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(日米と主要経済大国を基礎データでの比較。経済成長は直接税制の強化で可能)
主要国との各種比率比較等は下記に掲載)別表2日米90年間の年度別税率と経済

 さて成熟経済段階に達した主要経済大国を比較している、以下の四表を見ただけ
でも、資本主義経済の進化に伴って、「歴史的に直接税中心主義」を堅持し経済が
好調な「米英」であるが、特にアメリカは「直接税比率を意識して高く設定し」更
に政治経済の基幹システムに「進化システムを広く導入し」クリントン政権は劇的
な景気回復と国家の財政再建と失業率の大幅低下を達成しています。 
 しかし近年の日本の税制は米英の直接税中心主義を離れ「歴史的に間接税中心主
義」の高失業率を改善できない「ヨーロッパ大陸諸国の税制を目指して直接税比率
を低下させ」「非進化システム的な税制と政治を志向しているため」不況の継続と
デフレの進行と国民所得の急速な低下と失業率の大幅な上昇と、不良債権処理が進
まない結果を生じているのです。
 直接税比率を引き下げ間接税比率を引き上げ直間比率のバランスを取るのが景気
回復の王道で国民所得を向上させ失業率を改善し安定税収増を実現する道であると
いう、まことしやかな不況を招く通説理論に全ての分野の人達が強く誤解している
のです。
 ここに公的機関が掲載した世界の主要国家の比較表は全く正反対な結果を示して
います。
 まず「事実」を素直に受け入れることから始めなければなりません。
 そして人間にとって生きるための手段である成熟経済に達した資本主義経済にお
いて、持続的な経済成長を達成できる「税制改革はどういうシステムで行うべきか」
「国民と国家と企業の関係と税制改革」はどうあるべきかを、この税制改革理論は
解説しています。

直接税の比率の推移(国税庁統計年報書より)*昭和63年は消費税導入直前年

アメリカ

イギリス

 日本

ドイツ

ユーロエリア

フランス

昭和63年

 91.1%

 53.8%

 73.2%

 53.0%

 56.5%

 39.1%

平成 5年

 90.6%

 54.1%

 69.4%

 47.6%

 59.4%

 40.2%

平成11年

 92.5%

 57.3%

 57.2%

 46.9%

 56.7%(9年)

 41.0%


     主要国家の失業率(経済企画庁 経済要覧より)

アメリカ

イギリス

 日本

ドイツ

ユーロエリア

フランス

昭和60年

 7.2%

 11.8%

 2.6%

  9.3%

  -----

 10.3%

平成 6年

 6.1%

  9.4%

 2.9%

  9.6%

  11.4%

 12.3%

平成11年

 4.2%

  4.3%

 4.7%

 10.5%

  10.0%

 11.2%

(注)各国の失業の定義が異なり日本の実際の失業率は上記より高いと言れている。

OECD諸国の主要国家の一人当たり国民所得 (単位ドル OECD資料より)

アメリカ

イギリス

 日本

ドイツ

イタリア

フランス

95(平成 7年)

 24642

 17137

 31658

 25493

 16313

 22407

99(平成11年)

 30003

 22201

 26226

 21733

 17680

 20933

00(平成12年)

 31761

 21923

 27522

 19264

 15999

 18737

01(平成13年)

 31101

 21604

 23866

 18950

 16221

 18566

注)日本は平成9年より消費税を3−>5%へ1.6倍増税し、所得税最高税率
を50−>37%へ減税しました。平成13年よりアメリカではブッシュ
政権によ
り最高所得税率の減税政策が開始された。消費税の増税と所得税最高所得税率の減
税が、国民所得の増加と財政再建に、非常に悪影響があるのが判ります。   
EU内でもドイツ、フランスが、イギリスに比べて直接税比率が大幅に低く間接税
比率が高いため、国家間競争に負け一人当たり国民所得が年々大幅減少しています。


   
国家発展の未来予測(合計特殊出生率 女性が生涯に生む子供の数)  

アメリカ

イギリス

日 本

ドイツ

イタリア

フランス

2.03

1.68

1.34

1.36

1.19

1.77


 上記の通り国家のエリート層がヨーロッパ大陸諸国的国家哲学(P312頁の確
認は同時掲載のPDF版にて)を持つ「日独伊」三国は自ら導入した税制政策によ
って、再度米英との国家間競争に敗退し国家は衰退していくのです。
 経済企画庁の経済要覧によると、独伊も同様であるが、わずか100年後に日本
は中位で6700万人、低位では6000万人以下の人口になると確定推計され国
家100年の大計はこれを前提に国家政策を立案しなければならないのです。
 したがってこの悪しき前提を改善する、この税制改革理論のような政策努力をす
る必要があるのです。
 そこで年1%経済成長率を高くするだけで100年後の国民所得と国内総生産は、
そうでない場合の2.7倍となり、年2%高くすると7.2倍へ拡大するのです。
 この活力によって失業率や人口減少を改善し、環境問題や経済面でのデメリット
をカバーし国民と企業の望む経済進化を果たすことができるのです。

 したがって無限の需要を求めて世界に羽ばたく民間企業と全く異なり、「人口も
領土も固定化」された不完全閉鎖系の有限な需要の中で拡大を果たさなければなら
ない「国家経済」は「進化システムの個人消費の自己拡大原理」と「進化システム
の科学技術による生産の自己拡大原理」のシンクロナイズした環境でしか経済成長
は絶対に達成出来ないのです。
 そして基軸通貨を持たない国家経済システムを強力に健全に保ち且つアメリカや
中国などの大国の経済的影響力を最小限度に止めるには、常に「企業」に対して国
内外を問わず価格競争の対等性を保障する義務つまり購買力平価の為替相場つまり
「貿易収支均衡と資本収支均衡」に「国家は努力しなければならない」のです。
 そして企業倫理の実現が叫ばれていますが、これは高尚な哲学の問題ではなく単
に「公正競争」という「競争」の概念の一部に過ぎないのです。
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(経済成長と財政再建へ構造改革ための基礎知識)

 私はコンピューター基本ソフトのOSの分野で携帯電話や電化製品の組み込みOSと
して日本一利用されている超多重超リアルタイムの国産トロンOSを作り上げた坂村
健東大教授と、ウインドウズに対抗し急速に世界の民間企業と各国政府機関に普及
しつつあるリナックスOSを作り上げたリーナス・トーバルズ両者の知的所有権を主
張しないオープンソースの思想に深く感じるところがあり、私も本書につきまして
著作権を主張しませんので悪意の利用で無い限りどのような利用でも結構ですので
皆様に十分ご利用頂きたいと思っています。

 さて国家の最大の役割は子孫に負担を残さずに国民と企業に職と仕事を与え、国
家を豊かにすることです。
 そこでこの税制理論は国家が成熟経済(主要経済大国)段階に達し既存の経済学
では経済成長が達成困難になった場合を専門に扱う「成熟経済国家に対応する経済
成長のための税制理論」であります。 (経済成長の仕組み、メカニズムの項参照)

 大赤字の大企業でも経営陣が「新しい経営システムや方針」を導入して企業再生
を果たし優良企業へ生まれ変わる例は多数あるのです。 
 同じ日本人が住んでいる戦前と戦後の日本を比較すれば、国家経営の良し悪しも
システムしだいなのです。


 この理論のポイントは「企業の供給力向上は科学技術の進歩」であり「需要力向
上は膨大な消費者の個人消費の質・量の拡大」であり両者とも自由にすれば人間の
本能を利用した「進化システム」(後記で詳しく解説)によって、その拡大増強が
自然に実現できるので、これを活用し「両者の並列拡大増強を目指す経済成長のた
めの強力な税制理論」です。
 
 ノーベル経済学賞を受賞したソローモデルは供給力の「科学技術開発」のみに焦
点を当てているので、国家の需要力が旺盛な発展途上段階を過ぎ成熟経済段階に達
すると、需要力への配慮が欠けているので経済成長が停滞するのです。  

 重要な点は日本人は言葉による「正しそうに聞こえる抽象的な理念観念」に流さ
れやすくイタリアでファシズムとして誕生した「全体主義」が世界を席巻し、第二
次世界大戦で多くの犠牲を支払い日本を含め世界がこれを離脱するまで20年間も
費やし、またドイツで理論化されソ連で誕生した「共産主義」も日本や世界を席巻
しソ連を始め、多くの共産主義国家が多くの犠牲を支払いこの思想から、自ら離脱
し自由化されるまで、74年もかかった「現実と歴史」を我々は決して忘れてはな
らないのです。
 これと全く同じく付加価値税制(消費税の母体)は昭和29年フランスで誕生し
てから50年を経過していますが、「この課税に便利な税制の持つ経済を停滞させ
る危険性」に気付くまで、人類はあと何年かかるのでしょうか。
 同じように「党派性を争い少数の人間が大多数の人間を制御する構造を持つ政党
政治」は必ず経済社会の進化に停滞をもたらすことも、日本人が気付くまで、あと
何年かかるのでしょうか。

 これらの「全体主義、共産主義、付加価値税制、党議拘束の許される政党政治」
など人間の意識や能力を制御したり抑圧したりする構造を持つ反進化システムの管
理手法がいずれも「エリート主導の理念観念を重視し、進化システムルールと競争
と予測と結果を軽視するヨーロッパ大陸諸国哲学」から誕生し許容した社会制度で
あり、超後発国で独立後わずか224年しか経過していないのに世界一の超大国へ
進化した「進化システム的手法の本家であり事実を重視し、参加の自由と対等に平
等なフェアーな競争(協同)の進化システムルールの重要性を本能的に理解し、予
測と結果を重視し、理念観念を軽視する言葉に惑わされないアメリカ」が絶対に許
容せず国内に存在することさえも許さなかったことは偶然ではないのです。

 これが本書の出発点であり、特別の人間で構成されているわけでもないアメリカ
の経済成長が無限に続く秘密を解き明かす鍵なのです。
 

 尚アメリカの地方税にある小売売上税制は日本の旧来の物品税に近く付加価値税
制とは全く異なる税制なのです。 
 さらにアメリカの共和党、民主党には党委員長も、党代表も、総裁も存在せず、
全く全国組織化されていないという世界でも唯一の特異な政治システムを持ち、
「国会議員の独立性の確保」と「党議拘束の不存在」が、多民族、多文化、多言語
の地方分権国家という非効率の典型国家にも関わらず、進化システムが作動し、個
人の意識と能力に自由を与え、進化と発展を得ているのであります。
 日本国憲法も本来自由であるべき国会議員の自由な意志表示を拘束することを容
認する規定は全く存在せず形式的、実質的な党議拘束を伴う政党政治は予定してい
ないのに、現実はアメリカと異なり悪しき政治慣習によって国民の意志を代表すべ
き国会議員の自由な意志決定を政党の理念観念により与野党を問わず党議拘束によ
ってゆがめ国会通過するはずの無い、日本の国民環境や経済環境へ適応しない消費
税法などの諸制度が無理やりに国会を通過したり、国民の望む法案が提案されない
など、経済成長が困難なシステムが定着し、今我々自身が苦しんでいるのです。
 アメリカはヨーロッパ大陸諸国的な、国家が全体社会を上から統括管理するとい
う「優越的国家論」ではなく、国家は全体社会の中の部分社会であり、国民を幸福
にする機能的な存在の時のみ存在意義があるという「機能的国家論」で国家は運営
されているのです。
 アメリカは常識とは異なり「自由と平等の進化システムの意義を本能的に理解し、
それに合わせた経済システムと政治システム」を厳格に採用した世界で最も反グロ
ーバルな特異なシステムで運営されている他国とは一線を画す国家なのです。

 つまり事実として人間にかかわりのある全てのものは、思想哲学でさえも人間環
境(国民大衆)への適応、不適応の「進化システムの競争(協同)」が作用し、長
い年月が必要でありますが「結果として」いずれ結果が現れ、国民大衆によって淘
汰されるのです。   
 当初どんなにすばらしい「理念観念」で出発しても、「進化システムを規制した
り制御したりする人間の本質を理解しない理念観念」は必ず害悪を流し続ける現実
を皆様は世界中に見ることが出来るのです。

 さて本書は論点を広げすぎず、経済成長税制に集中して議論するつもりでありま
す。

 現状は「膨大な国民の血税を使用した財政政策、金融政策を実施しているのに」
一向に景気が回復せず、経済不況は深刻度をますます強めております。
 つまり経済成長の成否は「一部の国民と企業に間接的にしか影響を与えない金融
政策、財政政策」ではなく「全ての国民と企業に強制的に直接的に影響を与える税
制」が経済成長の成否を握っているのです。
 つまり資本主義経済の発展に効果のある税制により進化システムである個人消費
の増加を通じて全企業売上と所得と資本に増殖作用のある税制か、個人消費の増加
を停滞させ売上と所得と資本に萎縮作用のある税制かの「税制の良し悪し」なので
す。
 さて人間の「進化システムである個人消費は規制せず自由に行える環境を整える
と幸福を求める人間の本能から自然に増加する特性がありそれが所得の増加へ変換
されるのです。」
 しかし逆に人間の意識、無意識下に働きかけ所得と資本増殖の根源である個人消
費の増加を規制し抑圧する方向へ「人間を動機付け行動させる税制」を採用すると
確実に個人消費の増加は人為的に抑圧され、徐々に需要が供給の増加に追いつかな
くなり、いずれ必ず不況へ突入するのです。 
 現状の個人消費を規制する消費税制では所得と資本の萎縮作用が強く「経済の悪
循環」が全く収まらず、国の税収がますます上がらなくなり、資本主義経済下の金
融不安が高まり、消費税を増税すればするほど不況が加速し、金融は混乱し税収は
更に停滞します。
 逆に本書で詳しく解説し、歴史的にも実証されている「累進構造を強化した個人
消費にも貯蓄にも平等に課税する結果をもたらす、直接税制は増税すればするほど
後述の分析で明らかなように個人消費は活発化し景気が回復する、正に経済成長税
制であり」且つ適切な個人消費の増加を起点とした国民所得の増加と資本増殖を果
たす資本主義経済発展の正統派の税制なのです。 
 人間の持つ「個人消費能力に理念観念で制限を設けず自然に自由に発揮させる事
こそ個人消費の増加の根本であり所得と資本増殖の根源であり資本主義発展の要諦」
なのです。 
 累進構造の直接税は「高所得者や企業に一見不利益に見えますが、景気が回復す
ると高所得者や企業も自滅する危険が無くなり且つ多くの所得増加や経済的チャン
スが強者にもたらされ株や資産や預金金利がより増加し、より資産価値が上昇する
ので決して損はないのです」「つまり強者は社会に役立つ貢献をし且つ損して元を
取るのです」。
 更に日本には直接税が機能する高い教育水準と経験と知識が普及しているのです。

 なお直接税を増税すると競争力の強い人材や競争力の強い企業が海外に流出する
ので、日本経済にとって大きなマイナスという、まことしやかな俗説がありますが、
全くの誤りであります。
 くわしい経済的メカニズムは後述しておりますが、基本的には単に国外に逃避し
たその人が獲得していた所得が、国内に残留する他の人に分散されるだけであり、
更に間接税を廃止し直接税を増税することによって経済が成長すれば、それだけで
有能な人材や企業を海外から逆に吸引し国内の人材や企業も成長し、更に日本を愛
する後塵を拝していた人材や企業が大きく飛躍する機会となり、経済成長にとって
プラス要因にこそなれ、マイナス要因にはならないのです。
 ましてや「参加の自由と対等な平等のフェアーな競争を保証する国家」は有能な
人材と優秀な企業を強く引きつける国家になると考えています。
 したがって税金のために国を捨てるような「資本主義的愛国心の無い人材」は
「人間同士助け合う精神」で成り立っている国家という組織では、必要のない人材
であり、利己心のみが強い本人が満足する国で暮らすべきなのです。
 医療や年金や介護など国民皆保険が極度に高度に発達し長寿命を誇る国民が助け
合って生きていかなければならない日本としては国民へ遠慮なくそれらの情報公開
を十分行えば良いのであって日本の国民はそのような人材や企業には決して充分な
活躍の場を与えないと思っています。


 さて経済原則から「需要と供給の均衡」で成り立つ国内経済において、競争に基
づく進化システムである科学技術の発達により、ほっておいても毎年労働生産性が
向上する現代において強大な機械力と生産力を持ち製造技術が極度に発達した日本
の企業側の供給力や効率を更に増強する経済政策ばかりを追及しても供給過多のデ
フレによる経済不況を更に加速させるだけで無意味であり、日本では消費者の幸福
(生存)実現競争である進化システムである個人消費の自然な増加による購買力を、
企業の供給力の向上に合わせて実現する経済政策こそ「経済不況と財政再建の真の
克服策」になるのです。

 企業の生産設備が超進化しロボットが大量生産を行っても、国民総生産(GNP)
としては全く計算されないのです。
 それを人間がカネを支払い「個人消費」した瞬間に始めて国民総生産として計算
され把握されるのです。
 まずこの意味を正確に理解しなければなりません。
 したがって個人消費こそが国民所得を増加させ国民全体に国富をもたらすのです。
 本書は一貫してこのケインズ流やワルラスの法則の真の経済学で貫かれておりま
す。
 この経済原則の仕組みと意味を、完全に理解し、個人消費が経済の出発点であり、
如何にしたら、この仕組みを活用し、どうしたら企業の生産力の向上に合わせて個
人消費を増加させ経済成長を達成できるかを考えた結果「個人消費の自然な増加策」
を徹底して追求する重要性に気づいたのです。

 人間の自然な欲求により発生した「個人消費の増加」と個人消費の増加に比例し
て増加する「設備投資の増加」の合計額が、企業を通じて「国民所得の増加」へ等
価変換され「次の個人消費の原資」になり、これを無限連鎖循環するのが「経済成
長」なのです。

 そして「個人消費の増加」によってのみ達成される「経済成長」こそ財政負担を
最小に押さえながら税収を増加できると同時に「国民所得と資金と資本の増加」に
よって、経済不況から発生するデフレの進行、金融不安、株価低迷、資産価値の下
落、失業者の大量発生、企業倒産、財政再建を同時に強力に解決し克服する万能の
経済政策なのです。
 真の経済学は「無」から「有」を生み出す学問だからこそ価値があるのです。
 そして重要なことは「資本主義は人間を幸福にするための道具であり、人間が進
化システムによってコントロールできるもの」なのであります。


 他の長い歴史ある世界の強国と異なり、後発国ながら現在まで独立後わずか22
4年で世界唯一の超大国へ進化した「事実を重視し自由と平等の進化システム(進
化システムの項参照)の本家アメリカ」は「本能的にヨーロッパ大陸諸国で誕生し
た」「理念、観念を重視した」反進化システムの全体主義や共産主義や付加価値税
制や党議拘束を容認する政党政治を絶対に取り入れたり許容したりしなかったので
す。
 またアメリカの地方税に存在する付加価値税制とは全く異なる小売売上税制が持
つ個人消費の規制効果の少なさを理解できますが、やはり弱いとはいえ個人消費抑
制効果があるので私は好きではありません。  
 私の望みは「資本主義税制の典型であり資本主義発展の原動力となる直接税を主」
とし、国民の幸福の追求に反するものに課税する「個別間接税を従」とする税体系
なのです。

「資本主義」は資本を自由に行動させれば、人間の自由意志にしたがって利潤を求
めて自然に自己増殖を開始するシステムであるから、「進化システム」なのです。
 したがって資本主義の基本構成要素である「進化システムである個人消費」に規
制を加える「消費税や付加価値税制は反資本主義税制」なのであります。
 したがって資本主義発展の根源となる個人消費を規制せず、逆に「非進化システ
ムの所得に課税規制する直接税制は累進構造を含めて経済成長のための資本主義税
制」なのです。
 日本の歴代の国家経営に携わる方々が資本主義の発展のためにイギリスの大経済
学者ケインズが提唱した一国の総生産(所得)水準は「総需要の水準」によって決
定されるという「有効需要の原理」と、フランスの経済学者で一般均衡理論を提唱
した「ワルラスの法則」(経済全体の総需要と総供給は恒常的に等しい法則。した
がって需要を増加する政策を含まない経済政策は効果なし。)を無視した「反資本
主義的税制」を延々と続けているので経済不況から全く抜け出せないのです。

1.国家経営は「良き結果」への一点を目指した政策の立案、実行が重要なのです。
  さて経済は「需要」と「供給」の均衡で成り立っています。
  「経済成長」は「需要と供給の両者が均衡して増加する状況」を言います。
  そして現実の経済政策の結末は長期的に見れば、個人消費が活発化して経済成
  長が再開し良循環が開始し「個人、企業を問わず強者も弱者も共に豊かになる
  か」個人消費が停滞し悪循環となり「強者も弱者も貧しくなるか」のいずれか
  の二者択一しかないのです。
  食物連鎖の働く自然の生態系と同じく強者の企業と人間だけが裕福になって繁
  栄し、弱者の無数の企業と人間が貧困化し消滅するシナリオはありえないので
  す。
  自然の生態系と同じく弱者の存在無しには強者のみでは生き残れないのです。
2.国家は「カネは天下の回りもの」の格言どおり、得た税収を毎年全額使用する
  機関なのです。 
  国家の税収の使用先は公務員の給料、公共事業、各種補助金などであり、「主
  として中低所得者の所得に還元される性格」を持っています。
  これを国家が本質的に持つ強制的な税の所得配分機能と言います。
  次に「経済成長と財政再建の同時達成でなければ成功した経済政策」ではない
  のです。民間企業と同じく国家経営も多額の借金をして「事業規模の拡大」を
  図るだけの政策は成功ではありません。 
  次に「税の人間への動機付け」が大切です。
  つまり民間企業において給料の支払総額は変わらなくても、年功序列で支給さ
  れる企業と能力や業績によって支給される企業では、企業自身の業績に大きな
  差が生じるのは皆様ご存知の通りです。同様に国家では国全体の税の徴収総額
  は同じでも「税のとり方」つまり「所得課税国家」と「消費課税国家」では
  「経済成長、失業率に大きな格差」が生じるのは人間が動機で動く以上当然の
  ことなのです。
3.「供給」は企業が行いますが進化システム(進化システムの項参照)である科
  学技術の発達により「人間の労働」は「機械化」により毎年増強され少ない人
  間しか必要で無くなります。そこで国家の所得配分機能を使い、個人消費の減
  少を防ぎます。
4.「需要」は「個人消費」+「設備投資」=「所得」で成り立っています。
  そして最終消費である「個人消費」は「人間しか行なわないので」個人消費は
  労働者・消費者に順調に「所得」が適切に配分され且つ個人消費に規制が無い
  時のみ順調に増加するという大原則があるのです。    
  設備投資は企業が行いますが、個人消費が順調の時に、企業家心理が明るくな
  り設備投資が活発になります。
  日本経済で最大の問題点は供給増に対する「個人消費の停滞後退」であり個人
  消費に基本的に連動する「設備投資も比例して停滞、後退」を続けており、こ
  の根本原因を解決しなければ、いくら巨額の血税を活用しても日本経済の再生
  は不可能です。
  個人消費や設備投資の増加が順調であれば必ず資金不足が生じてくるので、そ
  の規模の拡大に応じて、通貨の輪転機を持つ財務省と日銀がコンビを組んで通
  貨を増発し、銀行を通じて貸し付けを行うなどの手法を通じて資金が市場に現
  れ、これが需要の増加を通貨面で支えるのです。
  個人消費の自然な増加を如何に図るかなのです。
5.「所得」は自ら一人のみに所得を稼得する行為であり利己的な行為なのであり
  ます。  
  また所得は他から稼得しなければならない性質上、自分の自由意志では増加出
  来ない「非進化システム」であり、そして「所得」=「個人消費」+「貯蓄」
  であり「所得に課税規制する直接税」は「結果的に個人消費と貯蓄に平等な条
  件で課税」しているので、「総需要抑制政策にならないのです。」 
  しかし所得税の他に消費税の存在は結果として個人消費にのみ二重課税を行っ
  ていることになるのです。
  更に人間が「所得」のうち「個人消費に使う割合」を「消費性向」と言います
  が、国家が本質的に持つ強制力を持つ税の所得配分機能を考慮にいれると、所
  得に対して累進を強化すればするほど消費性向が低い高所得者から消費性向が
  高い中低所得者に所得が配分される効果をもたらし個人消費が活発になるので
  す。
  また自然の生態系で例えると「所得」は人間の生きるための食料(エサ)なの
  です。                    
  そして所得は個人消費や設備投資が企業を通じて等価変換されたものなのです。
  したがって人間は他の生物と異なり「自分自身で食料(エサ)を作る個人消費
  という進化システム」を持ち、組織的に配分することが出来る唯一の動物なの
  です。
6.「個人消費」は「進化システム」であり、課税等の規制をせず自由にすれば、
  人間の幸福を追求する本能、無いものねだりの好奇心の本能などの特性により、
  放っておいても毎年増加するのです。  
  したがって個人消費に課税すると「総需要抑制政策の効果」が生じ個人消費は
  増加しなくなるのです。
  また最終消費である個人消費は人間しか行なえないので、「所得」が順調に
  「誠実に正直に勤勉に働く国民・消費者へ適切に還流されなければ個人消費を
  増加することはできない」のです。
  その上「所得が低い人間ほど消費性向つまり個人消費の割合が高く」「逆に所
  得が高い人間ほど消費性向つまり個人消費の割合が低い」という明確な原則が
  あります。  
  したがって「経済成長の基本中の基本を支える個人消費の増加の大部分は、実
  は膨大な数の中低所得者層が負担している。」のに消費税は「逆進性」がある
  から問題なのです。 
  そして「個人消費」は利己的な行為に見えますが、実は他の人に所得を得さし
  める利他的な行為なのであり、個人消費は自然の生態系に例えると、全ての動
  物の生命を支える基礎である植物層に該当するのであり、人間は自分自身の自
  由な意志で個人消費によって他人の食料を生産しているのです。 
  これに課税規制し増加を妨げ国民を飢えさせることは「社会的に好ましい事で
  はないのです」。       
  つまり国家は「税」を媒介とした「巨大な公的な所得配分機関」であり、「人
  間」は「個人消費」を媒介とした「巨大な民間の所得(食料)生産機関」であ
  り、消費税のように「個人消費」に課税することは個人消費の所得生産機能や
  配分機能を大幅に低下させ、人間の自由意志を抑圧して経済成長に重大な悪影
  響を与えるのです。
7.「貯蓄」は個人消費しなかった残余の金額です。また「設備投資」は日本のよ
  うな間接金融国家では、銀行が貯蓄から企業に貸し出す形態となっており、
  「個人消費」が活発になると「貯蓄」がドンドン「設備投資に変換」され、更
  に企業売上へ再変換され、それによって企業から銀行へ金利が支払われ、労働
  者には所得が支払われ、銀行は預金者へ預金金利を支払えるのです。  
  日本のように家計防衛本能が強く直感脳によって「税」を嫌う「女性が家計を
  支配している主要経済大国の中で唯一の国家」の個人消費に課税する消費税制
  の採用は過剰貯蓄体質が強化され個人消費が停滞し設備投資も停滞し継続的に
  悪循環となり経済は最悪の状態になるのです。
8.消費税以外の全税目の全税収も全社会保障費も、実は企業が生産する全商品の
  コストに算入され、個人消費を通じて最終消費者が全額実質負担しているので
  す。
  民間企業が膨大な広告宣伝費や販売促進費をかけ「値引きや割引をしたり、オ
  マケをつけたり」、強力に個人消費を掘り起こし企業売上を増進したりするの
  は、一面で国家国民のためなのです。
  「個人消費の増加がなければ全企業売上と国民所得と税収の増加と失業者の減
  少の同時達成が絶対に実現できない原則」があるのに国家が消費者心理に逆ら
  って商品価格に5%の消費税を上乗せするから、個人消費の増加が大きく鈍り
  国民所得も税収も増加出来ず失業者の減少も実現出来ないのです。
  更に消費者の心理を無視して消費税を10%〜15%にするという議論が喧伝
  されるところに消費者心理不在の「理念観念に凝り固まり真実を見誤る固定観
  念の政策集団」が日本国の大勢を占めている戦前と全く同じなのです。
  だから経済成長は人間の手によってコントロール可能である事実を知るアメリ
  カは超大国なのです。

 株式市場、個人消費、市場経済、国会採決、選挙など「国民的環境において人間
個人が自らの意志で実質的、形式的に規制無く自由に決定でき、且つフェアーな競
争原理が働くものを進化システムと言います。」              
 逆に自らの意志で自由に決定できないものを「非進化システム」と言います。 
 逆に進化システムを実質的、形式的に規制したり、非競争的手段で制御したりす
るもの全ては「反進化システム」なのであります。
「経済成長」や「社会の進化」を、「国民の望むとおり達成するため」には、進化
システムは国民の幸福追求に反するもの以外、実質的形式的に規制抑圧してはなら
ず、非進化システムは国民の望む通りに自由に規制しても何ら差し支えないのです。

 そこで誠実で正直で勤勉な日本国民とその子孫へ大きな負担を負わせること無く、
常時適正な経済成長を実現できる経済システムを作り上げ「職と仕事と幸福を追求
するチャンスを与えるのが政府の役割であり、その最も重要な手段が進化システム
である個人消費を規制抑圧しない税制」なのです。 
 つまり現実の経済では「経済成長のコントロールは、全ての国民と企業に直接影
響を与える強制力のある税制がベース」であり「一部の国民や企業へ間接的な影響
しか与えない金融財政政策は経済成長の補助手段」でしかないのです。  
 これは主要経済大国の直接税の比率によって失業率や国民一人当たりの国民所得
更に特殊出生率がその国の税制と明確に密接に関連付けられるからであります。 
 弱肉強食の食物連鎖を備えた利己的見える「自然の生態系」の「生存競争と食物
連鎖の真の意味」は強者が弱者を食って生きるという原則だけでなく、「弱者(植
物や草食動物)の存在無しには強者(大型肉食動物)は生きられないという原則」
と「弱者の増加無しには、強者は絶対に増加することが出来ないというパラドック
ス(逆説)」があり、更に弱者を増加させながら、結果として強者を増加させるこ
とになる「進化システム」が自然に準備されていたのです。(進化システムとその
ポイントの項参照)

 さて人工システムは「進化システム」の時に限ってシステム自身が強力に進化す
るというシステム工学上の指導原理があり、これが経済成長の仕組み(経済成長の
仕組み、メカニズムの項参照
)に強く反映しているのです。
 インターネット、民主主義、市場経済、資本主義、科学技術、個人消費など色々
の分野に進化システムが取り入れられ現実に進化成長するために活用されています。
 進化システムは「ルール」であり、これを重視することが大切なのです。
 税制も進化システムルールを強く意識しないと経済成長は達成できないのです。
 さて多くの方々が誤解しておりますが、金融不安、株価の低迷、土地価格の下落、
デフレの進行、失業者の大幅な増加、極端な財政悪化等は日本経済の「深刻な経済
不況」の「結果」であり「原因」ではありません。   
 したがって株価の下落や土地下落や金融不安や失業者の増加などの「経済不況で
生じた結果そのものに」小手先の対策を施しても「経済不況の原因そのものを改善
しない限り」資金を投入した分だけわずかな効果があったとしても、根本的で継続
的で強力な経済不況の克服策にならないのです。   
 必要なのは財政負担をせず、経済が自分自身で自己回帰的に自立的に継続的に発
展繁栄していく強力な経済不況克服策なのです。
 それには経済不況の「結果」をもたらした因果関係を正確に分析し「目に見えな
い真の原因」を特定しない限り良い対策は立てられないのです。
 これについては「目次 機械論と目的論から明確にされる金融不安と経済不況の
原因 P295」をご覧戴き、今回の経済不況の根本的な原因が「膨大な個人消費
を人為的に課税規制」し、膨大な個人消費の自然な増加を抑圧している「総需要抑
制政策」が最大の問題であることが、お分かり戴けることと思います。
 経済成長を実現する国家運営を目指すには、「固定的になりがちな理念観念より
も」「事実を重視し個人個人の能力を最大限に発揮できるシステム」を組み上げ、
それを国家全体に拡大することによって「国家能力を最大に発揮出来るようにする」
ことが望ましく、更にその時代時代の変化する経済環境、政治環境へ正しく適応す
る政策を選択するために、地球環境に生きる自然の生態系と同様、「環境そのもの
である全国民」の意志を「競争」で決着するシステムを作り上げることが、環境に
適応し進化する政策を選択するコツなのです。
「小さな頭の中で考えた理念観念より」「膨大な数の人間が事実を元に競争ルール
を遵守し人間個人の自由意志の合計を大切にする国家」こそが経済成長国家になれ
るのです。 
 本人一人の自由意志と判断で決められる本質を持つ「進化システム(進化システ
ムの項参照)」を「規制しないこと」が進歩発展の根源であり、その時遵守すべき
は「参加の自由」と「対等に平等」な「フェアーな競争」と「競争力均衡化原則」
であり、遵守すればするほど個人の能力は発揮され国家は繁栄するのです。
 インターネット、民主主義、資本主義、市場経済、科学技術、「個人消費」など
多くの分野に進化システムが取り入れられ進化成長するために活用されています。
 つまり「目に見えない真の原因が税制の欠陥」であることに気がつかず「目先の
目に見える不況の結果ばかりに膨大な血税を注ぎ込み小手先の対策を施すだけでは」
継続的な需要増強に効果も無く深刻極まりない経済不況が延々と続いております。

 さて一税理士、一中小企業診断士として経済活性化のための税制を構築すべく長
年研究を重ねた結果、「経済不況の真の原因」は、課税せず自由にすれば自然に毎
年増加する経済の出発点であり、進化システムである「個人消費の増加への人為的
な課税規制」による「総需要抑制政策」が日本独自の特殊事情(本文で詳しく解説)
により「増強された結果」であることが判明したのです。  
「個人消費は自らの自由意志に基づく幸福(生存)実現競争の進化システム」であ
り個人消費に課税規制し、課税を強めれば強めるほど個人消費は停滞し減少し逆に
課税規制を撤廃し自由にさせると人間の常に幸福を求める本能と無いものねだりと
好奇心の本能から自然に質的量的な変化を求め継続的に個人消費は増加するのです。
 逆に「所得は他から稼得するものである以上、自分自身の自由意志では増加も減
少もできない非進化システム」であり、課税規制しても経済に悪影響が全く無く、
更に「穏やかだが確実な国家の所得配分機能」によって累進課税で累進を強化すれ
ばするほど「国家全体の消費性向が高まり」
更に「人間心理に課税圧力がかかり続
けるため課税との損得計算を行う順法精神の強い誠実で正直な膨大な数の法人、個
人企業経営者は資金退蔵のデメリットの方が大きくなるため経費使用や人件費投資
や設備投資実施が非常に活発になり無駄な資金の退蔵が無くなり金回りが活発にな
り」「経済成長を向上させる強い効果」が生じるのです。
 その際「社会道徳的に問題の無い交際費」や「社会的に意味のある寄付金」や
「実質的に貸倒状態の貸金の貸倒引当金」「青色申告欠損金の繰越控除の長期間化」
について更に徹底した規制緩和を行うと、資本主義経済の企業社会の広がりやスタ
ビライザー機能や継続性の充実を通じて、競争力均衡化原則と真の競争環境が充実
し、赤字企業も再起の道が与えられ国家の企業支援負担が少なくなり且つ失業者の
吸収余力が大きくなり、更に産業の多方面への発展と「自然な経済成長と競争環境
の確保」に大きな効果を発揮し「自己回帰的に民間企業自身も国家も助かる」ので
す。

 逆に所得に対する累進を弱体化したり税率をダウンしたりすればするほど「国家
の所得配分機能が低下するので、国家全体の消費性向が弱まり」更に「資金を退蔵
する方が経営メリットが大きくなり有利になるので資金と課税との損得計算を行う
順法精神の強い誠実で正直な膨大な数の法人、個人企業経営者の経費使用や設備投
資実施が非常に停滞し、金回りが鈍化」し「経済成長を低下させる強い効果」が生
じるのです。
 更に交際費課税、寄付金課税、貸倒引当課税、青色欠損繰越金控除の短期間維持
など税収確保のための経費の課税強化を図れば図るほど「資本主義の継続性や安定
性や発展性が損なわれ経済成長は鈍化し、民間企業も国家自身も苦しめられるよう
になるのです。」 
 今までの経済常識や税制政策は大きな誤りがあったのです。

 さて日本の国民総生産を500兆円とすると現状より「年2%経済成長率を高く
すると、毎年10兆円、年3%高くすると、毎年15兆円」の「国民所得と資金と
資本」を「無」から生み出し毎年累積増加出来るのが「経済成長」なのです。
 10年経つとその額は100兆−150兆円に達する経済規模の拡大を達成する
のです。   
 日本は敗戦時の国富「0つまり無」の日本から「高度経済成長政策」によって4
3年後の昭和63年には国富3200兆円の国家に成長できたのです。

