(成熟国家の経済における需要の創出の原理について)

経済の発展とは結果として「消費の選択肢の増加状況」を表しており、これには科
学技術の進歩が不可欠であります。
単純な「衣食住」の江戸時代の消費内容と現代の提供されている「消費とサービス
の選択肢の増大は驚異的であり比較にならず」これこそが経済発展なのであります。
したがって経済発展を停滞させないためには、消費の選択肢の増大を規制してはな
らないという原則が重要となるのです。
そして消費の選択肢が良い方向性を持って国民の幸福に資するように「最小限度の
個別規制をすることは国家に求められた責務」でありますが、消費全般を一括規制
するやり方は経済成長を阻害するので行ってはならないのであります。
そして生産現場では科学技術の進歩による効率化によって基礎商品が少人数で大量
生産されるにしたがって、余った人材は消費者の「消費の選択肢の増大」とともに
新製品生産に吸収されるようになり、生産と消費はシンクロナイズして拡大し、失
業率も低下し経済が成長するのです。
つまり人間は他の動物と全く異なり生きる為に必要最小限度以上の物を際限なく求
めるところに経済の過剰性が生じ、科学技術が際限のない進歩によって生産性が高
まっても、これをすべて吸収し失業率を低く抑えることの出来るシステムを天性身
につけた動物なのであります。
さて人間が生存するために必要なものが全て供給される成熟国家に成長した段階に
おいて「新たな需要を創出する原則」
は、科学技術の進歩に合わせて新たな消費の
選択肢の出現(新製品)を自然に待つか、国民大衆の真に望む方向(日本民族の子
孫維持も含めて)を良く調べてそれを達成するために、その方向の規制を緩和した
り促進したり、その方向へ政府支出を増加してそれを国民とともに達成することを
努力することが根本原則なのです。
科学技術の進歩によって創出される新製品の内、自然に消費者に浸透しヒットする
需要や国民が望む方向の需要は必ず増加するのです。
国民大衆の望む方向と異なる場合は、需要は増加せず経済発展は実現しませんので
科学技術が的確に進歩しているか、現在の政策の選択が誤っていないかどうか常に
再検討する必要があります。
そして国民の望む方向がたとえ経済と無縁と考えられていることもタブー視せず国
民の66%(2/3)が真に望む方向を経済発展の対象として検討することが大切
であり、日本経済の長期的な基礎的要件の知識とあらゆる方向からのエリートの助
言を国民大衆が知った上で望む方向を判断させるべきであります。
ここで注意すべきはアンケート行政の欠陥に注意しなければならず、国民の真の望
みを適確につかむ対策は別項で述べておりますのでご参照下さい。
このためには「言論の自由」と「情報公開」は欠かせないのです。
科学技術の進化に伴う供給力の増大と合わせて、本人以外の第三者へ所得を稼得さ
せるという利他的結果をもたらす消費(需要)の規制は大幅に緩和するか全廃し既
存需要の減少を防ぐとともに、たとえ福祉、環境、IT、自然など新たに国民が望
む分野が現在は非効率で不経済な事であっても、少しづつでも効率化する努力をし
ながらそれを国民の真に望む方向へ素直に経済を方向付けすることが、新たなサー
ビスと商品需要を生み出し、全体として需要と供給が程良く調和して増加し経済発
展の源泉になるのであります。
つまり「家計における人間の行う消費を規制しなければ」、「現在よりさらに良い生
活をしたいという人間の根源的な本能によって自然に少し個人消費を増加すると」
使用した通貨が直ちに企業を通じて「少し増額した個人所得として還元されるので
あり」そしてその増額した所得によってさらに少し増額した消費が行われさらに所
得が少し増加するスパイラル的な自己回帰現象に合わせて、国が紙幣を増発する触
媒行為によって一億二千万人の膨大な日本国民が行動を起こし経済は自己回帰的に
スパイラル的に成長するのが経済成長の基本構造なのであり、人為的なバブルの発
生に注意しこれを管理抑制しながら経済成長の正しい方向性を決定するルールを融
合し組み込むことによって経済のその時代時代に合わせた自然な過剰性は徐々に拡
大するのであり、人間生活の向上の手段としての資本主義における資本の増殖拡大
もこのメカニズムで行われるのであります。
そして「金融政策」と「財政政策」は、その基本構造の微調整手段でしかないので
す。
そして生産の基本構造はノーベル経済学賞を受賞したロバート・ソロー氏が述べる
如く企業における人間の勤労(労働)と科学技術の進歩の融合によって、新製品開
発と生産性向上が果たされるのであり、更に消費への還元のインセンティブ(動機
付け)として全ての国民に対する国を経由した所得分配が重要な作用をして生産面
と消費面での経済成長の基礎構造を支えているのです。

ここに経済の出発点の消費を規制し消費に罰金を付し消費を規制抑制する消費税制
は経済成長に悪影響があることは明らかであり消費税を全廃すべき理由があるので
す。
さらに増加する消費が所得へ変換される基本構造上、経済の終着点の増加した所得
を規制し所得に罰金を付す所得税制は高額所得者の所得税を結局の所、国によって
消費性向の高い低額所得者へ全額所得分配するので、次の消費には全く悪影響は無
いのです。



 次の頁へ    前の頁へ    目次へ戻る