(アンケート行政の危険性について)

最後に行政手法の大きな誤りに「アンケート行政」があります。
行政の総合計画の根本に民意を汲み上げるためアンケートを国民や市民に配り、そ
の集計から民意を計り計画を進める手法であり、計画反対派に対する対抗手段にも
使え、又計画がうまく機能しないときの絶好の言い訳(民意により実施したのだと
いう)にもなり、その上極めて民主的と考えられ常に実践されてきました。
実はアンケートはその性格や母集団の取り方や解釈の仕方によって全く違った答え
が出る極めて危険な物であるという認識が足りずにアンケートの集計を都合の良い
ように解釈したり、こればかりに頼って物事を突き詰めて考えず、表面的な現象の
みに惑わされてきた行政手法の大きな誤りが存在するのです。
アンケートに多方面からの詳しい検討が記載されていないと、母集団はアンケート
の意味を良く理解できずその結果は全く正確ではないのです。
そしてアンケートは質問の仕方によって大きく答えを誘導できるのです。
筆者のように統計も見方によれば大きく判断が変わり、アンケートは聴き方によっ
て回答が全く変わってくる現実を良く知り、さらに最大の問題は母集団の人間にと
って「大して必要でないが母集団の全ての人にとって甘い蜜のような最大公約数的
な事業がアンケートで多数回答され過大に評価され」逆に「人間の社会生活にとっ
て絶対必要であるが母集団の人間の一部(例えば幼児を抱えた女性など全ての女性
は人生において必ずこの立場に置かれるが、アンケートの瞬間ではこの立場の女性
は全女性の10%にも満たないので、アンケートを集計すると極めて少数派になっ
てしまう)にしか適用されない事業が過小評価される」大きな欠点があることを誰
も気づかず長年行政が多数決で民主的と称するアンケート行政によって運営されて
来たことが最大の問題なのであります。
アンケート行政によって人口比であれば人口の10%程度の若夫婦にとって極めて
切実な問題である「乳幼児施設の建設が次々見送られ」、税金で何故建なければな
らないものかどうかの議論もないまま最大公約数的なアンケートによる希望を根拠
にして人間の生存維持にとって、あっても無くても良いような建造物が公的な税金
で次々と建てられる文化施設と称する市民の最大公約的施設を見上げるとき「物事
の優先順位や区別とか区分の判断の概念が無い民主的と称する思想の破滅的な危険
性」を感じるのであります。
まず人間の生活にとって「不可欠に重要な問題は何か」を優先順位を点けて区分区
別して取り上げる手法を取ることが大切なのです。
民主的をはき違えたこれらの思想が日本国の存続の危険性さえ囁かれる合計特殊出
生率の低下を招いているのです。
あらゆる問題に先駆けてこの解決は、絶対に必要なのです。



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