に非常に役立つ大きな実績があります。
直接税を大増税したために資産価値が暴落し失業率が極端に悪化し長期不況に
陥った事例など皆無なのです。
逆に直接税の大幅減税は通説と全く異なり1929年10月の世界大恐慌の始
まりとなったアメリカの株価大暴落を始め、日本の平成2年年初から発生した
株価大暴落などいづれも直接税の大減税政策(日本は間接税導入も合わせて)
の進行時期に発生した事は、既に皆様現在も経験されている通り、常に資産価
値の大暴落と失業率の極端な悪化等の不況となり弱者も強者も共に苦しみ、更
に国家は財政悪化に悩まされることになるのです。
そして何故そのような結果になるのかを「所得階層別消費性向」「個人消費の
進化システム機能」を詳しく調査分析し、税制の目指すべき方向性を理論的に
解説し、過去の日米の詳しいデーターで確かめ検証したのが本論文であります。
国民と国家と民間企業が大自然の生態系と全く同じルールである「競争への参
加の自由」と「独占組織内の人間個人の対等に平等な競争(内部競争原理)」
と「非独占民間企業(組織)間の自由競争(外部競争原理・弱肉強食の食物連
鎖原則)」と「競争力均衡化原則(強者は生命を維持する以上に獲物を独占し
ない原則)」と「システム内循環原則(生産から廃棄まで自然生態系システム
に従う原則)」と「突然変異の競争参加」を導入し、自然システムと同様な諸
原則を厳格に遵守し自由競争を展開するとき、生物の進化と同じく、国家の経
済社会は無限に進化成長発展を実現できるのです。
この基本ルールを導入することによって「国家は利他的意識で国民のために徹
底して機能的に運営され」、「民間企業は利己的意識で消費者のために徹底し
て機能的に運営されるようになり」国民と国家と民間企業の合体である「国」
は無限に強力に諸環境に適応しながら進化成長発展できることを、本論文は証
明しています。



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