(消費税の経済活動に対する本質的なデメリット)

1.日本人の「本質意思である情緒的相互的共感が主導する精神的共同体意識の社
会観・経済観いわゆるゲマインシャフト」と消費税の母国であるヨーロッパ人の「選
択意思である理性的合理的志向性の契約による社会観経済観いわゆるゲゼルシャフ
ト」との国民性や国民感情が全く異なっていることを、まず念頭に置かなければな
りません。
つまり「ゲマインシャフト」と「ゲゼルシャフト」という国を構成する国民意識そ
のものの日本人とヨーロッパ大陸国家の相違を考えなければなりません。
ここにも幾ら論理や理屈を展開しても消費税が日本の一人一人の国民に充分理解さ
れず経済活動の停滞という一種の拒否反応を通じて日本に定着し難い理由があるの
です。
つまり税制が日本人自身に充分理解され機能するためには、国民性に適合した制度
でなければならないのです。
これに関連して具体的に問題になるのは、多くの点がありますが、その一つに消費
者が常に疑問に感じている売上高3000万円以下の免税業者の存在や、不況によ
る企業の支払い能力の低下による消費者からの預かり金を税務署へ滞納する膨大な
滞納企業数と滞納税額の存在です。
国家と国民がヨーロッパのように契約概念で結ばれている場合は、契約の細部まで
事細かに議論しそこで法律で決まった以上国へ消費税を納税するために企業が黒字、
赤字に拘わらず消費税を徴収し、管理し、納税する自信が無い場合つまり法律(国
家との契約)を守れないと思う場合は自主的に廃業していくのであり、また国は廃
業させるのであります。
現にヨーロッパでは消費税(付加価値税)導入時、大量の廃業企業が生じたのであ
り、それによって失業者が増加したのはやむを得ないことと観念して導入したので
す。
そして更に消費税の滞納企業に対しては、逮捕・労役を含め厳しく対処しているの
です。それはヨーロッパ哲学で考えれば合理的、理性的哲学として当たり前のこと
なのです。
しかし何故日本では同じように出来ないかというと、日本には元々そのような意識
やお上が社会的契約として強制的に民間をコントロールする哲学や慣習や国民性が
無い国である以上、そのような強制力を制度的にも発揮できないからなのです。
他国の制度を取り入れるときは自国の国民性に合致するかよく調べなければなりま
せん。
したがってこのように社会契約としての強制力を伴わなければシステムとして維持
できない制度は取り止めて、実学や陽明学の哲学のような日本のゲマインシャフト
的国民性や慣習に適合した制度を構築することが最も効率的であり、国民感情、慣
習に適合するのであります。
そして一般的にはゲマインシャフトよりゲゼルシャフトの国民性の方が優位である
と考えられておりますが、私は全くそうとは考えていません。
アメリカで近代に発達した「人間を生物としての肉体の存在と精神性を連続性のあ
る実在として捉え、経験を重視するプラグマチズム哲学」は、この原始的なゲマイ
ンシャフト的要素を色濃く残しているからこそアメリカは発展していると私は判断
しているからであります。
ヨーロッパで古くから発達した理性的合理的な人間の精神と生物学的肉体を厳格に
分けて解釈する二元論哲学は人間の精神性の優位を認めるゲゼルシャフト的判断へ
進展してきたわけであるが、必ずしもアメリカや日本より社会的にも経済的にも進
化しているとは言えない現実、事実からでも明らかであります。
2.消費税は根本的に総需要抑制策であり、消費税は「消費者の望む方向性を持っ
て他人の所得を増加させるという利他的結果を発揮する消費行動に対して規制を加
えることによって税収を上げる税制」であり、所得税・法人税のように「自己の所
得獲得のみを目指し国民全体の幸福追求に必ずしもならない利己的結果のみを発揮
する所得獲得行動に規制を加えることによって税収を上げる税制」であり、この二
つの税制は全く対極の税制なのであります。
消費税の経済効果は「総需要の抑制効果」のみであり他に何らの経済的効果を見出
せない税制であります。
この税制をとる限り需要の拡大テンホは特に日本では恐ろしく遅くなり、科学技術
の進展に伴い不可避に上昇する労働生産性のテンポに追いつかず、大規模な失業問
題が発生します。
したがってこの税制をとる限り自由主義市場経済下における経済的発展には多くを
望めません。
つまり基本的に需要を抑制するという税制は日本のように女性が消費の決定権を握
っている独特の社会構造を持つ国家の資本主義の発展にとって矛盾のある税制なの
です。
したがって所得税・法人税中心で発展を続けるアメリカ経済と比較した場合、需要
が拡大せず経済が発展しない消費税制中心のヨーロッパ経済の実態を見れば明らか