 さて結論を述べる前に、経済学などの諸原理を明確にしておきたいと思います。
1.自分の意志で増加も減少も自由に自己決定できる進化システムである個人消費
  は規制を加えず自由にすれば自動的に自己回帰的に自己拡大する特性があるの
  です。
  したがって逆に規制や抑圧を加えると、個人消費が自己停滞や自己縮小を起こ
  すのです。 
  これに対して所得は他から稼得するものである以上、自らの意志では増加でき
  ない非進化システムであり規制を加えても何ら経済に悪影響は無いのです。 
  徴収した税収は国家の所得配分機能によって配分されるが、消費税制では中低
  所得者から主として同じ中低所得者への所得配分へ固定化され消費性向が低い
  高所得者層の所得が個人消費に還元しないので個人消費の増加率は極めて停滞
  するのです。 
  逆に所得課税で累進構造であれば主として高所得者層から中低所得者層への国
  家の所得配分機能が働くので所得階層が低いほど個人消費性向が高いという事
  実と組み合わされて、国家全体の消費性向は確実に高まるのです。
2.国家が徴収する全税目の全税収は全て企業が生産する商品、サービスのコスト
  に混入しており、「最終消費は人間しか行わない経済原理」から、国家が徴収
  する消費税や法人税等の全税目の全税収も、更に企業の実質全売上高も消費者
  である人間つまり国民が最終負担していることに変わりは無いのです。 
  この会計原理から個人消費が増加しないと、税収も企業の売上高も増加させる
  ことが絶対に出来ないという原則へたどり着くのであります。     
  ここに財政再建には個人消費を増加させる、つまり景気を回復させる重要性が
  存在するのです。
  そして「個人消費は日本国民しか行わない」のに「国民が行う労働」は所得が
  国外に流出する「輸入」で代替できるので、日本国内の個人消費を継続的に増
  加させるには「為替をコントロールし」次の個人消費のために、どうやって国
  民へ所得配分するか、国家の重要な役割も絶対に必要になるのです。
  そのためには「為替問題への対応策」(P406)つまり「購買力平価の実現」
  が「国内外の企業の競争力均衡化原則」の基本となり、このためのコントロー
  ル手法の開発がこれからの課題となるのです。
  つまり資本集約型の高生産性高付加価値商品を大量輸出し、低生産性労働集約
  型の低付加価値商品を輸入する構造を強化すればするほど日本国内の所得配分
  が不順となり「日本国内の個人消費の増加は停滞し日本国内の産業構造はいび
  つになり失業者が増加し」、いずれ50−100年後は強者である高付加価値
  高生産性企業も衰退してしまうのです。
  さらにこの問題には「有事には必ず輸入が途絶える」ため部品生産や食料生産
  等の労働集約型産業には産業必需品が多いので国家レベルの「安全保障面」か
  らの検討も重要になってくるのです。 
  「自由貿易」さえも国民の幸福に反する場合は「説得と協力依頼」を主とし
  「規制」も差し支えないのです。
3.さて人間は所得を得て、個人消費と所得の循環的自己拡大運動を維持する原理
  があります。
  経済公式によれば所得=個人消費+貯蓄であるので、「貯蓄=設備投資」が成
  り立つ時に所得=個人消費+設備投資=総消費の式が成り立ち、個人消費の自
  己増加拡大が先導役になって適切に所得の増加をもたらすのが、経済成長の基
  本構造なのです。  
  また個人消費が順調でないと企業が設備投資を実施しない事実があるので、貯
  蓄が銀行の貸し出しを通じて、全額設備投資に回わるには個人消費の増加環境
  が必要になるのです。
  だからこそ個人消費に規制を加え、その増加を抑圧する危険性を強調している
  のです。(注、貯蓄>設備投資の時は原則不況 貯蓄<設備投資の時は原則バ
  ブル)
  そしてこのような条件が満たされると自己回帰的に自己決定的に増加できる個
  人消費が、先導役になる時系列原理が重なり自動増加する総消費が所得へ変換
  されて総消費−>所得−>総消費−>所得の自己回帰的な循環サイクルによっ
  て等速度又は等加速度的に国民所得の増加が達成されるのが経済成長原理の根
  幹なのです。
  この際「カネの流れ」がスムースに流れることが重要であり、生産の各段階、
  販売の各段階に規制があったりよどみがあったりすると、この循環サイクルの
  スピードが落ちて経済の自己拡大スピードが著しく落ちてしまうのです。
  消費税は各段階で課税して規制して抑圧する構造に問題があるのです。
  つまり所得で得たカネの主たる使い道である「進化システムである個人消費」
  に課税し、「残りの非進化システムの貯蓄」を非課税にする不公平な不平等競
  争条件を持ち込んだ結果が経済システムに適応せず、税に敏感な家計と個人消
  費を握る防衛本能が強い日本の主婦層の感情にそぐわず「現在の不況の根本的
  な原因」となったのです。 
  別の見方からすると直接税を負担した後の可分所得から貯蓄は無税で行えるの
  に、個人消費は消費税を更に課税されるので二重課税となっているのです。
  つまり消費税法は「企業に対しては必要経費である人件費に経費性(課税仕入)
  を認めない不平等条件」を持ち込み、課税を逃避したい順法精神の強い企業の
  人件費支払を徐々に抑制させ(内税になると、更に明確になる)、「人間に対
  してはカネの使い道に個人消費のみに課税し、貯蓄を非課税とする不平等条件」
  を持ち込んだため人間の個人消費が徐々に抑圧される二重効果によって、個人
  消費の増加が抑制され、結果として等価変換される国民所得は全く増加しなく
  なってしまったのです。
  現在消費税に内税導入論議が盛んでありますが、内税になると付加価値税制の
  性格(主として人件費課税)が前面に現れ消費税が実は「預かり金的性格のみ
  ではなく」正に筆者の言う通り全ての税金は企業の生産する全ての商品コスト
  に上乗せし企業に負担させる性格であると同時に個人消費に負担させ人間に負
  担させる二面性があからさまになり、利益の発生した資金のある少数の企業へ
  課税する法人税と異なり、政治的に「支払い余力が無くなった膨大な数の赤字
  企業への消費税の増税と支払いの説得」と同時に「所得が減少しつつある消費
  者に対する消費税の増税の説得」を行わなければならなくなり、極めて困難な
  事態になることが今から予想されるのです。  
  つまりこのような「民間企業へ膨大な事務手続きを負担させ」且つ「結果とし
  て国家経済に悪影響を与える」「経済原則に外れた稚拙な税のとり方」が、国
  家経営と民間経済にとって「有意義な税のとり方」かどうかが、「頭の良い日
  本の企業経営者と国民に、いずれ大きな実感として、また疑問としてのしかか
  ってくる」ことが今から予測されるのです。 
  税金は資本主義経済原則に則り、資本増殖に役立つような税のとり方でなくて
  は、国民も企業も幸福にはなれないのです。
4.規制しなければ増加した個人消費と設備投資の合計額が企業を通じて増加した
  国民所得に等価変換され、それが次回の個人消費の原資になるという無限連鎖
  で経済成長を達成するわけであります。 
  したがって個人消費にならなかった貯蓄が全額設備投資へ活用されることが重
  要なのです。  
  現在の日本は個人消費が税制によって規制され停滞後退しているため、企業家
  心理は極めて暗く設備投資意欲が全く湧かない状態になっており、過剰貯蓄が
  設備投資へ回らず国内に退蔵されるか、国外へ利子を求めて流出しているので、
  国内流通資金は減少し個人消費の停滞と設備投資の不振が重なり国民所得は増
  加できず停滞減少が継続しているのです。
  個人消費が低迷すると全税収も低迷する上に、社会保障費の負担増など財政負
  担が大幅に増え財政が急速に悪化するのです。
5.「個人消費」は人間しか行わないが「供給」は人間以外に「機械」と「輸入」
  に置き換えられる特性があり、どうしたら次回の消費のために個人消費を日本
  国民の所得に等価変換できるかの仕組みを作らなければ、次の個人消費が増加
  しない根本的な問題が生じます。 
  したがって経済における本文記載の考え方による「機械化合理化問題への対応
  策」(P438)と「為替問題への対応策」(P436)が重要な課題となり
  ます。
6.さて日本の経済格言に「カネは天下の回りもの」がありますが規制のないスム
  ースな金回りの重要性を説いた経済の本質をついた名言なのです。
  またこの循環サイクルにおいて、権力者や大金持ちが蓄財のため「カネを固定
  化」したり「カネを国内で回転させず海外に逃避させたり」するとやはりこの
  サイクルが順調に回転せず経済の自己拡大スピードが著しく落ちてしまうので
  す。
  結局のところ「カネの循環サイクルを停滞させる仕組み」は全て「反資本主義
  的政策」なのです。 
  したがつて自国の金融機関を信頼せずタンス預金をしたり、自宅などに退蔵金
  を所有したりすると全く同じ問題点が生じてくるのです。
  筆者が「強者の経費使用を促進したり、国民相互に個人消費を通じて助け合う
  利他的な意識を併せ持つ公明正大な資本主義的愛国心が絶対的に必要」であり
  同時に「納税者番号制の絶対的必要性」を説くのはこのためなのです。
  厳格な直接税制が構築されていない発展途上国に、利己的意識の強い大金持ち
  や権力者がいる場合は経済が発展しないのは、このためなのです。
  ここにもカネに透明性を持たせて不明朗さのないこの循環サイクルを強制的に
  働かせる助けになる「直接税と納税者番号制の絶対的な必要性」があるのです。
  資本主義的正義を貫徹するにはカネには限定されたブライバシーしか認めず、
  納税者番号制を構築することが「他の自由との均衡」で「誠実で正直な国民の
  正義を貫徹する道具になるのです。」 
  神ではない煩悩にさいなまれる人間が企業を運営する以上、誠実で正直な人間
  にはメリット(利益)を与え、不誠実で不正直な人間にはデメリット(不利益)
  を与えるシステムでなければ良いシステムではないのです。
  納税者番号制の定着には「納税者番号制で客観的に誠実で正直であると推定さ
  れる納税者への税務調査の頻度を大幅に低下させる原則を確立し」定期的でマ
  ンネリ化しがちな税務調査の手法を抜本的に改善し、不誠実で不正直な納税者
  に的を絞った調査体制を作り上げなければなりません。
  またケインズを始め近代経済学で明らかなように設備投資へ回らない過剰貯蓄
  は、国家経済的に百害あって一利無しであることをまず知らなければなりませ
  ん。
  個人消費という家計からの出金に消費税を課税すると、個人消費を節約し「将
  来の消費に備えて」消費税の課税されない銀行預金へ備蓄するのは日本のよう
  に女性主導の過剰貯蓄の国民性を持つ国家では至極当然な経済行為となるので
  す。
  しかし設備投資に回らない過剰貯蓄は百害あって一利無しと近代経済学が強く
  警告している問題であり、過剰貯蓄で資金が潤沢にあるのにもかかわらず設備
  投資が増進しないのも、共通の最大の原因は「個人消費の増加に消費税で全面
  的に規制を加えている総需要抑制政策」という原因による「税制不況」なので
  す。
7.本理論ではケインズ理論やワルラスの法則の他に経済学の基本原理である「三
  面等価の原則」も本税制理論の中核を為しています。

 本書は「経済成長の仕組み(経済成長の仕組み、メカニズムの項参照)」を徹底
して解明し、現代経済学の「科学技術による供給力増加の経済成長理論」に対応す
べき成熟経済における税制による「個人消費の自然な増加に基づき総需要の増加を
実現する経済成長税制」として構築したもので、幸福を求める国民と企業の目的は
全く同一であります。             
 この税制理論は既存の経済学による経済成長理論と全く異なり、個人消費の進化
システム特性を活用した直接税制を基盤とする経済成長税制理論であり「記録的な
好景気と経済成長と財政再建を同時達成」した「アメリカ民主党のクリントン政権
の直接税の増税政策」と、日本経済へ世界一の高度経済成長をもたらした「消費税
が無く高累進の直接税制」の両者の実績を分析研究し、「個人消費の進化システム
構造を発見」し「資本主義国家の成熟経済において、個人消費の自然な増加による
経済成長と財政再建の同時達成を果たす直接税制」の役割を明かにしたのです。
「個人消費の増加を唯一の要因」として達成される「経済成長の仕組み(経済成長
の仕組み、メカニズムの項参照)」を知らない方々の「無知と偏見」と「無意味な
理念観念」によって、とんでもない誤解が日本中を駆け巡り、現状の税制は混乱の
極に達し極端にゆがめられており、正さなくては「成熟経済における経済成長と景
気回復はいくら国費を投入しても全く不可能」なのです。

 是非この経済成長税制理論を皆様の意見の中に加えてご検討いただき「成熟経済
に達した国家ではどのような税制が誠実で正直で勤勉な国民に幸福と経済成長と財
政再建の同時達成をもたらすのか」五箇条の御誓文の第一条「広く会議を起こし万
機公論にて決すべし」の「進化システム的な奥深い意味を持つ」精神で明治維新と
同様この意見を参加させていただきたいと強く思っています。
 なおアメリカ共和党伝統のブッシュ政権の直接税減税政策は「経済成長と財政再
建の同時達成」に必ず失敗します。 
 世界大恐慌を招いた1929年10月23日に発生したアメリカの共和党政権下
の株価大暴落は、高額所得者の意欲向上こそ景気継続の鍵であるという当時の理念
・観念の元に1920年まで最高所得税率73%だったものを順次減税し1925
年には何と25%までに減税したことが大きな原因となって発生したのです。
 このように直接税の大幅な減税政策には「経済成長と財政再建の同時達成」には
幾多の失敗の前例があるのです。
「経済成長の仕組と税制の関係」がアメリカでさえ正確に分析されていないのです。
 アメリカの長い経済史の中で「累進税率を低くする共和党政権時代」より「その
ような政策をとらない民主党政権時代」の方が株価が高いという人間と企業と国家
の関係から生ずる経済的特性の不思議があり、通常の経済常識とは正反対の結果が
出ているのは、逆に税制を正しく分析し理論化し明確に解説し結論を出した本理論
の正確性をあらわしています。 

 更に日本では最近14年間消費税を導入し、直接税の膨大な減税政策つまり直間
比率の変更政策が「経済成長と財政再建」のいづれも全く役に立たず、国民経済と
国家財政をどん底に叩き込み、何ら有効性もなく膨大な負の遺産をもたらしたこと
でも本理論の正確性を証明しています。
 進化システムの競争概念では「結果」が全てなのです。 
 そして進化システムでは多くの政策に「参加の自由」を認め「競争させて優劣を
決める」のです。
 財務当局は「努力をしないで安定税収を上げる方法ばかりを追求せず」経済成長
を実現するため「資本主義経済の守護神として進化システムに参加の自由と対等に
平等の競争条件を遵守する態度」に徹すれば「結果として」自然に日本経済は成長
し高税収が上がり財政再建が達成できるのです。
 そして民間企業に効率を求めるより国民の血税を使用する国家こそ効率的で機能
的な組織に改善されなければならないのです。

 私はアメリカ経済と対等以上な日本経済へ再生回復したいと考えており、国家が
瀕死の中で更に輸出環境が極めて厳しい円高環境においてさえ、膨大な貿易黒字
(これが良いことだとは全く思っていませんが)を達成できる日本国民の競争能力
を強く信じており、正しく発揮させれば完全に回復可能と考えております。
 しかし民間企業と同様に国家が破綻する前に改善しなければ手遅れになります。
 そして本改革案に疑問を持たれる方は以下のような「思考実験」を、お勧めしま
す。
 どちらの税制が日本の「経済環境」に「適応し役立つか」「日本の経済環境その
ものである、強者も弱者も含めた全国民と全企業」に「選択(淘汰)」してもらえ
ば良いだけの話なので難しくは無いのです。  
 それは自然の生態系と同じく「環境」に「適応できるシステム」は進化システム
が作動して「進化発展」し、「環境」に「適応できないシステム」は、いずれ競争
に敗れ「自滅」するからです。
(1)法人税と所得税を廃止し、その税収をすべて消費税で徴収すると仮定すると、
   法人税、所得税は納税義務は無くなり、消費税は概ね18%の税率となりま
   す。
(2)消費税を廃止し、その分の税収全てを法人税、所得税で徴収することになる
   と、消費税は個人法人とも納税義務が無くなり、法人税は交際費等の限度計
   算の規制の大幅緩和と税率アップをセットで行い現状30%から増税し、消
   費税導入前の経済成長期近くの税率と同じになります。もちろん赤字法人は
   課税されません。
   更に所得税は医療、介護、育児、教育の実額控除を拡充した上、全体に3−
   4%程度の税率をアップし累進は強化され、超高額所得者に対しては経済成
   長期よりは最高税率は低いとはいえ現状より累進は強化した増税となります。

 そして「高い経済成長と低失業率と低租税負担率」という国家目標を近年最も近
似に達成したのは直接税中心主義だったアメリカと平成元年以前の日本だけなので
す。
 そして現実の経済では「経済成長のコントロールは、全ての国民と企業に直接影
響を与える強制力のある税制がベース」であり「一部の国民や企業へ間接的な影響
しか与えない金融財政政策は経済成長の補助手段」でしかないのです。
 これは主要経済大国の直接税の比率による失業率や国民一人当たりの国民所得更
に特殊出生率がその国の税制と明確に密接に関連付けられるからであります。
 それにもかかわらず現在議論されている税制論議は、そのような事実を無視しア
メリカと平成元年以前の日本の税制ではなく「低経済成長と高失業率と高租税負担
率」しか達成していない、その他の主要経済大国の税制ばかりを参考にして議論さ
れており、「全く科学的根拠や実証的態度の希薄な議論」であります。
 その上財政再建を全く考えず経済成長による景気回復のみを目的として国債を大
量発行する政策も議論されていますが、これは財政再建を後回しにして子孫に大き
な負担を残す放漫経営の経済政策であり、民間企業であれば経営能力が十分でない
経営者が利益を度外視し、銀行から大量の資金を借り入れて事業規模を拡大する手
法であり利益が上がらなければ資産内容は最悪となり破産する手法であり、長い期
間は続けて同じ手法を取れない継続性が無い手法なのです。

 まず日本の経営トップ層は消費税システムを導入した当初の「目的」と「予測」
を思い返し「導入の目的や予測」が十数年後の現在「結果としての現実」と比べて
予想通りの良い結果をもたらしたかどうか「厳正な評価」を行い「評価」が「悪け
れば」素直に従前の税制へ復元することを含めて根本的な改善を目指すべきなので
す。
 大きな組織の運営者の重要な資質は「計画した政策を実行した場合の結果の予測
能力」と「結果を厳正に評価して、改善提案をして改善する能力」のある人なので
す。
 これは経営学において経営者に求められる経営サイクル(計画−>実行−>評価
の繰り返しの遵守)と全く同じことなのです。

 本書ではアメリカの税制と日本の平成元年以前の高度経済成長期の税制を経済成
長税制として高く評価しておりますが、私は決してアメリカ崇拝者でもアメリカベ
ッタリの礼賛者でもありません。
 ただ良いものは良い、悪いものは悪いと明確にのべているのに過ぎません。
「事実を重視し力の政策のアメリカ」と「対等に経済競争」を展開できる日本へ再
生するため「敵を知り己を知らば百戦危うからず」の故事にならいクリントン大統
領が10年以上前当時世界一といわれた日本の民間企業を徹底して研究し大成功を
納めたように、この次は日本がアメリカの資本主義的税制を参考に、更にこれを上
回る徹底して資本主義発展のための資本主義税制を模索すべきと考えているのです。
 そして「直接税制の累進構造」は正に「資本主義の増殖構造そのもの」であり、
逆に「消費税こそ資本主義の増殖構造を停滞させる」「理念観念」で作り上げた
「反進化システム、反資本主義税制」であることが本書を読み進むうちに分かって
きます。
 科学技術の進歩による機械化の進展により人間の労働が機械へ代替され毎年労働
生産性が向上する以上、この増加する労働側の供給力を個人消費の増加で吸収する
仕組みを整備し結果として経済成長を達成し、所得を増加させながら、いかに適切
に所得配分するかの困難な問題を解決するには、「経済成長の適切な達成」と「国
家の所得配分機能の充実」こそ国家機能の最大の問題なのです。

 本理論で述べている「税制改革」「政治改革」「4つの国家目標」は、誠実で正
直で勤勉な国民と企業で構成される国家に適用できる、強者と弱者が協力しあうこ
とでしか達成できない経済成長達成の根本原則であり、幸福を達成できる経済シス
テムとして提案しているのです。
 さて「個人消費は進化システム」であり、常に人間の本能により自然に増加する
欲求があり本人自身の「自由意志で増加できます」が、「所得は非進化システム」
であり他人から稼得するものである以上「自分自身の意志では増加出来ない」ので
す。
 したがって始めに人間の増加欲求により「増加した個人消費」と「個人消費に比
例して増加する設備投資」が、結果として直後に企業を通じて「増加した所得」へ
等価変換され、これが「次の個人消費の原資」となり、これを無限連鎖し無から有
の国民所得、国富を生み出すのが「経済成長の仕組み」なのです。

 また科学技術の進化により、機械化が進展し毎年労働生産性が向上する以上、こ
れを吸収する個人消費が毎年順調に増加しなければ大幅な失業者が発生し経済不況
へ突入するのは至極当然のことなのです。
 したがって発展途上段階を過ぎ個人消費の増加が弱まりがちになる成熟経済段階
に達した場合に、個人消費を規制する消費税制を主力にする国家は個人消費の増加
が更に人為的に妨げられる結果、国民所得や国富の増加が困難となり、徐々に需要
不足に陥る悪循環となり、失業者が増加し倒産が続発し経済成長が停滞するのです。
 特に日本は膨大な個人消費と家計の支配を家計防衛本能が強烈な女性が担ってい
るという「成熟経済段階に達した主要経済大国の中で唯一の国家」であり、この税
制の副作用が極端に出る原因ともなっているのです。
    
 しかし筆者の主張が正しいならば、既に世界中の多くの経済学者が気付いて改善
を主張しているはずだ、と誰もが思います。 
 しかし実は現代経済学は「狭い分野に限定された静態的な学問」で社会制度、例
えば税制などは研究対象外の問題なので、これらの分野を研究している経済学者は
極くわずかしかいないのです。
 システム工学の分野では、人間の本能、特性を利用した「人工システムは進化シ
ステムの時に限ってシステム自身が強力に進化発展する原則」があり、多くの分野
で利用されております。 
 その原理を利用すれば「膨大な日本全体の消費者を経済環境と見なし進化システ
ムである個人消費を中心にシステムを組み上げれば、結果として経済システム自身
が強力に自己発展するのであります。  
 また日本全体の被治者つまり選挙民を政治環境と見なし、進化システム原理で政
治システムを組み上げれば、結果として政治システム自身が強力に自己発展する」
のであります。
 その進化システムのいづれもが現代日本では大きな欠陥を有しているのです。
 我々日本の民間企業が一度は世界一になった理由つまり「エリート主導ではなく
進化システムの働く現場の無数な技術者が考案した優れた製造技術の、下からの綿
密な積み上げ方式」が大きく寄与したこと、また昭和63年までの個人消費に課税
規制しない日本の直接税制が日本へ世界一の経済成長をもたらした事実を思い出し
て戴きたいのです。

 成熟経済に達した日本は一日も早く個人消費を規制している付加価値税制から離
脱し国政も下からの積み上げる方式つまり「アメリカの進化システム的民主主義」
を採用し、これを理解し日本的に改善し本格的な景気回復、株価の増進を図って戴
き経済不況を克服して戴きたい。
 ともあれ難しい話しは本書の後述をゆっくり時間を掛けてご覧戴くとして当たり
前ですが「不況の原因」を特定しこれに対処することが根本的な改善策になるので
す。

 さて経済は「需要と供給」の均衡で成り立っております。
 当たり前ですが供給に見合った需要がなければ経済は不況へ突入してしまいます。
「日本経済の供給力」は科学技術の進歩により年々増強され全く心配は有りません。
 ところが「日本経済の需要力」はその根本となる「個人消費が低迷」しているた
め、企業の供給力の増強に対して需要が決定的に不足していることを「原因」とし
て深刻な経済不況が発生しているのです。    
 したがってこの「個人消費の低迷」という「原因」を改善しない限り「良い結果」
 つまり経済不況の克服は決して成功しないのです。 
 個人消費が低迷すると、企業家心理も暗くなり設備投資も低迷するので日本の市
場経済の全需要「個人消費+設備投資」全てが低迷してしまうのです。  
 そうなると企業の設備投資の銀行借入れも減少し、更に景気低迷で企業採算が急
速に悪化するので、借入れ返済も滞りが生じ金融機関は預金金利も支払えなくなり
更に連鎖的に金融機関自身の経営も急速に悪化し「金融不安が発生しているのです」。
 この問題は特に「過剰貯蓄体質を持ち且つ間接金融大国」である日本には、特に
深刻な問題を発生するのです。 
 だからこそ「個人消費の自然な拡大は日本では特に重要」であり「個人消費に人
為的に課税規制してはならない」のです。

 くわしく述べると経済成長の要因としては「労働生産性の向上と新製品の開発要
因となる科学技術の進化」が供給力の向上の根本となり、第一に大切になります。
 しかし同時に第二に新製品や増強した供給力を受け入れ吸収する個人消費の増強
拡大が無ければ経済成長は絶対に実現出来ないのです。
 この個人消費の増強を規制している消費税をまず撤廃し、次に競争しながら増殖
する進化システムの本質を持つ個人消費の増殖機能を発揮させる重要な機能一つで
ある「競争力均衡化原則」から、低所得者層は消費性向が高く、高所得者層は消費
性向が低いという「事実」をシステム的に活用し国民全体の個人消費性向を大幅に
向上するために税率をアップしたり累進構造を強化した直接税制で且つ「必要経費
を広く取る、すなわち累進税率を上げる代わりに課税ベースを狭くする」手法をと
ると、課税圧力が強まり経費使用や設備投資実施への心理的圧力となり税率や累進
税率を上げれば上げるほど「国家全体の個人消費の増加は高率となるのです」。
 つまり「景気回復の決め手となる個人消費の増加」は同時に「設備投資の増加」
をもたらし結果として「景気回復と国民所得の大幅な増加」が実現し、「財政再建
のための税収や社会保障費収入の大幅増加の同時達成」を図るのです。
 一般間接税を撤廃し、直接税中心税制とする利点は「経済成長」に対して「結果
責任意識(アカウンタビリティ)」の強い税制であるからなのです。
 逆に必要経費に制限を加え課税ベースを広くしながら累進税率を下げれば下げる
ほど「経済成長は低下し後退するのです」。
 つまり「直接税制の累進構造」は正に「資本主義の発展構造の忠実な税制」であ
り、逆に消費税こそ「理念観念」で作り上げられた「反資本主義的税制」なのです。

 これは本書の後述において詳しく解説し理論化しており、更にアメリカと日本の
経済成長をもたらし、また経済不況をもたらした直接税の税率との因果関係を調べ
ると、ご理解戴けると思います。 今までの常識は、全く誤っていたのです。
 つまり直接税制は「経済成長が鈍化し財政が逼迫したとき、国民が国家財政を救
うため素直に税率のアップや累進税率の強化を容認」すると「経済成長が再開」し、
国民自身が自己回帰的に景気回復に助けられ、更に財政に余裕が出て累進税率を軽
減し国民へ還元すると「長期的に経済成長が鈍化する」という「経済をコントロー
ルしやすく且つ平衡をとりながら時代時代の経済の均衡点を求めやすい税制」なの
です。 
 逆に消費税は個人消費に課税し、貯蓄を非課税とし、更に企業が支出する経費の
うち人件費にのみ課税する(税抜きできない)などの経済の出発点である人間の個
人消費や人件費を狙い撃ちにする欠点を持つので景気を全く回復出来ないのです。 
 そして法人税や所得税などの所得課税税制は所得の使い道である、個人消費と貯
蓄を平等課税とし、更に人件費も他の経費も平等に取り扱うので「経費や支出の競
争条件が平等であり、人為的にゆがめられないフェアーな金の使い道競争となるの
で、人間が望むとおり経済成長が達成されるのです。」
 つまり財政政策や金融政策は単発的で且つ、つぎ込んだわずかな資金の額しか効
果は無いのと比べると直接税制の経済効果の継続性と抜群の費用対効果は人間の特
性と能力を信じ活用した進化システムの威力なのです。
 税はとり方を変えるだけで経済を変えられるのです。
「経済対策」は財政政策や金融政策を考える前にまず税制を再検討すべきなのです。
 つまり現代経済学と全く異なり「経済をコントロールする基本は進化システムの
強制力のある税制がベース」であり「金融政策と財政政策は補助手段」なのです。

 さて詳しいデーターに基づく現代経済学の最新の経済成長理論であるソローモデ
ルでは「経済は定常状態に入り均等成長経路に沿って経済成長する」と述べており、
本書ではこの状態になるのは「供給力の向上はドクター・ソローが述べるごとく進
化システムである科学技術」であるが、経済が需要と供給で成り立つ以上、もうひ
とつの重要な要素として「需要力の向上は個人消費の進化システムを遵守した税制」
が基本ベースになると考えているのです。

 そしてアメリカの直接税制中心主義が結果として所得配分機能を順調に作動させ
国民全体としての個人消費性向の向上をもたらすと同時に日本と国対比で400倍
に達しているアメリカ国民や企業の「社会福祉への寄付金」が「直接税の累進強化
の補助手段」として作動しているのです。
 更に納税者番号制が国外への不正な資金移動や国内の不正蓄財を排除し、健全な
アメリカ経済の基本を支えていることを忘れてはいけません。
 直接税中心主義となれば、消費税制の持つ極めて複雑な経理処理と資金管理は不
要となり「官民合計の極端に巨額に達している徴税コストを半減」することが出来
るのです。
 そして消費税が撤廃されれば経済成長にとって無意味な事務負担は大幅に減少さ
れ、一取引毎に課税され計算と納税を強制されているため、滞りがちな資金の流れ
がスムースになり経済成長に大きく役立つのです。
 しかも直接税制の所得という、財産的裏づけの有るものに対する課税となれば、
納税の倫理観や徴税官と民間企業との摩擦も今よりははるかに適正化されるはずだ
と思っています。 
 さらに「所得という補足が難しいものを適正に把握し、正直で誠実な納税者に不
利益を与えないために納税者番号制の導入は不可欠となります。」

 さて科学技術が超進化しロボットが大量生産を行っても、国民総生産(GNP)
としては全く計算されないのです。 
 それを人間がカネを支払い「個人消費」した瞬間に始めて国民総生産として計算
され、把握されるのです。
 そして個人消費こそが国民所得を増加させ国民全体に国富をもたらすのです。
 本書は一貫してこのケインズ流やワルラスの法則の考え方で貫かれております。
 この経済原則の仕組みと意味を、完全に理解し、個人消費が経済の出発点であり、
如何にしたら、この仕組みを活用し、どうしたら経済成長を達成できるか考えた結
果「個人消費の自然な増加策」を徹底して追求しているのです。

 さて「進化システムとは」豊かな自然の生態系と全く同じく「参加の自由」と
「対等に平等」と「フェアーな競争」と「競争力均衡化原則」を通じてシステム
(制度・法律・システム等)が環境に適応し進化を達成していく進化論から導き出
されたシステム工学上のシステムルールなのです。

 そして事実として「その時代その時代の過酷な自然環境へ適応し豊かさと進化を
もたらす自然の生態系と人工システムによる市場経済や資本主義や民主主義や言論
表現や個人消費や科学技術は全く同一の進化システム」であり「その程度が高けれ
ば高いほど」その時代時代の苛酷な経済環境へ適応し、弱者も強者も共に一層豊か
に強力に繁栄成長進化出来るのです。

 経済環境、政治環境とは、実は膨大な数の国民自身であり、「環境」(国民自身)
へ素直に適応する政策を環境自身に選択させることが、最も自分達自身を良く知る
故に、「最も環境へ適応し進化する政策」が選択できるのです。
 これが民主主義の原理であり「進化」とは環境に適応し続けることで達成され、
これが環境に対する適応力が極端に高い人間の特性を生かした進化システムの利点
なのです。
 したがって環境へ適応出来ない政策は理想的に見える「理念観念に基づく政策」
であっても絶対に進化せず長い時間が掛かっても自滅の道を歩むのです。
 さて「システム(制度・法律など)」の本質が「進化システムの構造を有する場
合は」規制すると人間へ長期的に必ず害悪を及ぼすので「国民の幸福の追求に反す
るものを除き」規制してはならず、人間の自由な判断による競争を発揮させるため
に、既に述べた「根本原則を徹底して遵守させる規制」以外の規制は形式的にも実
質的にも排除し特に「参加の自由」を発揮させなければならないのです。
 逆に言えばそのシステムが「非進化システム」の場合は、国民が望むように規制
しても何ら人間社会に害悪は及ぼさないので、「根本原則は遵守の上」国民が望む
ように「規制して良い」のです。
 

 平成元年直前に当時の世論調査で国民の70−80%が反対であった税制改革の
名の元に行われた消費税法が国会を通過してしまったことは、民主主義という進化
システムの基本に反する決定の仕方(進化システム上の不正競争)であり、直後の
平成元年7月に行われた参議院選挙の結果にも明確に表れており「その後の経済と
政治の大低迷と大混乱の始まり」であったことはご記憶の通りであり、日本の経済
システムも、日本の政治システムも進化システムを失ってしまったことを雄弁に物
語っているのです。 
 平成元年以来14年間経済不況が継続したことは「経済の基幹である税制システ
ムが進化システムである個人消費の増加を課税規制することにしたため」個人消費
の自然の増加が徹底的に継続抑制されているのです。  
 また政治の世界ではこの期間、新政党が十数政党も名乗りを上げ離合集散を繰り
返した割には殆ど進歩が無く後退と大混乱を続け「政治システムにも進化システム
が失われた」ことが明確となったのです。
 そこで経済を支える「税制システム」と「政治システム」を自立的に発展進化さ
せるために「進化システムである膨大な個人消費への消費税による規制を撤廃」し
「進化システムである国会議員個人の自由な採決に対する規制緩和」を実施しなけ
れば日本の経済社会の発展と進化は不可能です。
「失敗は成功の元」であり「誤りを正すにはばかる事なかれ」なのです。
 民間企業同士のような「組織同士の競争・組織間外部競争」が存在しない、独占
組織である国家経営の進化システムでは、特別に優秀な政治家や官僚が、組織力を
駆使して判断や決定を下す必要は全く無く、「色々な政策に参加の自由」を認め
「フェアーな競争」で、政策の優劣を「世論調査」や「選挙」を通じて、「経済環
境を形成する構成員である膨大な数の国民と国会議員個人による内部競争つまり投
票と採決」を厳格に遵守し「組織政党の影響力を排除し」「進化の基礎となる構成
員個人の判断と選択に基づく国会採決や投票という競争」による多数決で選択させ
ることが「経済の進化と適応の必須条件」になるのであります。
 無限に豊かな自然を形成し続ける自然界も組織は存在せず「構成員個々の個によ
る競争」しか存在しないのです。
 そして現実の厳しい競争社会を知らない少数のエリートが冷暖房の効いたビルの
中で立案した政策には、経済環境(国民大衆)には適応しない役に立たない政策が
極めて多いので、憲法で明らかなように国民から選ばれ良識ある判断をする国会議
員個人の存在が重要となり、アメリカを実例に引き出すまでもなく政党による党議
拘束や影響力行使を規制し政党に支配されない国会議員個人の活動を公開すること
によって国会議員個人の優劣を選択し、経済環境そのものである国民の判断を代表
出来るようにさせると、国会議員個人が淘汰の危険性にさらされるので切磋琢磨さ
れ経済環境(国民大衆)に適応できる政策が立案選択出来るようになり経済も進化
し拡大するようになるのです。   
 国民に決めさせるとバラマキになるという危惧を主張する意見もあるが実は国民
は政策の全受益者であると同時に、国家経費の全負担者であり現実の国民は決して
甘くはなく自分達の負担になるバラマキ政策には決して賛成せず、効率が良く自分
達に役に立つ政策つまり経済環境(国民自身)に適応した政策しか賛成しないので
す。
 だからこそ財政再建にも役立つのです。

 さて頭脳明晰な経済学者や高名な経済評論家の皆様は、机の上で「研究分野の限
定と再現性のために、多くの与件を前提条件として研究対象から外すことで成り立
っている精密な現代経済学」と「統計資料」を基礎にがっちりと論理を組み立て経
済政策を声高らかに提案されておりますが、ご承知の通り目立った成果は上がって
おりません。
 それは「現実の経済問題」は与件や前提条件などでは固定化されていない「常に
変化する現実の競争社会の問題」だからであり「経済成長政策には真の意味の競争
に対する理解」こそが重要であり根本的な問題であると確信したのです。
 そして「人間の行う経済活動」そのものは、実は動物としての「人間が持つ過剰
性の本能である無い物ねだりの好奇心と極端に発達した環境に対する適応力という
人間の特殊な行動様式と意識」にこそ根源があることに気付いたのです。
 そこで私は与件無し前提条件なしの現実の競争環境の中で生きざるを得ない多数
の企業経営者と消費者と共に、厳しい現実の経済環境と真正面に向き合いながら、
自らの仕事の合間に、一税理士として、一中小企業診断士として深刻な経済問題の
根本的な解決方法の研究のために、与件と観念されている分野も研究対象に取り入
れ、動物の行動様式を解釈する社会生物学、進化論を活用したシステム工学等の学
問的成果を取り入れ、狭い意味では精密ではないが、広い分野で強力な経済成長効
果を有する成長条件の発見を目指して、真剣に研究し続けて来た実務家です。
 つまり経済成長という現象を正しく解釈し、分析し、成長条件を見つけだすには
「経済学だけでは不足」なのです。
「無の荒涼とした地球から膨大な有の豊かな自然」の生態系を作り出した「自然シ
ステムの競争の本質」である「生存競争と食物連鎖の真の意味」は強者が弱者を食
って生きるという原則だけでなく、「弱者(植物や草食動物)の存在無しには強者
(大型肉食動物)は生きられないという原則」と「弱者の増加無しには、強者は絶
対に増加することが出来ないというパラドックス(逆説)の存在」すること、更に
弱者を増加させながら、結果として強者を増加させることになる「進化システム」
が自然に準備されていたのです。  
 そしてこの「増殖機能の本質を持つ進化システムにおける競争」概念に潜む構成
要素には「参加の自由」と「対等に平等」な「フェアーな競争」と「競争力均衡化
原則」という「根本条件」が常に存在するのです。
 したがって深刻な経済不況は日本の進化システムである経済システムのどこかに
欠陥があり、進化システムを抑制規制している点がある証拠であり、それを分析調
査し改善点を提案しているのです。    
 ここにも経済成長の分析には現代経済学のみによる分析では到底不可能な要因が
存在するのです。
 日本では「個としての人間」の行動や意識をどのように改善してシステム化すれ
ば、総合的に人間の望むような繁栄をもたらす「人間集団」としての「国家」を作
り上げられるかの進化システムの根本原則を追求する国家哲学が不足しているので
す。
 特に日本では「税制システム」と「政治システム」に問題が顕著であり本書では
これを改善すべく強く提案しているのです。
 分析・研究の結果「人間社会が永続的で強力に発展・進化する条件として、全て
の分野において普遍的で共通的な既に述べた根本条件が存在し、特に経済成長を順
調に達成するには、この根本条件を厳格に遵守することが必須」であることを発見
したのです。    
 したがって「この根本条件の存在」を気付かないまま十数年という長期間に渡り
膨大な国費を使用し、子孫に大きな負担を残しても何ら効果の現れない「現代の経
済政策」は「根本的に大きな問題があるのではないか」という「強い疑問」を持っ
ていただきたいのです。
 そして「疑問の存在」と「原因があるからこそ結果が生じているのだという強い
確信」無しには科学技術の進歩と同様、人間社会の進歩は達成できないのです。
「必要は発明の母」であり「疑問は進歩の父」だからであります。

 本税制理論は「広く科学的視野に立ち、全ての与件や前提条件も研究対象にした
経済成長税制」を目指し「現実の経済的実験結果」に基づき「強力な永続的経済成
長条件」の発見を目指したのです。
 本書は戦後の昭和20年から昭和63年の高度経済成長期を含む「長期経済成長
期を現実の第一期の実験期間と考え」更に平成元年から平成14年までの「長期経
済不況期を現実の第二期の実験期間と分けて考え」その中から「各々の原因」を探
り出し、更に世界史的な各国の経済成長の現実を精査し、全く新しい経済成長税制
を再構築し「他の主要先進国には全く無い、個人消費と家計への支配が女性主導で
あり個人消費が低下しやすく貯蓄過剰になりやすい日本の特殊な家計構造」を考慮
して「簡単で強力で根本的な経済成長条件」を見つけだしたのです。
「膨大な個人消費の増加」に伴って達成される「膨大な国民所得の増大」つまり
「経済成長」こそが「失業率の改善、本格的景気回復、金融再生、デフレ回避、本
格的財政再建」の切り札であり、「経済成長の仕組み」を活用した税制つまり所得
に課税する直接税中心へ変更すれば莫大な国費を使用せず直ちに経済成長は強力に
再開し国民所得が増強され安定税収増を開始することが出来るのです。


 自由主義者で保守的な思想を持ち、既に引退していますが自由民主党国会議員の
後援会の幹事長を永年やってきた経験を持ち、職業柄多くの民間企業に直接接して
いる仕事を通じて感じることは今回の様に「誠実で正直で勤勉に努力している真面
目な人達」の個人生活を次々と破壊していくタイプの経済不況は異常であり、今ま
での長い人生で経験した事が無く強い危機感を持っています。
 還暦を過ぎ身体が不自由な私ですが未来を予測し日本の経済を根本から立て直す
勇気を持った「国家百年の大計」を計画できる、若い国会議員(与野党を問わず)、
官僚、マスコミ関係者、経済学、経営学研究者を目指す多くの有為な人材の誕生を
目指し全く新しい「成熟経済における新経済成長税制」を構築し未来を担う方々の
理論的精神的支柱になるよう「党派性を排し一党一派に片寄らず純粋に日本経済を
救う目的」で本書を著しました。
 戦後第一世代の政治家と官僚は「戦前の理念、観念」を敗戦によって徹底的に破
壊されたため理念、観念を持ち出さず、押しつけず「声なき声に耳を澄まし、経済
環境である真の民意に耳を傾け、それらに沿った判断を心がけた経営者意識を強く
持った人材」が自由民主党国会議員や官僚から多数輩出され、経済運営の基本に忠
実であり「経済の役に立たない理念や観念などを決して持ち出さなかったのです」。
 それこそが経済環境へ適応した税制政策を遂行し、日本の高度経済成長を達成で
きた第一の理由なのであります。
 戦後第一世代の政治家や官僚が第一線から退き始め、世界一の経済大国ともては
やされるようになり、戦後第二世代の政治家や官僚が表舞台に立ちはじめ、自らの
政治システムが進化システムによる基本に忠実に整備されていないことを自覚しな
いまま、自らの進むべき経済の方向性を自ら模索し始めた瞬間から、戦前と内容は
異なるとしても「理念、観念」を持ちだして主張し始めた為、自由民主党も官僚も
変質し「その理念、観念」が経済環境や社会環境へ適応するか、しないか確かめな
いまま、民意に反し「公平、中立、簡素」などの「理念、観念」を優先した消費税
法や、反自民党政権の「政党組織を強化する」政党助成法を導入したため現実の経
済環境へ素直に適応し、発展進化する「個人の判断」や「個人消費」を重視する
「経済成長への道」を見失い、道を誤ってしまったのです。
 現代の政治家や官僚は「戦前と同じく」耳障りの良い見栄えの良い理念、観念を
身につけようとして、現実の経済環境へ適応する経済の発展にとって真に役に立つ
かどうか確かではない「公平、中立、簡素、直間比率の是正、グローバル化、国際
化等々」の理念、観念を次々と打ち出し、それらに沿った政策を次々と実行してい
るうちに経済が混乱し混迷と後退に拍車をかけてしまったのです。
 本税制理論の中心である「経済成長の仕組み」通りに、国家システムを真に進化
システムへ改善すれば、生物の進化と同様「成熟経済でも常に前提条件無しで、力
強い経済成長は永久に可能」なのです。
 
