(消費は人間しか出来ず、労働は機械や輸入で代替できる本質的問題)

さて基本認識として「消費」は人間しか行わず機械が代替して行うことは出来ませ
ん。消費は生物としての人間の本能に基づく「選択」の一種である以上、人間しか
出来ないのです。
したがって法人の場合も、法人を組織する人間が消費するのです。
しかしそれを生産する「労働」は「機械」でも「輸入」でも代替することは出来る
のです。
そして「消費」(貯蓄への支出分は設備投資として還元されるのでこれも含めれば)
は還元される労働の対価としての「所得」と両者は同値なのです。
これをふまえて話を進めると産業政策の基本となる「商品価格の国際比較を適正に
保つ購買力平価
」を達成する為に輸出入差をゼロに近づけると「労働」に最も影響
を及ぼすのは機械化のみであり過去多くの分野の労働において労働が機械に代替さ
れて来ており、現代のコンピューター化社会においては新たに機械が知能を持ち始
めたため、人間の労働は一層急速に機械に代替され始めています。
これによって労働生産性は大きく向上してくるのです。
つまり少ない労働で大量生産が可能になり、労働の割には人間の生活は飛躍的に豊
かになったのです。
近未来の社会では、人間の労働は「人間が労働した方が、機械で自動化するよりコ
ストが安い分野か、人間しか出来ない分野」に限定されてくることは明らかです。
ここで問題となるのは、人間の労働を必要とする分野が少なくなるということは、
失業やリストラがどんどん増えるということであり、勤労の結果の所得の獲得方法
が難しくなるということであり、生産手段や機械化手段を持つ人間に富が集中し、
それを持たない人間の富は無限に0に近づく社会が実現するのです。(これは論理
的帰結です。 実際はこれほど極端にはならず、人間同士のサービス業が発達する
と思いますが、この大きな流れの傾向はくい止めることはできないし、また人間自
身が安くて良い品物を選択した結果である以上機械化を規制してはいけないのであ
ります。)
とすればこのような近未来の社会に消費税はその需要規制と需要抑制構造と逆進性
ゆえに社会の発展に全く無力であり、国民所得の増加を妨げ、直接税の累進率を低
下するゆえ富の偏在を助長し、社会の不公平を促進する側面を持つこの税制は廃止
する以外方法は無いのです。
これに対して直接税は消費を規制せず人間の知性と良心と自由な選択によって方向
性は信頼して任せながら消費の増加を自然に任せ良い方向への経済の過剰性を拡大
しながら、富の集中に対するカウンター・オブジェクティブ(反対目標)として、
富を集中させることを本人が選択すれば国家に多額の納税をし国家が貧しい一般大
衆に望まれる公共事業等で所得を分散させ新たな消費を生みだせれば良いのだし、
所得税や法人税の合法的な節税を望み本人が富の集中を避けることを選択すれば税
が強力な所得分散機能を発揮して本人が稼得しなかった残余の所得が他の従業員や
消費者や下請け企業の人間に広く分散され新たな消費を生み出し、どちらにしても、
長い未来に渡って「消費と所得の良循環」が生み出され、人間が作り出す富を国民
大衆へ努力に応じて分配するシステムとして直接税は国民の「幸福追求の権利」「自
由」「平等」に貢献するように機能する税制なのです。
つまり直接税は需要・消費規制抑制構造が無く、経済活動の終末点における「結果」
に対してだけ「所得、資産の規制構造」のみを持つ税制なのであります。
「経済の出発点である消費に規制をかけるか」、「経済の終着点である所得や資産
に規制をかけるか」の「単純に違いに見えますが、これは大変大きな違い」なので
す。
経済の出発点である需要(消費)にはじめから罰金をつけて規制をするということ
は、「経済の過剰性の拡大を阻害」し所得や資産形成への悪影響だけでなく、経済
分野の全てに渡り悪影響を与えてしまうのであります。
それに対して所得規制や資産規制である直接税は経済活動の「最終結果」にのみ着
目して課税(罰金)するわけであるので、需要の発生からそれに至る全経済分野に
ついて何らの規制を加えず自由な経済活動に任せるシステムであるので、単純明快
である上、「経済の過剰性の拡大に何の悪影響も無く」さらに「最終の利己的結果
の所得並びに資産の多さに規制(課税)を付する訳であるので国民感情にも適合し
強力な所得分散効果と新たな消費発生効果」を持つわけであります。
つまり直接税は経済学で言う「需要」(消費)と「供給」(生産)に直接課税(つ
まり規制を課す)することをせず、その需要と供給の経済活動の「結果」であり仲
介役の「利己的結果」である「所得」を規制(課税)する方式であり、経済活動の
実態つまり商品そのものの「需要と供給に全く規制課税効果を持たず」経済活動に
対して直接悪影響を与えないシステムなのであります。
それに対して間接税は経済活動の「出発点」である需要(本人以外の第三者へ所得
を稼得させるという利他的結果をもたらす消費)を直接規制(課税)するものであ
り、心理的にもコスト的にも消費の減少につながり経済全体に対する悪影響は計り
知れないものであります。



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