です。
つまり自由主義市場経済を通して「資本主義経済の発展」を「手段」として考え、
「人間の幸福追求」を「目的」として考える以上、消費税制は害悪ですらあるので
す。
特に日本において消費税制の「総需要抑制効果が顕著に発生するのは」個人消費の
70%以上の決定権を女性が握っているという日本独特の慣習にもよっている。
この家庭のサイフを主婦が握り、家計において主婦が決定権を有しているという慣
習は、アメリカ、ヨーロッパなど先進国の国民には全く無い日本独特の慣習であり、
日本の貯蓄率の高さもこのあたりが原因と考えてほぼ間違いないと考えています。
アメリカ、ヨーロッパの家庭では、所得の稼ぎ手(つまり主として夫)が家計を握
っているところから、私見として物を買う(消費)という愛情表現が夫に求められ
ているために、買い物下手の男が大量に買い物をすることと、妻が買い物をする時
も支払い権限は夫である所から買い物の量や質などが日本の主婦と違って配慮が足
りない(家計を主婦が自分自身でコントロールしていないため買い物に対する節約
意識が少ない)ことと自分自身のみの権限とコントロール下では女性が貯蓄が出来
ないことが貯蓄が進まない原因ではないかと考えています。
日本では夫は無駄遣いしないことを求められ、買い物は妻に任せ節約して貯蓄をす
ることを逆に妻が求められる家計の運命共同責任体制が慣習として出来上がってい
ることが日本の特異的に高い貯蓄率になっていると考えています。
つまり1―2円の価格差で買い物の勝負をし、本能的に防衛本能が男と比べて格段
に強い女性たちにとって(妻は所得の稼ぎ手では無い以上、夫の明日の所得を当て
にするよりは、今節約して今貯蓄することが最も確かな自己防衛になる)、消費税
は「行政サービスの対価で当然の物」ではなく「何か納得のいかないもので余計な
もの」との実感の方が多いのであります。
つまり日本の消費者を相手にしてシステムを組む場合は、女性、特に主婦の支持を
得られるシステムを作らなければ成功はしないのは、常日頃販売促進策を研究する
我々が経験的に知るところなのです。
主婦から見れば月1回の給料から天引きされるご主人負担の所得税は「間接税」で
あり(通常主婦は月1回の税引き後の預金振込手取額で給料を実感する人が多いの
で)、日々毎日の買い物の中で1品1品主婦自身が自身の手元現金から徴収される
消費税はまさに「直接税」そのものと感じている主婦が多いのです。
したがって「多くのエリート層が行っている直間比率の是正論議」などというもの
は、商品の販売現場ではエリート層の論理と消費者の論理では正反対の結果にしか
ならない机上の空論なのです。
つまり税というものは「消費に無関係な計算で自ら納得して申告する税の形態にす
るか」「所得が本人に手渡され消費や貯蓄に区分される前に天引きしておくか」直
接的に「消費に影響の無い」消費に無関係な形で徴収することが必要なのです。
税というものは全て結局の所、消費税などの間接税であろうと、所得税、法人税な
どの直接税であろうと企業が提供する商品やサービス価格の原価の中に預かり税金
や人件費や利益として商品価格に結局のところ参入計算され「全て消費者という国
民である人間が実質的に負担している以上」、経済に悪影響を与えない税制はどの
ようにするべきか研究する義務がエリートにはあるのです。
消費と税を切り離し規制を意識させず「消費という人間の本能に基づく参加の自由
を規制しないことが人間の意志と行動に基づく経済成長を達成する鉄則」なのであ
ります。
つまり消費税は商品を購入する時点時点で主婦が否応なく意識せざるを得ない税金
であり、ここに日本では消費税の総需要抑制効果が顕著に表れる原因があるのです。
もちろん消費税を内税にしたところで、わずかに効果があったとしても鋭敏な女性
の脳を完全にごまかせないことは、色々な手練手管で女性客を呼ぶ第一線の販売促
進企画を常に立案している人間からみれば明らかです。
そしてヨーロッパでは消費税率を少し下回る失業率でありますが、日本では消費税
率を上回る失業率(潜在失業者を含めて)の発生が考えられ将来の消費税率の増税
が極めて深刻な問題を発生させると危惧されます。
日本は消費過小の国民性と主婦が家計の消費の決定権を持っている特異な国家であ
るという基本認識こそ重要なのです。
つまり国の総税収を変更せず、5%の消費税を全額直接税へ振り返るだけで最低で
年1%の需要抑制効果が改善すると仮定すれば、10年で10%、100年間で1
00%つまり需要を消費税で規制した時と比較して1%の差だけ増加できるだけで
100年間で日本の経済規模は2倍に伸びるのです。