 国民は全生産者であると同時に全消費者であり、実質的な国家経費の全負担者で
あると同時に国家政策の全受益者である二面性を持ち、自身が膨大な数の経済環境、
政治環境そのものである所から「自国の経済は自国民で責任を持つという国家経済
の自己責任原則が明確になっているのです。」
 つまり経済の国際化といえども他国の影響は、国家経営の舵取り次第で最小限度
に抑えられ、企業経営と同じく自国の経済は自国の政府が構築する経済システム次
第で「良くも悪くもなる」のです。
 国家の責任者が基本に忠実な経営者意識を持つということは経済の発展、繁栄、
進化をもたらす全国民による「参加の自由な競争」「対等に平等な競争」(P41
3頁の確認は同時掲載のPDF版にて)つまり「フェアーな競争」と「競争力均衡
化原則」の条件を満たしている後記の進化システム原理のルールを採用している時
に限り、生物の進化と同様、そのシステムによる経済社会は永久に力強く発展進化
するという原理が働くのです。
 つまり進化システム原理で構成される経済システム、政治システムを採用する時
に限り、永久に経済は力強く経済成長と発展進化が達成されるのです。
 その原理はどのような政策であっても、経済環境、政治環境そのものである膨大
な数の消費者であり被治者である国民自身に情報を公開し、議論を戦わせ彼ら自身
に「競争で政策」を選択させ、国会議員を通じて国会で素直に表現し決定すること
が、最も自分達自身で構成する経済環境、社会環境に適応し自らが望む方向である
がゆえに自分達自身が永続的に発展進化できる進化システム原理なのです。
 そしてそれが国民の求める経済成長をもたらす政策を選ぶコツであり進化システ
ムルールそのものであり「どんな政策でも良い結果をもたらす政策は良い政策であ
り」別に理念、観念を如何に打ち出すかなどということは全く無関係で重要でない
のです。
 つまりシステム的に考えれば経済環境や政治環境つまり真の民意に耳を傾け「経
済環境にとって真に良いことはドンドン取り入れ」「経済環境にとつて真に悪いこ
とは、ドンドン淘汰する」単純でありますが強力な結果意識を強くもった経営者意
識が重要なのであります。
 したがって発展をもたらす経済の競争政策にとって真に何が良いことで何が悪い
ことなのかの区分と区別の問題か重要であり本書はそれを解説しているのでありま
す。
 そして何故「個人消費や資本の自然な自己拡大を容認することが大切なのかは」
「個人消費や資本の本質が進化システム原理の構造を保持している」からなのです。
「進化システム原理の構造を保持しているもの」は「人間が望む方向へ自己拡大・
自己増殖するので人間の幸福に役に立つものである限り、どんなものでも」「規制
してはならないのです」。
 それは「人間がより良い生活をするための手段であり、大自然と人間の進化の本
質にかかわること」だからであります。
 成熟経済においては進化システムの本質を持つ「科学技術」の進歩により企業の
生産現場では毎年のように生産力と労働生産性が高まる以上、これに対応する国民
の個人消費力も毎年のように増大するのでなければ失業が増加し「国民と企業が苦
しむ経済不況」が到来するのは至極当然のことなのです。
 だからこそ「常時自己拡大する進化システムの本質を持つ個人消費」については、
人間の自由な意志を尊重し「税により規制抑圧してはならない」のです。


 さて国民の根本的な憲法に明文化された幸福追求の権利の実現のための経済成長
と、国民の望む地球環境へ良い影響を与える商品需要でさえ、現実に経済成長をも
たらし地球環境に優しい科学技術の発達と、それらの経済コストを負担できる社会
を実現できるからなのです。 
 その意味で社会が低コストしか負担できない中途半端な経済発展は深刻な公害や
環境破壊などをもたらす実態を世界中の人々が目にしつつあるのです。 
 地球環境へ影響の少ない人間社会を実現するには、産業革命以前の戦乱と飢餓や
疫病の時代、更には鉄器、青銅器以前の野生動物に近い自足自給の古代生活へ戻る
選択肢が一つと、経済と科学技術を徹底して発展させ地球環境へ影響の少ない原子
力をつなぎとして、新たな再生エネルギーへの開発など科学技術の進歩と、それら
を活用して生活する高コスト維持社会を、まず先進国で完成し、それを早く低コス
トで維持できる技術を開発し全世界へ普及しなければならないのです。
 それこそが先進国の使命なのです。
 その意味で「地球環境の維持」と「経済成長はトレード・オフ(取引)の関係で
なく」両者の方向性は歴史的に全く同一方向なのです。
 経済成長を低下させれば地球環境へ望ましい結果をもたらすと言う考え方は独特
の本能を持つ動物としての人類の特性と全く合致しないのです。
 経済成長は人間の望むままに自由にして科学技術が発達する経済的基盤を与え、
地球環境に悪影響を与えるものは国民の望むままに「選択的に遠慮会釈無く規制す
る」という「人間の自由意志を尊重する方法が最も望ましい経済政策」と考えてい
ます。
 人類の良識を信頼すべきなのです。実現可能な「環境問題の規制」は競争条件と
到達目標を明らかにして、科学技術発展の有意義な目標になりうるからであります。
 また誰が国家の全税金を負担しているかの問題であるが、企業の法人税も従業員
の源泉所得税も国家のあらゆる税収や社会保障費は実質的に企業が生産する商品コ
ストに算入され結果として消費者である国民が全額負担しているのであります。
 つまり国民は「個人消費」を通じて全税目の全税収の負担者であると同時に、国
家の全政策の全受益者である自己回帰性のある同一人であるという特殊な性質を与
えられているのであります。
 したがって「個人消費」が増加しないと結果として国家の税収や社会保障収入は
絶対に増加しないのです。
 所得税を徴収されない課税最低限度以下の勤労者は、税金を全く負担していない
のではなく、それらの人も「個人消費」を通じて購入した商品を生産した会社の法
人税や源泉所得税や人件費も一般経費も実質的に負担しているのであります。 
「国民所得」もまた「個人消費+設備投資」と等価であり「国民所得も設備投資」
も「個人消費」の増大無しには、増加しないのであります。
 つまり自動車会社の法人税と言えども、消費者である自動車購入者の購入代金の
中に含まれて、実質的に購入者である消費者、国民が負担しているのであり、個人
消費が増加しなければ、絶対に国家の税収や社会保障収入は増加しないのです。
 消費者は消費税だけを負担しているわけではなく、製品を生産した企業の法人税
も源泉所得税も実は負担しているのです。
 また別の見方からすると、消費税をはじめ法人税も従業員の源泉所得税も全ての
税金は企業が実質的に負担しているという見方も出来るのです。
 法定されている納税義務者という形式的な見方ばかりでなく「カネは天下の回り
もの」「風が吹けば桶屋が儲かる」など日本の格言には深遠な経済原理を表してい
るものが多く経済の真実、現実を冷徹に見極めなければならないのです。
 したがって国家の全税収は税目の如何にかかわらず全て個人消費を通じて消費者
(国民)が全額負担している見方と企業が商品やサービスの売上原価の中で全額負
担している見方の二重性が存在する以上、個人消費の増加つまり企業売上の増加が
無いと「安定税収増は絶対に達成できない」という現実にぶつかります。
 そして別記「4つの国家目標」さえも全て個人消費が増加する経済成長を達成し
なければ達成不可能な事項ばかりであり、経済成長を達成するためには個人消費の
増加とそれに連動した企業売上の増加は絶対条件であるため、成熟経済に達した日
本において個人消費の増加を実現するには、進化システムによる税制改革以外に全
く方法が無く、本書は、この立場を鮮明にして、これを提案しているのです。
                           (税制改革の必要性)
 成熟経済においては、個人消費の自然な自己拡大の規制要因を廃除し、経済成長
を果たすことが全ての経済問題の解決方法であることを、理解しなければなりませ
ん。


 さて本書の理論の基礎データーは国税庁統計年報書の「給与階級別の給与所得者
数と給与額(一年を通じて勤務した者)」と総理府家計調査年報書「年間収入階級
別一世帯当たり年平均一ヶ月間の収入と支出(勤労者世帯)」を参考にしています。
 両者の統計には、収入分布について大きな誤差があり、筆者は収入分布を正しく
把握する上では国税庁の統計がより真実、事実に近くこれを採用し(これさえも中
小企業の給与実態を良く知る筆者から見れば所得分布が高すぎると感じています。
調査に協力する良好な事業所ばかりで集計すると実態より高値が出る)そして総理
府家計調査報告は色々と有意義な事実を知る手がかりになっているが、所得分布に
ついては日本の現実の所得分布を反映していないと実感しています。
 しかし消費性向調査では総理府家計調査報告が真実、事実に近いと考え両者を活
用しております。 
 さて本書の理論の核心は国民が行う「個人消費の全額」が国民の「給与の全額」
に等価変換される経済の根本的な仕組みを真摯に受け止め「個人消費の増加環境の
整備」に全力を尽くすことこそ経済成長と資本増殖作用に最重要と考えているので
す。
 課税しなければ自然に自己拡大し増加する個人消費の特性を無視し「個人消費」
に課税を加え、「貯蓄」を非課税とする「所得の使い道に日常的にフェアーでない
競争条件」を持ち込み人為的に個人消費を徐々に減少させつつあり、更にマスコミ
が喧伝している「価格破壊」「低価格競争」「経済の国際化」などの、人件費と等
価であり人件費支払いの原資となる個人消費の総額を減少させる、あらゆる愚かな
経済思想が問題であり、しかもこれを改善しようとしない国家の政策こそが「国民
所得の低下」を招き、税収を大幅減少させ、不況を深刻化させ、リストラや給料切
り下げを日常化し、設備投資は盛り上がらず、株式市場を低迷させ、預金に対して
は無金利状況を作り出し、年金は切り下げになっているのです。
 しかも個人消費を最も高率に行い、個人消費の増加率が最も高く且つ最も人数が
多い中低所得者層に焦点をあてた税制改革ではなく、個人消費を最も低率でしか行
わず、つまり消費性向が最も低く且つ最も人数の少ない個人消費の増加に貢献の少
ない高所得者層や超優良企業層ばかりに焦点を当てた税制改革ばかりを追い求める
のでは、ますます個人消費は低迷するばかりなのです。
 つまり自然の生態系における底辺の「植物層」(水中は植物プランクトン)こそ
が経済における「個人消費」であり「自然の生態系における最強の動物の繁栄は、
底辺の豊かな植物層の増加に全面的に依存している当たり前の事実、現実を知らな
ければなりません。 
「地球上では陸上でも海中でも同じ原則で生物は繁栄出来るのです」。
 つまり「資本主義経済における資本の増殖や国家の税収の増加や超優良企業や高
額所得者の存在
は大多数の中低所得者の作り出す「個人消費の増大に全面的に依存
している事実」を知らなければなりません」。
 正に相互依存が「事実現実」なのです。
 これを理解しないと個人消費が増大する良い経済政策は絶対に立案出来ないので
す。

 さて地球の生態系を形作る「自然システム」は、正に「進化システム」であり、
自然に放っておいても地球環境に適応しながら過酷な環境の激変を乗り越え、「競
争を通じて」これに適応し自動的にシステム的に自己拡大し、人類を誕生させるま
でに進化発展したものであります。
 ここに進化システムの偉大な効用と、人間も地球に住む生物である以上、経済や
政治もまた進化システムに則ったシステムで運営することが最も自然なやり方で最
も効果の高い方法であることを確信したのです。

 人間社会で人工システムを構築する場合は「参加の自由な競争」(自由と平等の
正しい定義はP413参照)と「フェアーな競争」による「進化システムルール」
で構築する時に限って、自分達自身の自由競争で結果を決定するゆえ「それから生
ずる結論や結果」は自分達自身の経済環境へ最も良く適応し、経済の進歩、繁栄、
発展、増殖、進化を強力に実現します。
 しかし「非進化システム」の時は、これらの条件を満たした自由で活発な競争が
行われないので、如何に努力しても結果は遅々として改善されないか下降線を辿る
のです。
 そして進化システムで重要な概念は「ルールと競争」(P249)であります。
 本書は経済(税制)と政治の分野において、どのようなルールを作るべきか、ど
のような方法で競争を行うことが進化システム原理を最も効果的に作動させられる
かを徹底して分析し提案しているのです。
 現に「市場経済システムや民主主義が進化システムであることがシステム工学上
立証されており」、アメリカの独立宣言に記述された「全ての人は平等に作られ・・」
や「政府の権力はそれに被治者が同意を与える場合のみ、正当とされる」更に「人
民による人民のための人民の政治」などの考え方は正に国民全体を自然環境と同様
に経済環境、政治環境と考えた場合の「進化システムの運用方法を偶然に正確に記
述」していたのです。
 自由と平等の進化システムを「無意識に忠実に」社会制度に厳格活用している国
家は世界でアメリカ一国であります。
 しかしそれが進化システムによる競争原理の中心概念であり「税制」や「政治」
へ正確に活用できると意識して理解しておらずアメリカの政策に少なからず誤りが
ありますが、基本的に進化システムを無意識にしろ世界中のどの国よりも取り入れ、
純粋の民主主義と市場経済に最も近い国であるため、好況不況を循環的に繰り返し
ながらアメリカ経済は、必ず回復し成長を続けられるのです。
 そこで本書は日本が進化システム原理を、より忠実に意識的に根本的に取り入れ
経済環境や地球環境に対して、アメリカより更に適切に運用すれば、アメリカより
更に一層発展し進化し、その時代時代の環境に柔軟に適応しながら未来に渡り日本
国民を幸福にする基盤を作り上げることが出来ることを提案しているのです。
 

 世界大恐慌を招いた1929年10月23日に発生したアメリカの共和党政権下
の株価大暴落は、実は高額所得者の意欲向上こそ景気継続の鍵であるという当時の
理念・観念の元に1920年まで最高所得税率73%だったものを順次減税し19
25年には何と25%までに減税したことが大きな原因となって発生したのです。
 この世界的な国富の大損失と国民の苦境を乗り越えるためアメリカが取った政策
は1932年所得税最高税率の大幅引き上げ(25−>63%)法人税率の引き上
げ、遺産課税強化、贈与税再導入など、共和党急進派と民主党進歩派による財政再
建策としての直接税の強化だったのです。
 その後の民主党政権によるニューディールの公共事業の促進効果と、この「富の
再配分計画」の税制効果とにより、1936年に失業率が30%台から20%に改
善し以後着実に景気は改善していったのであります。
 この1932年から1981年の50年間、レーガン政権が誕生するまで幾多の
厳しい戦争に関わりながらアメリカは、この期間、最高所得税率を常に63%−9
0%超を維持し、対ヨーロッパ経済に対するアメリカ経済の優位性を決定的に広げ、
強力な資本主義的自由主義経済を確立していったのであります。
 日本だけが、高所得税率であったという認識や、そのために日本が社会主義的国
家に近い等の認識は大きな誤りだったのです。
 特に当時日本は個人消費を弱く規制する小売売上税や強く規制する付加価値税な
どの個人消費を規制する一般間接税を採用しない「資本主義に真に忠実な最高所得
税税率75%前後の直接税国家」であったためアメリカをしのぐ経済大国へ成長で
きたのです。
 日本はアメリカの強力な競争相手に成長したのに自ら政策を誤つてしまい、日本
のバブル崩壊は1989年4月から始まった財政赤字を招くレーガン政策を真似た
最高所得税税率50%への変更を始めとする直接税の大幅減税と、失業率を改善で
きない、ヨーロッパ大陸諸国税制である個人消費を規制する3%消費税の創設とい
う、アメリカ大恐慌発生原因となった税制改悪と同様、優良企業と富裕層有利の直
接税の弱体化によって、翌年1990年2月に早くも円、株、債券のトリプル安で
始まったのです。
「資本主義経済においては資本増殖の根源は個人消費の持続的増大に全面的に依存
している。」という事実を直感的に知る世界中の投資家は日本の税制の危険性を感
知して日本離れを起こしてしまったのです。
 日本はアメリカの大恐慌における景気回復と財政再建策を参考にせず、更にアメ
リカ・クリントン政権の資本主義的財政再建策としての税制改革も参考にせず、ヨ
ーロッパ大陸諸国の税制に強力に追随して平成9年には消費税を5%へ増税し更に
個人消費を規制し、特に所得税の最高税率を平成11年には37%へ減税し累進所
得税の所得再配分機能を更に大きく低下させ現在もその方向での税制の改正を目指
しているため、個人消費がますます形式的、実質的に規制され不況を深刻化させて
しまっているのです。
 真の資本主義的税制と正反対な方向へ進むことを、このまま放置すれば日本の資
本主義自由主義経済は自滅(アポドーシス)です。
 同じ時期、1981年よりレーガン政権の巨額の財政赤字を垂れ流す「財政再建
と経済成長の同時達成に必ず失敗する」共和党的大幅減税政策が開始されたのです。
 その後大幅な財政赤字に苦しんでいたアメリカは1993年民主党クリントン政
権になって経済の建て直し図る一方、日本の税制の資本主義的改悪に伴う経済的自
滅に助けられ、更に自らレーガン税制を離脱し日本と正反対の資本主義に忠実な伝
統的な税制政策を導入し1993年富裕層の増税である所得税の最高税率の引き上
げにより所得分配機能の増強による個人消費のシステム的な伸びをもたらし資本増
殖作用も機能回復し順調に機能し、世界中の投資を吸収し不可能と言われた「財政
再建と経済成長の同時達成」を果たしたのです。
 ところが2002年7月のアメリカの株価大暴落に始まったアメリカのバブル崩
壊も他の要因が有るにしろ実は2001年4月に行われた共和党ブッシュ政権によ
る10年間で1兆2000億ドルに達する直接税の減税案の議会通過(国民の反対
も強く、賛成がやや多い程度であった。)が発端になっていることを気付かなけれ
ばなりません。
「成熟経済においては直接税の減税政策は資本増殖作用の低下をもたらし力強い経
済成長と財政再建の同時達成には全く逆効果」なのです。
 直接税の減税は景気回復の切り札であるという理論的裏付けのない、まことしや
かな通説が経済界を闊歩し、最も企業寄りで最も富裕層を支持基盤にしている共和
党政権時に常にバブル崩壊が発生することは偶然では無いのです。
 つまり経済は本書で明らかなようにパラドックス(逆説)と相互依存で成り立っ
ているのであり、競争力の強い企業や有能な富裕層を多数作るために必要以上に良
くしてやろうとすればするほど結果として大きな国家損失と企業や富裕層に大打撃
を発生するメカニズムを、多くの人が理解していないのです。
 この「経済学の謎を解明し」その原因と結果を分析し「成熟経済における新経済
成長税制」をうち立て「税制と政治を通して」科学技術の進歩だけでは説明のつか
ない現実の経済成長現象の説明に成功したのです。
 そこで本書では「フェアーな競争の真の意義と人間の本性」を徹底的に分析する
ことによって「個人消費の参加の自由な競争による活発な自己拡大原理」と「国民、
企業の競争力の均衡化原則」を遵守し、特定層の優遇政策ではなく、常に国民企業
全体の良好な競争環境の維持向上こそ景気回復の切り札であることを示し理論を展
開しているのです。

 さて本書は日本の現状の「経済政策の主要な柱となる税制改革と政治改革」を強
く問題にしておりますが、その理由は今議論されている改革論議が経済成長現象と
民主主義を「進化システム」として理解せずに議論されており「経済成長現象がど
のようなメカニズムで起こりその仕組みは?」「経済において何が進化システムな
のか、そして進化システムの本質であるフェアーな競争の意義とメカニズムはどう
ようになっているのか」したがって「経済においては何を規制すべきで、何を規制
してはならないのか」更に「日本経済の未来を決定する根本的な政治改革はどう行
うべきか」などを区分区別した分析と「事実の積み上げ」による税制理論が全く出
来ていないまま作られた、将来の的確な予測も行っていない結果意識の乏しい改革
案であり更にその政策目的が「憲法で明記されている国民の幸福を追求する権利の
実現」という国家目標への目的意識が全く希薄な事なのです。
 人間の社会においては「過去の政策決定が原因で現在の経済状況の結果」を招い
ているのであり「現在の政策決定が原因で良き未来か、悪しき未来かの結果」をも
たらすのであります。
 現在の政策判断が未来の日本を決定するからこそ政策判断は人間そのものを深く
理解し、人間が真に一番何を求めているかを理解し、そして「政策を実行した場合」
の「人間の行動の変化を予測」をしなければ正確な政策決定判断は下せないのです。
 国民の幸福に資する目的意識、予測意識、結果意識を持った政策立案が必要なの
です。
「原因の究明無くして効果的な対策無し」は科学技術の分野でも経済分野でも全く
同じなのです。
 結果意識や予測意識や目的意識が希薄な国家経営は最悪です。
 科学技術の理論も自然界の「事実や現象」を元に理論を構築するのであるから税
制理論も経済界の自然な「事実や現象」を元に理論を構築すべきであり現状のよう
な頭の中で組み立てた演繹的な理論では経済問題を根本的に正確に説明することな
ど出来ないのです。
                                目次へ戻る

(米英とヨーロッパ大陸諸国の国民意識の違いが経済成長の差に現れる。)

 そして外見的には全く同じ様な白人国家なのに、本書では米英とヨーロッパ大陸
諸国を明確に区分しているのは、哲学、思想、考え方が、両者では極端に相違して
おり水と油だからであります。
 さて米英の「人間への理解は事実に基づき生物学的具体的経験的である」のに対
してヨーロッパ大陸諸国の「人間への理解は事実に基づくより理性的理念的観念的
である」からであります。
 そこで「事実に基づき」ものを考える方が「科学的であり将来性がある」と本書
では考えています。
 世界の七つの海に進出し、多くの国家を立国し成功させたイギリス発祥のアング
ロサクソン民族の考え方を「進化システムの競争原理として凝縮して解釈し」、特
にアメリカは「参加の自由と対等に平等の理想主義を掲げ」「国家システムが経験
的、具体的」であり、ヨーロッパ大陸諸国のような「理念的、観念的でないこと」

人口が大きく日本の約2倍であり、国家規模的に国家システムが参考になりうるこ
と、島国イギリスを母国とする国民性が、国境を接している多くの国々で成り立つ
複雑で権謀術策が存在する難解な経済環境、政治環境であるヨーロッパ大陸諸国よ
り周辺国家が少ないアメリカの立国条件が日本と近似であること、更に経済、政治
ともにヨーロッパ大陸諸国と比べ、現に独立後わずか224年で経済が世界一に進
化発展しており、将来性も確定しているなど大変参考になるからであります。
 特にヨーロッパ大陸諸国の論理は明確な予測を立てないまま開始した2000万人の
戦死者を出した第一次世界大戦、5000万人の戦死者を出した第二次世界大戦の「開
始責任」を有しているからであります。
 ヨーロッパ大陸諸国は人類に熱狂と大きな悲劇をもたらした真の全体主義と真の
共産主義の発祥の地であり、その論理はいずれも米英の命を張った阻止行動なしに
は、自らの力では解決する自浄能力がなかった点がヨーロッパ大陸諸国よりも、ア
メリカを主として参考にしている理由であります。
 同じく付加価値税も「人間の幸福や資本主義の発達に役立つか否かという事実の
検証無しに」ヨーロッパで誕生し「税制のあるべき理念と観念に基づき」世界へ広
まった税制であります。
 どのような偉大な学者がうち立てた学説や理論であっても、それが人間の幸福に
とって真に役立つか否かや採用するかしないかは、我々人間である国民大衆が事実
に基づき正しく判断すべきであり、それを怠たり大勢に流されると代償は極めて大
きいのです。

 さて第二次世界大戦が国家利益のみを考えた全体主義である当時のナチズムの独
と、軍国主義の日本と、合い入れないはずの「共産主義国家ソ連の合意」によって
独ソ不可侵条約と日ソ不可侵条約を締結したことが、ドイツが全ヨーロッパへ全面
進出し日本が南方へ全面進出する基盤を作ったのです。
 そしてこれを阻止したのは米英を中心とした連合軍だったのです。
 その後ソ連はドイツの不意打ちの全面攻撃に苦しみ、この大戦において2000
万人の戦死者を出してしまったのです。
 しかしアメリカにも小さなあやまちが多々ありますが、極端なこのような大きな
過ちを犯してこなかったことを高く評価すべきなのです。
 現代でもアメリカは確かにベトナムにおいて大きなあやまちを犯しましたが、戦
争継続中に大規模な反戦運動が国内に発生し、最終的にはアメリカ政府自身が停戦
を決断するところにトップ層の国民意志に忠実な自浄能力が感じられるのでありま
す。
 しかもクエートのイスラム教徒を救いバルカン半島というヨーロッパの裏庭にも
かかわらず永年ヨーロッパ大陸諸国が何ら解決できなかったイスラム教徒主体のボ
スニア・ヘルツェゴビナなどを最終的に救ったのはアメリカだったのです。
 経済も同様であり、ヨーロッパ大陸諸国のように合理的で洗練されていないが、
ゆとりがあり、しかもあのように複雑な人種構成と多民族、多言語、多文化の国家
としては、驚異的に低い失業率を維持し改善に努力しており国家目標の基本は何た
るかをわきまえ、大きな誤りを犯しておらず、アメリカという国家は経済環境、政
治環境へ素直に適応しようとして、機能的に行動できるゆえに国家経営上大変参考
になるのです。
 本書はアメリカの外観を真似しろと主張しているのではなく、アメリカを良く研
究し、自由と平等とフェアーな競争の進化システムの真の意味を理解し、良いもの
を更に改善して取り入れ日本をアメリカを上回る平和的な経済国家の見本として進
化発展するべきと主張しているのです。 
 日本人の国民性から考えて司法制度以外のほとんど全ての分野を参考にすること
が可能と考えています。

 さて日本人の国民性は米英に近似なのか、ヨーロッパ大陸諸国に近似なのかにつ
いて筆者は次の通りと考えています。
1.東洋の中では日本によって特に発展した「武士道」や「実学」や「陽明学」の
  思想はヨーロッパ的な理性的哲学よりアメリカで発展した実利的なプラグムチ
  ズムの哲学と類似しています。
  そしてブラグマチズムの大成者はデューイであり彼の実践主義、行動主義の根
  本は自然主義、道具主義(実利主義とも言われ人間の生活にとって真に役に立
  つものを善とする立場)と言われ、日本の実学に極めて近い立場である。
  人間の持つ動物的部分と精神的知的な部分を厳格にそして徹底して分けて理解
  する伝統的なヨーロッパの二元論哲学に対して、人間のあらゆる文化的精神的
  行為は自然的生物学的なものから発し、それとの連続性の上に成り立っている
  と主張し、「進化論」(人間の知性は人間がよりよくその環境に適応し、より
  よい生活を営むための手段)という科学的根拠をこの哲学の中に導入し、現代
  にもまた未来にも通用する「正に人間にとって真に役に立つ哲学」としてブラ
  グマチズムをアメリカ哲学として大成したのであります。 
  これは日本人の持つ国民感情に近いものと考えます。
  「理性と理念や観念」を高らかに歌い上げるヨーロッパの指導者と異なりアメ
  リカ大統領が「家庭や家族の重要性」を常に説く動物学的・自然主義的アプロ
  ーチはこのアメリカ哲学の影響が極めて大きいのです。
2.19世紀のアメリカの軍人であると同時に軍事戦略家である「マハン」は大英
  帝国の事例を模範とする海軍の重要性を説き海軍国として成長したアメリカと、
  イギリスと同じく四方を海に囲まれた島国のため海軍国として成長した日本で
  は軍事という民族の生存に関わる重要な部分で極めて共通点が多く第二次世界
  大戦において多くの空母を自由自在に操り決戦兵器として120%活用出来た
  国は現代に至るも歴史上アメリカと日本だけなのであります。  
  海軍国は決して最強の陸軍国にはなりえず、陸軍国は決して最強の海軍国にな
  り得ないと喝破したマハンはその国家の根本的な性格を見事に言い当てている
  と感じています。 
  ヨーロッパ大陸諸国であるドイツ・フランス・イタリア・ロシアのような最強
  の陸軍国はまた最強の海軍国にはなり得ないのであります。 
  ここにも米英には日本の国家存立条件における共通点が存在し、ヨーロッパ大
  陸諸国とは全く異なるのです。
3.宗教的にはキリスト教におけるヨーロッパ大陸諸国の「カトリックの教義と国
  民意識」と米英の「プロテスタントの教義と国民意識」のどちらが「日本の仏
  教の教義と国民意識」に近いかと考えると、主観的ではありますが聖職者と信
  徒の身分上の相違を認めず信仰する各人が神の前で平等と考え信仰のみに救い
  を求めるプロテスタントの教義の方が日本の仏教の考え方に近いと考えていま
  す。
  ここにも個人としての人間の自由と平等を重視する米英と日本の国民性の共通
  項が見えるのです。
4.最後に国民的娯楽であるが世界的な競技ではない「野球の存在」であります。
  個人成績とチームワークを同時に明示出来るアメリカと日本は根本的な嗜好や
  国民性に類似点があるのか、ヨーロッパ大陸諸国では全く普及していない野球
  王国であり、日本ではリトルリーグ高校野球、大学野球、都市対抗野球、プロ
  野球と極めて組織化され国民的スポーツとしてアメリカ同様広く普及している
  二大野球王国であります。
5.さてペリー提督は江戸幕府(当時の日本政府)に不平等条約を締結させた強硬
  姿勢にかかわらず、そのペリー提督がアメリカ議会に対する公式報告書の「日
  本遠征記」で述べている内容の中にアメリカ人ペリーの誠実で正直な感想が述
  べられており、これは横須賀商工会議所に資料として「ペリー提督の予言」と
  して残されており、現代の経済大国の日本を既に「その時予言」しており、日
  本人に対するアメリカ人の素直さと暖かさを実感しています。
  明治維新の成功の一部は「植民意志の無かった」アメリカとの最初の出会いと
  いう幸運にも支えられていたといって過言ではないのです。
  そして第二次世界大戦後、経済、政治の民主化のルールをもたらしたのもアメ
  リカであり、その経済システムは日本の国民性に良く適応し、昭和の終わりま
  でにはアメリカをしのぐ世界一の経済大国と称せられるまでに経済成長できた
  のです。
6.これらの事から日本経済の基本システムを組み上げるときは、日本人の国民性
  から考え、経済環境、政治環境に現実に良く適応し経済成長つまり失業率の改
  善に大きな効果を上げているアメリカの経済システムを基本としながら、これ
  を更に徹底的に進化システムへ改善し、その時代時代の民意と国民意識の変化
  を素直に吸収し、経済環境、政治環境に変化に柔軟に適応し、発展、繁栄進化
  できるアメリカを上まわる国家経済システムを組み上げるべきと考えているの
  です。

 その理由としてはヨーロッパ大陸諸国の「理念、観念」から過去大きな危険思想
が普及したことと、人間の経済社会において根本的に改善すべき「失業率」を改善
できない経済システムを採用しているからであります。
 さて実例として「非進化システムの全体主義」が1924年イタリアのファシズ
ムの指導者ムッソリーニから誕生し、1945年の第二次世界大戦の終了までの約
20年間、日本を含め世界は、その危険な理念、観念に長期間支配されたのです。
 同じくヨーロッパ大陸諸国の理念、観念から「非進化システムの共産主義」が誕
生し1917年のロシア革命による「共産主義による一党独裁政権」の誕生から1
991年の民主化ロシアの再生までの約74年間という長期間、世界にその思想が
普及しましたが、東欧諸国とソ連邦諸国は共産主義を実験し経験し、その危険性に
気付き、自らの力で、その理念、観念から離脱したのです。    
 同様にヨーロッパ大陸諸国の税に対する理念、観念から誕生した「非進化システ
ムの付加価値税制」も1954年フランスの採用から世界に広まり50年経過した
税制なのであります。
 あと何年経ったら世界はこの税制の危険な側面に気付くのであろうか。 
 特にヨーロッパ、アメリカの白人社会は男性が家計の財布を握り消費の決定権を
支配しているが、日本は女性が家計の財布を握り個人消費の決定権を支配している
という世界的に見て特異な消費慣行を持つゆえ、特に付加価値税制の非進化システ
ムの副作用が強く表れる経済体質なのです。
 日本は自由主義的資本主義経済の繁栄と進歩のために「付加価値税制の危険な本
質」に早く気づき世界に先駆けて、この税制から離脱しなければならないのです。
 そして100年後も安定的に経済成長と財政再建を両立できる「進化システムの
税制改革・政治改革」を構築すべきなのです。
 人間社会で人工システムを構築する場合は「参加の自由な競争」と「フェアーな
競争」による「進化システムルール」で経済システムを構築する時に限って、自分
達自身の自由競争で「結果」を決定するゆえ「それから生ずる結論や結果」は自分
達自身の経済環境へ良く適応し経済の進歩、繁栄、発展、増殖、進化を強力に実現
します。
 しかしそれらの条件を満たしていない「非進化システム」の時は、自由で活発な
競争が行われないので、如何に努力しても結果は遅々として改善されないか下降線を
辿るのです。            
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(この税制改革理論の立場と経済成長の仕組み)

 ニュートンはリンゴが地面に落ちるのを見て万有引力を発見し、アインシュタイ
ンは光速度の不変性から相対性原理を発見したのです。
 本書は「個人消費」が人間の好奇心と無い物ねだりの本能から、進化システムと
して働き自己回帰と自己拡大を繰り返す特性を発見し「経済成長現象の根源」であ
ることを突き止めたのです。
 そしてイギリスの大経済学者ケインズの提唱した一国の総生産(所得)水準は総
需要の水準によって決定されるという「有効需要の原理」とフランスの経済学者で
一般均衡理論を提唱した「ワルラスの法則」(経済全体の総需要と総供給は恒常的
に等しい法則。つまり供給ばかり増加させても需要が増加しない政策は無価値)と
経済学の基本原理である「三面等価の原則」が本税制理論の中核を為しています。
 科学技術が急速に超進化しロボットが大量生産を行っても、国民総生産(GNP)
としては全く計算されないのです。
 それを人間がカネを支払い「個人消費」した瞬間に始めて国民総生産として計算
され、把握されるのです。
 そして個人消費こそが国民全体に国富をもたらすのです。
 本書は一貫してこのケインズ流やワルラスの法則の考え方で貫かれております。
 この経済原則の仕組みと意味を、完全に理解し、如何にしたら、この仕組みを活
用し経済成長を達成できるか考えなくてはならないのです。
 
 敗戦直後国民は茫然自失の中、日本は国富0円の焼け野原の国家だったのです。
 他の国家からの善意の援助は当初受けたにしろ、実質的にはわずかな無償援助し
か受けず、以後自立し努力し、それからわずか43年の昭和63年にはアメリカを
追い越す勢いの「本税制理論で明確に分析しているように無から国富3200兆円
を生みだし」世界一の経済大国と称せられるまでに自己回帰的に「経済成長」「資
本増殖」を果たしたのです。
 3200兆円は他国から援助を受けて作り出した「富」では無く、自ら作り出し
たのです。
 これこそが本書の理論を裏付ける「事実」であり本理論の「正確性」や「真実性」
を立証しているのです。 
 そしてこの経済成長システムをぶち壊したのは、紛れもなく我々日本人自身であ
ったのです。
 つまり経済成長を達成するもしないも、その国が良くも悪くもなるのも「その国
自身の責任」であり「世界の経済情勢」でも「他国の責任」でも全く無いのです。
 正しいと思われた国民へ禁欲を奨励する「欲しがりません勝までは」の戦前のコ
ンセプトは何と愚かな経済的コンセプトであったのか、今痛切に実感しています。
 そして国家という大きなシステムを取り扱う場合「国民の数が膨大であるゆえ基
本や根本を厳格に遵守しつつ、形式的であってはならず、実質的でシスティマティ
ックな発想を持つことが不可欠になります。」
 したがって人口が減少すれば需要が大幅に減少するのである上、機械化で毎年労
働生産性は限りなく上昇するのであるから、将来労働人口が減少するので、人手不
足になるなどの議論は、全く的はずれな議論なのです。
 必要なのはどうしたら総需要の根源である個人消費を維持増大できるかの議論な
のです。
 その上「資源の有無は経済成長には無関係であり」(石油輸出大国が経済大国に
なっていないことでも明らか)我が国に無いものは輸入すれば良いのであり「最小
限度輸入代金が支払えるだけの輸出が出来ればよい」のです。
 輸出の拡大さえ経済成長にとつては必要不可欠ではなく、「日本の最も経済成長
率が高かった時期は、正に慢性的な貿易赤字国であった事実」と、地球という外部
から完全に遮断された完全閉鎖系においても、その内部では経済成長が続いている
事実が「貿易黒字を稼ぎ出すことが経済成長にとって不可欠の要素ではない事実」
(貿易慢性赤字国のアメリカが高い経済成長を維持していることでも明らか)を明
確に示しています。
 逆に貿易黒字を稼ぎ出す事による「国内の生産価格や人件費と外国での生産価格
や人件費に異常な格差が生じる為替相場による弊害」つまり「価格設定に正常範囲
を超えた異常な価格設定が横行する原因になっているのであり国内産業構造の適正
な進化発展に大きな弊害となっているのであります。」
 内需を拡大すれば輸出を増大する必要もなく、したがって大幅な貿易黒字を減少
させ長期的には貿易収支ゼロを目指せば、為替相場の円高に伴う異常な競争条件に
よる国内産業の自滅や発展への弊害などの外国企業との価格競争力の不均衡による
国内摩擦問題や新規産業の創出困難問題も無くなる上、アメリカを始め他国の需要
を当てにしたり、他国の需要を食い尽くしたりせず自国のみで経済成長が出来るの
です。
「国民が商品を生産し得た賃金で、国民がその商品を購入消費する自己回帰を繰り
返す中で、個人消費の自己拡大を通じて国民所得が拡大することが可能」であり、
その現象が「正しい経済成長」なのであります。

 民間企業が輸出を増やしたければ日本国内で生産して輸出するのではなく、輸出
先の国へ資本進出して、その国で工場を建設し、その国の労働者を雇い、その国の
消費者へ販売し、その国の経済発展へ貢献すべきなのです。 
 したがってまず自分自身や自国自身が良い方向へ変る意志がなければ、人間の人
生や会社の経営と同じく国も「良い方向へは変われないのです。」
 不況の現実を他人や他国や世界情勢などの他の要因へ転嫁する論理では良い論理
や判断にはならないのです。
 それは常に我々は前提条件無しで現実の経済環境と向き合い自分自身を環境へ適
応するよう改善することが進化発展の道だからであります。
 例えば太平洋戦争の開始から終了まで全ての責任は日本自身の判断に委ねられて
いたのであります。 
 特にイタリアが降伏しドイツが全土を占領され昭和20年4月にヒットラーが自
殺し降伏しても、日本は全く勝つ見込みのない死ぬ必要のない戦いを、日本のトッ
プ層は全世界を相手に継続し、硫黄島戦、沖縄戦、広島の原爆、ソ連参戦、長崎の
原爆など、日本自身が潔く負けを認めれば十分避け得た、悲劇的な戦いを自らの意
志で継続したのです。
 当時国際ルールとして戦争法規(ルール)は殆ど確立しており、負けた場合のル
ールを熟知していれば、トップ層が国民を助けるために恥じさえかけば、わずかな
犠牲で戦争を終結することが出来たのです。
 この戦争の40年以上前に戦った日露戦争では日本も戦争の作法を十分知ってい
たからこそ勝った側の日本は敵将や捕虜の取り扱いも、国際ルールに則って行った
のです。
 現代にも通じるこの「日本の国家システムは適切な判断能力が欠如する時がある。」
という「事実」は、日本のトップ層が科学的に冷静に判断できない混乱状態に陥る
時があり、国家システムや行動をチェックする役割を持つマスコミ各社はまず他国
の行動を非難する前に、「事実を元に判断できない」この判断能力の欠如した自国
の行動の原因を徹底的に究明しなければならないのです。
 本書が経済問題としての税制改革に付随して国家経営の根本である政治改革の方
向性を明確に提示し、強く指摘しているのは本件のような「事実」があるからです。
 この情報錯綜の中、英明な昭和天皇のみが、自らの命の危険性を覚悟の上、当時
の明治憲法の手続きを無視して天皇の個人的判断として国民のために「ポツダム宣
言つまり敗戦の受入」を決定したのです。
 その国民が望む方向へ自らが変わろうとする判断こそが、戦後の発展の原点だっ
たのです。 
 常に国家経営のトップ層は国民が何を「真に」望んでいるか的確に判断する必要
性があるのです。  

 さて他の宇宙から隔絶された完全閉鎖系の地球上において、資本の増殖で成り立
っている資本主義経済と資本市場、金融市場を発展させるためには、「資本増殖が
進化システムの個人消費の自己回帰と自己拡大に全面的に依存している事実」を正
確に認識し、この事実に基づき税制を組み立てなければ資本主義による経済や資本
市場や金融市場の進化発展による国民の幸福は絶対に実現出来ないのです。
 したがって本書は経済成長における「需要側の真の進化システムである個人消費
の自己拡大の重要性」を中心に記述いたしましたが、「ソローモデルで明らかなよ
うに供給側の真の進化システムは科学技術の進歩による生産の自己拡大」なのであ
ります。
 この両者がシンクロナイズして、始めて経済成長が可能となるのです。
 人間は生物である以上進化システムのルールを遵守する事が自然であり、税制改
革と政治改革の解決方法として経済学よりはるかに効用が高く役に立つ生物の進化
論から研究され人間の本能や特性を利用した経営学の組織論、システム工学、イン
ターネット等で既に活用されている「進化システム原理」と、更に強者の捕食量が
弱者の繁殖量を上まわると必ず強者は滅亡し、逆の場合は全てが繁栄する人間を含
めた地球上全生物に共通する最も根源的な原則である「自然界の食物連鎖と生存競
争の鉄則」を踏まえて「競争力均衡化原則」(P238)を導きだし「成熟経済に
おける経済成長税制」を提唱しているのです。
 少数の強者の生存は、多数の弱者の存在(生存環境)に全面的に依存している事
実こそ、地球上で最も根源的な原理なのです。
 
