(合成の誤謬) 

ミクロの良好な企業を沢山育てあげれば景気は回復するというシナリオは誤りであ
ります。
端的に言えば、消費税という消費規制税制をとり続けながら総需要抑制策の中で一
部の優良企業(競争状態の中では多数の弱者企業があって始めて勝者企業が成り立
つ)が首切りやリストラを断行し経営内容を改善し、株価を上げても、一国経済と
いう閉鎖経済系(購買力平価を実現するため輸出入同額とした場合の国内経済額は
一定)の総需要減少の中では決して新規雇用増や新産業の創造のエネルギーは創造
されず、失業の増大による国全体としての国民所得の減少や停滞は個人消費つまり
国全体の需要をさらに低迷させ経営内容が悪い企業をさらに悪化させ倒産させるこ
とになってしまうのであります。
つまり「一将功なって万骨枯れる」政策であります。
つまりこの手法は優秀な民間の企業の人件費を削減して企業の収益力をあげ株価も
上げますが、そのリストラされた人件費は多くの場合国又は地方公共団体が負担し
なければならない上、個人消費需要を停滞させ減少させてしてしまう愚かな手法な
のです。(日本国憲法第25条 国には国民に対する文化的な最低限の生活増進義
務があり失業者問題は行政需要としても負担の深刻度は増すばかりである)
国がこのような単純な手法で経済政策を良しとするならば誰でも取れる簡単な手法
なのです。
単に民間の人件費コストを国などの公的負担(雇用保険などの)に振り替えて民間
に利益を出すだけの手法だからです。
しかしこの手法は国や地方公共団体にとんでもない負担が及ぶことはいずれ気が付
くはずです。
金融不安や不良債権処理に伴う公的資金投入コスト、年金財政支援コスト、健康保
険財政支援コスト、地方公共団体財政支援コスト、失業保険財政支援コストなど後
ろ向き財政需要が大幅に増加してしまったことにいずれ気が付くはずです。
そして日本の経済は国民が規制・罰金である消費税率に応じた個人消費の限界の下
方の均衡点に向かって、下降中なのであり個人所得もこれに合わせて下降を続けど
こかの均衡点で多くの企業倒産と失業者を生みだして均衡するのです。
結論として「失業率と所得」は「個人消費が減退した分」悪化するのです。
要は国が考えるべきは、一国経済という閉鎖経済系の中で自己回帰的に総需要を増
加させ民間も収益をあげ所得を増加させ失業率を低下させながら、国も税収を上げ
国家財政を健全化する針の穴に糸を通すような政策で豊かな経済を実現することな
のです。
現在のように消費税で総需要を抑制しながら供給側の企業ばかりを合理化させる政
策では個々のミクロの優良企業は立ち直っても、マクロの全体需要は増大せず力の
弱い企業は競争に敗北し倒産しさらに失業者は増え所得は減少しマクロ経済が悪化
するという「合成の誤謬に陥っているのです」
経済はミクロもマクロも同時に改善する手法を追求しなければならないのです。
これには総需要抑制策である消費税の撤廃という本質を検討しなければなりません。
つまり民間企業は自由貿易体制下の開放経済系(世界中無限の需要へ進出できる)
で活動できるという国とは全く異なる活躍の場が与えられており、国と民間企業の
経営の視点の根本的な相違を理解しなければなりません。
つまり国家というものは、自分自身で自己回帰的に需要を創出する以外、需要創出
の方法が無く、総需要抑制策を採用するのは、インフレやバブルの発生期以外採用
してはいけないのです。



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