もちろん私はやり方次第でもっと伸びるのではないかと予想していますが。
3−1. 消費税は本質的に「徴税コストが極めて高い税制」であります。
消費税を計算するため日本全国の全ての商店全ての企業で販売する一品一品にさら
に一億二千万人の顧客の購入者一人一人について消費税計算を売上にも、仕入にも、
経費にも行い、これを課税売上、課税仕入、非課税売上、非課税仕入に分別し消費
税を個別に計算し記帳し、差引計算をするという大作業を国は全て民間負担で民間
企業に無料で要求しているのです。 この非効率な事務作業も民間企業のコスト負
担として重く企業経営にのしかかり、このコストを捻出するためにリストラが必要
になっている一面があるのです。
3−2.消費税は2年前の年間売上高が3000万円以上か以下かによって当期に
消費税が課税されるかされないかの判断基準にしている消費税法の仕組みは、「3
000万円以下の企業は消費税が免税であるという法的論理性に一貫性を持たせる
ために、3000万円以下の企業も事実として消費税を消費者から徴収していると
いう現実にもかかわらずこの事実に反して消費税法の論理の中でこれを認めず消費
税を取っていても(法的には合法)取っていないと考えて消費税法の論理を運用す
る法的論理性に一貫性を持たせるため、2年前の売上高が内税で3000万円以下
か超えるかで判断しているのです。
この現実を無視した論理の組立が、2年前の売上高が3000万円以下であれば当
期年売上げが10億円でも消費税は免税になり、2年前の売上高が3000万円超
であれば当期年売上が1000万円でも消費税が課税されるという殆ど一般の人に
は理解できない税制になっているのです。
これは免税点以下の企業も消費税を徴収しても一向に法律違反にならないのに(公
正取引委員会からそのような指導を受けている。消費税を徴収したからといって法
律違反として逮捕された例を聞いたことがない)、このような「当たり前の事実を
無視して」消費税法という「頭の中で論理を組み立てた法律の運用」の中だけは、
事前に免税企業と課税企業を厳密に分類するために論理のみを法的に貫徹している
のです。
この様な、意味のない事実と異なる一般の国民には全く理解出来ない書類上の建前
だけの論理を展開するところに日本のエリートの問題点があるのです。
これなどは単純に当期の年売り上げが3000万円以上か以下かで分類すれば済む
ことなのです。
3−3 法人税は企業会計に則った「費用収益応用の原則」という人間の経済常識
に適合した原理原則によって課税されていますが、消費税はこの原則とは全く対応
せず単に費用は費用の発生で、収益は収益の発生で別個のものとして課税売上、課
税仕入を計算するシステムになっており、したがって棚卸資産は無視し、固定資産
は減価償却計算をせず購入時一括消費税控除となる消費税制の特性があります。
この税制の特性から発生する大きな欠点は経済好調時には「在庫投資、固定資産投
資が活発で利益を大きく発生した場合」同一売上でも法人税は大幅増加しても税務
署への消費税の納税は大きく減少し、逆に同一売上でも厳しい経済不況のため「在
庫投資、固定資産投資を減少せざるを得ない赤字状況になると」税務署への法人税
の納税額は大幅減少するが、逆に消費税の納税額は大幅に増加するという、税制相
互に整合性が無く市民感覚では非常識に感じられ、納税者には分りにくい税制にな
っており、これを的確に納税者が納得するのは納税者自身余程税制に詳しくないと
至難の技なのであり納税者の税制に対する不信感は大きい。
その上結論として消費税制は資本主義自由経済に必然的に発生する不況時の企業の
倒産抵抗力の増加作用の無い税制であり資本主義経済システムの擁護に役に立たな
い税制であります。
4.消費税制は「人間の顔の見えない税制」「誰が幾ら負担したのか見えない税制」
であります。 国家が誰が負担したかを分からない税制によって運営されることは、
国民各層の相互作用や自己責任原則や協同意識、競争意識の良い醸成に根本的に寄
与しないと考えています。
高額所得者は多額の納税を行い社会に大きく貢献するが故に、普通の人と同じレベ
ルになるように社会から守られるべき存在になるのです。
もし高額所得者が多くの普通の人と同じ額しか社会に貢献せず残ったお金を自己の
ためだけに使用することが分かったいたら、この犯罪者に狙われやすい高額所得者
を国民大衆が国という組織を通じて守ってやろうとする共感は得られないのです。
高額所得者といえども自分一人で高額所得者になったわけではなく、進化論や生存
競争で明らかなように日本国という経済市場における豊かな下部層があってはじめ
て国民大衆の相互作用の中で、競争に勝ち残り支持されてはじめてトップ層の高額