地球上の何百万種類の生物と人類の隔絶した相違は、人類は自分たちの餌を自分た
ちで作り出せる特別の能力を持っている動物であり、人間は自己増大できる「個人
消費」を「餌」として機能させ、自己増大する他人が作り出した個人消費という餌
を企業を通して「所得」に等価変換して、これを食べて生きる特別な社会的動物な
のです。
 だからこそ人間は必要以上に強欲になり、他人の食べる餌まで食べ過ぎて(所得
を取りすぎて)他人をやせ衰えさせてはならないのです。
 それは強者の自滅の道か、全体の貧困への道だからであります。その逆の場合は
強者も弱者も共に全体が繁栄するのです。
 直接税は強者の取りすぎを規制し、取りすぎた場合でもシステム的結果として中
低所得者へ所得を配分し個人消費の増加を計る手段なのです。
 つまり経済の世界は自然の生態系と近似のシステムなのです。 
 食物連鎖の頂点に立つ地上最強の動物を、繁栄させるには、食物連鎖の最下層の
植物層を豊かにしなければ、その命を持続することは出来ないのです。
 つまり自然界の植物層に相当するのが、実は経済界の個人消費なのです。
 結局のところ食物連鎖の最下層と最上層は、共に栄えるか、共に滅びるかの二者
択一しかないのです。
 つまり両者は運命共同体であり、しかも膨大な量の最下層こそが、実は全体の運
命を握っているのです。
 ここに着目しなければ、実のある良い経済成長税制は生まれないのです。
 そして人間は「自分自身の幸福と生き残りと、種全体の幸福と生き残り」を賭け
て、あらゆるものを五感で感じるセンサーそのものであり「個人消費」を行う「人
間」は相互作用等による全体経済や地球環境の変化に敏感に適応しようとする本性
があり無常(常なし)のこの世において、その時代時代における全体経済と地球環
境に応じて個人消費に規制を加えなければ、時の経過と共に「個人消費」は人間の
自由意志により大きな流れとして正しい方向へ自己拡大しようとする進化システム
の特性があり、この特性を利用し結果として増大した個人消費を企業を通し、非進
化システムの所得へ等価変換し、更にこれを増加した個人消費へ自己回帰する無限
連鎖を続けることによって「国民所得」を自己拡大させるシステムが正に「経済成
長」なのであります。
 つまり「個人消費」は自己拡大する経済の出発点となる極めて重要な意味を持つ
経済的行為なのです。
 
 したがって我々はその特性を利用して経済成長を達成しているのであり、個人消
費を不自然に全面的に課税規制し自己拡大を停滞させ経済成長を阻害する経済学か
ら見て異端の税制である付加価値税の本質を持つ消費税が、安定税収を得る財政主
導の国家哲学によりアメリカを除く世界各国の大勢になっておりますが、結果とし
て国民個人個人の幸福の追求という憲法の規定に反し、高い失業率を改善できない
現実を明確に問題視しております。
 アメリカは世界各国と全く異なり小売、飲食業のみを対象とした小売売上税とい
う狭く限定された間接税を地方税として採用しているのみで、国家の基幹税制とし
ては間接税は殆ど採用していないのです。
 消費税制と比較すれば一部サービスや一部食料品や多くの産業を非課税としてい
るので「個人消費への選択規制であり」アメリカの間接税は、産業のサービス化や
有体物廃棄の量的抑制という選択的政策誘導の両面に役立つ効果がありますが、や
はり個人消費の規制効果も併せ持つので、選択の余地が無く全面規制している消費
税ほどではないが経済成長の阻害要因なのです。
「個人消費」は結果として「他の人へ所得を稼得させる利他的行為」がその本質
あり、社会的寄付と同一の効果があり、しかも熱力学のエントピロピーの法則のよ
うに高所得者から低所得者へ「集中しがちな所得」を分散される結果をもたらし、
国家全体の消費性向を高め経済成長に役立つので、これに規制を加えるべきでない
とする道徳的理由が存在するのであります。
 ところが「所得」は他から稼得する性質上自らの自由意志では全く自己拡大出来
ない非進化システムであり、課税規制しても経済成長に全く悪影響が無く、
更に人
間に対する生産増強の動機付けに非常に役立つとは言え本人一人のみへ所得を集中
する利己的行為
であり資本主義社会は利己的意識を十分発揮できる社会である故に
「利己的意識と利他的意識の均衡で成り立つ社会的集団で構成する人間社会」にと
って、少数者への無制限な所得の集中を認めることは「競争力均衡化の原則に反す
る上」低所得者ほど消費性向が極めて高く、高所得者ほど消費性向が低いという明
確な事実から少数者への所得の集中は消費性向の増加に全く役立たず国家全体の消
費性向を低下させ経済成長を停滞させ「国民の幸福の追求に反するので」規制課税
する道徳的理由が存在するのです。
 また国家は一面では「巨大な所得配分機関」であり、歳入は税制によって国民各
層の、どの所得層からどのくらい徴収するか、税制によってその方法が決定され、
その配分方法については公務員の給与、公共事業、その他の事業に全て使われ一般
的に中低所得者層を中心に配分される仕組みとなっているのです。
 更に「総理府家計調査報告」によれば、低所得者層は消費性向は高い事実が存在
し、高所得者層は消費性向が低い事実が存在します。

 さて国家は「国民の幸福を追求する権利を実現するために機能的な働きをしなけ
ればなりません。」  
 そのためには頭の良い人、悪い人、身体が頑健な人、虚弱な人、コンピューター
が好きな人、嫌いな人、土いじりが好きな人、嫌いな人などあらゆる個性を持った
国民へ働く場所を提供するあらゆる国内産業を正しい方向への発展と拡大を出来る
限り行い、更に時代に適応した新産業の創出を達成しなければならないのです。  
 そのためには国家が為すべき事は「個人消費(需要)の持続的増加条件の整備」
と「生産力の持続的増加条件である科学技術の進歩」と「あらゆる経済、社会分野
へ進化システムによる参加の自由と平等にフェアーな競争条件の整備」と「国内外
の価格競争力の適正化」(貿易収支ゼロ政策)であります。  
 そして本書の経済成長税制は「経済学の本には全く記述されていない進化システ
ム原理による自己拡大する個人消費の特性を経済公式に導入する事」によって、経
済成長メカニズムを解明し、現実の経済環境へ適応した適切な経済政策立案を可能
にする効果の高い役に立つ経済成長税制を提案しているのです。
                                目次へ戻る

(経済成長のメカニズムと経済公式)

 経済成長のメカニズムは従来の静態的な経済学では全く明示されておりませんで
した。 
 そこで本書は「個人消費のみが進化システム原理による真の自己拡大特性を持ち」
且つ「個人消費と所得の間に等価変換原理と時系列原理が存在する」するというわ
ずか二点の「事実を発見し」従来の静態的な経済理論に導入することによって、経
済成長現象のメカニズムを動態的に完全に解明する事に成功し且つあらゆる経済現
象を理論的に説明できる事に成功したのです。
「個人消費が進化システム原理により自己拡大すると、少し遅れて国民所得の増加
に変換」され、更に所得が個人消費に自己回帰する無限連鎖により、次々と経済が
自己拡大を続ける内に「景気回復、金融不安、デフレ、企業倒産、失業問題の根本
的解決と税収の増加による財政再建」が達成されるのです。
 しかし現代の日本で「経済の自己拡大が停滞」しているのは「科学技術と生産」
ではなく「有効需要の根本である個人消費の停滞」であり、これが日本の経済成長
を停滞させている元凶であることは、あらゆる経済指標から明らかであります。
 人間は経済行動を行うときには必ず「未来の所得を予測して行動する」特性を持
っているのです。
 したがって個人消費が増加するか、しないかは人間の予測の問題であり「数学で
は解決できないのです。」
 つまり人間は総合的に直感で判断する特性を持っているので、どのような理屈を
述べようと国家の税制が、膨大な数の国民である人間の直感にとって「この税制で
は未来の所得が伸びないと感ずれば、百の説法を政府が国民へ並べても」国民は決
して個人消費を伸ばそうとはしないのです。 
 人間は進化システムである自然システムの中で生きている以上、どのような形で
も進化システムに対する規制課税は本能的に嫌う特性があるのです。
 したがって個々の国民から徴収する税制改革を実行するときは情報公開の中で過
半数以上の国民が賛成する厳格に進化システム原理を遵守した導入方法でなければ
国民を納得させることは出来ず予定された政策効果も現れないのです。
 国民の7−80%反対の民意を無視し、国会議員を党議拘束かけ、無理に消費税
を強行採決したツケか今表れているのです。良かれと思ってやったことでも、結果
が悪ければ「誤りを正すにはばかる事なかれ」の精神で改善すれば良いのです。 
 責任の追及などということは、後段の政治システムを改善することに比べれば小
さいことであり、そのような事に時間を浪費する必要は無いのです。 
 つまり国会議員は国民の代理人である以上、その一人一人が誰にも影響されず良
識を元に参加の自由と対等に平等なフェアーな競争(多数決の個人競争原理)が出
来る環境が厳格に守られ、国民の過半数の意志が的確に反映された決定でなければ、
望まれる政策結果は全く表れないのです。
 国家のような独占組織内では政党などの「組織」が個人の意思をネジ曲げてはな
ら無いのです。
 膨大な数の国民が納得しない政策では、政策効果など出ないどころが、逆に予期
せぬ莫大な副作用が表れるのです。
 進化システムである個人消費に課税を加えなければ自己拡大の特性を発揮し「カ
ネは天下の回りもの」の格言の無限連鎖により経済成長が達成出来るのです

(1)個人消費+設備投資−>所得 の経済公式は、個人消費が規制されなければ
   人間の意欲と本能による自己拡大が可能な特性により「年数%づつ増加し、
   それが所得に増加変換」される等価変換原理と時系列原理を表しています。
(2)所得−>個人消費+貯蓄 の経済公式は「所得が個人消費と貯蓄へ変換する、
   つまり所得の使い道」を表しており所得から個人消費と貯蓄への自己回帰と
   等価変換原理と時系列原理を表しております。
(3)貯蓄−>設備投資 直接金融国家と異なり間接金融の日本で個人消費の自然
   な増大が真に大切なのは、貯蓄の設備投資への変換過程では「個人消費の増
   減」が設備投資を実施する企業家心理に重大影響を与えるからです。  
   個人消費が活発になると企業家心理が明るくなって設備投資が活発になり、
   企業は銀行へ金利を支払っても、借入れを活発に行うようになるため、銀行
   は預金者へ預金金利を支払えるようになるのです。
   これによって銀行の経営は安定化し、金融不安と預金者の怒りは解消するの
   であり、逆の場合は最悪の結果を招くのです。
   しかも貯蓄不足になれば金融機関は日銀借入を行い設備投資資金の調達も可
   能なのです。 
   つまり間接金融国家では個人消費の継続的増進が特に重要な問題になるので
   す。

 以上の中で個人消費のみが自己増大し(1)(2)(3)の「無限連鎖によって」
「経済は自己拡大」し人間社会の資本が形成されて行くのです。
成熟経済においては「個人消費の増大無くしては」「人間社会の資本の形成無く」
「税収の増加無し」であり、このパラドックス(逆説)と相互依存を理解するには
経済への深い理解無しには不可能なのです。
 つまり所得は個人消費が増大した結果、等価増大変換されるのであり、結果であ
り原因ではないので所得は自己拡大は出来ない非進化システムなのです。
 更に加えて次の公式も経済成長を高めるためのシステム的な重要な手段となるの
です。
 総理府家計調査報告に厳然と「事実」として調査されている、所得階層毎の消費
性向特性を活用した国家の所得配分機能による経済成長向上策を述べてみます。

(4)歳入(税収を消費性向の低い高所得者層から多く徴収し)――>国家――>
   歳出(主として消費性向の高い中低所得者層)の場合は「カネの流れが国家
   を通して消費性向の低い階層から高い階層に流れ、国家全体の消費性向は高
   まる」という特性が働くので、このような国家は経済成長が高まるのです。
(5)歳入(税収を中低所得者層から多く徴収し)−>国家――>歳出(主として
   中低所得者層)の場合はカネは消費性向の高い階層から同階層へ流れるだけ
   で消費性向の向上が無く経済成長に対しては国家は機能的に役立た無い存在
   となるのです。

「カネは天下の回りもの」これが当たり前の経済常識なのです。
 上記4つ(所得、個人消費、貯蓄、設備投資)の基本的経済要素のうち、個人消
費は進化システムであり、規制しなければ現状より幸福になりたい、新しい物が欲
しい、生き残りたいという本能により自然に自己拡大原理が作動し個人消費は現状
より進化増大し、それが等価変換原理により所得の増大をもたらすのです。 
 人間は本能的に現状のみにとどまれない特性があるのです。 
 つまり個人消費は人間の文化そのものだからなのです。
 しかも人間のカネの使い道には個人消費と貯蓄の二つしか無い以上、個人消費の
みに課税規制し、貯蓄に課税規制しなければ人間のカネの使い道に不平等と不公平
を持ち込むことになるのです。
 だからこそ個人消費は間接税で規制せず消費者に自由にさせる重要性があります。
 意識的無意識的にかかわらずこの原理を利用して経済成長を達成するのです。
 しかし所得は非進化システムであり、規制を無くしても自己拡大原理は全く作動
しません。
 したがって逆に規制しても何ら経済成長に悪影響は無いのです。
 但し上記(4)(5)の効果の差は生じるのです。
 そして最後に設備投資は個人消費の増加状況に応じて自己拡大原理が働くのです。
 したがって唯一、「個人消費のみが経済成長の真の根源の進化システム」であり、
自己拡大が可能であり、規制せず自由にすれば人間の幸福になりたい、現状より向
上したいという意欲と意志により、自動的に年数パーセントの自己拡大原理が作動
するのです。
 そしてそれに合わせるように設備投資の自己拡大が開始されるのです。
 つまり時系列的には拡大した個人消費(企業の販売)が発生した後に設備投資の
増加も合体し、これが拡大した所得となって人間に自己回帰し、そして等価変換原
理と時系列原理により、変換された所得が次の消費の源泉となり個人消費の増加に
繋がる無限連鎖が開始するのです。
 これこそが人間の本能と意識によって作動する無限連鎖による経済成長なのです。
 自己拡大できる進化システムである個人消費が増大すれば、企業家心理が明るく
なり、貯蓄が順調に設備投資に変換され、等価変換原理によって所得が順調に増加
し、人間は安心して次の個人消費を更に自己拡大するのです。
 これが経済成長のメカニズムなのです。
 この経済成長のメカニズムを正確に完全に理解できれば、適切な対策を講じるこ
とが出来るのです。
 そして所得税は個人消費の「結果」によって発生する非進化システムである所得
に対する課税であり、これに課税しても何ら経済成長に悪影響が無く(詳しくは後
述)、しかもこの経済公式で明らかなように「個人消費と貯蓄に平等に課税」する
政策結果となり人間のカネの使い道である個人消費と貯蓄に対する競争条件を対等
に平等に扱っているので個人消費は人間の本能と意志通りに自動拡大し、経済成長
が実現するのです。
 ところが消費税は所得を手に入れた人間のカネの使い道に不平等競争条件を持ち
込み、貯蓄に課税せず個人消費にのみ選択課税するために、人間の本能と意志がネ
ジ曲げられ個人消費の自己拡大機能は規制で消滅し、結果として自己拡大出来ない
非進化システムの貯蓄ばかりに国民を強く誘導している政策結果をもたらし経済成
長が停止し国民所得は増加せず後退状況に陥っているのです。
 中立、公平どころか人間のカネの使い道である個人消費と貯蓄に不公平と不平等
競争条件を持ち込んでしまったのです。
 個人消費が増加しないため企業家心理が冷え込み貯蓄に蓄積されたカネが国内の
設備投資に使われる余地が無く、企業は金利を支払って借入れしないため、銀行は
預金者へ金利を支払うことが出来ず、余剰資金は国内に退蔵されるか、国外投資に
流失すれば、ケインズが述べる如く経済は最悪の局面を迎えるのです。  
 更に過剰貯蓄体質を持つ日本人の国民性も拍車をかけており、特に右脳の直感脳
を働かせて物事を判断する女性が個人消費の7割以上の実質的決定権を持つ、世界
に数カ国しか例を見ない特殊な社会慣行を有する日本では副作用が特に極端に現れ
る個人消費を規制する消費税制は日本の国民環境には、全く適応しない税制なので
す。
 逆に直接税である所得税制、法人税制は日本では昭和63年まで順調に作動して
いた強い実績があり、更に強力に経済成長を続ける世界経済の最強国家のアメリカ
が正に世界最大の直接税国家であることでも明らかであります。
 さらに直接税制は労働の機械化が極端に進歩し「労働生産性が飛躍的に向上する
未来に」困難が予想される国民所得の配分にとっても最適の税制であり、未来の大
量失業を発生する国民環境にも良く適応し、これを改善し生き残る税制は直接税制
しか無いのです。
 そしてその時代、その時代の国民環境に適応した経済成長の根源となる「個人消
費の適切な方向性を定める」には、厳密な進化システムの「国会議員の独立性と地
位の確保」が重要な条件になることを本書を通じて知らなければなりません。
 企業サイドから見れば、個人所得が個人消費に変換される企業の第一線の販売現
場において「消費税」は所得から個人消費(企業から見れば販売)へ変換する過程
の阻害要因や心理的経済的な抵抗要因となっており進化システムである個人消費の
自然な増加を抑制規制するので、これを全廃し人間が本能的に持っている個人消費
の自然な増大を認めることが、企業の売上増大の基本的な第一歩となります。
 つまり「進化システムである個人消費」に規制を加えず、「参加の自由」を認め
る大切さを本書では述べているのです。  

 次に「人口の構成比が高く、消費性向も極めて高い」膨大な数の中低所得者層へ
国家の所得配分機能を高めることが、国家全体の消費性向を高め、個人消費の自己
拡大作用を活発化し結果として国民所得を増大させるので、累進的直接税の税収比
率を高め国家の所得配分機能を促進する政策は重要になります。 
 そしてこの膨大な数の中低所得者層こそ、わずかな所得の拡大によって個人消費
の「自己拡大を強力に推進するエンジン」となるのです。
 人間の本能や意志による自然な個人消費の増大は、等価変換原理により国民所得
の増大をもたらし、それがまた個人消費の増大をもたらすスバイラル状の景気回復
をもたらすのです。
 結果として高い税率を適用される強者である高所得者層は不利になるわけではな
く景気拡大による更なる所得獲得のチャンスを得ることになるのです。
 上記基本的なシステムを構築しつつ、高所得者層の勤労意欲を維持することと任
意の所得配分機能を活用するために、所得から控除出来る「人間の生存と未来の確
保」のため自らの所得に応じた「医療」「介護」「育児教育」という人に関わる文
化的基本生存費用の実額経費項目の大幅な拡大を認める税制を附加することが重要
な政策になります。
 これによって最も重要な医療分野、介護分野、育児教育分野の産業の育成にもな
るのです。

 大規模な財政支出を全く伴わないこれらの対策によって、「個人消費の進化シス
テムへの開放」と「個人消費から国民所得への等価変換原理と時系列原理」と「国
家機関による強制的な所得配分機能を通じた消費性向の増大システム」のメカニズ
ムが明確に回転を始め、劇的に時間の経過とともにモリモリと個人消費が増大を開
始し、本格的な経済成長、景気回復、デフレの解消、財政再建が達成されるのです。
 現状経済政策は「財政や金融を総動員して景気回復を図るため個人消費に火を付
ける努力をしているのに」「税制が個人消費に課税して水をかけるという全く整合
性が無い経済政策であり」つまりマッチで火をつけながらポンプで火を消して回る
マッチポンプ政策の典型が、現状の惨めな経済状況をもたらしているのです。


 逆に良い典型的な実例としてアメリカという多民族、多文化、多言語という非効
率国家の典型である歴史上の後発国が荒野の中から現在までわずか独立後224年
間で、何故世界一の超大国へ経済成長を達成出来たのか、何故アメリカは成熟経済
段階に達しているのに今でも経済成長を力強く継続できているのかの秘密は「実は
アメリカの建国の精神である人間個人の参加の自由と対等に平等なフェアーな競争
のルールが偶然にも無から有を生み出し自己拡大する進化システムのルールそのも
のに合致していたからであり」さらに経済では「建国の精神を促進するよう経済シ
ステムを補完してきたのが進化システムである個人消費への課税規制は最低に止め、
国家全体の消費性向を高める強制的な所得配分機能を強力に保有する直接税中心主
義の税制システムを堅持し、更に税制を補完する任意の所得分配機能を有する民間
寄付の社会慣行を極めて熱心に促進した結果」
であり、国家経済政策と整合性のあ
る税制の存在こそが、アメリカを経済的に超大国に成長せしめた理由なのです。 
 もちろん民間寄付の影の部分として「科学技術と政治分野への寄付に限れば経済
界の影響力が強くなりすぎる危険」つまり「人間に取って重要な問題でも、経済界
に損失をもたらす恐れがある研究や政治判断に強い影響力を行使する危険性」は常
につきまとうのです。
 したがってこの様な問題には、カウンター・オブジェクティブ(反対目標)に何
を採用するかが、重要な問題になるのです。

 生物学の進化論から発達したシステム工学上の概念である進化システム原理の政
治経済分野の作動状況が、経済成長へ直接大きな影響を与えている事実については、
日本の経済学者はおろか、アメリカの経済学者も世界中の経済学者も「成熟経済に
おける経済成長の真の原因とは、完全には誰も気付かなかった」
のです。
 自然の生物は「無の地球」から進化論によって激変する地球環境に適応しないも
のは絶滅し、生き残ったものは絶え間ない変異と競争によって自己拡大しながら新
種の誕生、進化を繰り返し環境に適応しながら現代に至っており、他の星と隔絶し
た「有の膨大で豊かな自然を持つ地球」を作り上げ、その過程で「結果」として人
類の誕生となったのです。
 地球環境へ適応した生物は、より適応するように進化し、適応出来ないものは場
合によっては絶滅の道を歩むのです。
 同様に人間の営む経済活動も「ほとんど無に近い状態」から進化システムによっ
て、激変する経済環境(国家という人間集団とそれを構成する人間個人)に適応し
ながら、適応しない経済システムは絶滅し、生き残ったものは絶え間ない変異と競
争によって新種の経済体制を誕生させ、「有の膨大で豊かな経済体制」を作り上げ、
その過程で豊かな市場経済の民主国家が誕生し現代に至っているのであります。
 そして生物の進化論と同様に経済環境(国家という人間集団とそれを構成する人
間個人)へ適応した経済体制はより早く進化発展し、適応しないものは進化が遅く、
場合によっては絶滅の道を歩むのです。 
 進化システムの考え方は経済環境自身を構成する人間自身(大衆)に、経済環境
へ最も良く適応した経済政策を選択させるわけですから、自分自身に適応する的確
な政策を、選択する確率は極めて高く更に幸福を願う人間の自由と平等とフェアー
な競争(協同)によって、自己拡大原理が増幅され最も順調に発揮されるという原
理で成り立っているのです。 
 そして進化システムである科学技術はたゆまず発展し、労働生産性は常に増加す
るので、経済不況、金融不安、失業問題を発生させないために、対応する進化シス
テムである個人消費も「自然な自己拡大は規制してはならない」という原理なので
す。
 人間は労働者であると同時に消費者であり税の負担者であると同時に政策の受益
者である自己回帰的な二面性を持って発展することを理解しなければなりません。
「ここに自国の経済は自国で責任を持つという国家経済の自己責任原則が明確にな
るのです。」したがって経済環境を構成する進化システムの概念を経済に取り入れ
る意義の重要性は、経済成長と国家の進化と発展と国家の存亡にとって極めて大き
いのです。
 しかしこの進化システムを結果として極めて良く活用しているアメリカでさえ、
国民の中から「我が国はすばらしいが、まだまだ課題が多い」と苦言を呈する意見
が多いことが、まだまだ改善の余地は十分あり、日本がこれを事実として、しっか
り学び意識して活用し改善すればアメリカより、より良いものにすることが出来る
と確信しています。
 真の市場経済、民主主義、科学技術、インターネット、個人消費は進化システム
であるから、時代時代の国民環境に適応しながら無限に進化拡大しているのです。
                                目次へ戻る

(日本の経済成長と財政再建と失業率の大幅改善を実現する税制改革の方向性)

 個人消費への一般課税を廃止し、所得に対する課税を強化すべきとする主な理由
(1)まず経済の基礎である「人間の行う個人消費に対する規制緩和」を行わなけ
   れば成熟経済において永続的な経済成長は望めません。人間という生物が
   「生きるために行う経済」をコントロールする税制は、地球上の全ての生物
   をコントロールし発展させている「自然システム」を参考に「進化システム」
   を維持する基幹システムとして構築するのが最も自然であります。
   つまり現状の不況と財政の悪化は国家・国民が自ら招き入れた「総需要抑制
   政策の税制不況」なのです。
   消費税は所得を手に入れた人間のカネの使い道(個人消費と貯蓄の二つ)に
   人工的に不平等競争条件を持ち込み「個人消費にのみ選択的に課税し、貯蓄
   を非課税」としたために、人間の本能と意志がネジ曲げられ個人消費が規制
   されたため、その自己拡大機能が消滅し、結果として自己拡大出来ない非進
   化システムの貯蓄ばかりに国民を強く誘導している政策結果をもたらし経済
   成長が停止し国民所得は増加せず後退状況に陥っているのです。
   中立、公平どころか人間のカネの使い道である個人消費と貯蓄に不平等競争
   条件を持ち込んでしまったのです。
   個人消費が増加しないため企業家心理が冷え込み、貯蓄に蓄積されたカネが
   国内の設備投資に使われる余地が無くなり余剰資金は国内に退蔵されるか、
   国外投資に流失しているのでケインズが述べる如く経済は最悪の局面を迎え
   ているのです。
   逆に所得=個人消費+貯蓄の経済公式による所得への課税は両者への公平課
   税となることを示しており、所得は非進化システムであるので課税強化され
   ても経済成長へ悪影響は全く無いのです。
   したがって消費税制を廃止し直接税を強化すれば直ちに「景気回復にも」
   「財政再建にも」役立つのです。
   但し消費税には人間の心理からひねくれた性格があり増税が決定すると増税
   の実施直前には膨大な駆け込み需要が発生し一時的に景気が回復したように
   見え、逆に実施直後から反動の買い控えが発生し一年後位には個人消費の更
   なる後退が明らかになります。
   逆に減税や廃止が決まると、その実施直前には買い控えが起こり一時的に景
   気が後退したように見えるが実施直後からは反動で膨大なお待ちかね需要が
   発生し一年後位には個人消費の本格的な回復が明らかになりになります。
(2)企業が「人件費」を、より多く支払うと「法人税」は他の経費と同様費用と
   なり「自然に節税」になりますが「消費税」は他の経費と別扱いで「不自然
   にも全く費用と認めず節税になりません」。
   消費税のこの不自然な構造が「企業から人間への所得移転が進まない原因」
   になっているのです。
   「人間しか行わない個人消費の増加を妨害し」更に給与の支払い時点で「企
   業の給与増加支払意欲を妨害する」から個人への所得移転が進まず経済の回
   転が低下し国民所得が増加しないのです。
(3)「ソローモデルによる科学技術の進歩による生産力の自己拡大」に伴い、こ
   の生産力の増加を吸収する「進化システムである参加の自由で成り立つ個人
   消費の自己拡大」は規制しなければ、より良い生活をしたい、新しい物が欲
   しいという国民の意欲により年数%は個人消費は自動的に増加するので、成
   熟経済の現代でも両者はシンクロナイスしながら年数%は自己拡大し、それ
   が等価変換原理により国民所得の増加となるのです。
   これこそが経済全体のパイの増加であり、経済成長の仕組みなのです。
   したがって個人消費に課税規制すると、科学技術に課税規制すると全く同じ
   く個人消費の自己拡大が低迷し、経済全般に悪影響と経済成長の停滞現象が
   表れるのです。
   しかし「貯蓄」は非進化システムであり、自己拡大は出来ないのです。 
   所得も他から稼得するものである以上、自己拡大出来ない非進化システムで
   あり、逆に「所得へ課税規制しようがしまいが」個人消費と貯蓄への公平な
   課税となり経済への悪影響は全く出ないのです。
   しかも後から国家が徴収した全税収は全額、直接間接に消費性向の極めて高
   い中低所得者を中心とする全国民へ所得配分(公務員の給与や公共事業従事
   者へ)されるから逆に国家全体の消費性向は向上し、景気回復に極めて役立
   つのです。 
   機械化が急速に進み労働生産性が飛躍的に高まる現代経済社会では、付加価
   値が高い「産業のサービス化」に対して特に重い課税となる消費税(付加価
   値税)は産業のサービス化の「阻害要因」であり、未来産業の進化の方向で
   あるサービス化を妨げ極めて望ましく無い。 
   直接税には、そのような弊害が全く無いのです。
(4)市場経済システムの中枢となる税制は「経済原則に忠実であるべき」なのに、
   「消費税制は経済原則に反した致命的欠陥が多くあり」、それが国家経済の
   中枢にドカッと居座っている国家は失業率が高く、国民所得が増加せず慢性
   的な不況が延々と続き経済運営に苦慮しているのであります。
   (イ)まず消費税制は民間では、独占禁止法により全く認められていない売
      上に手数料を上乗せして、強制的に徴収するという手法つまり民間で
      は組織的に行うことを独占禁止法で禁止している方法を取っている点
      である。
      国が自ら違法と認定している経済原則から外れてた手法でも、法律さ
      え作れば国は何でもやっても良いという国民感情から離れた考え方に
      落とし穴があるのです。
      法人税などの直接税は民間でも行われている役員賞与や配当などと同
      様、利益処分という形で行われており、法的にも徴収方法が認定され
      ており経済原則にも合致しているのであります。
   (ロ)市場経済では実質的に「お客様は神様です。」の世界にも拘わらず、
      税金をしもべから神様へ請求させるという手法自身が、客と売り手の
      力関係という経済原則に全く反した税制なのです。
      税は税務署でさえ調査権限を持って、強権力を持つからこそ課税し徴
      収できるのに、消費税は力の弱い下請けを税務署の代理である徴収義
      務者として、力の強い親会社へ税を請求し、徴収させる仕組みになっ
      ており、親会社から税を課税するなら本体価格を値引きしろと言われ
      れば、泣き寝入りするしか無い「力の強弱という経済原則に全く反し
      た税制」なのです。
   (ハ)また国が企業や国民を豊かにしないと税収が上がらない直接税制は、
      税の負担者(公務員への給与の支払者である国民や企業)から見れば
      「能力給か業績給」の支払となります。    
      ところが消費税制は税の負担者である国民や企業を豊かにしようがし
      まいが結果や努力に関係なく支払う「年功序列給」となってしまうの
      です。
      つまり国が企業や国民を豊かにしなくても、機械的に自動的に最初か
      ら徴収する消費税制は、官僚の働きにインセンティブ(動機付け)に
      ならない税制であり「言葉と裏腹に」官僚が景気回復に本気にならな
      い決定的な原因となっているのです。 
      国の機能的活動を期待する国民や企業の経済原則に全く反した税制で
      す。
   (ニ)国家が全体の景気ではなく、個別企業の利益状況ばかりを気にするの
      は全く国家の役割に反しています。
      そのために個別企業のリストラを奨励していますが、それは結果とし
      て国民所得全体の減少、個人消費の減少による、一部個別企業の利益
      向上に過ぎない政策だからです。 
      言葉を換えれば民間人件費を節減し、失業者を増加させ、公的な財政
      負担を増加させ、つまり民間人件費を公的負担に付け替えて、一部個
      別企業の利益を捻出させる「縮小均衡の政策」に過ぎず、このような
      経済原則に反した政策は決して長くは続けられないのです。
   (ホ)商品、製品が最終消費者の手元に届くまでには、最低でも十数社の企
      業を通過するはご存じの通りです。 
      ところが消費税制は企業同士の取引の都度、一つ一つの商品、部品、
      半製品、製品に消費税を課税し企業から徴収するという極めて複雑で
      手間の掛かる構造を持っているため「民間の徴税コストは莫大であり、
      それは全て消費者負担になり」更に「カネは天下の回りもの」という
      経済原則で明らかなように「カネが素早く回転すればするほど(良好
      な資本回転率)」景気が良くなるのに、一つ一つの取引に消費税を課
      税するため、カネの流れに竿を差しカネの回転を悪化させ不況が到来
      するという「経済原則に全く反した税制」なのです。
      つまり応仁の乱当時、わずかな距離の間に「関所を数十カ所から数百
      カ所作り」通行するたびに物資や人に通行税をとり、当時の経済を疲
      弊させた日野富子の「関銭」と全く同じなのです。 
      この制度をたたき壊し経済を活性化させ強大な経済力を作り上げ、天
      下統一を目指したのが織田信長だったのです。
   (ヘ)消費税制は競輪や競馬や賭博の参加者から徴収するテラ銭と全く同じ
      逆進性を持つ経済原則で運営されており、消費市場へ参加した消費者
      から胴元である国が強制的に徴収するテラ銭なのであります。
      このような賭博の胴元のような性格付けの望ましくない経済原則で運
      営している税制が国民を幸福にするわけは無いのです。
(5)景気を回復させようとすれば、それを実現できる逆進性が絶対発生しない税
   制を採用すれば良いのです。 
   細かい短期の好不況は別にして「根本的な経済の好況不況は人間の持つ特性
   を利用した税制次第」なのです。
   つまり人間は冷静に「自分自身の特性」を理解しなければ好況の利益を享受
   出来ないのです。
   消費税導入前の日本経済が世界一と称せられるようになったのは、日本人が
   優秀だったのではなく、日本が独自に作り上げた世界に類のない直接税制シ
   ステム(もちろん各種の問題はあったが)が当時世界一の進化システム度を
   持ち日本人の特性に良く適応した優秀な税制だったからなのです。
   そして消費税の導入によってこの直接税制をたたき壊したのは、他でもない
   無意味な理念観念を振りかざした我々日本人自身であり、因果応報、自分達
   自身に自己回帰しているのです。
   また直接税重視の大きな理由の一つは資本主義経済の本質から、税はシステ
   ム的に、おカネを持っている人からしか永続的に徴収する事が不可能である
   という経済的常識に基づく現実的理由もあるのです。
   いくら理論や理屈を述べても、この現実は永続的には乗り越えられないので
   す。 
   所得税制は「非進化システムの所得」への課税であり、更に結果として個人
   消費と貯蓄への平等課税となることも重なり、増税は全く経済への悪影響を
   与えない税制であります。 
   さらに個人消費に対する強い規制である消費税を廃止しすると同時に人間の
   特性から所得に「累進を強化し増税する」構造を導入すると、結果として競
   争力均衡化の原則に則っているので進化システムによる競争が活発になり、
   国家の中低所得者への所得配分機能がシステム的に自動的に作動し、膨大な
   数の中低所得者へ高所得者層からの税収に基づく所得が実質的にわずかなが
   ら流れ始め、更に消費性向の高い膨大な数の中得低所得者によって個人消費
   が活発になり、より一層幸せになりたい、生き残りたいという人間の本性か
   ら個人消費の自己拡大が開始され、それが国民所得の増大に変換される良循
   環が開始し経済の自己拡大がシステム的に継続的に作動するのです。
   更に高所得者の貯蓄部分が税として国家に回収される割合が高くなり、民間
   貯蓄の増加が鈍ると反比例して、個人消費が活発になるため増産の必要性が
   生じ設備投資資金需要が大幅に増加し、企業は金利を支払っても銀行からカ
   ネを借り入れるようになり「預金利息を再開して民間資金の取り込みが開始
   され」「金融不安は国家の力を借りなくても自動的に解消される」のです。
   同時に力の強い高所得者層は税率アップの見返りに経済発展の恩恵を最も享
   受し預金金利を確実に得るようになり更に発展のためにその他の多くのチャ
   ンスを得ることになるのです。
   つまり高所得者層は損して元を取るのであります。
   そして高所得者層は常に所得を減らす為に必要経費を使用する自由(それが
   また所得を求める他の人の所得となる)があり、業務用にベンツを買おうが、
   飛行機を買おうが所得を減らす為に選択することが出来るのですから、必要
   経費を差し引いて残った分(つまり所得)に税を課税されるのは、やむを得
   ないのです。
   このように人間の本質的な特性から「累進を強化し増税すると」システム的
   に安全確実に経済が活性化し「本格的な景気回復と財政再建が同時達成でき
   る所得税制」は、「国家・国民にとって何と便利で役に立つ税制」でありま
   しょうか。
   そのためには国家は国民に対して「所得獲得に際しては十分利己的意識を発
   揮し競争を強化することを奨励する」と共に「個人消費(税の支払いも間接
   的な個人消費である)に際しては十分利他的意識を発揮し協同意識を強化し
   ようと呼びかけるメリハリの効いた」説得を行わなくてはなりません。
   「良いことにカネを使う」ことが経済の自己拡大する方向性を決定する非常
   に重要な意味を持つからであります。
   そして国家は税を効率的に且つ国家の良い方向への発展のために使用する義
   務があるからであります。
   したがって国会議員や官僚が、この税制を採用するには経済成長現象に対す
   る完全な理解と、高い倫理観と潔い正義感と効率的な利他的意識が必要にな
   るのです。  
   したがって自然発生的に広まり経験的に定着した「累進税率」の考え方も、
   経済成長の為には、正に理論的に正しかったのです。
   またパラドックスの様な「富は徳に集まる」という「上下を問わず利他的意
   識を実践し」生産力の増強に励む古くからの東洋思想は一面では「理にかな
   っており」上杉鷹山や二宮尊徳の思想がその地域の経済の成長発展をもたら
   し財政再建を果たしたのは、決して古くさい理論ではなく最先端の現代でも
   根本的に通用する理論だったのです。
   そしてこの税制は政治的には、膨大な票数を持つ中低所得者の支持は得られ
   やすく選挙に勝てる政策であります。 
   残るは高所得者層の支持をどう取り付けるかが課題であり、実態としての景
   気回復による資産価値低落の阻止と実態に即した所得控除つまり必要経費の
   拡大で協力を取り付けられると考えています。
   ところが逆に所得税に「累進を弱体化し減税する」構造を導入すると、国家
   の所得配分機能は膨大な数の中低所得者層が税収の主力となるため、単に中
   低所得者層の税収を中低所得者への配分するだけの構造となり、個人消費性
   向の向上に全く役立ないため、国民所得は増加せず中低所得者層の所得増加
   にも繋がらず、全く景気の現状維持しか実現できないのです。
   したがって個人消費が増加しない以上、税収の増加は望めず財政再建など夢
   のまた夢になってしまうのです。
   以上の税制の効果については過去の日本の長い高度経済成長時代の税制と、
   奇跡の財政再建を成し遂げたクリントン政権時代のアメリカの税制の実例が
   明確に物語っています。
   直接税を減税すると景気が回復し財政再建に役立つなどと言う通説は全く誤
   った論理であり、このような論理を展開する方々は責任を持って明確な根拠
   を示すべきです。何が正しいのか、日本の未来のために我々国民は目を見開
   かねばならないのです。
(6)更に過剰貯蓄体質を持つ日本人の国民性も拍車をかけており、特に右脳の直
   感脳を働かせて物事を判断する女性が個人消費の7割以上の実質的決定権を
   持つ世界に数カ国しか例を見ない特殊な社会慣行を有する日本では副作用が
   特に極端に現れる消費規制税制は日本の国民環境には、全く適応しない税制
   なのです。
   しかし所得への課税は前述の経済公式で明らかなように国民のカネの使い道
   である「個人消費と貯蓄」に「平等に中立、公平に課税」になり更に所得配
   分を通じて経済の根本である国家経済全体の個人消費性向増強を通じて景気
   回復に極めて役立つのです。
   さて「カネは命についで二番目に大切なもの」と世間では良く言われていま
   す。刑事事件でもましてや民事事件ではその大部分の事件の動機は「カネ」
   が原因で起こっていることは皆さんが良く知っている通りなのです。 
   それくらい人間の本能の意識や行動に金銭問題は根本的に強い影響を与える
   のです。
   したがって「金融政策や財政政策」は国民の一部しか関心がありませんが
   「税金」は「国民一人一人に自ら所有するカネに対して徴収形態の如何にか
   かわらず等しく強制的に徴収される」ため、極端に関心が高く、しかもそれ
   に対する防衛本能、節税努力と日本国民の順法精神の国民性も重なり国民一
   人一人の経済行動へ強い影響を与えるのです。
   この現実から、カネで運営される日本の資本主義社会では人間の経済活動を
   国民にとって良い状況を保ったり成長させたり活発化させたり、コントロー
   ルする目的を達成するには「国民一人一人に等しく強制力を持つ税制が基幹
   システム(主要な手段)」になり「金融政策と財政政策は間接的な微調整手
   段」とならざるを得ないのです。
   「税」は単に国家の運営経費を賄うために必要なもの以上に、人間の社会経
   済活動を最善へ導くための動機付けに決定的な影響力を持つ「非常に役に立
   つ最良の道具」なのです。
   したがって政策担当者やマスコミが陥っている、「まことしやかな通説理論」
   による「所得税や法人税等の直接税を減税して本格的景気回復を達成する」
   という甘い計画では全くの逆効果であり経済の本質を良く理解すれば、これ
   は長い目で本格的な不況を招く政策以外の何者でもないことが理解されると
   思います。
   経済の本質を良く理解すれば、真実は所得税、法人税などにおいて経費の限
   度計算などを撤廃しながら「直接税を相当程度増税」(特に最終消費者であ
   る人間に対する所得税は累進構造を強化)し所得配分機関としての国家の役
   割を十分発揮させることによって国家全体としての消費性向を強力に増強
   (中低所得者層は個人消費力が極めて高い上、人数も膨大であり、わずかな
   所得の増加によって企業の販売へ極端に多く貢献する)させる。
   更に環境道徳、健康道徳など課税理由が明確な個別間接税を除いて個人消費
   に課税する一般間接税を廃止することによって「進化システムによる個人消
   費の無限の自己拡大原理を強力に回復させて経済活動を活発化する」ことの
   相乗効果で個人消費の持続的増大を図り、企業業績の継続的な向上に役立て
   る。
   それによって本格的景気回復とデフレの解消と財政再建を果たし、企業倒産
   を減少させ国民所得を増加させ、失業率の改善や、金融不安の解消や株や土
   地の価格を安定させ、更に預金金利上昇の切り札になり経済的弱者を豊かに
   することによって、経済的強者の所得獲得チャンスを更に増加させ、全国民
   を等しく幸福へ導く「人間の特性を信じる万能の政策」なのです。
   つまり進化の結果、豊かな自然と人類を生みだした「自然システム」も実は
   「進化システム」なのです。
   たとえば一つの試案として現状の景気に強い悪影響を与え、強い逆進性を持
   つ5%の消費税の総税収(国税+地方税)年間12兆円を全廃・減税すると、
   国民と企業を覆っている強い閉塞感が取り払われ、更に厳しい資金繰りに追
   いつめられ、複雑な消費税計算と資金管理と納付に苦しんでいる正直に誠実
   に努力している膨大な数の企業の無用のエネルギーが全く不要になり本業に
   力を注げるのです。
   そして国民の理解を得て、現状税法の中で複雑な事務手続き無しに簡単に実
   現できる全所得に新たに別途3%(国税+地方税)の一律所得税率アップが
   可能になれば、給与所得者から年6兆円の税収が確保され、それ以外の個人
   事業所得等と法人所得からも年2兆円程度の税収が可能になるのです。
   そして残りは直接税の累進税率の強化によって4兆円の税収を確保し、国全
   体としての個人消費性向を強力に増強すれば景気回復を図れるのです。
   更に理念観念によって形づけられた日本のあらゆる諸制度が「結婚し子供を
   産み育てる普通人々」の競争条件が不利になっている証拠である合計特殊出
   生率の異常な低下を是正するため、まず税制において国民各層の年齢別、ラ
   イフスタイル別の生存のための基礎的な競争条件、例えば高齢者を異常に有
   利にしている「年金の雑所得化と公的年金控除」や高額な老年者控除や特別
   障害者に対する充分でない特別障害者控除など個別対応の原則を元に詳しく
   調査し、世代間やライフスタイルによって不均衡の生じないように「面倒で
   も、扶養控除以外のあらゆる諸控除を徹底的に見直した上、個別対応として
   医療控除や介護控除や次世代の子供にかかる教育費等リスクが大きく文化的
   に生きるために必要最低限の実額控除を不合理にならない範囲で徹底して採
   用し」更に所得税も法人並の「所得の総合化」つまり「競争条件の同一化」
   を図りながら「大多数の正直に誠実に勤勉に生活する納税者・国民の権利を
   擁護し一人一人の人間に諸制度を平等に適用し生き残りの競争条件に不均衡
   を与えない原則」を遵守し、言論の厳しい自由を遵守しているアメリカと同
   じ「納税者番号制の導入」によって税収漏れを的確に防ぐ体制を作り上げれ
   ば、経済に悪影響を与えない税制システムによって、景気回復を強力に進め
   ながら結果として税収増が実現され財政再建が果たされ税制効果による合計
   特殊出生率の向上の一助にもなり日本の未来に展望が開けるのです。
   良い悪いは別にして核兵器でさえ管理体制を充実させ、しっかりと管理して
   いる国家があるというのに、納税者番号制すら導入できず、一部の悪質な脱
   税者を野放しにしている日本の「納税者番号制の無い」劣った管理体制を擁
   護しているのがリベラルな論客であることは悲しいことです。 
   誠実で正直な納税者に損失を与えている新聞紙上に度々取り上げられている
   悪質脱税実行者(規制に守られた特権階級者も多い)を厳しく取り締まるこ
   とは、誠実で正直な国民の代表者で成り立つ国家の当然の義務ですらあるの
   です。悪しき副作用を心配しすぎてはいけません。
   日本の民主主義を信じ、情報公開法やマスコミを信じ、万一副作用が発生し
   た場合は自浄作用で対抗し、納税者番号制の不正運用者を厳しく処罰すれば
   良いのです。
   さて所得税の増税は消費税と異なり少なくとも逆進性は全く生じ無い上、個
   人消費への規制は全廃されるので実質的に全商品と全サービスが一律5%値
   引きとなる上、個人消費への規制が無くなり進化システムが復活し、個人消
   費の増大が開始し、結果として国民所得の増加が開始し、少し時間を要する
   が確実に景気が回復するのです。
   そして国民のフェアーな経済競争の中で資本主義的正義を、国家が直接税制
   で果たすためには、間接税制より精密な調査体制が必要であり、税務署職員
   の増員については、国家の他部門や地方公共団体の税務部門よりの配置転換
   によって、まかなうべきなのです。
   但し間接税制では膨大な民間の徴税コストが必要であり、それが全く不要に
   なることは、官民合計の徴税コストは税務署の増員に拘わらず国家全体とし
   ては、大幅に低下し、膨大な民間経費が大幅に節約されることを付け加えま
   す。
(7)本書は「人間にとって参加の自由と対等に平等な競争(協同)条件を厳守す
   る」ために「直接税の適切な増税と一般間接税の廃止」という「良薬は口に
   苦し」の政策の実行が、何故「日本の国情と国民へ適応した国の進化と発展
   の基礎となる力強い経済成長の切り札」になるのかを「理論化し国家間のデ
   ーターをもとに立証し解説している」のです。
   つまり主要先進大国の税制問題においては「直接税の減税と、間接税の増税」
   は、国家間の現実の経済競争においてP153に掲載の通り最悪の結果が出
   ると分かっているのに、日本の国家経済成長政策の基本となる「税制」を無
   理矢理、最悪の方向へ導き破滅的な結果をもたらす愚かさを本書は強く警戒
   し、解決策を示しているのです。
   本書は何故この様な結果が出るのかを詳しく分析した上で日本の経済政策と
   税制において国家国民の進歩と発展の為に必要なシステムや哲学を解説し
   ています。
   本書で指摘のように国家は、国民が支持すれば何でもやれるし何でも出来る
   のです。やるやらないは、国民の意志で行動すべき「国会議員の意志と行動
   のみ」なのです。
   さて持続的な経済成長を達成するためには、「質の良い供給力の増強を目指
   して」、国家による「教育の増進」に伴う科学技術の発達と、民間による研
   究開発と設備投資、更に生産現場における生産性向上運動、改善提案制度、
   TQC、VA、VE、ZD運動などの「真実と事実に即した道具を使用して」
   「質の良い供給力の増強と生産性の向上」が図られています。
   しかし同時に、この供給力の増強を受け入れる「質の良い需要力の増強を図
   らなければ」失業とデフレと不況に見舞われるのは、経済的に至極当然の事
   なのです。 
   そして質の良い需要力を実現するには国民所得を増強する以外に方法が無く、
   それには原資となる自分自身の意欲で自己拡大できる個人消費の増強以外に
   方法は無いのです。
   つまり「個人消費の増強が先にあって」それが時系列的に後から等価に所得
   へ増強変換されるのが経済活動の等価変換原理なのであり、個人消費―>所
   得―>個人消費―>所得の無限連鎖で「個人消費の自己拡大が核になり」カ
   ネは天下の回りもののスパイラル的に個人消費が所得へ回転増強するのが経
   済成長の仕組みなのです。
   そこで民間では個人消費を増強するために、莫大な広告宣伝費を使用し莫大
   な販売促進費を使用してコストを掛け個人消費増強を実現するように努力し
   ているのです。
   だからこそ国家は税制政策、財政政策、金融政策の三位一体の経済政策で個
   人消費の増強を図り、供給力の増強スピードに追いつくよう努力する義務が
   あるのです。
   この「当たり前の実体経済の原理原則を理解しなければ、経済を語る資格は
   無いのです。」
   つまり日本のエリートが「人間社会の現実や事実から遊離した」「理念や観
   念に基づく頭の中で考えた税制のあるべき姿」ばかりを追い求め、冷徹な競
   争原理と進化システムの働く市場経済の資本主義を無視し、現実の社会に適
   応している直接税中心主義を離れ、間接税制の推進に固執したいならば「公
   平、中立、簡素とか直間比率の是正などという言葉やコンセプトの羅列では
   無く」まず個人消費を抑圧する効果を持つ間接税制が「景気回復、デフレの
   解消、財政再建、失業率の改善、金融不安の解消、資産価値の安定など」に
   「真に役立つことを真実と事実に基づき理論化し、検証し立証する義務」が、
   「国家にもマスコミ」にも今正に求められているのです。
   これが出来なければ国民へ不幸を招く直接税制の縮小と間接税制の拡大を目
   指してはならないのです。 
(8)最後に国家の税の役割を「適正・公平・公正な課税」とか「恣意的で無い」
   課税とか「理念や観念」にとらわれすぎない事を強く望んでいます。
   税が恣意的である証明として「毎年のようにその時の事情によって恣意的に
   変更される税制や」「各国で全く異なる税制は、税が人類共通の概念ではな
   く、その国々の状況に応じて全く恣意的な存在であることを示しています。」
   それではまず何のために、税が存在するのか「税の存在する目的」を明確に
   しなければなりません。  
   税は国家の運営費用を徴収する目的と同時に、国家を繁栄させ国民の幸福を
   実現して自己回帰的に国家を発展させ、税収を増大するように仕組む目的で
   存在しなければなりません。 
   税制の目的は「参加の自由」と「対等でフェアーな競争」と「競争力均衡化
   原則」に則り「国家の運営費用をまかないながら」「資本主義自由主義経済
   において人間の幸福と企業の安定的存在と発展」を促進するという「目的」
   のために「恣意的」でなければならないのです。
   このことはくれぐれも国会議員と中央官僚が「税制に対する心構え」として
   心に刻まなければなりません。
                                目次へ戻る

