(進化論の素晴らしさ強靱さそして有用性について)

進化論はその時代時代の地球環境に適応し生物の35億年の進化を支えた多種多様
な生物の生存と発展をもたらしたシステムであり、たかが100年200年の人間
の頭の中で考え出した経済学のシステムと比べれば、比較にならない実績があり進
化論から学ぶべきものは多いのです。
科学的な進化論として初めて登場したのは、フランスの博物学者ラマルクによって
唱えられた「用不用の説」である。
それによれば生物が進化する原因は「生物自身が持つ内なる力」と「環境の影響」
をあげている。
そして良く使われる器官は発達し、そうでない器官は退化するという考え方であっ
た。
そしてその後進化論の本命と言われたのが「種の起源」を著したイギリス人のダー
ウィンである。
かれの基本的考え方は「自然淘汰・生存競争」(選択)を通じて「適者生存」とい
う考え方だった。
そして進化論でもっとも難題だったのが「変異」の問題をどう説明するがであった。
そこに生物界では「突然変異」という現象があることが発見され研究された。
突然変異については色々な仮説が提唱されているが日本人の木村資生によって提唱
された「中立進化説」や中原英臣らによって提唱されている「ウイルス進化論」な
どがある。
さらにドーキンスの考え方からすれば生物は利己的遺伝子(DNA)の乗り物でし
かなく利己的遺伝子であるDNAにとって自分のコピーが増えるならば乗り物であ
る自分自身でさえ犠牲にすることをいとわない性質があると分析しています。  
そこでドーキンスによる「利己的遺伝子DNAから生ずる利他的行動と利己的行動」
についての考察から理解される「競争」と「協調」という概念と人間個人の行動や
意識は国家の自然な運営方法のあり方を理解する上で極めて重要な示唆を与えてく
れました。
さらに高等動物では、彼らの持つ「文化」がその種において遺伝子と同様な働きが
あることが知られています。
つまり人間の文化にも科学にも突然変異があり、かつそれが継承される為「遺伝子
と全く同一作用があり」そこに人工進化システムの研究が始まったのです。
そしてそれらの利己的遺伝子による行動は高等動物の場合生き残るための判断は 
「選択」と「淘汰」を通じて発揮されるので、人間個人の自己決定性がある自由な
選択意志を強制的に規制妨害するやり方は利己的遺伝子(人間の本性)の性質に全
く反しており「強い閉塞感」を生じさせ誤った判断の原因や文化の発達に逆行する
ものであります。

この説は非常に説得力のある仮説であり、多くの事実と合致しており、人間自身や
「人間の行動を理解する場合」に有力な手段になります。
しかしラマルクやダーウィンの初期進化論が哲学や思想界に与えた影響とショック
は計り知れないほど大きかった。
当時の初期資本主義・民主主義と進化論が結びつき「弱肉強食・生存競争・適者生
存」の考え方は誤って解釈され、初期資本主義が持っていた本質的な強欲さを正当
化する論調が蔓延したところに、これに反発する共産主義、全体主義の思想が勃興
してしまったのであります。
しかしアメリカでは建国の精神である「フェアーな自由と対等な平等と幸福追求の
権利」の実現という理想主義を掲げ、その実現の手段として資本主義と実証的な進
化論を融合した「プラグマチズム哲学」をその思想的根拠としたのであります。
もちろん日本の憲法も同じ規定だけは掲げているが、その「本質」を良く理解して
いるとはとても思えないのであります。
さて45億年の地球の歴史において約35億年前1つの単細胞微生物が地球に出現
しそれが進化システムによって「無」に等しいたった一つの細胞から「有」に大発
展し地球上に何百万種におよぶ膨大で大量の動植物の存在をもたらし人類がその頂
点をきわめているのである。
そして今でも地球上では進化システムが機能しているのであります。
つまり進化システムを理解することが人類の進化・発展にとって大切になります。
有史以来、地球上の2回の生物の大絶滅が進化の原動力になっているし、6000
万年前の地球環境の大変動に伴う恐竜の全滅こそがこれを生き延びた哺乳類発展の
原動力になり人類誕生の原因になったことを忘れてはいけない。
自然は苛烈で過酷であることがその本質であり、それを自然淘汰で生き延びた生物
のみが現在この地球に存在し続けているわけであり、35億年以上途中で絶滅せず
(親が子を産み子孫を残すという輪廻を一億世代以上一度も途切らすことなく)生
き残った生物は現時点での史上最強の生物達なのであります。
人間は自然の恵みと豊かさによって生活を維持しているので自然のやさしさ穏やか
さを過大評価しがちであるが、それは自然の本質が持つ苛烈さや過酷さのほんの一
つの側面を表しているにすぎないのであります。
現在地球は氷河期と氷河期の間の間氷期にあたり氷河期は地球の営みから発生し、
その原因はミランコビッチにより地球への太陽光の入射量曲線の変化の仮説が有力
視されているのであります。
さて一億年前の白亜紀(恐竜時代)には火山活動による二酸化炭素の大幅な増加に
原因する地球温暖化により海水面が現在より300メートル(この数値に関しては
書籍により得た知識であるが私自身直感的に信じがたい数値である。)高かったと
推定されており、逆に最も近い氷河期である18、000年前のウルム氷河期には
地球全体が凍り付き特に南極大陸の氷は厚くなり海水面は現在より100メートル
前後低かったのであり、逆に6、000年前の太陽光入射量が増加し猛烈に地球全
体が熱くなり地球温暖化が進み南極大陸の氷が溶けた海進期には海水面は現在より
数メートル前後高かった(数十センチではない)ことが実証されているのでありま
す。この気候の信じられない激変はノアの箱船は単なる伝説とは言えないのです。
つまり18000年前のウルム期から6000年前までの間の12,000年間で
海水面は100−110メートル上昇したことになるのです。 
そのように自然は苛烈で且つ過酷なのであります。
進化システムはこのような苛烈で過酷な自然条件を生物が生き延びてきた強いシス
テムなのであり、人類の未来にわたる子孫の生存と発展を考える場合進化システム
を素直に理解する重要性を特に感じるのであります。
さて人間の作り出した人工システムにも進化システムが存在することがシステム工
学上実証されており現代ではその有用性からこれを理解している国では国の基幹を
なす国家制度にこの進化システムを根本的に取り入れているのです。
そして現代の民主主義や市場経済システムそのものも人工の進化システムであり、
そこにおける、経済活動の基幹要素である税制が進化システムを阻害するものであ
ってはならず阻害すれば自然淘汰によって時間は掛かりますが、衰退の道を歩むの
であります。
第二次世界大戦の日本の敗戦後におけるマッカーサーが行った日本の社会経済への
「民主化という人工進化システムの注入」による激変は、正にその後の日本の経済
社会の発展と進化の原動力になったわけであり、代わりに平時にはさらにこれを進
化システムによって進歩発展させることは、我々日本人自身の義務であり我々自身
でその本質を見極め努力しなければならないのであります。



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