所得者になり得たのですから。
5.簡易課税企業の多さによる投資減税効果の欠如の税制と投資増税弊害効果の存
在について
簡易課税制度はその課税標準をこの税制の本質である付加価値の金額とせず、無関
係な売上の金額に置いている為、付加価値への換算は複雑を極める論理構成で税率
計算をしなければならないという、簡易課税ではない複雑課税になっていることを
まず知っていただきたいと考えています。  これなどは単純に付加価値項目金額
の加算方式を採用すれば簡単で何の問題も無かったのです。
さらに平成10年度の消費税において売上年間3000万円以上の240万社のう
ち法人の46.3%、個人企業の60.7%の合計116万社と過半数近い膨大な
企業の消費税納税者が簡易課税を選択しています。
さて多数の簡易課税納税者は消費税法の規定上、設備投資額の税抜き処理が認めら
れないため消費税の仕組みを良く知る少数の納税者は設備投資を行う場合発生する
損税を避けるため、毎回投資時期をやむをえず1年程度遅らせ、原則課税を選択し
なおしてから、設備投資(災害の復旧工事も同じ)を行っているのが実情であり、
タイミングの良い設備投資は難しい状況であり、これが近年の中小企業の設備投資
停滞の1つの大きな理由になっています。
またタイミングを失せずに投資を行った多くの場合、本来課税仕入れとなるべき消
費税につき税額控除を受けられず、その投資金額にかかる消費税を国に没収され損
税(良く問題となる益税と反対)という過大な消費税の事実上の納付を甘受しなけ
ればならないのです。
平成9年4月より消費税率が5%に引き上げられたためその悪影響は目に余るほど
になっています。
つまり本来ならば投資促進効果が若干あると考えられている消費税制(投資は仕入
れ控除になるし、投資額が高額であれば当然還付も受けられる。)の中に投資をす
ると多額の損失を発生させる投資抑制構造を持ち込む国の政策は、経済再生を叫ん
でいる以上「精神分裂的税制」と言う以外言葉もありません。
物事を達成するには針の穴を通すような、集中力のある政策が必要なのです。
政策は目的(国民の幸福追求)のための手段なのであるから、政策があっちを向い
たりこっちを向いたり取り止めの無い政策の集合では効果は上がらないのです。
6.さらに消費税は逆進性つまり所得の低い人ほど所得に対する消費税の徴収額が
高くなってしまう現象から低所得者層こそが所得の割に多額の税金を支払うので、
膨大な数の低所得者層の行政に対する要望は年月が経過する毎に増大し過激になっ
てくる。 (直接税時代は低所得者層の納税は少なかったので、行政に対する要望
も控え目であった。)
したがって逆進制は所得の少ない国民が、より高い割合で納税しなければならない
根本的な欠点があり、それ故国家行政に対する要望が膨大な数の低所得者層からよ
り一層強くわき上がりこれだけでも消費税を導入すべきでない根本的欠点なのです。
7.さらに消費税の根本的欠陥の最も大きな弱点は「弱い者が強い者より消費税を
徴収する仕組み」になっている点であります。
強力な権限を持つ税務署ですら強権を発動しなければ税を徴収することが難しいご
時世に、力関係で成り立っている日本の国情を良く分析もせず消費税法という一本
の法律を作っただけで、弱い立場の下請けに強い立場の親会社から消費税を徴収し
ろなどと義務づける神経自体がエリートの独善としか言いようがないと感じている
のです。
つまり力関係で言えば社員が経営者に税金を要求するという税制なのです。
力関係万能な日本の国民性の中では、経営者が社員の給料から源泉所得税を強制的
に徴収することは力関係上無理なことではありませんが、一下請けが親会社の社長
に消費税を要求したり、無理難題を言い立てる力の強いお客に消費税の支払いを要
求することが、如何に難しいかエリートにうまく中小企業を経営してもらいながら
実体験してもらいたいと考えています。  無理な物は無理なのです。
結果として親会社が消費税を負担した書類の形式は整っても、実質はその分下請け
が本体価格を値引きされるので、実質的には下請けが消費税を負担することになり、
法律の趣旨が全く生かされないので、経済不況が発生するのです。
8.さらに消費税は大家族制に極めて不利な税制であることは多数の扶養家族を抱
える世帯には深刻な問題なのです。
扶養家族が多ければ、消費が当然に多くなるので消費税が多額になるのは当然の事
なのです。
そのように「家族を扶養することは多額の納税を伴うので損ですよと国家がメッセ
ージを発信することが正しいことなのか再検討しなければなりません。」
結婚も子供を作ることさえ「損得計算が優先する人間社会」にとってこの様な税を