(民間企業の国際競争力は強すぎるのに比して、極めて弱体化した国家組織の国際
 競争力を強化する税制改革の必要性)

 そこで日本の事実と現実を基礎に「真の実証分析」を行った上「理論を構築」し
「持続的な経済成長へ真に役立つ、全く新しい視点を持った税制改革案」を、過去
に日本とアメリカで成功済みの実例と成熟経済における間接税の個人消費増加阻害
要因と経済成長阻害要因の危険性に鑑み、歴史的に永年研究理論化されてきました
直接税を更に理論的に補強し再提案しており、全て我々大衆が直感的に本能的に理
解できる具体的言葉で作り上げております。
 さて上記に述べたような基本を明確にしないまま、従来の税制改革は立案されて
きたため、実は根本的な部分で誤りが多く、膨大な国民の血税と、膨大な時間を費
やしても、殆ど効果を現さないのです。
 ここ十数年、度重なるその場しのぎの理論的根拠のない「直接税の減税政策」と
「消費税の増税政策」を税制改革の名の下に何回も実施したのですが、結果として
逆に景気回復は実現するどころか不況がますます深刻化し、「消費税の導入までの
25年間で265兆円だった国債を、財政再建のための消費税導入にも拘わらず、
わずか11年間で401兆円増加し666兆円の国債残高」という信じられないほ
どの巨額な「国民の借金」を増やす政策効果をもたらしたのでは、財政は再建どこ
ろか破滅状態に落ち込み国債の格付けは先進国最下位になり、今はかろうじて持ち
こたえるにしろ、未来の国民の返済負担が大幅に増えるので、未来の国民が返済に
耐えられるのか、日本の未来に真っ赤な危険信号が点灯し、国民を不幸に陥れるだ
けで真に国民の幸福を追求する政策には全くなっていないのです。
 為替相場は強すぎるほどの円高と先進国最悪の国債の格付けという二律背反の市
場からのメッセージは「経営体」としての「民間企業の競争力は手助けする必要が
全くないほど強力」であり、逆に「経営体」としての「国家の競争力は、どうにも
ならないくらい弱体化し最低」であることを、区分区別して恥ずかしいほど明確に
示しているのです。
 現状では手助けする必要のないくらい競争力の強い民間企業の国際競争力向上の
提言を国家が声高らかに出す前に、国家自らどうにもならないくらい弱体化した国
家組織の競争力向上の提言を行い、範を示して実現した上で、始めて民間企業の国
際競争力向上の問題を議論すべきなのです。
 そこで本書は「経営体としての国家の競争力向上」を対象に「進化システムを活
用する各種の提案」を行っており、特に最も効果の高い「進化システムを活用した
税制改革を強く提言」し日本国の経営体として「国家競争力」の強力な向上を提案
しているのです。 
 そこで国家の歳入の基本であり、国民と企業の経済活動に密接に関連する税制の
中で、間接税を強化したり、直接税を減税し累進を緩和すると何故深刻な不況にな
るかを「事実と論理で証明」し、更に直接税をどう活用し、間接税をどのような位
置づけにすれば、持続的な経済成長と強力な景気回復をもたらし、結果として税収
増による財政再建が可能になるかを実証的に理論的に証明しているのです。 
 そこで現代経済学は全経済分野のわずか一部分にすぎない金融、財政政策で「一
時的に」効用があるだけで、全く日本経済を救えず、本書で述べる「進化システム」
こそ「持続的に」需要の増加と供給の増加を促進し、税制や規制や経済に関係する
あらゆる分野に強い経済成長作用をもたらし、人間の全能力を強力に発揮させるの
で、日本経済を確実に救えるのです。

 さて国民が真に幸福に感じる経済政策とは何であろうか。
 それは誰でも自分の希望に近い職を得られること、可処分所得が少しづつでも毎
年増加すること、自らの生存環境が毎年少しづつでも改善すること等という不可能
に対する挑戦なのです。
 これを成熟経済において常時実現し続けるには、その根本的な解決方法は人間の
幸福になりたい、新しい物が欲しい、生き残りたい等という人類のみが持つ強い過
剰性の本能を「競争という概念」と「競争力均衡化の概念」の中で自然に発揮させ
ると自然に適正な方向へ発展拡大していくので、「1億2千万人国民一人一人の個
人消費(商品とサービス)の増加の完全な自由」(課税規制は国民の幸福に反する
場合の個別規制に止める)を認め国民一人当たりの「需要の自然増加」を容認し、
更に人間の好奇心の本能による科学技術の競争による進歩に基づく労働生産性の向
上によって「供給の増加」(規制は国民の幸福に反する場合の個別規制に止める)
を果たし、両者を国家が資本主義貨幣経済を通じてシンクロナイズさせ結果として
国民所得の大幅な増加を達成し「経済成長」を実現するのです。
 その根本はいづれも人間自身が持つ本能を利用し、全能力を引き出す競争概念を
中心とする進化システムの利用によって達成することが、最も強力で且つ危険を避
け、総合的に均衡の取れた経済成長になることを理解しなければなりません。 
 言葉を変えれば生き残りを目指す自分自身の欲求は「競争を通じて」自分達自身
で適切に努力すれば自己回帰的に達成出来るのです。
 そのような特性は本来人間に備わっており、したがってその解決方法(国家運営
方法)を示し、これを具体化する国民、企業、国家のあり方と「均衡の取れた経済
成長政策の実現方法」を本書は詳しく解説しているのです。 
 さて人間誰しも誤りはあるのが普通であるし、国家が誤りをおかすのも、また普
通のことなのです。  
 ただ誤りと分かったときは「誤りを正すのに、はばかる事なかれ」であり「失敗
は成功のもと」なのであります。 
 誤りを見つけたら直ちに正しい方向へ進む人達を責めたり責任をあげつらったり
してはならないのです。 
 説得すべきは誤りを認識しても頑迷に現状に固執したり正しい方向へ進む人達を
妨害したり日和見をする人達です。      
                                目次へ戻る

(進化システムの中心である競争概念の重要性と、少子化の原因である普通のライ
 フスタイル取っている人達の全競争条件を不利にしない原則の重要性)  

 したがって本書は「事実と現実に則った明確な理論」を基礎に確実で持続的な経
済成長を達成する理論を記述し国民と企業に奉仕する経済学の立場から経済成長に
真に効果のある政策と税制を研究する方々の勇気と奮起を強く期待しております。
 さて経済成長の停滞、少子化を始めとする日本の停滞、衰退の原因は日本のトッ
プ層が特に保有している競争意識の欠如と目的意識、結果意識の希薄さが原点にあ
ります。
 例えば一人の赤ちゃんが誕生しなければ20年後に一人概略年間300万円の国
民所得(個人消費+設備投資)つまり企業販売が永久に失われることを、意味して
いることさえ、議論にならないのは悲しいことです。
 現状行われている公共事業や設備投資は実は100年後には全く不要になるどこ
ろか重い維持負担にもなりかねないのです。
 まず赤ちゃんの誕生を目指さなければ日本の未来は無いのです。
 現状の合計特殊出生率の極端な低下に伴う少子化は若い人達が結婚して子孫を作
る当たり前と思われていたライフスタイル自身が肉体的、精神的、経済的な教育費
や生活費及び家族数の増加に伴う消費税負担の急速な増加など生き残りのための競
争条件上極めて不利であることを若い人達が実感している結果に過ぎないのです。
 他のライフスタイルや高齢者の方が生き残りの競争条件がはるかに有利なのです。
 福祉制度自体も子供がいることにより福祉老人ホームへ入れないなど不利益は計
りしれず高齢になったとき子供がいるために実質的に受給出来ない福祉制度が極端
に多いのです。
 単純に「人道的というコンセプトを連発し」各種の制度を「普通のライフスタイ
ルを取る人達」を不利にした結果が国家自身に合計特殊出生率の極端な低下として
自己回帰しているのです。
 受給者を子供がいるいないで差別しており「フェアーな生存競争」が確立されて
いない結果が出生率の低下の一つの原因なのです。
「切迫した生命の危機に対処する以外」人道的というコンセプトで財政負担を伴う
政策を安易に立案してはならないのです。
 いない結果が出生率の低下の一つの原因なのです。

 さて理工系学問が新しい事実や現実に遭遇するたびに「進化システムによる
厳しい競争にさらされているため」停滞すれば淘汰され脱落するので、これに
挑戦し、新技術や新理論が開発されるのに対して、日本の社会経済制度を支え
る文科系の学問が「既存理論や概念の解釈学」に甘んじ科学として認識する意
識が薄いため「真実や事実を追究しようとするフェアーで強烈な競争意識が存
在せず、実質的な競争が行われず」マスコミや学会は既成概念を都合良く解釈
する現状維持の姿勢が強く、真実や事実を詳しく分析して、真実や事実によく
適応する新技術や新理論を開発して旧理論と厳しい競争を行う社会慣行が無い
ところに、日本の文科系学問の進歩が無いのです。
 同様に「国会議員個人の政治行動が政党などの影響力に抑制され自由でフェ
アーな個人間の競争原理が整備されていない」ことが日本の社会経済制度進歩
の方向性を混迷させ現実に適応できない多くの結果をもたらし日本の停滞と衰
退の原因となっていると断言出来ます。
 強烈な自由平等(対等)競争こそが人間を含めた全生物生存の「進化発展エ
ンジン」なのです。

 民間企業は進化システムの外部企業間競争(P172参照)の中で「自ら永続的
に生き残るために」他社より「安くて、品質の良い、品揃え豊富な商品やサービス
を消費者(国民)に提供する」という、全ての企業が達成できるはずもない論理的
には不可能な競争に企業社会は日夜挑戦しながら、消費者に支持されたものが自己
発展していくのであります。
 そして国家は独占組織であり組織同士の外部競争は不存在だからこそ「構成員個
人による内部競争(P252)を遵守し進化システムを作動させ」憲法で明らかな
如く「国民の幸福を追求する権利を実質的に実現すること」という不可能と思われ
ることへの達成競争を「国家目的」として政策努力するところに経済を自己拡大出
来るのであります。
 ところが日本国の意志決定に進化システムの「個人による内部競争が全く作動し
なくなってきた」ところに日本国の自己縮小と混乱と停滞と衰退が生じていること
も政治改革の必要性を表しています。 
 特に誰に指示されたわけでもないのに、日本から優秀な企業が次々と輩出され、
更に優秀な科学技術が自動的に進化発展して生産力が自己拡大していることは、日
本の民間企業分野、科学技術分野に参加の自由に基づく競争原理を持つ進化システ
ムが強力に働いている証拠であり、逆に「個人消費が増加しないのは」経済の出発
点である個人消費という参加の自由の進化システムに「参加を妨害する課税による
規制抑圧が存在する証拠」であり、これを取り除かなければ、生産力ばかり規制緩
和して増強しても「有効需要の原理」で明らかなように個人消費の規制緩和を行わ
なければ両者に大きな不均衡が生じ日本の経済の発展は大きく阻害されるのです。

 さてスポーツの世界でも「膨大な競技人口を持ち参加の自由が保証され、フェア
ーな競争がシステム化されたスポーツ分野」では激しい競争の中で、選手が厳しく
鍛えられ優秀な選手が自己拡大し多数生まれ、その中から例えば野球界で言えばイ
チロー、佐々木、野茂などの世界に通用する超一流選手が誰に命令された訳でもな
く自然に輩出され同じくサッカー界でも中田、小野、稲本などが誰に指示された訳
でもないのに、黙っていても自動的に輩出されるようになるのです。
 これこそが進化システムなのです。
 したがって我々は国家政策として、常に「進化システムに対する完全な参加の自
由の保証と徹底したフェアーな競争環境」の整備をあらゆる分野に施す努力をしな
ければならないのです。 
 日本に優秀な経済政策が立案されない真の原因は国会議員一人一人に対して国会
内における進化システムである政策の立案に「参加の自由」と「対等に平等な」
「フェアーな個人競争」環境が全く備わっていない証拠なのです。
 つまり超エリートのテクノクラートが主導する全体主義国家、共産主義国家、エ
リートが主導する民主主義の体裁を持つ官僚統制国家では全体を制御し政策を立案
する、少数の実質的な権力者が存在するが、彼らは絶対に全体を知り得ないゆえに、
少数者の利益を優先するために全体の経済環境へ適応する政策の選択に誤りが多く
経済成長が必ず停滞し国家間の経済競争に敗れていくのです。
 これは「成熟経済において経済成長を維持するには」、国民と国会議員の中に実
質的な権力者が存在せず「進化システムにおける全員の参加の自由」と「個人によ
る内部競争方式」による「競争力均衡状態(P238参照)における」「フェアー
で活発な競争を忠実に遵守して政策を選択する度合いが高い国家」であればあるほ
ど、自分達自身の経済環境に適応する良い政策が選択される可能性が高く、したが
って高い経済成長が実現できるのです。
 つまりこの様な完全な進化システム原理で政治経済を完全に運営している国家は
現在世界に存在せず、かろうじて唯一アメリカが不完全ながら「アメリカ建国の思
想」から、無意識的に進化システム原理に非常に近い形で国家が経営されている唯
一の国家なのであります。  
 そこで日本はこの進化システム原理を意識して活用する始めての国家になるべき
であり、実現できれば未来においてどのように発展した成熟経済になろうと常時国
民が求める自然な経済成長は可能となるのです。
(税制改革)と(政治改革の必要性)
                                目次へ戻る

(資本主義国家は資本主義的利己的意識と利他的意識に均衡が取れていないと発展
 できない原則があり、それを実現する税制改革と政治改革の重要性)

 日本経済の混乱と停滞と衰退を救う本書が提案する方法は、国民一人一人、企業
一社一社は各々利己的意識、競争意識で行動することは当然ですが、逆に国家は全
国民と全企業をチームの一員として考え、全体を対象としてフェアーに活発に競争
させ続けるためには出来るだけ多くの人間や企業を競争の中で生き残らせ続けなけ
れば個人消費も生産力も増強された上での競争にならず、利他的意識と協同意識で
行動する仕組みを意識して整備しなければ成熟経済においては後ほど詳述する「適
度な経済成長」は達成できないのです。     
 したがってこれを達成するために以下の四点を厳格に組み合わせた政策目標を掲
げ最善に近づく努力をすべきなのであります。

(1)つまり経済成長を常時達成するには、個人消費が常時増加しなければならず、
   人間しか行わない個人消費が常時増加するためには、国民所得が常時増加す
   る環境で、それを少数の人間に独占させず、全ての人間対する所得配分が不
   合理にならない範囲で競争力を均衡状態に近づくように、つまり出来るだけ
   多くの人間や企業が対等な競争者として存在できるように常時仕組まなけれ
   ば経済が発展出来ないことを意味しているのです。
   さもないと競争に対する参加の自由が実質的に制限され活発な競争が起こら
   ず強者のみが独占し自己回帰的に進化システムである個人消費の常時の増加
   や進化など多くは望めないからです。 
   そして多くの企業を生き残らせるのは、突然変異で経済進化の芽や科学技術
   進化の芽が生まれてくる確率が一定ならば、その膨大な存在の母集団の大き
   い方が突然変異による経済進化や科学技術進化の確率が高まるからなのです。
   そこで全ての経済、社会制度(法律)の中心概念に国民一人一人、企業一社
   一社に「経済、社会の進化システムには参加の自由と対等に平等で活発なフ
   ェアーな競争(競争の為の協同も含む)を作り出すため」の「適切な規制緩
   和と規制強化を行った法律(ルール)」を定めること(結果として個人消費
   の増加環境の整備も含まれる)、次に国家の機能として「形式的にも実質的
   にも競争力均衡状態を出来るだけ作り出すため」の「適切な規制緩和と規制
   強化を行った法律(ルール)」を定めること(結果として次回の順調な個人
   消費の増加のための競争力が均衡する方向での所得配分の整備も含まれる)、
   更に「国民全体の幸福を追求する事に役立つための」「区分、区別に応じた
   適切な規制緩和と規制強化を行った法律(ルール)」を定めること、最後に
   全国民の個人消費を通じて市場に創出された資金が不正な人間や企業によっ
   て不正に隠匿されたり、国内経済システムから資金が不正に大量に漏れ出さ
   ないよう全個人、全法人につき納税者番号制で管理しなければならない。
   これは現実にいくら経済援助で資金をつぎ込んでも一部の特権階級を潤すだ
   けの経済運営がうまくいかない発展途上国援助の失敗の一つの大きな理由に
   なっており民間企業経営における「管理の利益」と同様、国家経営における
   「管理の経済成長」を支える大きな柱なのです。
   したがって経済成長を維持するためにも極めて重要であり「カネは思想、信
   条も無い無色透明なものであるから」納税者番号制は善良な国民に利益を与
   えこそすれ不利益とはならず、逆に悪人を自由にする資本主義は深刻な不況
   を招くことは世界の実例が示しており、しかも完全な自由を認める以上悪が
   はびこり不正の温床になることを防がなければならず、資本主義的正義をし
   っかり確立する体制を整備する法律(ルール)を確立することは必要不可欠
   である。
   もちろんプライバシーを守ることは重要であるが、既に不動産の公示制度や
   各種の公示制度すら有効に機能しており公示をするわけではないので、国民
   的議論を行い必要最小限度の規制の上至急実施すべきであります。
   またコンピューター社会の到来で、国民一人一人、企業一社一社を管理して
   いる殆ど事務作業しかしていない公的機関の非能率、非効率の根本原因は、
   必要最小限度のデーターを縦割り行政によって、国民に別々に求め多くの公
   務員を雇用してこれを役所別に手作業で管理し、例えば住所変更すら関係す
   る多数の役所別に国民へ届け出でを義務づけ役所別に多くの公務員を雇用し
   て管理している事が最大の原因なのです。
   国家の事務の合理化は国民の手間の負担と行政人件費の負担を減少する最大
   の効果を発揮するので、そのような視点からも「納税者番号制は膨大な人件
   費負担をしている官庁事務の合理化つまり税の無駄遣いの廃除の重要な課題」
   になります。
   この様に「明確な目的意識を持った法律(ルール)」をあらゆる経済、社会
   分野で徹底的に整備すると、後は黙っていても、その法律(ルール)に基づ
   き、国民や企業は自らの本能と意志と意欲によって自動的に能力を磨き、能
   力を発揮して、日本を進化し良い方向へ発展する常時経済成長する国家へ自
   動的に作り上げていくのであります。 
   そして国家は法律(ルール)通り国家が経営されているかどうか、自己チェ
   ック体制を強化すれば良いのです。
   国家は自ら何かをしなければならないと考えるのは、わずかに国家の専管事
   項(例えば外交や防衛や司法など)だけであり国家の大部分の分野は民間が
   行うので、国家は法律(ルール)やシステムを以上のようにしっかり作って、
   民間に任せさえすれば諸分野は自動的に進化し拡大し良い方向へ発展してい
   くのです。
(2)「失業率」と反対目標である「インフレ率」の同時低下に強い努力を傾ける。
   「失業」とは我々農耕民族では「飢饉」「飢餓」「大凶作」に当たるのであ
   り、頭の良い人、悪い人、身体が頑健な人、虚弱な人、コンピューターが好
   きな人、嫌いな人、自然が好きな人、人工的なものが好きな人など、正直で
   誠実で勤勉なあらゆる普通の国民に国家は「職場」を提供し、国民を飢えさ
   せないように努力しなければならないのです。 
   それには「経済に過剰性の増進」がどうしても必要になるので、「個人消費
   の拡大」は絶対に必要になるのです。
(3)合計特殊出生率については2.0−2.1に近づける政策を取る。
   国家を維持するために必要な条件であり、多すぎても少なすぎてもいけない。
(4)貿易収支のゼロを目標とし、為替相場を購買力平価に近づける政策を取る。
   これは国内外の企業の競争条件を均衡化する大原則だからであります。

 以上を「政策目標とし、これらに完全に役立つ政策を立案し実行する努力をすれ
ば」成熟経済でも経済成長は十分可能(自然に経済成長する)であり、結果として
個人消費と企業売上は順調に増加するので、税収増加による財政再建は達成され、
結果としてアメリカにも外資にも、外需にも頼らず「日本自身の内需の増加だけで
バランスの取れた産業構造と経済成長と財政再建が完全に同時に達成できる」ので
す。
 これが英知を持つ社会的動物としての人間が作り上げた「成熟経済における経済
成長」の真のルールなのです。
 特に進化システムを強く意識した税制改革は重要な手段となります。
(税制改革の必要性)

                                目次へ戻る

(経済成長のための進化システムを遵守した単純で正しい政治改革の方法)

 さて本書は日本の社会経済の根本的な改善を目指す手段として、第一点は「国家
の経営システム」である「政治システムの進化システムによる真の改善」と、第二
点は本題として前段にも後段にも詳述している「消費税という有効需要の原理に反
し個人消費を規制し総需要抑制政策として機能している税制」を「直接税中心の総
需要増進政策として機能する税制へ改善」することの二点が重要と考えております。
 本書の政治改革、経済改革の理論は「生物を進化発展させている進化論から理論
化された進化システム」と「人間の健康を維持するために身体に悪いものを判別し
廃除する免疫システムと生体防御反応から導き出された善悪、適不適の区分、区別
と廃除の重要性の認識」という身近に科学的に理論化されたものを根源として、こ
れを人間社会でも実現し、人間社会の正しい方向性を持った経済成長システムとし
て理論化したものであります。
 圧力団体の影響を強く受けているアメリカ政治の欠点と、極端に消費好きの国民
性のために、小売り売上税という小売業、飲食業に特定した小規模一般間接税制
(限定的ではあるが個人消費に対する規制)を持つアメリカ税制の経済的弱点(日
本には既にアメリカの小売売上税に匹敵する、課税理由が明確な個別間接税として
ガソリンおよび自動車関係間接税、タバコ税、酒税があり、これ以上の間接税はア
メリカとの経済競争には決定的にマイナスである)を乗り越え、「進化システム」
を活用し、一度は日本が経済競争に勝ちそうになった、世界一の経済成長力と世界
一の競争力を持つアメリカ以上に、経済的に豊かで且つ地球の未来環境に適応でき
る国家へ進化発展すべきと提言しているのです。
 そして日本が 暴走しそうな時は、アメリカ国民から忠告して貰いアメリカが暴
走しそうなときは、日本国民が忠告するような、アメリカ国民と協調しながら対等
な競争が出来る、日本国家に改善すべきなのです。
 十数年前、世界最悪のアメリカ経済を立て直すべくクリントン政権の取った政策
が当時世界一の経済大国と言われた日本から真摯に学ぶことだったのです。
 その秘密を学び取るため日本の主力企業をアメリカへ強力に招き入れたのも、そ
の当時だったのです。
 クリントン政権は官民を上げて日本の成功の秘密、つまりアメリカが最も劣って
いた民間企業の生産技術と経営方式を日本から徹底して取り入れ、アメリカ経済の
再生と、同時に富裕層に対する直接税の増税を実施し、世界中の誰もが絶対に不可
能であると言われた財政再建に見事成功したのです。
 アメリカが適切な判断と努力をしていた正にその時に、見た目の安定税収を得る
ために、日本は「総需要抑制政策」として作用する消費税の導入という、誤った判
断と誤った努力に、国家のトップ層が全力を傾け導入してしまったのです。
 したがって日本が現在最も劣っている分野である「国家経営システム」と「税制」
について、他国の良いところを、国民の幸福の実現のために、学び取る努力をしな
ければならないのです。
 つまり自分自身が良い方向へ変わるには、自分自身が劣っている点を正しく認識
し、他の良いところを心の底から真摯に学び吸収する、当たり前の努力をしなけれ
ば自分自身を変えることは出来ないのです。
 国家と言えども同様であり、日本もその時期なのです。
 重要な点は人工的に作られたシステムは「参加の自由と対等に平等なフェアーな
競争」に基づく「自由な進化システム」の時に限って強力に自己拡大的に進化拡大
する原理を有し、それを規制すればするほど進化拡大が停滞するのです。

 さて米英の機能的国家論から、ヨーロッパ大陸諸国や日本などの優越的国家論へ
の批判でも明らかなように、国は狭い部分社会でありながら「競争もなく独占的に」
全体社会を管理するという優越的国家観による「倒産や失業という緊張感がない肥
大化した組織」が成熟経済においてはコスト的に国民が支えきれない事が問題なの
であります。
 私は成熟経済段階に達した国家はアメリカやイギリス的な機能的国家論でなけれ
ば進化発展する国家は形成できないと考えております。
 ところが大部分の日本の官僚や多くの政治家は無意識的にヨーロッパ大陸的な国
を全体社会の代表と考える優越的国家論が当然であると感じていると思います。
 つまり国内の各種の部分社会に対して国の絶対的優位性を認める論理であります。
 つまり国会を動かし国会で法律案や予算案を通しさえすれば、万能であるという
論理なのであります。
 民間では決して認められないことでも国がやるのであれば例外を認めるという原
則ダブルスタンダードの存在を認める考え方であります。 
 これに対してアメリカ的機能的国家論では国の絶対的優位性を拒否し国は特定の
有限な目的を持った部分社会の一つに過ぎないと考える立場なのであります。
 したがって国の存在理由はその活動の内容が国民にとって有意義であるかどうか
の機能性に求められるところから機能的国家論ともいわれるのであります。 
 したがってこの国家観によれば国だけ特別扱いはせず民間と同一の原則シングル
スタンダードの考え方に行き着くのであります。
 成熟経済国家では国民は益々国家に機能性を求めるようになるので、日本も機能
的国家観による機能的で効率的な国家を目指し、財政の無駄を徹底的に排除する努
力をしなければなりません。
 その上で本論の景気回復による税収増を目指す政策を同時進行し、財政再建策を
完全に達成しなければならないのです。

 さて日本人はアメリカでは自由で規制が少ないという大きな誤解をしているので
す。
 法律で規制している規制の数から言えば、アメリカは日本の数倍に達する「規制
大国」なのです。
 国家は、なんでも規制緩和すれば良いというものでは、絶対に無いのです。
 アメリカにおける規制の中心概念は「参加の自由」と「対等に平等なフェアーな
競争」で成立する「進化システムに対する実質的な妨害を排除する必要な規制」と
「国民の幸福の追求に反する」場合の「必要な規制」であり、それは想像以上に膨
大な数になるのです。
 それを自覚していない「日本の有力企業」が日本で許されている法律規制されて
いない商業慣行、社会慣行をアメリカに持ち込み、自由であると思われていたアメ
リカが実は国民が直接作り上げた陪審員制度と判例法でがんじがらめに縛られた規
制大国であることも知らず、多くの損害賠償事件に巻き込まれ莫大な損害賠償と莫
大な裁判費用に泣いているのであります。
 力の影響力の行使が自由に出来る、なんでもありの自由など日本にしかないので
す。
 日本の国民の模範となければならないトップを形成する政治の世界が正に「力の
行使」を容認するシステムとなっており、「善悪、適不適」を国会議員個人が淘汰、
選択する世界になっていないことが「諸悪の根源」なのです。
 しかしアメリカでは普通の人が規制が少ないと感じる理由は、人間の本性である
「全員に参加の自由」を認め「対等に平等なフェアーな競争」を実践し進化システ
ムを規制せず「他人の幸福の追求を妨害しない」「正直で誠実な普通の人」は、こ
れらの規制に元々抵触しないために、それらの人々は規制が少ないと感じるだけの
話しなのです。
 つまりアメリカには「何でもありの自由など存在せず」「自由放任こそ真の自由
である」であるという考え方は、全く主流ではないのです。 
 逆に「日本の規制の最大の欠点」は「参加の自由」と「対等に平等なフェアーな
競争」や「国民の幸福の追求に反する」という真の意味を理解していないために、
「規制すべきでないものを規制したり、規制しなければならないものを規制しなか
ったりすることが」、誠実で正直な普通の人が規制が多いと感じ、結果として経済
が真の活性化を果たせず、日本の経済成長の停滞や財政の極端な悪化や合計特殊出
生率の大幅な低下として、明確に表れてくるのです。
  

 さて第二次世界大戦において米英に徹底的に敗れた日独伊三国は、復興期には
「ルール重視」の米英をしのぐほど経済社会は成長したが「この三国は米英と比べ
て進化の本質、競争ルールの本質を良く理解しなかったため」「成熟経済段階に達
した現在」自国の自由競争システムが自国民の現実の社会経済環境に適応してない
ため高失業率と合計特殊出生率を改善できず、このままではわずか100年後には
アメリカは3億人以上の人口を持つ超大国として世界に君臨するが日本は再度競争
に敗れ企業の半分は倒産し、人口は六千万人以下となり東洋の小国としてしか生き
残れない。
 これは「国家経営の根本」を国民の代理人である参加の自由と対等に平等な国会
議員個人のフェアーな競争ルールによる決着で決定せず、国会議員で組織する政党
の理念観念を国会議員個人より優先し、無意味な党派性を争う政治システムを採用
している「日独伊」の共通した現象であり、特に「米」と比べて合計特殊出生率や
失業率という国民の根本的な本能と能力を改善できず、その原因は国家の政治経済
システムが進化システムによって行動する人間の本質への理解や自国民で構成する
社会経済環境に適応した競争ルールになっておらず「人間の進化や競争ルールへの
理解」「国家哲学」「論理方式」「原因究明力」が劣っている証拠であり自ら変わ
らなければこれを改善できない。  

 そして日本を不況のどん底にたたき込む転換点となったのは、まず時系列的に述
べると国民の70−80%が反対しているのに拘わらず総需要抑制政策である消費
税を導入した自由民主党国会議員(私は自由民主党支持者であるが個人的に本件は
当初から強く反対していた)と当時の官僚の判断ミスと、政党の力を増強してしま
った政党助成法を強く推進し成立させた、非自由民主党国会議員(現在の野党)と
当時の官僚の判断ミスとによるものであります。
 つまり真に国民の大多数が強く反対している政策を強行すると進化システム原理
に全く反しているので、政策が経済環境(全国民)に適応できず必ず失敗するので
あり、現在の極端な経済不況は、それらの積み重ねなのです。

