(理性主義哲学、演繹推論と経験論哲学、帰納推論について)

本書の論理の進め方については紀元前350年頃のギリシャの哲学者アリストテレ
スが2つの推論方法を発見し、その後世界で論争されているヨーロッパ大陸的合理
主義、理性主義哲学から出発した世界中の民族で行われている「既知の各々の一般
的諸原則・諸原理に基づき論理構成をして結論を導き出す考え方」つまり一般原則
から個別の結論を導き出す演繹推論
に対してアングロ・サクソン民族で主として行
われている「既知、未知を問わず現実の社会で発生している個別的諸事実に基づき
論理構成をして結論を導き出す考え方」つまり個別事例から一般法則を導き出す帰
納推論
の経験論哲学の対比があります。
日本には実学及び陽明学というアングロサクソン民族の経験論哲学及び帰納推論に
近い哲学が古来より存在する
ので、本書では既知の一般的諸原理、諸原則に基づき
演繹的に論理を構成する立場をとらず、「既知、未知を問わず現実の社会で発生し
ているありのままの諸事実に基づき」帰納推論で論理を構成する立場をとるもので
あります。
これを今様に表現すればマクロとミクロの考え方の対決であり、現代の成熟経済で
はマクロを重視する日本、ヨーロッパ大陸諸国の衰退とミクロを重視する米、英の
発展の違いが少しづつ明らかになりつつあり、本書では「日本の社会経済の中で現
実に発生しているありのままの諸事実に基づき論理を進めるミクロ視点」から本書
は構成されております。
したがって狩猟民族と我々農耕民族は全く異なる国民性を持っているのであるから、
欧米の外面を模倣しようとしてはならないと考えています。
学ぶべきは我々日本人が最も足りない思想・哲学であり、そこから生じる欧米人の
精神の強靱さであります。
この足りないものを自分のものにして、自国の問題の解決の手段にすることこそ肝
要なのであり、現実に発生している諸事実を解決する手段として本書を著したもの
であります。



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