主力にすべきかどうかについては合計特殊出生率との関係から深く研究しなければ
なりません。
家族という単位が何よりも大切な人間の生物学的特性にも関わらず家族を不利にす
る税制は、福祉などの人間生活に関わる財政支出の節約にも子孫維持の結果、果た
される経済環境の進化・発展にも全く役立たない税制であります。
消費税は人を扶養せず日本の将来を支え福祉の担い手にもなる子孫も作らず、逆に
福祉に最も金のかかる単身者に最も有利な顔のない税制なのです。
消費税は家族制度を崩壊させ少子化を促進する税制(扶養家族が多ければ多いほど
税負担は多くなる)であり逆に所得税は家族制度を培養し少子化を防止する税制(扶
養家族が多ければ多いほど税負担は軽くなる)なのです。
9.さらに消費税は民間では当たり前に行われている与信管理を全く備えていない
税制であり、消費税の長期滞納企業であり銀行はおろかサラ金もお金を貸さない企
業に次々に法律で消費税を強制的に預からせるためその金額はその超赤字企業が使
ってしまうため、税務署に納税されるはずもなく滞納が信じられないほど多額にな
っているのです。
民間では品物を買ってくれるお客でも現金払いでなければ信用度を調査して売るべ
きか売らないことにするか、一つ一つチェックするのを与信管理と言い優良企業ほ
ど徹底して行っているのです。
この民間企業では当然のことを消費税制はシステム的に全く備えていないのです。
いずれ正常な納税者がこの実態を知れば納税すること自体の意味や納税に対する信
頼が揺らいでしまう恐れがあるのです。
ヨーロッパ社会は契約社会なので滞納者は逮捕するし、支払え無い人は企業を廃業
するのです。
だからこそ正常納税者は納得するのです。日本の社会では、そういう訳にはいきま
せん。
契約社会ではありませんので、滞納者は簡単に逮捕出来ませんし、勤勉でかつ国家
の補償が少ない日本では生き残りのために家族や従業員の生活を優先しますので、
税金を滞納しても廃業するのは少数の経営者なのです
日本の企業経営者にして見れば借入金の返済も従業員の給料支払も仕入代金の支払
も消費税の支払いも同じ次元でお客様から預かったお金(売上代金も消費税も入金
してしまえば色が違わない同じお金)で支払う以外方法は無いことを知っているの
です。
消費税だけは特別と言われても銀行はおろかサラ金でさえ金を貸してくれない以上
支払いできないのはやむを得ないと考えている人は多いのです。
めぼしい資産の無い赤字企業に対して消費税は法律で定められているのだから例え
金融業者に督促されても、従業員に給料を遅配しても残しておけというのは、出来
もしないことを言う官僚の発想でしかありません。
企業は家族・従業員と共に生き残る事こそ最重要である以上税を滞納しても、借金
の取立にあっても企業存続の道を選ぶ事が多いのです。
結局多額の本税、加算税、延滞税を滞納し官庁の督促状に悩まされながら支払いう
る金額を細々と支払いながら益々増える滞納額に苦悩しながら経営を続けて行くの
です。   なんと苦しい人生でしょう。
このような制度を平気で作り上げる多くの高級官僚や国会議員、学識経験者の神経
を疑うと同時に現実の日本の社会をもう少し勉強して現実を肌で感じ共に苦しんで
頂きたいと考えています。
したがっていくら学問的に行政サービスはどの企業も、どの国民も平等に受けてい
るのだから税金も平等の率で支払うべきと言っても、それは机上の空論であり、利
益が上がりカネがあれば支払うが、無ければ支払えないという原則の方が遥かに現
実的で有力なのです。
したがって契約概念が希薄で力関係で物事を解決しがちな日本では元々税金は担税
力のある人にしか課税したり、税金を預からせてはいけないのです。
さて赤字企業は経済的弱者なのです。
人間で言えば所得が0以下の国民なのです。
人間であれば各種の援助や補助が国や地方公共団体から与えられており、少なくと
もこれに課税しようなどと考えないはずであります。
営利を追求する法人だから援助や補助は不要としても「営利法人という言葉だけに
とらわれて」課税すべきでないのです。
「営利」という言葉に特別な意味を持たせ課税しようと言う発想は正に「現実を知
らずコンセプト重視の官僚的発想」でしか無いのです。
「営利」という言葉だけでは、それに課税する「実体」や「担税力」は無いからで
す。
資産の裏付けの無い担税力の無い人に消費税のような制度を作り無理に適用し、消
費税という現金を強制的に徴収させ預らせる事自体、契約社会ではない日本の社会
では誤りで膨大な滞納を作ってしまうのです。
現実を見ず論理で制度をつくるから、こうなるのです。
法人税、所得税は各々の「所得」に課税するのです。