 経済環境とは「全個人消費を担っている全国民」と「全生産を担っている全国民」
は自己回帰的な同一関係にあり、この「国民全体を経済環境」と表現するのです。
 
つまり税の負担者であると同時に政策の受益者である自己回帰性を持つ全国民で
構成する経済環境に、自らへ適応する政策を自らの代理人である国会議員個人同士
に進化システムの内部競争原理(内部牽制作用もある)を発揮させ競争によって立
案させ選択させる憲法で厳密に定められた採択方法を取ることが、最も自分自身を
良く知るゆえに経済環境(全国民)へ適応する政策が立案され選択される可能性が
高いのに、現実の日本の政治システムは、そうなっておらず、投票権すら無い政党
や派閥や特定の国会議員の統一された理念観念を優先し、その影響力に束縛され現
実の社会経済環境に適応しない問題点の多い日本の政策(ルール)が、誤って立案
され採決され選択されることが多く、更にこれを改善する努力が足りず与野党を問
わず「政党の統一した理念観念」(理念観念や判断基準は国会議員個人が良識と良
心に基づき各自別々に持っているのが現実であり、それをフェアーな競争ルールで
決着することが正しいのに)や「国民の真の損得ではない、政党の損得」を優先し、
競争ルールの基本を良く理解しないまま全国民を律する誤った政策(ルール)を国
会で採決したり、これを改善しなかった結果が現在に至っているのです。
 日本に官僚主導の国家体制が出来上がってしまった根源は官僚が少数の政党指導
者を説得すれば政策の国会通過が可能であるという政治システムに問題があったの
です。
 少数の者で実質的に勝敗を決定するルールでは「実質的な競争が消滅し、進化が
停止する」のです。
 多数の大衆の競争による政治はバラマキ政治となるというは、真っ赤な誤りであ
り、大衆こそバラマキ政治をすると、その負担は自らに自己回帰することを、最も
知る故に安易なバラマキ政治には過半数以上の国民は決して賛成はしないのです。
 大衆ほど現実に厳しくそれほど愚かではないのです。
 アメリカ政治は世界で最も特異な政治システムを持っており、全国組織の政党が
無く、したがって党委員長も党首も党代表も存在しないことを皆さん知っていたで
しょうか。
 そのことが独占組織である国家経営が少数の国会議員に左右されず、国会議員全
員参加による厳格な内部競争による国家経営ルールが定着したことが特別な国民で
もない多民族、多文化、多言語の非効率な地方分権国家であるアメリカ社会に進化
システムが強力に作動し、現にアメリカは強力に進化発展している真の原因なので
す。
 このように国という独占組織の内部構造が最も権力が分散されている時に、国民
が最も結束し各々国家機関が最も機能的に活動し、世界で最も強力な国家になって
いる事実は、社会的動物である人間が持つ一見不思議で理解が難しい特性(社会的
昆虫といわれるミツバチやアリにも似たような特性がある)であり、正にパラドッ
クス(逆説)の論理を正確に解明しなければ理解できないものであり、本書はこれ
に挑戦し、実証し且つ論理的証明を試みたのです。
 つまり独占組織である国家経営は優秀な管理者が制御し政策を選択するシステム
では現実社会の現場を良く知らないエリートの理念観念が優先し現実の経済環境に
適応しない政策を選択することが多いため発展せず、逆に全国民(経済環境)が選
んだ普通の代理人がルールに則り行う「競争での決着」こそ「自らの現実を良く知
る故に」その時点の経済環境に適応する政策を選択することが多く、このシステム
の時に限って国家経済は強力に発展するのです。
 結局日本でも税の負担者であると同時に政策の受益者である自己回帰性のある国
民の、代理人である国会議員個人個人の立案と単純表決による政治へ完全に任せた
方が進化システムが作動し社会経済の現実と自分自身を良く知る故に「最善に近づ
く政治、厳しい政治、復元力が強い政治」が実現出来るのです。

 国会の票決という「競争現場のシステムが」国会議員個人の「参加の自由」と
「フェアーで活発な競争」の「進化システム」で構築されている時に限って自分達
の自由競争で決定するゆえ自分達自身の政治環境に良く適応し独占組織であっても
国政は強力に進歩、発展、進化するのです。
 つまり日本国民は厳しい公職選挙法という法律によって「形式的にも実質的にも」
国家経営に「国民個人同士で参加の自由と対等に平等なフェアーな競争である選挙
権」を持っており、その参加の自由と対等な平等とフェアーな競争の度合いは「日
本ではすばらしいことに」80−90%以上であると実感しています。
 ところが衆参国会議員あわせて、わずか700名強で構成する「日本国の経営ト
ップ組織」である「経営判断を下す政治システム」が、企業に忠誠を尽くす企業内
で個人戦(競争)を行っている民間企業の取締役会と全く異なり、国会議員個人は
国会(間接的には国民)に忠誠を尽くさず、国会内の別組織である政党に忠誠を尽
くし、国会内が政党同士の組織戦(競争)になっていることが大きな問題なのです。
 民間会社でも「社長派」対「専務派」に別れ、取締役会や会社内で経営陣が組織
的に対立し争っている会社にロクな会社は無いのです。
 つまり国会議員は誰のために働いているのか、目的と票決への政党の強い影響力
の存在に問題があるのです。
 政党政治は理念と理念がぶつかり合い不毛の対立をもたらす党派性を争うヨーロ
ッパ大陸型の政治システムであり、アメリカの初代ワシントン大統領が何度も警告
した欠点を持ち、細部にわたり細かいことを決める適切な政治判断を下すには、余
りにも役に立たない政治システムなのです。
 つまり国会議員の皆様は法律で形式的な国会議員同士の平等は認められているが
「実質的にはほとんど国会議員個人同士の、参加の自由と対等に平等なフェアーな
競争による採決」は実施されておらず「政党や派閥や特定の国会議員からのお金の
やりとり」を合法化し「政党や派閥の役員人事」をからめることによって政党本位
の献金者や政党や派閥や特定の国会議員の影響力に左右される「政治システム」を
合法として採用しているため「国家という独占組織に適用される個人による内部競
争原理による進化システムが作動しないことが日本の諸悪の根源」なのであり国会
議員個人の参加の自由と対等に平等なフェアーな競争度合いは20−30%しかな
いと実感しています。
 献金者の意向を重視するカネ集めのうまい国会議員でなければ影響力を行使した
り、政党の幹部になれない悪しき日本の政治慣行を根本的に打破するために「政党
の機能」は、その本来の機能に限定すべきであり政策の立案機能と決定機能つまり
国会の採決機能は日本国憲法の趣旨から明らかなように政党機能から取り外し、国
家議員個人の自由意志で行えるよう規制強化をすべきであります。
 政党は似たような政治哲学を持ち、個性豊かな国会議員同士が雨露をしのぐ「家」
のような役割を持つものであり住人の意志や意欲を束縛したりしてはならないので
あって各人の良識や良心を尊重しなければ「真の競争」には役立たないのです。
 政策の立案と決定機能は、国家という動きの鈍い独占組織に進化システムを強力
に作動させるために最高裁の判事のように何人からも影響を受けないフェアーな環
境の中で、国民の代理である国会議員個人個人が良識と良心に基づき法律案を立案
し国会内で内部競争(採決)で決着するべきことが日本国憲法41条から44条と
49条から51条によって本来厳しく法定されており「個人中心の公職選挙法と同
一の精神」を中心に据えるべきとしているのであります。
 このように政治システムを「政党という組織中心の悪しき政治慣行」から「本来
の国会議員個人中心の政治慣行」へ改善すれば「真理は細部に宿る」のであるから
政党の理念観念に煩わされることなく社会経済環境へ適応しない法律の不備を「遠
慮会釈無く気づき次第、ドシドシと改善提案出来るようになる」のです。 
 更に国会議員も憲法の趣旨に従い国民と国権の最高機関である国会にのみ忠誠を
尽くさなければならず、間違っても政党や派閥やその幹部や特定の国会議員やその
他の利害関係者に忠誠を尽くしてはならないのです。
 現状の政治資金規制法が実質的に法規制のギリギリのところで献金者の意向を重
視するカネ集めのうまい国会議員の政党内における実質的な影響力を強めることを
認めていることが問題であります。 
 政党がこの様な点を真に改善し、社会経済環境(全国民)へ真に適応する法律案
を提案できる、個人として「真にプロ意識を持った国会議員」が誕生すれば、それ
らの国会議員が集まって形成する政党は、「真の国民政党」として国民へ迎えられ
ると確信しています。
 重要なことは、これをサポートすべき「マスコミの役割をマスコミ自身どこまで
自覚するか」に掛かっているのです。
 
 つまり国民は「投票」に関し1000円のお金のやりとりでも買収容疑で逮捕さ
れるのに、採決の「投票」をする国会議員は、1000万円のお金のやり取りをし
ても政治資金規制法の報告さえすれば合法なためにカネまみれの政治状況が出現し
ているのであり、更に特定の国会議員や政党、派閥などの組織的影響力の行使を合
法とする「実質的に参加の自由と対等に平等のフェアーな競争が出来ない国民の代
表で成り立っている政治システム」が過去に日本の社会経済環境に適応しない多く
の政策決定をもたらし「進化システム原理に反し」日本の社会や経済へ適応できな
い政策を選択してしまい、更に議員の不祥事が度々起こる「根源的原因」なのです。
 この政治システムでは国会議員は、自らの生き残りのために影響力の行使できる
地位につくことへの努力に主要なエネルギーは費やし努力しても成功の確率が低い
肝心の社会経済環境へ適応する政策の立案や選択には努力を費やさなくなるのです。
「影響力の行使を合法と考える国民性」を持つ日本では「個人による内部競争原理」
を作動させる強力な規制強化が必要です。
 合計特殊出生率や失業率問題ばかりでなく日本の社会経済システムの根本的な部
分を進化システム原理で大きく改善しなければ、自己拡大し進化する社会を目指す
解決は不可能であり、全国民に適用する正しい自由競争を基本とする社会経済シス
テム改善のために何を改革の対象にすべきなのか、何を規制緩和し何を規制強化す
べきか「区分区別」「優先順位」をつけ人間個人の参加の自由と対等に平等な「フ
ェアーな競争の進化システム原理」で「社会経済が自己拡大できるシステムへ再構
築」しなければなりません。
 
 最高裁の判事のように誰からも影響を受けないし、また誰に影響力を行使しては
いけない独立性の高い国会議員個人個人の良識と良心に基づく厳格な単純採決で国
民の真の幸福の実現を目指して採決する内部競争ルールを確立すれば、個人責任が
確立され国会議員は他に神経を患わせることなく自らの生き残りのために「多くの
賛成を得られる社会経済環境に適応した良い政策の立案や選択にエネルギーが集中
できるようになり」適切でない政策はドシドシ淘汰し、自己拡大できる社会経済環
境へ良く適応した政策を立案し選択出来るようになるのです。
 そして日本は議員内閣制を採用しているので、国会議員の中で個人的に真に優秀
な人材を内閣の大臣として登用すれば良いのです。
 つまり経済を良質な方向へ向かわせる「政治システムの確立」のためには「強く
進化システム原理が働く国家の個人による内部競争ルールの確立」つまり全国民に
適用している世界一厳しい公職選挙法と、同一基準の厳格な規制を国会議員の国会
内の行動に対しても適用するよう規制強化を徹底して行うことが、アメリカより更
に進んだ進化システムに基づく良い人材を育て良い政策を立案し淘汰選択すること
によって現状を打破し日本が未来に渡り発展する基礎条件になるのです。
「悪いものを淘汰し最善を選択する」にはアメリカのように国会議員だけで年間1
0000件の法律を提案し、競争して淘汰し国会を通過成立するのが300−40
0件、数%位で良いのです。(詳しくはP246参照)
 民間企業でも下から上がってくる資金需要が伴う改善提案の内、実施されるのは
数%なのです。
 下から上がってきた案件をドンドン実行していたら会社は破産してしまうのです。
 日本ではわずか年間250件の提案で150件の成立では、如何にも提案件数が
少なく、如何に国会内で内部競争原理が働いていないかの証拠であり始めから談合
による成立を予定し社会経済に適応しない法律(システム)が国会を通過し、日本
経済を蝕んでいるか明らかなのです。
 マスコミは法案の成立率で内閣の力量を評価するような愚かな論陣を張るのでは
なく、まず法案の提出件数の少なさこそ問題にすべきなのです。
 
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(国家の存在意義と民間企業の存在意義は全く異なる事実と、従来の経済学では解
 決できない経済問題と進化システム原理による税制改革による解決)

 第二の問題点(本題)として「ケインズの有効需要の原理やワルラスの法則を無
視し、進化システム原理に反している現状の日本の税制を根本的に改善する税制改
革」問題に入りたいと思います。
 さて経済学は後述するように万能の学問ではありません。
 もし万能ならそれ以外の学問は不用になるはずです。
 伝統的な経済学は多くの前提条件(P283)の上で成り立つ「数学に近い性格」
を持つ狭く限定された学問なのです。
 本書で提唱しているのは「人間が組織する外部競争原理(組織同士の競争)が働
く民間組織に従事する人間の個人や集団の意志や意欲の向上に資する運営の原理原
則を研究する(民間)経営学」を参考に「独占組織のため組織同士の外部競争原理
が働かない国家組織における国民の個人や集団の意志や意欲の向上を誘発し、経済
社会の進化発展に、最大の効果をもたらす個人による内部競争原理(構成員である
人間個人の参加の自由と対等に平等なフェアーな競争)を柱とする、国家運営の原
理原則を研究する(国家)経営学」を意識した立場を取る経済成長税制を提唱して
いるのです。
 そして倒産して消滅する恐れのない「政党」には組織同士の外部競争原理は働か
ないのです。
 この経済不況を克服するためには、全ての経済政策について「その政策が需要者
であり国民である、消費者の真に幸福のためになるか」「その政策が生産者である、
企業社会の真に発展のためになるか」つまり両者を同時に満足させるには「真に経
済成長に役立つか」の「唯一の絶対基準」で一つ一つ吟味する必要があるのです。
本書は全て「経済成長に役立つ政策」の「理論と実証と目的論」でまとめられてい
るのです。
「公平、中立、簡素」とか「国際競争力」とか「経済の活性化」とか「努力が報わ
れる制度」とか「フラット税制」とか、我々日本人は経済成長に役立つことが証明
されていない、明確でない、あやふやなコンセプトや基準に惑わされることを、ま
ず絶対に止めなければなりません。   
 1985年の有名な「アメリカの直接税」の税制改正の理念は「公平、公正、簡
素(for economic gross 経済成長のための)」となっており、
1989年の「日本の間接税である消費税」の導入理念は「公平、中立、簡素」と
殆ど変わりなく、ただアメリカと違い肝心の(for economic gross)(経済成長
のため)が付いていないだけなのです。
 全く正反対な制度改革に同一のコンセプトとかキャッチフレーズが付くという、
理念と観念というものが如何にいい加減かの見本なのです。
 どちらの国の政策が自国の経済環境へ適応した政策であったかは、結果で明らか
です。
 アメリカは大成功、日本は大失敗だったことは歴史が証明しているのです。
 つまりアメリカには自国の経済環境に適応しようと言う「経済成長のため」と言
う明確な目的意識があり日本には明確な目的意識も実証理論も無かったのです。
 
 全ては「経済成長のために役立つか」FOR ECONOMIC GROSS 
の唯一絶対の統一基準によって国民の幸福に役立つのか、検証されなければならな
いのです。
 国家は国民を不幸にする理念観念を優先してはならないのです。
 個人個人の利己的満足は、個別企業の競争の中で実現すべきものであり、国家全
体の目標は、国民全体の均衡の取れた幸福の追求(利他的満足)なのであります。
「耳障りのよいキャッチフレーズやコンセプトの言葉の一人歩きこそ我々日本人の、
最も嫌うべき悪弊なのであります。」そこで、はるかに早く成熟経済に達している
特別の人間で構成されているわけでもないアメリカが何故「過去も現在も未来も」
経済成長を継続できているのかを分析しながらアメリカ自身さえも気付いていない、
根本原因がアメリカの国家体制に強烈にしみ込んだ「進化システム」にある事を発
見し既に理工系の分野で活用され市場経済にも適用されている競争力発揮のための
「自己拡大をもたらす進化システム」とその本質となる「フェアーな競争を実現す
る競争力均衡状態の活発な競争」概念を中心として「成熟経済における経済成長税
制」を構築いたしました。
  
 そして消費税導入前の日本が何故アメリカ経済を追い抜き当時世界一の経済大国
になり得たのかは、その時の日本の税制を始めとする個々の企業、国民に対する
「進化システム」と「競争力均衡状態の活発な競争」度がアメリカより高かったか
らであり、貧富の格差が少なく膨大な数の豊かな中産階級や新規企業が生まれる作
用を持つ税制を採用し実質的に多数者による参加の自由と競争状況を作り出せるよ
うになったことが、その本当の原因なのであり、現状の深刻な経済不況は税制を始
めとする経済哲学の、その後の「大きな変更」により、税制が貧富の格差や企業の
格差が開く方向に作用する税制を採用してしまったことが、実質的に少数者による
参加の自由という競争状況しか作り出せず、経済の進化システム度や競争力均衡状
態の活発な競争度が極めて低下してしまったことが現在の不況の原因なのです。
 経済活動は「基本的に人間の意志と行動の結果である以上、全ては改善可能であ
り何が不況をもたらしているのか、事実をもとに突き詰めて原因を究明すれば全て
は解決できるのであります。」
 つまり国家が「人間の本来持つ生き残りたいとする個人や集団としての前向きの
意志や意欲のエネルギーを正しく引き出す」ことが経済成長にとって不可欠と考え
る立場から本書は作られており、どうすればそれを引き出せるかの、ルールとそれ
に基づく具体策を具体例をもとに本書は述べております。  
 アメリカや諸外国から哀れみの目で見られることを、まず恥と感じ外資や外需に
頼らずに強力に内需を自己拡大し進化発展する日本経済へ再構築し、早くアメリカ
と対等に競争できる経済環境を作らなければなりません。

1.国家の存在意義は人口も領土も狭く限定され「不完全閉鎖経済系の有限需要し
  かない」条件の中で日本国憲法で明文化されている如く、国民の幸福を追求す
  る権利を真に実現するには個人消費の無限連鎖の自己拡大を果たさなければな
  りません。
  そして人間を幸福にする経済の唯一絶対の根本指標は「失業率の低下とその反
  対目標であるインフレ率の低下」だけであります。 
  これ以外の言葉やコンセプトの羅列は全く無意味なのです。
  そして科学技術の発展により労働生産性が毎年高まる経済環境において領土も
  人口も一定な国家という「不完全閉鎖経済系の有限需要」の中で失業率を低下
  させるには常時「個人消費の自己拡大」つまり「経済成長無しには、これを実
  現することが出来ない」のです。 
  そして成熟経済における経済システムを考えるときは、国民の幸福の追求に反
  し地球環境に悪影響を与える生産物については、その悪影響へ応じた個別生産
  規制(禁止と規制)を、そしてそれを消費することが国民の幸福の追求へ悪影
  響を与える消費については、その悪影響へ応じた個別消費規制(課税規制)を
  加える「明確な原則」を確立して、生産者や販売者の業務に支障の無いよう実
  態としての設備耐用年数に応じた経過期間を十分取った上で、遠慮会釈無く徹
  底して個別規制し、それ以外については「進化システムである個人消費にも生
  産にも一切の一般規制を加えず」人間本来の自然の本能に基づく進化システム
  による個人消費の自己拡大と、生産の自己拡大を容認し、企業の売上増加の基
  盤を図るメリハリの効いた本書で理論化した税制改革や政治改革等を採用すれ
  ば経済は望ましい方向へ自動的に成長しながら進化発展するのです。
  このように人間は経済環境でさえ「規制」という手法を使って、経済環境自身
  を変化させ新たな進化条件を設定し、人間が本能的に持つ過剰性の本能と組み
  合わせて新たな進化の方向つまり新たな望ましい方向への経済成長へ誘導し発
  展する事が出来るのです。  
  その後は企業と国民のフェアーな自由競争に任せれば良いのです。
  そして日本国憲法において文化的な最低生活の保障を全国民へ宣言している以
  上、国家の役割りは「その時代その時代の国民が許容する範囲内で国民の利他
  的意識を醸成し相互扶助精神も取り入れ、効率的な機関として誠実に正直に勤
  勉に努力する普通の国民の幸福の達成」つまり国家による所得の適正な配分構
  造の形成が最重要課題になるのです。
  「民は足らざるを憂えず、等しからざるを憂う」からです。
  これによって「進化システムの中心概念である参加の自由のもとフェアーな競
  争による国民の競争力均衡状態での活発な競争を実現」し、「進化システムで
  ある個人消費の自己拡大を強力に作動」させ、企業の売上増環境を完全に整備
  することになるのです。  
  この考え方は国民一人当たり日本の200倍の社会的な寄付(民間の所得分配
  行為)を行いボランティア活動が極めて盛んなアメリカ国民の自国民に対する
  利他的意識の強さと、各人一人一人をアメリカのチームの一員と見なす哲学こ
  そアメリカ自身も気付いていない経済成長の根源となるのです。
  そして日本では社会的寄付の慣習が乏しいので、その分国家が代行するのであ
  るから、日本では直接税の税率を、その分高くする理論的根拠が存在するので
  す。
  この様な考え方は弱者への所得配分を税を通して効率的な民間の自由競争の中
  で行う考え方なので、弱者の人間の精神的な尊厳が失われることが少なく、さ
  らに現実の競争のなかで競争する内に本人も鍛えられ勉強し、弱者と言えども
  成功するチャンスや希望が与えられるシステムなのであります。
  このように経済的弱者を競争社会からドロップアウトさせず、常に一体感の中
  で経験させ鍛えるというシステムは、国家的に見ても有効な経済的生産戦力の
  拡大と、個人消費拡大の強力な戦力となるのです。
  ただ逆に国家の税制等は各個人の利益と利己的意識をストレートに表す構造に
  すべきであり相互扶助的であってはならないという主張もあり、その場合努力
  しても報われない人には、セフティーネットなどの社会保障の拡大で、対処す
  べきとの論者もいるが、これは実は「大きな国家を目指す論法」であり、如何
  にも資本主義的に見えて、実は国家という極めて非効率な機関に過大な作業を
  求めることになり、非資本主義的であり結果として非効率な国家を建設するだ
  けなので好ましくない。
  更に貧富の格差が大きくなりすぎ「進化システムの本質概念を形成する競争力
  均衡状態の活発な競争」に反するので進化システムである個人消費の増加率は
  低下し、企業の売上増環境は弱体化する。
  その上国民所得に対する租税負担率を高めてしまうので、如何にも厳格な資本
  主義的手法に見えて実は結果として「国家競争力」を弱めてしまう非資本主義
  的な非効率な経済システムになってしまうのです。
  その上、国に頼る社会慣習を国民へ植え付けることは大変望ましくない。
  このように経済的弱者への所得配分を非効率な国家の負担に頼るという考え方
  は、弱者を競争社会からドロップアウトさせ、実社会における再起のための経
  験も勉強の機会も奪ってしまい、さらに競争社会におけるチャンスも希望も精
  神的な尊厳も失わせるシステムであり、国家の貴重な戦力が損失し消耗してし
  まうこととなるのです。
  したがって資本主義国家の「企業システム」に資本主義的利己的意識に基づく
  効率的な規範が存在するとき、更に「国家システム」には利他的な資本主義的
  愛国心に基づく効率的な規範が存在するとき、その国家は「力強い資本主義的
  な経済成長に役立つ国家となり」強く進化発展し成熟経済においても経済成長
  が継続するのです。
  つまり大衆民主主義の資本主義国家では「パラドットス(逆説)を基礎とする
  国家」が、最も経済成長を果たす国家となるのです。
  そしてこの国家経済システムを守るためには「カネは天下の回りもの」を正し
  く実践することこそ大切であり「資金がスムースに漏れなく国内経済を回転す
  るにつれて個人消費が自己拡大し経済成長が実現される」のが資本主義におけ
  る経済成長原理であり、そのためには資本主義的正義を保証するため納税者番
  号制は不可欠であり、資金のプライバシー保護は最小限度に止めなければなら
  ない。
  それは不正に資金が滞留したり、国内に資金が退蔵されたり一部の大金持ちに
  資金が偏在して固定化されたり国外に不正に資金が流出することが、全国民を
  幸福へ導く経済成長に大きなマイナスになるからであります。

2.民間企業の存在意義は、領土も人口も関係なく世界に雄飛出来る「開放経済系
  の無限需要」の中で活躍できる特性を持ち株主の利益追求つまり資本の利益追
  求「総資本利益率の向上」が唯一絶対の根本指標となるのです。
  つまり「その時代その時代の国民が許容する範囲内で、企業分野では個人、集
  団共に利己的意識の効率的な企業活動の徹底した追及を容認」して差し支えな
  いのです。
  そして資本主義は自由な競争を実現する無色透明で、競争の結果が明確に現れ
  る極めて優れたシステムであるところから、進化システムの補助手段として、
  人間社会に根付いたのです。
  その意味で企業の役割と国家の役割を混同してはならないのであって利己的意
  識を中心に組み立てられる「外部との競争意識と営利精神を中心に組み立てら
  れる機能的な企業の存在意義」と利他的意識を中心に組み立てられる「協同意
  識とボランティア精神で組み立てられる機能的な国家の存在意義」は全く異な
  ることを、まず強く認識しなければならない。
  各々が徹底してその役割を果たすところに豊かな消費者が形成され「成熟経済
  でも個人消費の自己拡大と経済成長が可能」となるのです。
  つまり「国家も企業も国民も苦しみ抜いている」、平成2年から開始した長い
  長い経済不況は、後から詳しく述べるように、システム工学で研究されている、
  進化システムの自己拡大原理を持つ市場経済の最重要な要素である「個人消費
  に規制が加えられたために総需要抑制政策として機能し経済の自己拡大が停止
  しているという根本的問題」により発生しており「現状の経済学の研究対象外
  の税制が原因」で引き起こされている深刻な不況なのです。
  その原因は後述するように日本の「進化システムの自己拡大原理を持つ市場経
  済」に元々存在していた進化システム原理の規制要因である後進的な社会意識
  や政治システムに加えて更に市場経済の発展拡大の根源である「個人消費」に
  決定的に強力な消費税制という規制抑圧要因が人為的に導入されたからなので
  す。
  その原因は個人消費の自己拡大と所得への自己回帰の繰り返しで起こる「経済
  成長の仕組みの本質」を理解するのが大変難しく、更に国家の存在意義も、国
  民の幸福を追求する権利を実現するという「憲法で明文化された国家の本質規
  定」でさえ、当たり前すぎて厳格に考えようとしない人が多いことが原因なの
  です。
  「成熟経済段階に到達した主要先進大国」のうち「現状のアメリカと平成元年
  以前の日本だけ」が「間接税比率を低く抑え、直接税比率を高く維持すること
  で進化システムの程度を高め」、良好な経済状況と高い一人当たり国民所得と、
  低い失業率を実現できたのです。
  現状の経済政策が正しいと言うならば成熟経済段階に達した主要先進大国のう
  ちで、どの国が進化システムの破壊をもたらす、直接税比率の引き下げと間接
  税比率の引き上げを行い良好な経済状況と高い国民所得と低い失業率を達成で
  きたのか見本を示して貰いたいものです。

 これから本書を読み進む内に、物事を素直な科学的な目で見る重要性を認識し、
タブー視したり、固定観念で見たり、色メガネで見ると学問や科学の歴史で明らか
なように社会経済の進歩は停滞してしまう危険性を十分理解しなければなりません。
 特に理工科系学問は、これをぶち破る事こそ進歩であり、与件無し前提条件(P
283参照)無しで真実を探求し、物事を考える気風がみなぎっているために、日
本の科学技術は高いレベルなのです。
 科学技術分野で多くの俊英を生みだしている日本において、何故文科系の学問分
野で決定的に世界的業績を示す俊英が現れないのであろうか。
 それは「与件無し、前提条件なし」の「フェアーな競争」で結果を求められる現
実の競争社会に適応しない研究方法に固執しているためなのです。
 つまり日本の文科系学問は「学問の目的や学問の基礎となる哲学や科学の真の意
義を良く理解せず」言葉の魔力から抜け出せず、既存の考え方を与件や前提条件と
して固定観念化し執着しているので異論をタブー視したり色メガネで見たり圧力を
かけたりするため、「参加の自由とフェアーな競争」が存在せず新しい考え方によ
る現実に即した詳しい研究が遅々として進まず、進歩が遅く、しかも日本人の最も
劣っている索敵能力の低さも重なり文科系学問の真の発達が大幅に遅れているので
す。
 これこそが文科系学問の発達に支えられている日本の国民を律する国家の諸制度
や法律が「システム」として現状に適応していない部分が極端に多く、社会経済制
度に多くの問題を生じ、不適応現象としての経済や社会の強い停滞として表れてい
るのです。
 まず「現実に適応し役に立つ」(つまり人間の役に立つために)研究を行うこと
に、まず目を向け興味を持ち、勇気を持って当たる事だと考えています。
「役に立つ」というと、すぐに「ノウハウもの」の低俗な研究と決めつけますが、
良く考えればアインシュタインの相対性原理、ボーアの量子論、ソローモデルも
「人間の社会生活にとって極めて役に立つからこそ」ノーベル賞が授与されたので
す。
 役に立たない研究などにノーベル賞は与えられないのです。
 人間にとって「役に立つ」と言うことは利他的行為や意識の結果なのであります。
 人に役に立たない、研究のための研究は本人のみの利己的行為や意識なのであり
ます。
 そして膨大な国民を対象にする以上「システム的な発想」が不可欠となります。
 日本の民間企業が「質の良い供給力の増加を目指し世界に通用」しているのは
「自らの行動や努力が真に質の良い生産性の向上に役立っているのか」の基本的な
視点を決して忘れず「真実と事実に基づく立証と検証を常時行っている結果」であ
り、それは常に同業他社との「熾烈な外部競争が常時行われている」からでありま
す。
 つまり常に競争に敗れると淘汰か倒産か失業の危機に迫られているため緊張感の
ある非常に良い努力をした結果なのであります。
 ところが国家は独占組織であるため「組織同士の外部競争が存在せず」競争もな
く倒産もなくリストラも無いため、常に緊張感が無く「全ての政策について憲法で
明確に求められている国民の幸福に真に役立つのか」の「真実と事実に基づく立証
と検証という重要であるが手間のかかる努力がおろそかにされ、頭の中だけで考え
た抽象的な理念や観念に陥るという戦前の哲学思想に回帰していると強く感じられ」
マッカーサーが述べた如く「日本人の精神年齢は12才」と言った当時と基本的に
日本人の国家観は変わっていないと強い危機感を感じています。
 つまり日本の国家運営は政界、官界、マスコミ界を含めて「個々の国家政策が真
に国民の幸福に役立つか」といういう基本的視点を「現実と事実で立証し検証する」
という視点がスッポリと抜け落ちてしまっているのです。
 戦前には「大東亜共栄圏」「五族協和」「神風」「欲しがりません勝までは」な
ど、耳障りの良い言葉とコンセプトによって、「現実と事実による立証や検証もし
ないまま」、頭の中で考えただけの「現実の国際社会に全く適応しない誤った言葉
やコンセプト」で安易に全国民が洗脳され、日本国民自らが大きな悲劇を招いたの
です。
 これは誰の責任でもない日本国民一人一人の自らの責任なのです。
 同様に現代も「公平、中立、簡素」とか「直間比率の是正」とか「薄く広く」と
かの言葉とコンセプトで「税制政策」があたかも現実の経済原則へ正しく適応して
いるが如く、意味不明な言葉を連発し国民を誘導し同時に国民も安易に洗脳される
危険性を強く感じているのです。
 政界も官界もマスコミ界もまず第一に国家の存在意義の大前提である「常にその
政策を押し進めるとするならば、それが真に国民を幸福に導く政策なのか、理念や
観念ではなく現実と事実に基づき立証し検証する義務があるのです。」と同時に国
民も適否を見極める能力を高めなければなりません。
 国民を幸福に導くとは言葉を変えれば、その政策で国民全員を食わせることがで
きますか?と私は言いたいのです。
 国家は特定の優秀な人だけを幸福にすれば良いのでは無いのです。
 国家は憲法に明文規定があるように、優秀な人も、優秀で無い人も「正直で誠実
で勤勉に生きる全ての人を幸福にする義務があるのです。」
 もし出来なければ国家は、憲法で明文化されているように、国民へ文化的な最低
限度の生活を保障しており、無尽蔵に生活保護費や雇用保険金を支払わなければな
らないのです。
 したがって国家という独占組織には組織同士の外部競争が働かない以上、本書に
詳しく述べているように「進化システムが正常に作動する個人による内部競争ルー
ルを厳格に導入」しなければ、自己拡大し進化し発展する良い政策は立案出来ない
のです。                       
 そして進化し発展する国家になる為には、人間社会の現実の社会経済が、「現実
と事実の改善」によってのみ進歩する以上、「あらゆる政策の良否は、全国民の幸
福にとって真に役立つのかを判断基準とし」「国家が良くなるも悪くなるも、あら
ゆる政策は全国民とそれを代表する国会議員の進化システムによる参加の自由と対
等に平等なフェアーな競争(協同)によってのみ決定されるので」全国民や国家議
員が善悪、適応不適応を正しく意思表明出来るようにするための「適切なルール」
と「情報公開の徹底」と「全ての社会制度や法律は、全ての知的レベルの全国民へ
強制適用する以上、わかりやすさを最重要事項とすること」が重要であります。
 また「国家の具体的な方針は、全国民の内部競争の結果によってのみ方向性が決
定するのであるから、その基礎になるのは、予め予定された理念観念の教育ではな
く、現実や事実を重視する科学技術教育や、人や社会に役に立つ教育」となります。
 またマスコミは目で見る結果ばかりを追い求めず、それを生じた目に見えない真
の原因を探求する努力をつくし、真の原因を明確にし、国民を啓蒙することが、真
の対策を確立する第一歩になるのです。
 結果情報50%、原因究明50%が望ましいのです。
 つまり現状のマスコミ界も「その政策が真に国民の幸福の為に役立つかどうか、
現実や事実に基づく立証や検証の努力が足りず、マスコミ自身も理念観念による言
葉やコンセプトの羅列に惑わされている」と言わざるを得ないのです。


 さて経済問題に話しを戻しますと、経済成長現象の枠組みは、「国民を動機づけ
るシステムとしての税制」が基幹システムとなり、その「微調整手段として金融政
策、財政政策」が存在し、金融政策、財政政策、税制政策の三位一体となって経済
成長に向かって歩調を揃えるとき「進化システムの働き」によって達成されるので
す。
 結論から述べると地球上の動植物は荒涼とした地上に誕生した一個の単細胞の生
命体が過酷な環境に適応しながら「自己拡大と変異と競争」を繰り広げ「進化原理」
によって進化発展し「無から有」の膨大な動植物群さらに人類を作り上げたのです。
 そして「システム工学」においては、人間のみが持つ「危険な要素を含む過剰性
の本能」を自然の深遠な進化原理を活用してコントロールしながら発展させる為に
自然の生態系で実質的に成立している「参加の自由と対等に平等なフェアーな競争
(協同)原則」と「競争力均衡化の原則」(豊かな自然が成立するのは、生態系に
おいて強者の捕食量が下位の弱者の増殖量を上まわらないようにする力学が自然に
働く原則)を利用して、わずかな条件で成立する自己拡大する万能の「進化システ
ム原理」の概念を確立したのであります。  
 この考え方は「人間環境で成り立つ国家運営においても、日本を愛し日本で努力
する全ての人間(人種、性別、思想にかかわらず)に等しく適用されれば進化シス
テムにより結果として日本の大きな発展の基礎」になるのです。 
 これこそが真に現代国家の要件になると考えているのです。
 進化というと、すぐに食うか食われるかの生存競争を思い浮かべ「競争に勝つた
めの利己的意識の必要性」ばかりが強調されますが、これが大きな誤りなのです。
 事実は強者の補食量が弱者の増殖量を上まわらない原則が自然に働いて自然は豊
かに進化するのであり、自然界には強者はいつも自分が生命を維持するために必要
とする以上に弱者を補食しないという自然な利他的意識も備わっているのです。
 ところが人間には他の生物には全くない、生命を維持する以上に、物を欲求する
強い欲望があり、これを国家がコントロールしなければ強者が弱者を食い尽くすこ
とになり、国家全体の経済の発展は全くないのです。 
 つまり膨大な弱者が作り出す膨大な個人消費を変換して得る所得を、強者がより
多く食べるという弱者の利他的犠牲(意識)の上に、始めて強者は生きていけるの
であって、豊かな多数の弱者が存在しないと強者はより豊かになれないというパラ
ドックス(逆説)が「真の生存競争の論理」なのです。 
 つまり強者は生きるために必要な分以上は、捕食しない作法(強者の無意識の利
他的意識)によって、厳しいはずの生存競争を乗り越え弱者の増殖スピードが強者
の捕食量を上まわるとき、自然は拡大し、豊かな生態系を保っているのです。
 ところが人間だけが唯一持つ「生きるために必要なもの以上のものを欲求する過
剰性の本能」こそが、人類の最大の危険性であり、又逆にそれこそが科学技術の発
達に補完される人類社会の発展と「自己拡大する経済活動の根源」なのです。
 そこで国家や国際社会は、人間が持つ過剰性の本能をコントロールしつつ、如何
に経済活動、社会活動を発展進化させるかという、二律背反の不可能に対する挑戦
を日夜努力しなければならないのです。
 したがって国家が資本主義的利己的意識の必要性ばかりを強調し、資本主義は人
間の生活を豊かにする「手段」であり「目的」ではないという大原則を忘却すると
ころに大きな問題が存在し、日本の国策が経済の進化発展のために重要な利他的意
識の重要性を強く考慮しないところに経済の発展が停滞しているのです。
 つまり直接税を大幅減税し、間接税を増税する政策は結果として経済行為の根本
である個人消費(自然の生態系で言えば最下位の植物の増殖)を規制することによ
って自己拡大機能を大幅に弱め、更に国家の所得配分機能(農家が大地に与える肥
料に相当する)を大幅に弱め、自分だけ助かりたいという利己的意識(貯蓄)を増
進し、利他的結果をもたらす個人消費(他の人へ所得を得さしめる行為)の弱体化
へ国民を誘導し、結果として個人消費と設備投資が原資となる所得は縮小し、所得
の縮小に対する自己防衛のための「力(貯蓄)の増強」が結果として個人消費の更
なる減少につながり競争経済社会の中では豊かであった大多数の弱者が貧困化し、
結果として強者を支える多くの弱者で成り立つ経済生態系が縮小し、いずれ強者も
生存が難しくなるというパラドックス(逆説)の中に我々は経済生活を送っている
のです。
 つまり国家政策は進化システム原理の下「競争力均衡化の原則」を意識しながら、
厳格な「参加の自由と対等に平等なフェアーな競争(協同)」に基づく競争原理を
強化するという、利他的意識と利己的意識この二つの全く逆に見える原則を共に増
強しなければパラドックス(逆説)で成り立つ国家を発展繁栄させることは出来な
いのです。
 つまり全ての人が自分だけ助かりたい助かりたいという利己的意識が逆に自分を
誰も助けてくれない結果を生じる場合があり、全ての人が他の人を助けよう助けよ
うという利他的意識が、他人が自分を助けてくれる結果を生じる場合があるという、
パラドックス(逆説)の中に生きているのです。
 つまり我々は常に利己的意識と利他的意識の両者の利点や欠点を良く認識して政
策を立案しなければならないのであり、時間の経過と現実、事実を確認しながら進
化発展する方向へ解決する手段が進化システムなのであります。
 つまり過剰性の本能を唯一持つ人間の競争社会で重要な点は生物の生態系の保持
の原則である生存競争における作法、つまり新たに生み出されたものの内、生きる
ために必要以上のものを欲求しない作法(利他的意識)を人間社会が不合理になら
ない範囲で常に意識する必要があり、これこそが逆に国民の幸福の追求を害さない
経済的自己拡大をもたらす要因であることを理解し、国家は常に利己的意識と利他
的意識の適切な調和を図る政策を取る必要があるのです。 
 膨大な数の経済的大衆が利己的意識と利他的意識を持ちながら、少数の経済的強
者に近づこうとする意欲意志が、自己拡大する進化システムである個人消費増進の
根源であることを良く理解しなければならないのです。
 そして経済的強者は利己的意識ばかりでなく、利他的意識や行動を発揮しなけれ
ば全体の発展進化は無いのです。
 日本が今後未来に渡り、進化発展する国家になるためには、「進化や競争の正し
い意味」を理解し、国家は経済的強者に対して利己的意識ばかりでなく利他的意識
を持つべき事を啓蒙し実践しなければ、経済の発展や国家の繁栄は無いのです。
 そこで適切に強力に発展する国家を目指すには、国家の法律や制度全体に国民環
境全体へ適応するための、「進化システム原理」を積極的に取り入れ、徹底して遵
守することが最も重要な手段になることが、明らかになったのです。 
 同時に、本格的景気回復と財政再建のためには、「現実の経済環境へ良く適応し
た政策」を実行し、結果として「自然に自己拡大する経済を作り上げて」、本格的
な経済成長を達成しなければ、根本的な解決はできず、諸外国や経済機関などの国
際的指摘で明らかなように「進化システムである個人消費の継続的な増大」を図る
為には、個人消費増大の抑圧規制要因を徹底排除しなければなりません。
 さらに国家が徴収する直接税を始め全税目の全税収は納税者や納税方法の形態の
如何にかかわらず実は「実質的に企業が販売する商品・サービスの全原価に算入さ
れて全消費者が個人消費を通じて全額負担している事実」が明らかとなったのです。
 したがって「個人消費の増進」こそが「景気回復をもたらす経済成長の根源」と
「税収増をもたらす財政再建」の根本的解決策だったのです。
 また自己回帰的に考えれば直接的間接的に企業が人件費、諸経費、利益(総合計
は売上と同一)を通じて負担する原価の中に、国家の全税収が含まれてもいるとも
言えるのです。
 つまり我が国の有名な格言、「カネは天下の回りもの」は経済の本質を明確に言
い当てており、個人と企業間の「個人消費=販売」を如何にスムースにしてカネの
回りを良くし、取引を拡大して税収を上げるかの工夫が問われているのであり、こ
の点間接税は商品流通のたびに課税されるため金回りが悪くなり取引が縮小すると
いう大きな欠点(規制要因)を持っており、直接税には、その欠点が全く無いので
す。