所得の裏付けには消費税と異なり「必ず現金預金の増加か将来現預金の増加となる
純資産の増加が存在」するので、当期に増加した資産の一部を税として徴収するシ
ステムですので原則的には担税力は保証されてるのです。
ここに法人税、所得税のシステム的安全性が完全では無いにしろ保たれており、消
費税にはこの視点が全く欠如しているのです。
10.民間の商品コストは全ての項目にわたり毎年のように民間企業において改善
努力がなされております。しかし国が導入した消費税だけはコスト改善が全く不可
能なコスト(売上の一定率であるので)として導入されてしまいました。
したがって民間はこのコストをまかない商品価格を少しでも安く提供するため、他
のコストを削らざるを得ないのです。
これが人件費や設備投資へカネが回らなくなった理由の一つで不況の原因になって
いるのです。
企業にとっては消費税は預り金の性格というものの、見方を変えれば商品コストの
一部と言えなくもない日本では不思議な性格を持っています。
外税方式をとっている企業にとっては「預り金」に見えるし、内税方式を採ってい
る企業から見ると「費用・コスト」と言えなくもないのです。
法人税や所得税ですら見方を変えればお客から支払って貰う商品価格の売上代金の
中に原価として参入された金額の一部であるという見方も可能であり、あらゆる税
金は直接間接を問わず商品原価の中に参入されていると言っても過言ではないので
す。
さすればどのような徴収の仕方が最も経済に悪影響を与えないかを立案者は考えな
ければならないのです。
1.所得税、法人税は不況で「民が苦しむ時」は「徴収額が大幅に減るので官も税
収減で苦しみ」、好景気で「民が潤う時」は「官も税収増で潤い」、官民ともに苦
楽を共にする一体感があるのです。
消費税は不況で「民が苦しむ時」でも「徴収額はあまり変わらないので官はさほど
税収減とならず」、好景気で「民が潤う時」でも「官はさほど税収増にならず」、
非常に事務的な関係となり官民の苦楽を共にする一体感はなくなってしまうのです。
逆に民間の給与制度を見てみると現代では勤続5年で35才だから給料は誰でも3
0万円などという決め方をしている企業はほとんど無くなったと思います。
その人の能力、業績に基づく人事考課などから給与額を決めているはずです。
事務的に機械的に一律に給与額は決めないはずです。
従業員に給与を支払うということは、従業員の労働意欲の向上に最大のインセンテ
ィブ(動機付け)になるからであります。
したがって企業はどういう支払い方が企業の成長にプラスかを各社研究し極めて巧
妙な基準を策定しているのであります。
したがって国へ税を支払っている国民の立場でいうと、税は主として公務員に対す
る給料を国民が支払うためにあると仮定すると、国民を豊かに幸福にしないと税を
多く支払わないシステムを取る事が最も組識目的にも適合し公務員に良い仕事をさ
せる最大のインセンティブになるのである。
その見地から言うと、主権者である国民の生活上消費する物やサービスに一定の割
合で事務的に無機的に税を支払っているからこそ、公務員は本気で国民を豊かに、
幸福にする気(動機付け)になるはずもなく、べらぼうな失業者、べらぼうな自殺
者が産み出されているのに本質的な政策の大改善は行わず、したがって一生懸命や
っている政策も費用対効果は最悪であるのにその認識も無く、現状ではこんなに不
景気なのに消費税だけはしっかりと徴収できる税金なので非常に良い税金である程
度の認識しかないのである。
顧客であるはずの国民を豊かにしてこそ大阪弁で「なんぼ」の世界のはずなのです。
まさに直接税の国であるアメリカがその世界なのであります。
クリントン大統領は貿易赤字を垂れ流しながら必死になってアメリカ経済を立て直
し国民を豊かにして、その大幅に増加した国民所得の中から、累進税率で直接税を
徴収し記録的な税収増を達成し、一挙に不可能と言われた財政を黒字化したのであ
ります。 
景気が良くなり給料が上がって、以前から適用されている累進税率を適用してもア
メリカでは簡単には「全マスコミの大減税キャンペーン」(ブッシュ共和党大統領
が減税案を提出し議決しましたが、マスコミは減税要求一色にはなっていないどこ
ろかこれに反対して共和党議員が反対し民主党へ所属政党を変更する自体になるく
らいであり)は起きないのです。
所得税は増加した所得の一部を徴収するに過ぎない上、従前からその累進率が適用
されていた以上何らそれまで適用されていた人と比べて不公平は無いからでありま
す。
日本のマスコミの所得税増税反対キャンペーンは税率が高く変更されるときのみ行
うべきだったのに、何ら税率が変更されていないのに増税反対キャンペーンを行い
すぎたことが、消費税導入の大きな一因になったのです。
また「国は税収が上がらければやっていけないし財政再建もやれないという常識を
アメリカのマスコミ自体も持っているのであります。」
それが全く欠如しているのが、日本のマスコミであります。
毎年春闘の前後になると、「所得税の大減税キャンペーン」を展開し、あたかも全
国民の味方のような報道ぶりを見るにつけ「誠実で正直なマスコミはどうあるべき
か」を全く忘れた無責任さには呆れるばかりであります。
政府に政策を要求することは、増税を容認しているのと同義語であることをマスコ
ミは忘れてはいけません。
政策ばかりを要求するマスコミは精神年齢12歳と言われてもしかたがないのです。
消費税の導入された大きな原因の一つは毎年のように繰り広げられたこの所得税に
対する「いわれの無い非難や大減税要求圧力報道」にあったことは事実です。
国は税収が無ければ、福祉対策も、行政需要も、子孫に対する負担を出来るだけ抑
える財政再建も出来ないのだという「当たり前の事を理解すべき」なのに「所得税
減税の大圧力をかけ続けてしまったこと」が、日本では消費税導入の一つの大きな
原因になってしまったのです。
圧力をかけ続けるべきは、税金の使い道や効率ならびに費用対効果の問題なのです。
つまり日本の大部分の勤労者の80%は中小企業に勤務しており、元々所得税の減
税要求などには熱心ではありませんでした。
せいぜい減税されればまあ良かったかという程度の物なのです。
なぜならば彼ら中小企業勤務者は給料が安く(大企業の平均60―70%)したが
って所得税の累進税率も低く年間所得税額も僅かであるため減税されても、その恩
恵は極くわずかであり、ましてや全国で何千万人いるパートのおばちゃんに至って
は元々所得税はゼロであるので所得税の減税など何の恩恵も無く無縁の存在だから
であります。
それでは所得税の毎年のように行われた大減税キャンペーンの本当の主役つまり受
益者は誰だったのでしょうか。
それは高給取りで知られる大新聞の記者、編集者を始めとする大企業の従業員(大
労働組合組合員でもある)および公務員など高給勤労者およびこれらの管理者なら
びに高額所得者のエリート層達なのです。
せいぜい全国民の20%の人たちの大いなる受益にしかならないものを大新聞やテ
レビなどのマスコミはあたかも全国民の利益代表のように振る舞い所得税の減税キ
ャンペーンを「それによる結果も考えず」毎年繰り返していたのです。
「誠実で正直なマスコミとは」どうあるべきかの、原点をもう一度問い直してもら
いたいと考えています。
その原点は「真実の事実や現実を見て確かめるまでは、思い込みや独断を廃し常に
疑い深い目を持ち、これが自身の大部分の読者(ほぼ全国民と同義語)にとって本
当に利益をもたらすのかどうか」をいつも問い掛けながら色々な視点から記事をか
くことであります。
12.消費税は社会的に有用な寄付に対しても消費税の税抜きを認めないが、所得
税、法人税はほぼ社会的に有用な寄付に対して全額税額控除を認めて社会的に有用
な寄付を奨励している。
消費税には「取る論理以外」政策が全く無く「国民の幸福に奉仕する」意志も精神
も存在しない税制であり無意味であります。
13.所得税が存在する以上消費税は消費に対する二重課税である。
所得=消費+貯蓄の公式で明らかなように、「所得税」(消費+貯蓄に課税)と「消
費税」(消費のみに課税)に別々に課税することは消費に二重課税をしている恐れ
があるのです。
ヨーロッパ大陸諸国の経済の進化発展が遅いのは「経済の進化・発展の根源である
消費に高率の二重課税を行っているため」と言えるのです。
法人税等は企業に対して商法、企業会計原則という別の法律で義務づけられ記帳さ
れている帳簿に少し手を加えて納税申告をするだけなので、収益費用の概念も常識
的に理解しやすく企業経営にも非常に役立つ資料が膨大に作り出せるので企業自身
とすれば納税コストは極めて低い税制である。
消費税の記帳制度は企業が本来準拠しなければならない商法や企業会計原則と全く
別個に販売したり仕入したりする商品一品一品につき消費者一人一人につき膨大な
記帳をしなければならず、その課税、非課税の概念は常識ある人にも多岐にわたり
非常に分かりにくく複雑であり、そのくせ企業経営には全く役に立たない資料づく
りばかりであり企業自身の納税コストは極端に高額である。
このコストは結局のところ商品コストに上乗せされるか、企業利益の圧迫要因にな
っている。
14.消費税は企業強者にも企業弱者にも等しく課税する「課税観」であり、法人
税や所得税のように所得の程度による累進率が存在しないので、税制が社会正義の