 さて韓国で2001年11月より開始しました消費税の減税は、韓国の株式市場
や企業業績に極めて良い影響を与えているようでありますが、本書の提案はアメリ
カの事例やヨーロッパ諸国の事例を進化システムの立場から、参考にしたり批判を
加え、更に奥深い意義を持つ総合的で継続性のある基本的な内容になっているので
す。
                                目次へ戻る

(与件に依存する経済学ではなく、前提条件無し、与件無しで現状を改善できる新
 しい経済学が必要である。したがって新経済学は人間の本質を深く理解した哲学
 と道徳と進化論に極めて密接な関係が生じてくる。)

 本書はイデオロギーではなく「進化論」と厳しい精神性と実用的な哲学をちりば
めた日本の「葉隠れの精神」とアングロサクソン民族の「帰納推論とプラグマチズ
ム哲学」と中国の知って行わざれば知らざるに同じの「陽明学」を基本にしていま
す。
 地球上生きとし生けるもの全ては荒涼とした35億年前の広大な地球に発生した
一個の生命体の単細胞が進化増殖し膨大な自然と人間を作り上げたのであります。
 この神のような現象を成し遂げたのが「進化原理」であり更に進化により人間の
各臓器は部分システムとして機能し人間を全体システムとして成立させているので
す。
 そして経済も同様に「無に等しい」古代の貧しい生活から、現代の驚異的に豊か
な「有」の経済生活を持つまで進化発展させたのは、経済システムに、人間の本性
に合致した「進化システムを導入した結果」によるものであることは科学的に立証
されております。 
 成熟経済段階に達した日本経済では尚更この普遍的な人間の本性に合致した進化
システム原理を、無意識的でなく意識して徹底的に活用しなければ経済は再生でき
「法律、制度などをシステムとして認識し、自由、平等、フェアーな競争を厳格
に遵守する進化システム原理を、システム(法律や制度)全体に積極的に組み入れ
る」ことが、人間が行う経済の自然で力強い発展をもたらす唯一の方法であり、徹
底して活用すべきと提唱しているのが3年弱かけて完成した本論の結論であります。
 現代の経済学が多くの分野を、与件(前提条件)として研究対象からはずしてい
る事実が進化システム原理の重要さを経済学が学問的に気付いていない原因なので
す。

 さて戦後44年目(平成元年)以降、日夜経済の最前線で働く直感が鋭い大多数
の国民が反対していたのにかかわらず理念や観念を重視し論理を駆使するエリート
達の判断ミスにより「経済進化システムに規制抑圧が混入してきた」のであります。
 つまり無限の開放経済系である世界経済に羽ばたく民間企業と全く異なり、国家
経済は領土の広さも国民の数も狭く限定されている以上、「閉鎖経済系である限界」
があり成熟経済国家は進化システムによる「自己拡大原理」でしか経済成長は達成
できない「事実」を直視し「消費の選択肢の増大と科学技術の進歩に自由を与え、
これに対する全面規制を廃止して、やむを得ない場合は国民の幸福に反する場合の
みの個別規制に止め」、「参加の自由と対等に平等の原則によるフェアーな競争」
を遵守し自己回帰的に需要と供給の拡大体制を確立することが必要不可欠なのです。

 本書はその基本分析編であり、第一線で活躍している人材と若者や研究者へ「成
熟経済下の経済成長を全く新しい科学的な視点で徹底して分析し人間の特性や経済
の本質を理解すれば
時代と共に経済成長が無限に可能であることを証明し」、未来
の日本を築く最も効果の出る経済成長税制(ノーベル経済学賞のソローモデルへ附
加すべき本質)
として分かりやすくルール化した長文の解説書です。
 読者の経済観や価値観、行動基準、哲学を一新する上で本書は非常に役立ちます。
 日本のように現実の成熟経済の中で経済成長を達成するには「人間は個人消費を
増大させながら所得に変換して生活している原理を直視し」これを阻害しない体系
的進化システム的な制度と国民と国会議員の参加の自由と対等に平等とフエアーな
競争の中から幸福を追求する政策を生み出す国民意志を徹底して尊重する政策決定
方法こそ適正な方向性の消費の増加をもたらすという結論に達しました。
「財政再建」と「経済成長」を同時達成する政策立案を模索する日本の超エリート
と不況で苦しむ中小企業、大企業の経営者、勤労者へ大きな希望を与える理論です。

 さて筆者としては、1987年ノーベル経済学賞を受賞したロバート・ソロー博
士(アメリカ)の「科学技術の進歩」こそ経済成長の唯一の根源であるとするソロ
ーモデルの考え方は、一面でその通りであると考えておりました。
 しかし他面では現代のように、科学技術の情報が世界中素早く伝播する時代であ
り、且つ貿易自由化の波が押し寄せている現状では生産設備さえ直ちに輸入できる
時代に何故国によってこれほど経済成長に差があるのか、それを研究する過程にお
いて「余りにも当たり前すぎて誰も気付かなかった進化システム原理の存在が国家
国民の経済社会発展のために根本的に重要である事実」を発見したのです。
 そしてこの原理は莫大な投資が必要な科学技術の進歩より更に根源的な問題にも
かかわらず、意志と意欲さえあれば意識を変えるだけで、財政支出がほとんど不要
で実現が可能な実用的で、より一層の経済成長に役立つ原理原則だったのです。
 そしてそれを発見するため、開明的な明治維新における五箇条のご誓文の第一条
や福沢諭吉が唱えた理想主義と敗戦で国民も企業も国家も焼け野原の無一文から出
発し、43年経過した昭和63年に3200兆円の国富を達成し世界一の経済大国
と称せられるようになった現実の日本の経済成長政策と、長い経済の低迷から脱却
して、アメリカを再度世界一の経済大国に復活させたクリントン政権の現実の経済
成長政策を徹底して分析し「事実」と「事実」の関連を調べ上げて「真実」を探求
した結果が「経済成長税制」となったのです。

 経済成長期の日本とアメリカが実証した現実の結果を分析して経済成長の根本的
要因として「人間の社会経済のあり方は進化システム原理(後述)に則ったものが
最善であるという事実」と「経済成長にとって個人消費が進化システムとして主導
的な役割を果たしていた事実」と、「直接税が国民所得をシステム的に配分し、国
家全体の消費性向を高めることが経済成長に重要な役割を果たしていた事実」を発
見したのです。 
 そして国家が徴収する全税収は納税者や納税方法の形態の如何にかかわらず実は
「実質的に企業が販売する商品・サービスの全原価に算入されて全消費者が個人消
費を通じて全額負担している事実」が明らかとなったのです。
 したがって、「個人消費の増進」こそが「景気回復をもたらす経済成長の根源」
と「税収増をもたらす財政再建」の根本的解決策だったのです。
 そして資源の重要性については、輸入必要分の外貨準備高の輸出能力さえあれば、
資源が乏しいことなど自由貿易体制下の経済では大きな経済問題では無いのです。
 但し平時にはこの通りでありますが、物流が止まる戦時には様相が一変するので、
常時対策を検討しなければなりません。
 そして常に余力のある輸出競争力を保持しながら、国内産業に対して国内外の競
争条件の同一化を計るために貿易収支ゼロ政策(後述の理由による購買力平価の為
替相場)を取り、国内産業と外国企業との価格競争条件の実質的な同一化を図り、
国内の産業構造の適正化と国内需要を豊かに増進し、全体需要の確保を図る必要が
あるのです。    
 したがって対外需要に依存せず国内需要で産業を維持するには個人消費の増進は
不可欠なのです。
 結論として資源の有無等で、国力が左右される訳ではなく、個人消費力の国家規
模(需要)と、それを生産できる生産力の国家規模(供給)は均衡して増進するこ
とが最も望ましいが不均衡になることも多く、その場合経済的に不健全な現象が生
じ、潜在的国力は別にして「現実の国力とは」国家規模の個人消費力と国家規模の
生産力の「いずれか力の低い方を国力」と定義するのです。
 現代日本の最大の問題点は「生産力」は充分に存在し、その増進圧力がかかり続
け、さらにそのシステムの根源である科学技術の進歩も十分機能しているのに、そ
れを吸収すべき「個人消費力」の増進システムが大きく破壊され全く機能せず停止
しているために国力や経済成長の全体システムが全く停止状態に陥り、失業が深刻
化し、企業倒産が続発し、際限のない金融不安に襲われているのです。

 さて日本では消費税を導入した結果、消費者と面と向かって販売努力をしている
企業の第一線で、消費者がその所得を個人消費に変換する商品販売の瞬間において、
それを阻害し売上の低下要因を企業に強制し、更に「直接税率を意図的に引き下げ」
「間接税比率を意図的に引き上げ」経済成長の起点である自分の意志で自由に増加
も減少も可能な進化システムである個人消費を強制的に規制した日本の愚かな政策
の結果が、経済成長や税収の原資である個人消費の増加を停止後退させ財政再建ど
ころか財政を極端に悪化させ経済大不況となったのです。  
 私の長い経営指導の経験では値引き、割引、景品、チップ、スタンプなどのお客
様に対し経済的利益を与え売上(個人消費)を増大させる販売促進策を採ってきま
したが、買ってくれたお客様に外税でも内税でも経済的損失である消費税を支払わ
せて売上(個人消費)が増大できると考えるエリートの考え方は、ナンセンスで全
く理解できません。
 税金を多く支払うくらいなら、安い物を買うか、買わずに貯蓄をするというのが、
消費者の実際の発想なのです。     
「つまり消費者は消費税の課税されない非進化システムの貯蓄という選択肢を常に
選択出来る」からであります。

(人間はどんな困難な問題でも英知を傾け解決に努力し生き残りと幸福を求めて、
行動できる生物です。何が正しくて、何が正しくないかを決める基準は「善悪の絶
対的判断基準と自由と平等の正しい解釈」(P411)の通りであり、人間社会で
は自分自身が引き起こす経済社会現象は全て自分自身の意志で確率的にコントロー
ルすることが可能なのです。)

 過去に大きな過ちを犯した軍務官僚と政治家による「当時の世界の大勢」である、
ヨーロッパ大陸列強の全体主義への同調と傾倒による「作為(政策を立案し実行し
た)」である真珠湾攻撃に始まる第二次世界大戦への参戦も、また「不作為(的確
な政策を立案せず流れに任せて何もしないこと)」である水俣病問題、エイズ薬害
問題、狂牛病問題など結局の所、「作為にしろ不作為にしろ日本と日本人に適応し
た適切な判断による作為、不作為でなければ現実に大きな人災」に発展するのです。
 そして日本の現状の大規模な経済不況も、この「世界の大勢であるヨーロッパ型
の消費税」という、女性の個人消費の支配力が強い特殊な社会慣行を有する日本で
は特に副作用が顕著に現れることを理解せず、今度は「内務官僚と政治家」によっ
て導入された全ての個人消費に規制を加えた総需要抑制政策による、全く同じタイ
プの「作為による大規模な人災」なのです。
 つまり経済成長の根本は「まず総消費(個人消費+設備投資)が発生すると、等
価にそれが所得に変換される等価変換原理と時間的順序がある時系列原理」から成
り立っているのです。
 したがって個人消費は後から所得に等価変換されるのであり、所得は次ぎの個人
消費の源泉と増減の判断材料になるのです。
 そして「個人消費は進化システム」であり所得は非進化システムであったのです。
 この当たり前なびっくりするような二つの簡単な原理が実は経済成長の根本原理
であり、経済成長現象を完全に説明できるとは、アメリカを始め世界中の誰もが良
く理解していないのです。経済成長の根本要因が分からなかったからこそ、世界中
の国家で税制論議が混迷する原因があったのです。
 そして日本のように間接金融国家では、設備投資は、個人消費が活発な時に「貯
蓄」が「設備投資」に等価か拡大変換され経済も景気も拡大し好況となるのです。
 そして個人消費が活発でないときは「貯蓄」から「設備投資」へ縮小変換となり、
過剰貯蓄分は経済的な無駄となり、経済は縮小し経済成長は後退するのです。
 そして個人消費はその本質から進化システム原理が働き「幸福を追求する」人間
の特性と意志と意欲が働き、放っておいても自然に増加する特性がありますが、同
時に規制を加えれば人間の意志により自由に減少もできる特性も併せ持っているの
です。
 ここが他から稼得する性質上、自然には増加せず又自分の自由な意志により増加
や減少が出来ない非進化システムである「所得」との歴然とした差なのです。
 したがって経済の根本である「進化システムである個人消費」は原則として自由
にすれば自然に増加するが、規制を加えると減少するという人間の意志や意欲によ
って増減する性格があり、国家全体では国民の意志や意欲によって個人消費の総額
は直接増減するのです。
 これに対して「非進化システムである所得」は「個人消費+設備投資」の等価変
換原理と時系列原理の結果による他から稼得した「実現された所得であるので」、
個々の人間の意志や意欲の変化があっても国家全体の所得額には全く変更が無く、
例え累進所得税高率なため所得追求意欲が減退する人が出て、その人が所得追求を
停止しても、その追求を止めた分の余剰所得は、所得の低いつまり消費性向の高い
所得追求者へ所得が配分されるので逆に経済成長にも効果的に役立つのです。
 だから所得税率を高めると高所得の人材が他国に流出し、その所得分だけ日本の
国民所得が減少し日本の経済成長は低迷するというのは、真っ赤なウソであり、税
が高いから外国に移住したいというのであれば、自由に移住させれば良いのであり、
そこに残された余剰所得は日本でがんばる他の有能なより所得の低い人(消費性向
の高い)に配分され、日本を愛する国民が増加し、日本はより経済成長することな
るのです。
 頭脳流出さえも直接税が高いことを理由に流出するのであれば、そのような利他
的意識や資本主義的愛国心の無い頭脳は流出すれば良いのであり、直接税が高いこ
とにより日本経済が順調であれば(直接税国家の方が国民所得が高くなることが統
計的にも既に立証されている)、税の増加を上まわる税引後所得の増加を得られる
日本を選ぶ良好な頭脳の持ち主が日本を選択するのであります。
 高額所得者は利他的な行為(累進所得税の納税)を行うことによって貧しい人々
を普通の生活に押し上げる助力をしているのであり、それが結果的に個人消費の継
続的な増進を基礎とする経済成長をもたらし経済環境を更に良化し自己回帰的に高
額所得者の更なる所得獲得のチャンスをもたらしている、「経済成長の真実」を良
く理解し、そしてそのような自覚を是非持って貰いたいのです。
 ただ国は主たる税を他国に支払い、日本で収入を得ているのに日本で少額の税し
か払おうとしない人々に対しては、税制をそれらの人にも適正に対処出来るように
改善すると同時に、国籍にかかわらず、日本国や地方公共団体へ主たる税を納める
人(居住者)かどうかを、常に情報公開し、国民へ知らしめなければならないので
す。
 なんとなれば「日本国民」や「日本に住む外国人」は日本国へ高い税を支払うこ
とによって国民や人間相互に助け合って生きているからであり、その人々の権利を
守る義務が国家にはあるからであります。
 この原則こそ経済成長と景気回復と財政再建の手段となる「税制構築の鍵」とな
ります。

 そしてこれらの諸原理を組み合わせて分かることは「個人消費を自然に自由に規
制しなければ進化システムである個人消費が自然に増加し、循環的な景気の波があ
ったとしても、等価変換原理によって無限に国民所得の増加と自立的経済成長は継
続する」という経済原則と「進化システム機能のある個人消費に規制や抑圧を加え
てると人間の意志と意欲の低下によって個人消費が減少し等価変換原理によって国
民所得は減少し自立的経済成長は、その分停滞後退し経済の過剰性は縮小し、いく
ら公的資金を注入しても金融不安は経済の下方の均衡点に向かっていく間は際限な
く続く」のです。
 また「個人消費を刺激して拡大させすぎると、これが正常と勘違いした仮需の設
備投資、仮需の在庫投資が発生し等価変換原理で国民所得は異状に増加し自立的経
済成長が異状に亢進され景気が過熱しバブルが発生する」という明確な「経済成長
原則」が導き出され基本的には極めて単純な原理なのです。
 つまり経済は人間の意志によりシステム的に自由にコントロールが出来るのです。
 さて資本主義の理論や資本増殖の原理さえ「進化システム」の一つの側面を表し
ているに過ぎず進化システムの人間社会における根本的な実用性は絶大なのです。
 資本主義の理論も結局「人間の幸福追求」のための、手段にすぎないのです。
 アメリカの経済学者はそれを良く自覚しているからこそ、アメリカの経済史の中
で、資本主義理論を忠実に再現しようとする政策を重視する共和党政権時代より、
最大多数の中低所得者層の人間寄りの政策を重視する民主党政権時代の方が、実は
株の値段が高いという研究結果がアメリカで発表されている位なのです。
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(進化システムによる、めざましい経済社会の発展実例)

 人工システム(制度・法律など)は進化システムの時に限ってシステムとして強
力に発展する原理を有するのが「進化システム原理」なのです。
 実例としては進化システムである「市場経済」は進化システムの度合いが高けれ
ば高いほど、非進化システムの「計画経済や統制経済」によりはるかに進化発展す
るのであり、進化システムである「民主主義」は衆愚政治といわれながらも進化シ
ステムの度合いが高ければ高いほど、規律正しい観念を持った優秀なエリートが率
いる「全体主義、共産主義」という非進化システムよりはるかに進化発展するので
あり、進化システムである「科学技術や科学的な論理」は進化システムの度合いが
高ければ高いほど、一部のエリートによる「非科学的な論理や優れた予言者の予言」
という非進化システムよりはるかに進化発展するのであり、「インターネット」は
進化システムであるからこそ、「優秀なエリート管理者が構築する複雑で精密なト
ップダウン形式の商用ネットワーク」という非進化システムに勝利し、各々今後将
来ともに、これらの進化システムは力強く進化発展するのであります。
 同様に「個人消費」は進化システムであり、「所得」は非進化システムなのであ
ります。
 したがって個人消費は進化システムの本質を持つので、時代と共に本来は自然に
自分自身で自動的に増加する性質を持っているのでありますが、これが心理的、経
済的に消費税という規制課税を加えられているために、自然の個人消費の増加が抑
えられる総需要抑制策になってしまっているのであります。 
 つまり本格的に景気を回復し、税収の増加による財政再建を実現し、失業率を大
幅改善するには、総需要抑制政策を撤廃しなければならず、個人消費を選択的に課
税し経済成長に大きな悪影響のある消費に課税する間接税比率を劇的に低下させ、
経済成長に良い影響をもたらす「消費と貯蓄両者に同時に平等に課税」することと
なる所得に対する課税の直接税比率をその分大幅に強化する政策以外に改善する方
法は無いのです。
 さて消費税は二つの経済要素の内「貯蓄に課税せず」「個人消費に対してのみ選
択的に課税するシステム」であることが、人間のカネの使い道に不平等を発生させ、
個人消費の発展拡大性を消滅させ国家経済全体に悪影響が生じているのです。
 それに対して後述の通り所得税や法人税などの直接税は、「所得=消費+貯蓄」
の経済公式で明らかなように、非進化システムである所得を介して、実質的に個人
消費と貯蓄の全てに平等に課税するシステムであるので、カネの使い道に対して競
争条件が平等に保たれているので、課税される本人個人の経済的痛みはあったとし
ても、個人消費に規制が無く経済システムに対する歪みや発展拡大性に対して何ら
の悪影響が全く生じ無いのです。
 さらに国家は税収を蓄える機関ではなく、収入した税収全てを使い、良い結果が
表れる政策を実行する機関であります。したがって国家を経済的に見れば、公共事
業や公務員の給与を通じた所得配分機能を持った機関でもあるのです。
 この見方からすると直接税主導国家は「少数の消費性向の低い高所得個人法人か
ら多数の消費性向の高い低所得個人法人への巨大で強制的な所得配分促進機関」で
あり、間接税主導国家は「消費性向の高い多数の低所得個人から同じ低所得個人へ
の所得配分機能しか持たない国家であり、少数の消費性向の低い高所得個人の余剰
所得の配分を取り残し巨大で非効率な所得配分非促進機関」となるのです。
 結局の所、間接税主導国家は個人消費拡大と所得拡大と失業率改善のための道具
を持たない国家であり直接税主導国家は逆にその手段道具を持っている国家なので
す。
                                目次へ戻る

(直接税は未来にも通用する究極の税制であり、間接税は未来に行き詰まります。)

 さて直接税制を筆者が強硬に提案している理由は以上のような経済成長の促進に
極めて役に立つ道具となる利点ばかりでなく今後10年、20年、50年、100
年の経済発展を見据えた税制のあり方からも提案しているのです。
 経済の歴史を調べると、およそ次のような事実が分かるのです。
1.国家は憲法で明らかなように人間である全国民へ幸福を追求する権利を保障し
  ており文字通り国家は全国民へ、この義務を果たすことが第一の使命なのです。
  法的存在である優良企業を育成することは、手段としての役割でしかないので
  す。
2.さて「消費」は人間しか行いません。しかしながら人間の「労働」は科学技術
  の発展に伴い「人間のやっていた仕事が機械に置き換わり爆発的に労働生産性
  が向上する」原理があります。しかしながら科学技術の発展は、他国との競争
  のためと、人間の好奇心の本能がある以上停止する事は出来ません。
  したがって人間の労働は「人間しか出来ない分野」か「機械より人間の労働の
  方が安上がりな分野」に限られて来ます。
3.しかしながら人間は「消費」をするためには「所得」が必要となります。
  所得は労働の対価として受け取るのが最も自然であり人間の本性に合致してい
  る。
4.さて「人間一人当たりの労働生産性が科学技術の進歩と共に向上する以上」、
  「人間一人当たりの個人消費が向上しないと需給にアンバランスが生じ大規模
  な失業が発生し労働の対価としての所得の獲得が難しくなる。」という事実が
  あります。したがって科学技術の進歩に合わせた個人消費の増進システムは絶
  対必要条件となり、それには個人消費の進化システム性の利用と直接税制の活
  用が重要となります。
5.さらに50年後、100年後になると機械化が進み、機械を活用する労働者が
  全生産を担当するので、そのような労働者は所得をより多く獲得し、それを担
  当しない労働者への実質的な所得配分が難しい時代がやってきます。
  直接税が発達しているとそれらを調整し更に労働者間の生存競争の競争力を均
  衡化する大きな手段になります。この時代になると税制に求められる主たる機
  能は所得配分機能となり、唯一直接税制が所得配分機能を発揮できるので生き
  残る税制となり、間接税制は全く機能できないことが明瞭になり直接税制国家
  が結局、国家間の競争に勝ち残ることになります。 

 たとえ話しをすれば、良い作物(国際競争力に勝ち残る超高生産性企業)を結果
として生み出すには、農家(国家)は大地(大量の低所得者層や低生産性企業)を
耕し堆肥(所得)を与え、良い土作りしなければ良い作物は絶対に得られないので
す。
 したがって本文記載の如く国家にとって所得配分の切り札となる直接税制と良質
な低生産性企業の並立は所得配分の切り札となる重要性を認識しなければなりませ
ん。
 産業のソフト化は避けて通れないのです。
 そして経済や政治を正しく進化システム化すると人間の努力と合体し自然にこれ
らは実現できるのです。
 そして政策立案者は常にその政策が当初の予想通りの成果があがらない時は、そ
の個々の政策が人間に対して「参加の自由と対等に平等とフェアーな競争原理」が
文字通り完全に組み入れられているかどうか、進化システムが誤って規制されてい
るのではないか、逆に人間の幸福の追求に反する問題を適正に規制していないので
はないか常に再検討しなければなりません。
 そして国家全体としては「不合理にならない範囲内で競争力均衡化の原理」が働
いているかどうか確かめなければなりません。
 あらゆる分野の政策は、この二つの原理を遵守さえすれば、放っておいても人間
は、その本性、特性に基づき正しい政策効果を必ず発揮するからであります。 
 付言すれば中世から連綿と続いた一人一人の人間のあり方について騎士道や武士
道が尊ばれ、その存在が国家の評価にさえ影響を与えた事実は、この問題の人間社
会への重要さを表しています。
 したがって単に世界の大勢を政策立案の根拠や逃げ口上にしてはならず「経済成
長原則の基本に忠実に日本と日本人に適応した適切な国家政策を追求する努力が官
僚と政治家に求められ、その解決方法を記載しているのが本書であります。」
 そして国家は国民の望む方向へ、まず国家政策を変更しなければ、国家は国民の
努力と共に望む方向へやり直すことは出来ないのです。
 それは人間が人生に対する考え方を変えて望む方向へ努力しなければ、人生を望
む方向へやり直せないのと全く同じなのです。 
 つまり本書の考え方は明治維新から始まる「トップやエリートの理念観念」を優
先する伊藤博文的な「非進化システム思想」から脱却し「事実に基づき全国民と全
国会議員の参加の自由と対等に平等なフェアーな競争で適不適の選択や淘汰をする」
決定ルール優先の福沢諭吉的「進化システム思想」への転換を提言しているのです。
 アメリカにおいて現在バブルがはじけ、テロに見舞われ最悪の景気になったと言
っても、失業率は1985年(昭和60年)の7.2%と比べれば遥かに低く良好
であり、株価は当時と比べれば3−5倍以上高くアメリカ経済のバブルがはじけ最
悪といっても当時と比べればはるかに好調なのです。
 株価は信じられないことにバブルの絶頂期の一割減程度の9000−10000
ドル前後を維持しており(2001.7現在)(筆者は少なくとも6−7000ド
ルには下落すると予想していた)、アメリカの官僚と政治家が立案し実行したアメ
リカの国民が支持している政策の自分自身に対する経済的愛国心にはホトホト感心
しております。
 そして現代アメリカは消費好きのアングロサクソン民族の特性と消費性向を高め
るため高所得階層から低所得階層への実質的な所得配分機能を持つ直接税主力の税
制と、金持ちや一般市民の日本と比較して国民一人当たり200倍を超える恵まれ
ない人々への社会福祉的寄付の利他的意識の強い社会慣行つまり寄付という民間の
所得分配行為による個人消費の促進機能、全産業のうち小売業と飲食業にしか課税
しない小売売上税との組み合わせによる個人消費の進化システム度は現代は世界の
どの国家より順調に作動している(もちろん昭和63年以前の個人消費に規制が殆
ど無かった日本の進化システム度よりは劣るが)ので一定のペースで国民一人当た
りの個人消費は増え続け、科学技術の進歩による生産性の向上や金融不安を吸収し、
これからも一時的な循環的不況に見舞われても必ず不死鳥のようにアメリカ経済は、
よみがえるのです。(寄付は偽善行為であるという曲がった意見も存在するが、筆
者はその意見には組みしない。)  
 つまりアメリカという国家は、その国民性に基づき国民一人一人、企業一社一社
について参加の自由と対等に平等なフェアー競争による利己的意識に基づく個人主
義を強調しながらも、実は全ての国家システムはチームワークの重要性を強く認識
し良くルール化され、特に自国民に対しては自国内での競争力均衡化の理論と建国
の理想に基づく利他的意識を基本として徹底して構築されているのであります。
 つまりアメリカは自国民をチームの一員として見なし、参加の自由と対等に平等
にフェアーな競争と利他的意識を育み、アメリカ憲法の掲げる理想の実現に規定通
り本気に取り組もうとしているのです。

 さて日本が他国の国家政策を参考にするときは、自国人口の少なくとも半分以上
の大国で経済政策が適正に機能している国家でなければ参考にならないことを、自
覚しなければなりません。
 人口規模の小さい国家の政策は、たとえその国家で非常な成功を収めていると言
っても、直ちに日本の国家規模には参考にならないのです。
 それは人口の規模によって、国家の自立的存立基盤が全く異なるからであります。
 この観点から日本の国家政策の参考とするためには、現状の自立的経済状況も順
調であり、今後将来とも自立的な発展拡大の可能性の高い国家はアメリカが第一で
あり、だからこそアメリカの経済政策、税制を研究しているのです。
 このアメリカと対等に競争するには、日本では経済的に女性主導の過少消費体質
と過剰貯蓄体質と更に利己的意識が極めて強い金持ちや一般市民の社会福祉への寄
付の社会慣行が極端に少ない国民性つまり民間の所得分配行為が極めて少ない国民
性を踏まえ、個人消費の進化システム機能を取り戻すためアメリカより更に徹底し
た個人消費への規制緩和(現行の課税理由の明確な個別間接税は除き)つまり消費
税を全廃し、更に利他的意識を醸成し消費性向を高めるため全国民のアメリカより
社会福祉への寄付分だけ高い税率による直接税制を強化し、個人消費の自然拡大機
能を完全に取り戻し、個人消費の自然な増進を通じて縮小しつつある日本の市場経
済の進化機能や過剰性の拡大機能(P254参照)をアメリカ並に回復し科学技術
の進歩による労働生産性の向上を吸収し、失業率を改善し日本経済の自立的回復基
盤と金融不安を解消し日本人の生活基盤を確立することが、今正に国内的にも国際
的にも強く求められているのです。
 日本の間接税は消費税を全廃しても、ガソリン、酒、タバコの間接税と事実上の
間接税とも言える自動車関係の諸税並びに第二税金とも考えられる高速道路料金
(アメリカは無料)などを考慮に入れると、アメリカの地方税である小売売上税を
考慮に入れても間接税比率は高い位なのです。
 昭和35年からの世界が驚愕した日本の高度成長時代には消費税は存在せず、当
時の所得税の最高税率は所得5000万円以上について70%であり、更にそれ以
後長年8000万円以上につき75%に引き上げられ、昭和60年−62年3月申
告分までは70%、63−64年(平成元年)3月申告分までは60%だったので
す。
 つまりこの間、痛みを伴う国家を通じた助け合いの精神、利他的意識の重要さが
国民へ求められていた時期であり、正に経済成長や好況と痛みを伴う直接税率の高
さと個人消費規制税制の不存在は正比例の関係にあったのです。
 それが昭和64年(平成元年)4月に消費税が導入され、平成2年3月に所得税
と消費税と両方の申告の納税時期になった時に、消費税3%、所得税の最高税率5
0%の納税が始まったのであります。
 実は経済成長システムが大きく傷つけられた、この消費税導入の一年後の現実に
企業の消費税の納税が始まった平成2年3月前後の確定申告時期から円、株、債券
のトリプル安が開始しバブルの崩壊が早くも始まったのです。
 その後消費税が5%になったのに伴い、所得税の最高税率は37%に減じられ、
高所得者有利の資本主義的利己心を促進する政策へ変更され、それによって経済成
長を誘発しようとする政策の思惑とは正反対に急速な不況の更なる深刻化に突入し
てしまったのであります。
 そして日本国が外国に対する援助という対外的な利他的意識ばかりを政策に取り
入れ、肝心の自国民に対しては高所得者有利の利己的意識を強調する「経済哲学の
変更」に終始し、国民へ利己的意識を鼓舞して経済発展を実現しようするシステム
へ変更し続けた誤りが「本書の理論通り」経済の発展を大きく阻害しているのです。
 つまり高所得税率の少しの痛みを避けよう避けようとしたために、不況の深刻化
と言う激痛を伴う死の苦しみが全産業と全国民へ「自己回帰的」に襲ったのです。
 つまり日本人は近年特に、個人個人が利己的に行動する傾向が強いので、これと
均衡を保つためには、社会全体のために善悪、良否を明確に区分区別しながら、日
本人の心の奥底に眠っている良心と良識に基づく利他的な意識を引き出す政策運営
をしないと、経済成長は全く期待できないのです。
 日本の高度成長時代を実現できたのは、消費税という個人消費規制税制が無かっ
たため個人消費の進化システム機能が十分機能したこと、高い累進税率の存在によ
り消費性向の低い人(高所得者層)から消費性向の高い人(低所得者層)への所得
配分が直接税の機能を通じて常時実現していたために、その時期日本国の個人消費
の伸び率は極端に高く、そのために企業の設備投資意欲もケタ外れに高く、それが
国民所得へ自動的に等価変換され国民所得の爆発的な増加をもたらし所得倍増計画
以上の国民所得の圧倒的な増加を実現できたのです。
 そして高い税を支払った多くの高所得者層は、決して損をしたわけでなく支払っ
た分の有形無形の配当やチャンスをものにしたのです。
 そして高所得者層は、同時に必要経費を無税で使用できるという特権を持つ「企
業経営」のおもしろさもチャンスも身につけたのです。
 したがって現状の経済不況は「人為的な政策ミスによる人災であり」「消費税の
導入までの25年間で265兆円の国債を、財政再建のための消費税導入の大義名
分にも拘わらず、わずか11年間で401兆円増加させ666兆円の国債」を残し
未来の子孫に負担させる責任から考えると、民間ではリストラ、給与カットが日常
的に行われている現状では、この様な日本国の経営内容に陥れた責任は大きく、与
野党を問わず国会議員と官僚の皆様は最低3割以上の給料カットを行なわなければ
なりません。
 もしこれが無理であれば、可及的速やかに政策変更を行い、日本国の経営内容の
改善を行い「結果」を出さなければなりません。
 民間では当たり前の事なのです。
 演繹的な論理や通説に惑わされず「事実」をしっかり分析することが大切なので
す。
 本書の理論は内外の「実際の事実」によって証明しているのです。
 既成の学説によれば直接税は「貯蓄」を阻害し、「消費を優遇する」という誘因
を生みだし、貯蓄を減少させ、投資を阻害するというデメリットを強調しているが、
現在の経済成長停止状況における、日本の貯蓄過剰、消費過小の国民性にとっては、
この直接税の欠点と言われる点こそ、正に大メリットなのであります。
 そして累進所得税は個人の勤労意欲や事業意欲を阻害するから経済成長に悪影響
を及ぼすとの学説もあるが、実はその人が累進税率の高さゆえに、所得追求を止め
ても、既に述べた如く国民所得全体は減少しないので、余剰所得は所得の低いつま
り消費性向のより高い他の所得追求者に配分されるので、何ら経済成長には悪影響
が無いどころか、個人消費が更に増加し経済成長の促進要因になるのです。
 忘れてはならないのは、「貯蓄」もまた銀行を通じて、全額国内企業の「設備投
資」として全額活用されなければならないのが「経済の仕組み」であり、貯蓄は天
国に貯めておくものでは絶対無いことを理解しなければなりません。
 そして設備投資を活発にするには、個人消費が活発にならなければ不可能なので
す。
 そして設備投資が活発でなければ、国内で貯蓄された資金は、海外の投資に回る
か、国債を購入するか「経済成長には全く役立たない資金」になり、国内の民間市
場はますます活用できる実質資金が枯渇し、ますます不況が深刻になるのです。
 そして一言付言したいことは、日本のバブル経済が発生した原因は決して直接税
制そのものの責任ではなく、「不動産の買い換え特例を認めすぎて不動産購入の無
限連鎖が生じてしまったこと」「金融政策、財政政策を誤り、バブルを沈静化する
どころか、資産インフレを見逃し加速させてしまったこと」「将来発生するかもし
れない相続税の金銭納付に恐怖感を覚えた納税者が不動産購入と建物建築へ走った
こと」などから、「膨大な資産仮需」と「資産インフレ」が生じたのが、その原因
だったのです。
 当時取るべきだ対策は、「不動産の買い換え特例を厳しく制限すること」、「金
融政策、財政政策を不動産の仮需や在庫仮需が発生しないよう工夫しながら引き締
めること」「国家の余った財政収入はバブルの沈静化を図るため、財政需要として
使用せず、将来に備え確保すること」、「相続税の物納を徹底して拡充し、納税の
金銭資金調達の不安を納税者から取り除くこと」などを実行すれば良かったのです。
 つまり直接税制の責任では無く、何が問題なのか索敵能力が充分でなく、したが
って適正な運用や対策が取れなかっただけなのです。
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(進化システムが作動する膨大な国民の意志に基づく政策決定方法の重要性と、弊
 害ばかりをもたらす少数のエリートの理念観念による政策決定方法)

 さて日本の現状の失業率は1985年(昭和60年はバブル絶頂期の数年前)の
2.6%よりも2倍以上悪化しており、株価はバブル期の1/3から1/4に下落
しアメリカとの経済的格差は言葉に言い表せないほど、広がってしまったのです。
 日本の官僚や政治家が立案した国民が支持しない政策を強行した場合の、国民の
経済的愛国心の無さは当然であり、国民感情に適応していない経済政策の愚かな結
末が明確に表れています。(失業率が異状に高いドイツなどユーロエリアの理念観
念に基づく経済、税制にも、その疑念が、私にはいつもつきまとっています。)
 さて当時の国会議員と官僚の皆様が個人消費への課税である消費税を導入したの
は決して不純な動機ではなく「この税制を導入した方が日本の将来に必ず良い結果
をもたらす」という未来予測を基に「理念観念」で導入したことは確かなことです。
 それなのに現在「当時の未来予測が全く当たっていない」のに、これ以外ないと
他のいくらでもある選択肢を情緒的に排除し「理念観念」として更に凝り固まり消
費税制の維持は、与野党を問わず国会議員と官僚の皆様の固定観念になっておりま
す。
 しかし進化システムの考え方は「結果が全ての世界」なのです。
 私は「事実」として当時の未来予測が的中し「予想された良い結果」になりまし
たか?と問いたいのです。
 まずこの事実認定をしっかり行わなければなりません。
 つまり「理念観念」より「事実」の方が「真実」により一層近いからです。
 日本人の大きな欠点は、いくつもの選択肢を並べて比較し、その時の状況に応じ
て明確になった最悪を淘汰し、出来るだけ予測が確かな次善を選ぶという、しごく
当り前の作業を繰り返しながら微分積分的に最善に接近するという継続性のある精
神的タフネスさが無く、情緒的に一つの選択肢に凝り固まると「理念観念にこだわ
り」「実質的な決定ルール遵守という進化システムの重要性を忘れ」理念観念ばか
りに固執するという精神的固さや幼さがあり、事実を基に善悪を、明確に区分区別
する精神的強さと最悪を淘汰する勇気と柔軟性と決断力が欠如している点でありま
す。
 筆者だけではなくアメリカ政府の要人が再三再四に渡り、消費税の再検討を忠告
しているのに、「内政干渉と金切り声を上げ」忠告を無視し続けたため、現在では
アメリカも忠告を止めてしまったのです。
 つまり日本人は破滅の際まで来ないと真実や事実を理解する勇気が無い欠点があ
るのです。
 固く考えず、事実を基にもっと素直に気楽に考えるべきなのです。
 たかが人間の考えることです、失敗は付き物なのです。失敗すればやり直せば良
いのです。
「失敗の事実」を素直に受け入れる勇気があるかどうか、国会議員の皆様にやり直
す勇気があるかどうかだけの問題なのです。
 人間の人生も基本を遵守しながら10人10色、100人100様で本人の能力
に合わせて成功を目指せば良いのでありまして国家政策もまた国際的に遵守が義務
づけられた基本を遵守しながら10国10色、100国100様で国民性と能力に
合わせて成功を目指せば良いのです。
 もちろん失われた10年は全て無駄であった訳ではなく「どのように莫大な国費
をかけても、国家の基本政策が間違っていると、良い経済効果が現れない事実をあ
らゆる人が実感した事」や「日本の社会制度の多くの弱点が白日の下に明らかにさ
れ、多くの事が改善された」という大きな利点もあったのです。  
 しかし現状を継続することは、メリットよりはるかにデメリットが深刻であり、
今後の国家基本政策を本書で述べる進化システム政策と昭和63年以前の成功して
いた税制を参考にして、全面的に見直すべきなのです。
 さて本来なら当時の世論調査の結果では、消費税制は国民の7−80%が導入に
反対しているのに国会で承認されてしまったという事実は、日本の政治システムが
実質的に「進化システムになっていないという」事実が証明されたのです。
 したがって本書は経済ばかりでなく、政治に対しても進化システムを導入する必
要性を声を大にして訴えているのです。
 それは国民大衆の意志の単純総和の決定ルールは「理念観念に決して凝り固まら
ず」その時代の「国民が幸福になるための国民環境に柔軟に適応できる現実的判断」
を下せるからであります。
 なぜなら彼ら自身が幸福を求め、生き残りの本能を持つ国民環境そのものだから
であります。