味方ではなくなった。
強い企業は益々強く、弱い企業は今までより早く衰退し倒産せざるを得なくなるの
で、寡占化が進み長期間には競争が弱まり、経済成長の基礎的要因が崩壊し資本主
義は劣化し弱くなるのです。
つまり100年後500年後の「進化システムが弱々しくしか作動しない国家の寂
しい行く末」を暗示しています。
15.消費税導入後徐々に税務署には不正所得を暴く正義感溢れるベテランの税務
職員が姿を消してきて、複雑な消費税の法律知識を使いこなす事務的能力に優れた
若い調査官が増加し私の個人的意見から言うと税務署が事務屋になってしまっては
税務署本来の機能が脆弱化してくるのでは無いかと考えています。
直接税体系に回帰し未来の本格的な景気回復を実現したとき公正な課税を実現する
には納税者番号制など税務職員に脱税者調査の武器を与え、索的能力を向上しても
らい機能的で親しみやすい税務署に進化してもらい、些末な問題にはこだわらず大
きな不正に立ち向かう誠実で正直な納税者が不利益を受けないような税制を構築し
てもらいたいと思っています。
16.さて日本の民間企業では商品やサービスの販売において、業者が談合して、
強制的に一定の手数料を売上に上乗せして消費者から徴収しようと、話し合いで決
定したとすると公正取引委員会が独占禁止法違反でその業者を告発します。
つまり消費税と同じ方法で民間企業が手数料などを徴収しようとすると、独占禁止
法違反となるのです。
元々民間がでやってはいけないと法律で決めている事を、国だから法律に特例除外
の規定を作ってやって良いという消費税の徴収方法の発想自体が優越的国家論を表
しており、中世ヨーロッパのギルド(同業組合の協調的思想による競争の制限や独
占)を連想させ、この税のヨーロッパ的な後進性を強く感じさせるものであります。
しかし法人税の徴収方法は競争の結果もたらされる利益を利益分配という形式で配
当や役員賞与として行う民間にも正式に認められている近代的で合法的な方法の一
種として認められているものと同様な形式で徴収しており極めて常識的で合理的で
あります。
法人税、所得税などの直接税の基礎概念はこの官民を問わず合法的に認められてい
る国への利益分配にほかならないのです。
ここにも消費税の倫理性(民間には全く認められていない徴収方法)や現代資本主
義の根本思想である独占禁止法(もちろん現在では独占禁止法の発祥の国であるア
メリカを始めとして同法は全ての先進国で制定されているが国々の歴史や国民性に
よってその内容は異なっている。アメリカでは厳格に適用されている)と対極にあ
るヨーロッパのギルド思想に基づく消費税の後進性に何故多くのエリート層が気づ
かないのか不思議でなりません。
 さて中世の日本でも関所を通る度に取られた関銭などの税金のために経済が低迷
していた時代に経済の本質を良く理解した織田信長が「楽市楽座」の制度によって
そのような税制を廃止し大幅な経済振興に成功し強大な経済力を得た事が彼の天下
統一の基盤になったことが、歴史の教科書にも乗っている位です。
全てが完全に自由な社会(現代的な自由と平等ではない)では良い事悪い事何をや
っても良い世界であるから、戦国時代を想像すれば理解しやすいと思います。
当時の自由は正にアメリカ流の自由と異なり現代日本の力関係を容認する自由に通
じているのです。
結局「少数の強者(権力的、経済的、暴力的を問わず)は金、暴力何でも自由に使
えるのでこの社会は自由と感じ」、「大多数の弱者は強者に圧迫され不自由と感じ
る社会」になるのである。
しかしこれと全く異なり現代アメリカでは法律で人間の参加の自由を妨害する行動
を規制し、強者は暴力、金などによる影響力の行使が発揮できず「強者にも弱者に
も等しく参加の自由を保証」するために「フェアーな自由と対等な平等という競争
条件を設け正に中世の騎士道や日本の武士道の概念に近い概念を確立した上で」競
争ルールが設けられているのであります。
したがってこのような環境の社会は手段を豊富に持つ「強者には極めて不自由と感
じ」、「多数の弱者は戦う手段は貧弱でも意志さえあれば強者と対等に戦える極め
て自由と感じる社会」なのであり最も進化が正しい方向性を持って早く進むのです。
結局の所、憲法から始まって分厚い六法全書の条文、通達、条例、基準など全てに
渡って競争の基準となる「規制と促進」と「そのルール」を掲載しているのであり、
その根本には厳格な人間個人個人に対する「フェアーな自由と対等な平等が保証さ
れなければ進化システムは作動しないのです。」 



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