                                目次へ戻る

(膨大な数の国民で成り立つ国家経済を良好に保つには、競争力均衡化原則による
 進化システム的発想で全体を有効に機能するよう組み立てなくてはなりません。)

 私は根っからの自由主義経済論者であり、政治的には保守的な思想の持ち主です。
 ここ十数年間エリート専門家や解説者による、テレビの経済討論番組や新聞の経
済解説記事を毎日のように見せられたり、聞かされたりしてきましたが、多くの国
民が感じているようにほとんどが「コンニャク問答か禅問答」のようで不況の根源
的原因を明確に指摘して、この政策を根本的に実行すれば財政再建にも景気回復に
も同時に役立ち経済成長が再度開始されると言った核心に迫る議論は見たり聞いた
りしたことがありません。
 現在では景気回復に全く役立たないこのようなメディアは見る気もしなくなって
しまった国民も多いのではないかと思っています。
 したがってこれらの専門家の意見に基づく国の経済政策も目先の対症療法に追わ
れ、膨大な国費を使用し、国の借金が増える一方で更に不況が深刻化し一向に改善
の気配がありません。
 したがって結論から言えば本格的な景気回復と財政再建を同時に完全に達成でき
る正しい経済運営の進め方について現状の経済エリートの方々が「真の理論」を有
していないことが明確になってきたのです。
 主張している理論も「事実」に基づかない「単純な理念観念という思いこみ」ば
かりが目立ち、全く事実に基づかない空理空論としか言いようのない意見が大半を
占め、専門家としての問題点の索敵能力に強い疑問を感じています。
 その上広い学問的視野に立脚しているとは思えない木を見て森を見ない些末な議
論に終始しています。
 結局正しい方針が立てられず、経済運営はその場しのぎの連続で混乱の極に達し、
その上「現状の経済政策は根本的に日本の国情に全く適応しておらず」このままで
は「本格的な景気回復や財政再建は全く不可能」であることが分かって来たのです。
 その上政界、官界の大部分のエリートの方々は財政再建を達成するには、消費税
の増税以外方法がないという強迫観念に陥っておりますが、これでは経済の出発点
である進化システムである個人消費を抑圧し、個人消費の増進によって成り立って
いる市場経済の拡大機能を更に破壊し日本経済のアポドーシス(自滅)を引き起こ
してしまいます。
 つまり「個人消費」は結果として第三者へ所得を得さしめる行為、つまり第三者
へカネをもたらす行為であり言葉を換えれば所得の配分行為であり日常的な助け合
いの行為なのであり「利他的行為」なのです。
 したがって突き詰めて考れば消費は美徳という積もりはありませんが「個人消費」
の本質は人間の生活を支える基本行為であり「寄付して弱者の生活を支えるのと」
結果は同一の効果を生じる行為なのであり、これに間接税で課税を行って規制をす
ることは全く道徳的にも望ましくないのです。
 それに対して「所得と資産」を獲得する行為は自分自身のみがカネや資産を得る
行為であり結果として「利己的行為そのもの」なのであり資本主義社会ではこれを
無制限に認めると人間社会では独り占めが発生し反道徳的になってしまうため「競
争力均衡状態の思想」(P239参照)から直接税で規制が認められる道徳的基盤
が存在するのです。
 したがって少数の成功者の利己的意識をくすぐり優遇し国家政策を成功させよう
とする試みは成功者でない大多数の国民を含む国家では成功はあり得ないのです。
 つまり国家政策を成功させるには、人間の自ら所得を得たいとする利己的意識と
他のものに所得を得さしめようとする個人消費などの利他的意識を各々十分に発揮
させ全国民を各々の能力に応じ、全員に正直に誠実に勤勉に努力し、それを発揮す
る意欲を持たせ、自由と平等に勝つチャンスを与えフェアーに競争させることによ
って、全国民にとって各々の能力に応じて良い結果を出せるシステムを組み上げ、
全体として成果を出せる政策こそ、国家政策なのであります。
「競争しあいながら、助け合い協同して生活する政策」が人間という社会的動物に
最も適応していると、筆者は考えているのであります。
 さて我が国経済は需要に対して供給力が大きく上回り始めた成熟経済段階に達し
たのですが、それでも「与件(前提条件)無しでの完全に自由な競争」こそ経済の
進化発展のための最善の手段である
と市場経済では考えられております。
 それでは日本が成熟経済へ達した中で国民が望んでいる「真の経済成長の達成」
や「財政再建」を実現するためには六つの分野の与件(前提条件)から成り立って
いる現代経済学は、現実の与件無しの競争社会にほとんど役立たないことは莫大な
国民の血税を使用した、十数年来の何度にもわたる景気回復のための経済政策の失
敗によって不況に苦しむ多くの国民が肌で知るところであります。

 そこで本書の目的は多数の与件(前提条件)の上でしか、経済を説明できない現
代経済学を離れ、経済学の基本を活用しながらも与件(前提条件)無しで市場経済
に合致した経済成長を完全に説明できる理論を構築することによって「本格的景気
回復と財政再建を同時に完全に達成できる方法」を立案するため経済の現状を詳細
に分析し、現状の最悪部分を排除した「必要且つ十分な経済成長税制理論」を目指
したものであり、「結果として根本的な唯一の解決策」として完成したものであり
ます。
 そしてこの達成手段としてシステム工学で用いられている進化システムの原理を
経済分野に徹底的に活用し「進化システムであるべき経済と政治において完全に均
衡のとれた進化発展」こそが鍵であり、それを実現するためには「市場経済や民主
主義という進化システムにおいて進化システム原理が如何に完全に理解され遵守さ
れているかどうか」に成否がかかり、それを遵守する度合いが高ければ高いほど結
果として持続的で本格的景気回復と財政再建を完全に同時に達成できることを発見
したのです。

 さて人間社会の全ての問題を解決する手段として、進化システムである民主主義
という手段がありますが謀術策に優れルール無視も平気で行う権力者や理念観念者
によって全国民が洗脳され支配されやすい社会的動物としての人間の弱さや特性、
問題点を厳格に排除するために民主主義国家を運営する原則として参加の自由と対
等に平等とフェアーな競争(協同)ルールによって全てを決着し決定するシステム
の適正さを遵守するために、他の影響力を排除した「人間個人の独立性を実現する
徹底した規制ルール」がまず第一義的に重要となります。
 つまり憲法で示されているが如く、国家は国民の幸福追求を実現するために存在
するのであるから、まず幸福を感じるには「希望」が無くてはならないのです。
 人間は「希望の達成−>幸福」のサイクルで始めて幸福を感じるからなのです。
「競争力均衡状態」の意味について解説しますと、人間を除く地球上に生存する何
百万種の生物の競争力は同種同士では、ほぼ一対一か一対二程度の競争力の差しか
ないことは生物の観察から明らかであります。
 つまりどの個体でも仲間同士で競争して「勝つチャンスつまり希望」は大いにあ
るのです。
 ところが唯一人間だけは権謀術策や経済力などを駆使し、人間同士の生の競争力
の差は、その人の地位や経済力によって一対十万倍にもなってしまう時があるので
す。
 それを放置すれば強大な競争力によって、戦う前から競争相手を簡単にけ落とし
奈落の底にたたき落とすことも出来るのです。 
 これを不合理にならない自然な生物と同じ様な範囲内で規制し競争力を均衡させ
競争して勝つチャンスを全ての国民へ与えなければ全ての国民に希望を与えること
は出来ないのです。
 しかも人間は希望があれば精一杯努力出来るし、多くのものを生み出せるのです。
 しかし競争する前から勝敗が明確で、全く競争に勝つ希望が無ければ、人間は努
力を放棄し、多くのものを生み出すことや、生きる希望さえも意欲も失ってしまう、
そういう特性を持った動物なのです。
 そしてこの原則の裏側には「不合理にならない範囲内で国家は国民一人一人、企
業一社一社の競争力の均衡を図る原則」が常に隠されているのです。

 まず自然界では強者は生命を維持する以上にはむやみに弱者を捕食しない原則に
よって競争力の均衡が保たれており、人間を集団として把握し、全体の能力を引き
出すには競争力を均衡させ「競争で勝つチャンスつまり希望を全国民、全企業へ与
えること」が、国家の重要な機能になるのです。
 この「競争力均衡の考え方」は他のあらゆる生物と異なり「同一種」に拘わらず
「理念観念」や「権力の奪取」や「大きな不正」のために、人間は大規模な殺し合
いや闘争を平気で行い得る特別な動物であり、このような社会的動物としての危険
な特性を持つ自覚が自由と平等とフェアーな競争の原則(ルール)や国家権力の三
権分立の原則、独占禁止の原則など、誠実に正直に努力する者に対して、人間一人
一人の競争力の均衡概念の発展として生み出された根源的な概念なのです。
 そして、この考え方は事実として生きとし生けるもの全てに現に適用されており、
自然の生態系では、そこに住む生物の生存のための競争力の均衡が保たれていると
きに、豊かな自然が築かれるのであり、また自らの身体を考えると体内で免疫系の
白血球やキラーT細胞などが、体内に常時進入してくる害になる細菌などを識別し、
血みどろの戦いを体内で常時繰り広げ、均衡を保ちながら細菌などが増殖しない状
況を人間は「健康」と読んでいるのであり、もし白血球やキラーT細胞などが死ん
で機能を停止すると、体内で細菌があっという間に繁殖し、二日もすれば身体は腐
り始めるのです。 
 善悪の識別と悪と識別されたものとの真剣な対応は、人間も避けて通れないので
あり、見て見ぬ振りをすると後で大きな被害をもたらすのです。
 つぎに少数の特定の権力者や理念観念者の幸福ではなく、自然な動物である大多
数の全国民の幸福を実現するには、自然の生態系である自然システムの延長線上に、
存在する「均衡論」に裏打ちされたシステム工学上の進化システムを活用すること
が、最も理にかなっており「国民一人一人と国会議員一人一人に参加の自由と対等
に平等な条件を遵守しフェアーな競争原理(ルール)で多数決で決定され立案され
たシステム(制度や法律など)の時に限って結果として力強く進化する」という進
化システム原理を有するので、日本の経済社会構造の中へ「あらゆる分野において
一人一人の人間に参加の自由と対等に平等な条件でフェアーな競争を展開できる競
争条件を整備するための徹底した規制強化を行い、つまりそのようなルールの厳格
な適用を行い」と「そのようなルール意識を醸成する政策」つまり厳格な民主主義
の確立こそが何より重要であり、人間社会においてこれが完全に実現できれば、あ
らゆる問題が時間は掛かっても「幸福を求める多数の人間の意志」と「進化システ
ム原理がシステム的に結合し」自動的に解決できるのです。
「参加の自由と対等の平等によるフェアーな競争のルール概念」も「所得税、法人
税、相続税などの直接税」も、人間社会における「競争力均衡化の思想」を実現す
るための手段であり、これこそが人間の本性に潜む利己的意識と利他的意識を適切
に引き出し、人間社会を進化発展させる手段としての進化システムの根源なのです。
 これに対して参加の自由に対する規制や妨害など、何でもありの自由や特権を容
認する何でもありの平等やルール無視の何でもありのルール不存在の競争などは、
「競争力均衡化の思想」に役立たず進化システムも機能しないのです。
 逆に所得税などの直接税は、所得=消費+貯蓄の経済公式から明らかなように実
質的に消費と貯蓄に平等に課税し、課税最低限以下の低所得者には、消費にも貯蓄
にも課税を免除し消費に対する参加の自由を促進し、それ以上の国民に対しては所
得に応じた税率で消費にも貯蓄にも「平等に課税」するから悪影響が生じないので
す。
 官僚のキャリアーとノンキャリァーの問題も「国家目標は、憲法で明示するが如
く国民の幸福を追求する権利を実現することだ」という大命題を正確に理解してい
ないことと、少数の人間に特典を与え官僚組織内で政策立案の公正な競争が行われ
ていない結果、国民に目を向けた良い政策が立案されて来ないのであり、また財政
負担ばかりが増加する特殊法人の問題も特殊法人を運営する少数の人間に特典を与
え民間企業との間に公正な競争が行われていない結果にすぎないのです。
 そして政治の分野では国会議員に公正な競争を行わせる環境が整っていないため、
国民環境に良く適応した国家目標を達成する良い政策が生み出されないのであるし、
「民主主義という進化システムである政治」に全国組織の強力な政党や特定の権力
者という、国家目標を達成するために自由な公正競争を行うべき国会議員を「制御
する制御機能としての規制が混入している」ために、「日本の社会経済の進化シス
テムの作動が弱まり」進歩発展が大幅に遅れているのです。
 そして経済の分野では「進化システムである個人消費」に税で規制を加えている
結果が現状の大規模不況の到来なのです。
「進化システムである個人消費への徹底した規制緩和」こそが本格的景気回復と財
政再建の基本であり完全達成の鍵なのです。
 そして非進化システムの所得には、規制を強化しても何ら経済には悪影響はない
のであり、したがって逆に言えば「非進化システムの所得を規制緩和する大幅減税
を行っても、財政負担が増加するばかりで、その経済効果は他の財政支出方法と殆
ど変わりないか劣ると考えられる」からです。
 その理由は所得のほぼ全部を消費に回さざるを得ない消費性向の高い低所得者に
は、減税の恩恵は全く受けないか、わずかしか受けないのに対して、減税の大部分
が元々所得の一部しか消費を行わない余裕のある消費性向の低い高所得者への減税
となり、減税分が個人消費へ全額回ら無い上、もし減税をやらず財政に余裕を持ち、
その分有益な公共事業を行えば、その分全額が消費性向の高い中低所得者層の人件
費として配分され、個人消費が増加するからです。 
 つまり直接税(所得税・資産税)の減税は通説と正反対に景気浮揚に殆ど特別の
効果は無い上、高所得者に多く恩典を与える直接税の減税は社会の不公平感を助長
する悪い政策と考えられます。
 したがってアメリカのブッシュ政権の大規模減税も上記の理由から、その財源を
他の財政支出方法を採った場合と比べて特別に有効な景気浮揚策にはならないので
あることを理解しなければなりません。
 もちろん若干の期間、景気回復効果があるように見えますが、継続性が全く無く、
人間の利己心に頼った政策であり逆に国家全体としては個人消費性向の低下を招き、
持続性が乏しく景気回復の糸口になっても財政が悪化する対策であります。
 クリントン政権が取った個人の懐の痛みが伴う利他心を強制する政策(所得の高
い階層を中心とした直接税の増税)こそが巨大な国家機関を活用し個人消費性向の
国家全体の向上(これこそが高所得層が未来に更なる所得を獲得する基礎になる)
になる高所得層から低所得層への所得配分を実現し個人消費の増進による「景気回
復と財政再建の両者同時達成を目指す自己回帰的な継続性のある対策」なのです。
 しかし現状のアメリカの不況は景気循環に過ぎず、どのように深刻になろうとも
個人消費や政治の進化システム自身は健全に作動しているので財政悪化を気にしな
ければ減税も景気回復のための一つの政治的選択肢であり、どのような経済政策を
取ろうと、回復の強弱はあるにしろ、いずれ景気は回復するのであり、そこが進化
システムの作動がほとんど停止状態のため景気回復が困難で下限が見えてこない下
方の均衡点へ向かって景気後退中の日本との大きな違いなのです。

 さて進化原理では小集団の方が「進化スピードが早いという原則」があり、現代
日本のように意図的に必要以上に企業合併や持株会社政策を推し進め、小さな企業
をつぶし巨大企業形成政策を取ることは、寡占化を招き長期的には「進化の発生確
率低下させ、つまり進化の芽をつぶし」「企業の進化スピードが極端に遅くなるこ
とは確実なのです。」
 そして寡占による競争力の低下現象がいずれ発生するのです。
 つまり「構造改革問題」も日本のあらゆる分野に渡る人間一人一人と企業一社一
社につき国内的にも国外的にも「参加の自由と対等に平等な公正競争の実現」と
「進化システムをより強力に作動させるための進化システム化への徹底した規制緩
和」と「非進化システム分野の国民の幸福の追求に反する部分の徹底した規制強化
と、そうでない部分の規制緩和」を計るという視点で行うことが大切なのです。
 現代経済学が必要とする6分野の複雑な前提条件とその経済学的効用の限定さと
比べ「自由と平等と公正な競争という進化システムの作動条件は何とシンプルで、
何と奥深いことでしょうか」、そして「その時代の人間の幸福の追求の努力とシス
テム的に結合し、あらゆる分野に渡り桁違いの効用がある」のです。
 そして重要なことは何が進化システムで何が非進化システムであるかの区分区別
の問題なのです。
 そして進化システムの本質は特定の理念や観念をもたずフェアーな自由と対等に
平等な条件に基づくルールのみを持ち、「変異」を認め「変異が競争に参入して結
果として進化が起こる」構造を持っているシステムであり、競争の結果の優劣を判
定するのは、地球環境に囲まれた膨大な数の人間環境である国民に帰着することを
決して忘れてはならないのです。
 自分で判断し結果は良くも悪くも全て国民に帰着するので、国民は自ら判断して
生じた結果を謙虚に自ら受け止め、一層現実に適応した計画に再改善して再提案す
るという最善に対して微分積分的に接近するのです。
 これによって国民は自らの判断を常に反省し経験し学習し逞しく成長するのです。
 したがって全ての国民を幸福にする正しい政策を選択するには、特定の個人や組
織の影響力を排除し「人間である全ての国民や国会議員のフェアーな自由と対等に
平等な条件を厳しく守ることが唯一必要であり、これに基づいて各人の良識と良心
に基づく利己的意識と利他的意識を合わせ持ち強い生き残りの生存本能を持つ国民
や国会議員の意志の単純表決による判断で選択された政策がその時代その時代の国
民の人間、地球、時代の環境に総合的に適応する正しい政策」になるのであります。
 したがって人間の自由と平等以外の固定的な理念や観念などは重要でないのです。
「進化システムの考え方の基本は国民に全ての情報を公開し国民を信頼し国民に判
断を任せて国家は行動する」というルール原則で貫かれているからであります。

 さて人間社会のシステムは重層的構造を持っており、実際の社会構造は非進化シ
ステムと進化システムが入り混じった状態になっているのであります。
 しかも進化システムは意識的無意識的にかかわらず、ほとんど全てが目的論的に
構築されており、その最終目的は全て人間の幸福の追求や生き残りの追求や好奇心
の追及という人間の本能を達成するための目的に収斂しているのであります。
 したがって進化システムも上層から下層まで、いくつもの進化システムや非進化
システムが重なり合い、絡み合って全体の進化システムが作動しているのでありま
す。
 しかしその進化システムそのものに規制や抑圧が混入すると、全体の進化システ
ムの能力は低下し、進化発展のスピードは急速に落ちてくるのです。
 逆にそのシステムが現実に非進化システムであり且つ規制することの方が国民の
幸福(道徳)追求に役立つものであれば規制することは一向に差し支えないのです。
 この場合は進化スピードに悪影響は全く無くやり方によっては本文のように逆に
進化が促進される場合もあるのです。

 ここに物事の一つ一つにつき国民の幸福のために真に役立つかどうか区分区別し
「規制緩和と強化の両者の必要性」があるのです。
 さて進化システムはその本質から人によって作られるシステムであるのにかかわ
らず、これを誰かが制御し結果を左右できる構造を持ちこんだ瞬間フェアーな自由
と対等に平等な競争(協同)が出来なくなるのでそのシステムは進化システムでは
なくなってしまうのです。
 つまり「フェアーな競争」は「参加の自由」がなければ成立しない構造なのです。
 したがって「参加を禁止」したり「各種の手法で参加を規制したり妨害したり」
するとその分野が基本的に進化システムであっても進化は停滞し混乱し進化発展の
度合いはそれに応じて急速に低下するのです。

 ゆえに現代の経済学に基づき、エリート達によって莫大な国家予算を使用して実
施される「財政政策」「金融政策」は本来「経済政策の微調整手段」に過ぎず、経
済システムを進化システムに改善しない限り抜本的対策になり得ない現実をエリー
ト達自身認識していないことが大問題であり「莫大な予算の使用の割にはほとんど
根本的な効果をあらわしていない」ことは既に多くの国民が知るところであります。
 そこで日本国憲法が定めている国民の幸福を追及するという幅広い権利の第一歩
となる成熟経済に達した日本経済の再成長を実現するためには、狭く研究対象を限
定した現代経済学ばかりに頼るのではなく広く哲学、進化論、人間行動学、システ
ム工学、心理学、物理学、生物学、社会政治学、経営学、会計学、税法、歴史学な
ど多様な分野の学問の力を借り「日本の経済成長システムを進化システムへ再構築
するのに役立ちうる基本的な考え方」を総合的に取り入れ「日本の経済社会の進化
と経済成長を確実に実現できる基本的な進化システムへの改善を目指し」「結果と
して財政再建を実現する国家システムの構築を目指す」真に役に立つ成熟経済にお
ける経済成長税制理論を構築することを心がけました。
 そして「経済成長現象を一貫して完全に説明できる本書の経済成長税制理論」で
経済システムを進化システムで再構築すれば自らの力で力強い再生と復活が可能で
す。
 さらに国民が規制すべきとする環境問題等における「問題商品の消費や生産の
別規制強化
を進んで行いながら新規開発商品の競争条件を整備し」国民の未来の生
活に貢献する新経済システムを目指しているのです。
 そして本書は人間を生物学的側面と精神的側面の「連続」として捉えております。
 更に国家に実在するのは人間である国民のみであり、組織や企業は法的概念での
みしか存在しないのであるから進化システムの働く真の民主国家では「国家は国民
にとって真に役に立つ機能的な存在であるべき」とする機能的国家論で本書を記述
しております。
 そしてあくまでも国民にとっての機能的国家観であるので、国家機能の色々の分
野において、機能的を強調する余りその分野の専門家に事実上の決定権を与えては
ならず、あくまでも国民の代表者である国会議員と国民に事実上選ばれた内閣が決
定権を持たなければならないのであり、最も良い実例が軍事部門の「文民統制の原
則」であります。
 国家が国民にとって機能的な存在である以上、国家は一般国民の良識、常識、善
悪の判断で運営されなければならないからです。
 軍事における生死の判断でさえ基本的な判断は軍事の専門家(現場の将軍、司令
官、参謀など)ではなく、素人の総理大臣に委ねられているのです。
 これこそが国民の正しい自己責任を伴った民主主義の原則なのです。
 したがって専門家はその分野で素人である国民や国会議員や総理大臣に対する良
き助言者として振る舞わなければならないのであり絶対に決定権を有してはいけな
いのです。
 ここで問題となるのは現代の日本の国家官僚組織に組み込まれている各種審議会、
委員会の事実上の役割でありますが決定に影響力を絶対に持たせてはならず、全て
良き助言者の役割を与え決定責任は、内閣と大臣と国会議員とそれを支える官僚で
あることを明記しなければなりません。厳に各種審議会、委員会が決定責任の隠れ
蓑になってはならないのです。
 これを厳格に守ることが責任感の強い、経験豊かな良き内閣と大臣と国会議員と
官僚を育てる原点になるからです。 
 したがって本案の重要な点は日本の本格的な景気回復と財政再建のために、大規
模な財政支出などの必要性は全く無く、市場経済の進化システムの作動条件を強化
するために単に税の課税方法を間接税中心から直接税中心へ復元を求めていること
と、国家の経済と政治について進化システムへの自己変革を求めている点でありま
す。
 戦後43年間経験済みの直接税制主体の税制に復元すると、変更直後は税収増は
プラスマイナスゼロとしても程なく時間の経過と共に経済成長が再開され国民所得
が増加し、同時に超過累進税率であるため、消費税導入の大きな原因になったマス
コミが愚かな直接税の大減税キャンペーンを実施しない限り「自動的に税収増によ
る財政再建」が達成出来るのです。 
 いずれも困難な努力はいりますが、子孫に借金の負担をかけないカネのかからな
い対策で本格的景気回復と財政再建が同時に実現できるのです。

 ただ消費税は人間の利己的意識に強く影響を与える極めて気むずかしい税金であ
り、増税しようとするとその増税の直前に駆け込み需要が起こり一時的には経済が
好転したように見え、逆に全廃しようとすると、その直前に買い控えによる一時的
な不況が起こる逆転現象が表れるやっかいな性格を持っている税なのです。
 しかし少したてばその税制の国民経済に与える本来の効果は明確に表れるのです。
 つまり自らの経済システムを進化システムの度合いが高いシステムへ改善すれば
経済成長が自己回帰的に自動的に再度開始することを、まず学ばなければなりませ
ん。
 しかも本案は地球の有限性を視野に入れ、政治にも進化システムを導入すること
によって経済成長の方向性までコントロールできる「政治経済統合進化システム」
を提案しているのです。
 つまり国家経営は常にその時代に適応しようとする、その時代の多数の国民自身
が解答を持っており「参加しフェアーに競争し最も現状の国民環境に適応した正し
い結果を選択すること」が進化システムのポイントなのです。
 つまり「その時代の生存環境である地球環境に適応できた生物だけが生き残り進
化するのが、自然の生態系の自然システムによる進化なのであり」全く同様に「そ
の時代の人間環境である国民環境に適応できた政策だけが生き残り、更に国民環境
に適応して競争に勝ち残って進化発展していくのが本書が明示した進化システムに
よる政治経済政策の進化システム論」なのです。
 国民環境に適応できず悪い影響を与えている政策は全て捨て去り、国民環境へ良
い影響を与え適応している政策は進化発展させなければならないのです。 
 したがって本書以外の国民が望まない経済政策は常に失敗が待っているのです。
 ここ12年以上の不況の連続の原因は日本の社会慣行や人間である国民の、心理
や感情の重要性も考慮せず、進化システムの原則に背き、その時の国民の強い反対
を押し切りエリート達の判断ミスにより平成元年に理念観念によって無理やり取り
入れた「進化システムである個人消費に規制・抑圧を加える政策」による「結果と
して総需要抑制政策としての消費規制税制の導入による大規模な人災」なのです。
 したがって財政再建も景気回復も達成できない既成税制理論や固定観念による洗
脳から、まず根本的に脱却しなければなりません。

 つまり人間によって営まれている経済は「全く制御不能な神の手に握られている
のではなく」「経済は人間の手による人為的な現象である以上、進化システムを規
制せず妨害せず遵守すれば進化発展の強弱のアクセルや方向性のハンドルは人間に
よってしっかりとコントロール出来る」のです。
 したがって役立つとは思えない空理空論や神学論争は紙面の無駄になりますので
徹底して避けるように努めました。
 経済の進化発展を保証する進化システム原理とその根底を為す正しい自由と平等
と公正競争概念の詳しい解説については、この結論の要約の後段に記載しておりま
す。
                                目次へ戻る

(研究すべき対象としてのアメリカと米国の国会議員の仕事ぶりと進化システム)

 さて前置きはこのくらいにして、筆者が追い求めていたものは、アメリカが何故、
数千年もの歴史があり社会的インフラを年月を掛けて整備してきた先進国と比べて
荒野の中からわずか224年前にやっと独立した後進国が、あっという間に全ての
歴史ある先進国を追い抜き経済的にも総合力としても世界一の超大国になり得たか。
 アメリカのように国土が広く多民族、多文化、多言語の国家は地球上に数多くあ
るというのに、何故アメリカだけがの思いが強く、その秘密を探ることに情熱をか
けておりました。
 アメリカ国民一人一人の平均値の能力や勤勉さと日本国民一人一人の平均値の能
力や勤勉さを素直に比較してみると、日本人は決してアメリカ人に劣っていないと
私は強く実感しています。
 同様なことはイギリス人もドイツ人もフランス人もイタリア人も感じていること
と思います。
 そしてアメリカの多民族、多文化、多言語で地方分権国家というシステムは我々
単一民族、中央集権国家から見ると非効率の典型に見えます。 
 それではアメリカの指導者が特別に優秀だったかと言えば、アメリカ国民が選ん
だのは、エリートではなく二流の映画俳優だったレーガン大統領、女性問題で度々
裁判沙汰を起こしたクリントン大統領、若いとき大酒のみであったブッシュ大統領
であり、とてもアメリカが超大国になり得た理由を説明できるものではありません。
 しかし私はこれらの大統領の誠実で正直さの中にも、優れた駆け引きの才能と政
治的能力を見抜くエリートには無い大衆の目の確かさを、常に感心しているのです。
 そしてこれらの大統領の実行した政策の結果は決して平凡ではなく、歴史に残る
非凡な成功を収めているのです。
 これは指導者である大統領個人の資質というよりは国家や国民が持つ根本的な哲
学や思想が非効率さを乗り越え「問題点を正確に把握し、それを解決するために個
々の国民の能力を集団としてシステムとして最大限度引き出す国家統治システムの
非凡さ」にあることが徐々に分かってきたのです。
 私は学問的には素人であり筆者の理論は色々の学問の間に存在する埋もれた部分
から取り出した「コロンブスの卵のような種を明かせば何だこんな事だったのかと
いう理論」なのですが非常に基本的で国家経済の発展に役に立つ重要な理論なので
す。
 その根本はアメリカは「後述」の「大量の国民を集団として扱うシステム工学上
の特殊な原理」である「進化システムをあらゆる国家統治システムへ厳格に活用し
ていた国家」だったのです。
 システム工学上システムには「大部分の非進化システム」と「特殊な進化システ
ム」が存在するのです。
 進化システムとは「人間の特性や本能を利用して、システムそれ自身が誰に命令
されるわけでもなく勝手に自分自身で進化発展していくシステム」を進化システム
と定義しているのです。
 この場合進化システムの重要な要素に「競争」(必要なときは協同。以下同じ)
があるところから、人間という権謀術策に優れた人間に対しては競争の前提となる
「参加の自由と対等に平等なフェアーな競争条件が不可欠に必要な事が目からウロ
コが落ちるように分かってきたのです。」
 もちろんアメリカは進化システムを意識して国家統治に活用しているわけではな
く、移民国家であるアメリカ建国の精神「参加の自由と対等に平等な条件のもとに
フェアーな競争(協同)で物事を決着する精神」こそが正に進化システムの基本要
素そのものだったのです。
 したがってアメリカの経済を始めあらゆる制度が進化システム的であり、それこ
そがアメリカが超大国になり得た理由だったのです。
 各界のトップエリートになればなるほど政治的な人物にならなければなりません。
 政治的とは視野が広く、究極的に国民全体のことを真に心に掛ける利他的意識を
強く持つ人格のことであります。
 特にアメリカの「国民の声を代弁する国会議員の一人一人の独立性の確保」は政
党に支配管理されないゆえに、国民のみを見据えて事実のみに基づき理念観念に基
づかない国民環境に良く適応した政策(ルール)を国会議員が次々に選択し且つ時
代に合わなくなった政策を次々に淘汰し自分勝手に進化発展する判断に誤りが少な
い進化システムである政治システムが存在し、そのことがアメリカの社会経済の急
速な発展に極めて役だっているのです。 
 そしてアメリカ国民は、立案された法律や政策へ「どのように国会議員が賛成、
反対を表明し、どのような努力をしたか」を全て情報公開し、それを参考にして個
人別に国会議員の行動や考え方を把握し、それに基づき選挙によって投票するとい
う、完全な事実に基づく間接民主主義をとっているのです。   
 アメリカの政党には全国組織が存在せず、党中央も党委員長も党代表も党首も存
在しない、国会議員に対する政党の束縛が極めて微弱な、世界でも全く特異な進化
システムである政治システムを持っている特別な国なのです。

 これはアメリカ建国の歴史が反映した結果であり、別に進化システムを意識して
作り上げた政治システムではありませんが、結果としてこの政治システムは進化シ
ステムなのです。
 したがって政党は存在しても国会議員の個別の意志を決定的に束縛できない政党
システムになっているのです。
 スポーツ界を見てみると大リーガーに負けない活躍が出来る野茂投手やイチロー
選手、佐々木投手を日本が輩出できるのも、日本の野球界が高校野球、大学野球、
プロ野球をしっかりと発展させ且つ膨大な野球人口の母集団の中から「個人に対し
て広く参加の自由と対等な平等を厳格に遵守し」そこで「フェアーな競争」が出来
る「システム」を永年維持し、多くの失敗や成功の経験を重ね試行錯誤繰り返す事
によって大きな失敗は減少し、少しづつ最善へ近づき、自然にほおって置いても世
界に通用する名選手が生まれてくるのです。
 現状の民間経済の発展も、サッカーの発展も同様なのであり、更に世界一までに
発展した日本の生産技術も同様なのです。
 しっかりしたルールを作れば、良い結果は必ず手に入れることが、出来るのです。
 したがって政治にも「国会議員個人に参加の自由と対等に平等なフェアーな競争
をさせるシステムを作る重要性」があり、そこに「日本の社会経済環境へ適切に適
応できる最善へ近づく社会経済システムが作られる基礎」になるのです。
 それが日本を未来に渡り「進化し発展し世界に貢献できる日本を作り上げる原点」
となるのです。

 たとえば国家が自由貿易体制を言い訳にして「貿易収支ゼロ政策」という不可能
に対する挑戦を行わず「円高という価格面での不平等競走条件つまり個別企業にと
ってフェアーではない競争条件」を放置したために、結果として現状の価格競争に
勝ち残りたいとする企業によって「日本の技術者が艱難辛苦をなめて作り上げた最
も大切な世界一と言われている最先端の生産技術やデーターまで」タダ同然で他国
に移転して結果として自己回帰的に日本の生産者を苦しめているのであります。
 つまり企業としてはやむを得ない行動なのでありますが、それをコントロールす
べき国家が怠慢なのです。

 さてアメリカ議会における一年間の立法案件の提出件数は10000件にも及び
そのうち成立件数は300件程度、成立率3−4%であります。
 アメリカでは法律案件の提案権は国会議員にのみにあり、一人でも簡単に提案可
能であり、国会議員は国会に対して参加の自由と対等に平等でありフェアーな競争
で成立を目指すことが規定通り定められているのです。
 フェアーなスポーツの試合のように、そこに政党の話し合いや協議や談合は少な
く国会議員個人の良心良識に基づく真に国民の為に役立つものか常任委員会でまず
審査され、9割が審査で淘汰され、残り一割が本会議に掛けられ個人として賛成、
反対の意志を表明する単純表決で機械的に良いものは良い、悪いものは悪いと決定
すれば良いのであって、これによってアメリカの国会議員はドンドン仕事をこなし
て膨大な量の法律案を処理決定していくのです。
 したがって成立率は低いとは言え、殆どの国会議員が良いと考えれば、どんな法
律案もアッという間に決定されるのです。
 アメリカの国会議員は民間の経営者が行っている日々の意志決定と全く同様に機
械的にその良否を決定しているのです。
 それに比べて日本では年間の政府・議員合計の提案数250件、成立件数150
件位であり国会議員個人が良い悪いで決めるのではなく、憲法にも定められていな
い国会の議決の投票権も無い政党という組織の事前の根回しや話し合い、協議、談
合などの政治的な交渉に長時間をかけて決定しているのです。
 如何に日本では国会内に日本国憲法に定められた正規の内部競争ルールが働いて
いないのかの歴然とした証拠なのです。
 これでは成熟経済に達した日本では政治経済の進化システムは全く機能しません。
 その上日本では多くの利点がある議院内閣制を取っているため、アメリカでは認
められていない多数の官僚を抱える政府提案が全体の50%年125件位あり、最
近著しく増加しているとは言え議員提案は50%年125件位なのです。
 これから明らかなように600名弱のアメリカの国会議員は年間10000件の
提案を行っているというのに、700名強の日本の国会議員はわずか年間125件
の提案を行っているのに過ぎないのです。
 これは驚きを通してあきれるほどであり、提出ルールに問題があることを示して
おり、民間では一般企業でも年間10000件程度の改善提案をこなしている企業
はザラにあるのです。
 どちらの国家が改善提案をより多くしているか、より国会議員が立案や淘汰や選
択のために働いているかは一目瞭然なのです。
 これらの事実から分かることは、日本の国会内のルールが「固定的な理念観念を
優先し」「議決を通すための質ばかり追い求め」、「問題意識を持った提案が議論
の対象にもならず闇に葬られると言う」国会議員には対して参加の自由と対等に平
等とフェアーな競争原理が全く生かされていないという事実であり、法律は形式的
であり事実として国会議員の立法機能という中身が実質的に殆ど機能していないの
であります。
 日本の国会議員には一人では全く法律案を提案する事も出来ず、提案するには色
々な規制がついており、完璧さばかりを要求し試行錯誤の大切さが理解されず、参
加の自由が無くしたがって日本の政治経済の進化スピードが極端に遅いのも、これ
が最大の問題なのです。日本の悪しき政治慣行は改善しなければならないのです。 

 さて国会は競争原理が働く法律案件の立案、淘汰機能を持つ淘汰機関でなくては
ならず「淘汰」とは多数の中から、多くの不完全な提案を排除し最善の選択に近づ
く作業であり、経験的に言って、その成立率は数%で当然なのであります。
 また成立率が60%程度と高いのはフェアーな競争での成立ではなく、「通過さ
せることを目的とした恣意的な談合による成立」を強く予測させます。 
 またマスコミも愚かにも成立率の高さを、その内閣の力量の如く報道する姿勢に
も「フェアーな競走による淘汰の本質を全く理解していない報道姿勢」が強く感じ
られます。
 しかもマスコミの政党間の話合いによる決着を強調する姿勢は談合による決着を
奨励しているのと同義語であり絶対に止めるべきです。
 要するに決定は話し合いで決めるべきではなく、個人個人の国会議員が自らの良
識と良心によって、最高裁判所の判事のように国民と支持者の意向を代弁し多数決
で決定すれば良いのです。 
 協議や話し合いによる決着は過ちの元なのです。
 結局協議や話し合いを続けるための判断の極端な遅さは、国会議員が働いていな
いのではないかと疑われても仕方が無く、他国を良く研究し根本的に改善しなけれ
ばなりません。
 仕事が少ないから国会で法律案と全く無関係な無意味な議論を長々と行っている
だと思われても仕方がありません。 
 本来日本の法律は筆者の経験では固定的理念観念を優先しているため「自由と平
等とフェアーな競争が無視されている条項が極端に多く、その他にも改善すべき点
が無数にあり」、少なくともアメリカの提案件数の十分の一、年間1000件位で
も良いので改善提案を最低毎年行って至急改善して欲しいと思っています。
「試行錯誤こそ最善へ近づく手段」なのであり、実行しやすいシステムを考えるべ
きです。そして採決は進化システムに基づく個人意志の良心と良識による、単純採
決を行えば良いのであるから、自派閥内も自政党内も対外政党間の交渉事も極めて
少なく、1000件など難なく採決できるのです。
 したがって本書では詳しく述べておりますが、通説と全く異なり「国会議員への
参加の自由と対等に平等なフェアーな競走環境の整備」と「法律を現実に適応する
改善の政府提案のために当面、中央官僚を二倍に増員」し官僚間の競争激化を提案
しているのです。
 つまり情報の本質である「提案は質より量」なのであり多くの量の提案が競争す
る所に向上があるのです。
「日本のあらゆる分野のトップエリートの最大の欠点は情報(事実)に質を求める」
とんでもない間違いを犯している点です。
 情報の本質は「量」こそ命であり、コンピューターのCPU(中央演算装置)の
性能も、実は「情報量」の処理能力を表示しているのです。
 膨大な情報量の中から情報処理を行い、質の良い情報を区別し判別して評価する
ことこそ、トップの仕事なのです。
 トップが始めから情報の大まかな判断を部下に求め、些細な情報を耳に入れよう
とせず、部下に情報の判断を委ねてしまい、耳障りの良い重要な情報だけを得よう
とするところに日本のトップが常に過ちを犯す原因があるのです。
 戦いにおいて決定的に重要さが確認された情報は、実は手遅れな情報であり重要
な情報では無いのです。
 些細な情報から、確認される前に今後起こりうる確定的な結果を予想することが、
重要なのです。つまり「先んずれば人を制す」の格言が情報の命なのです。
 日本でも優秀なトップは机の上の報告書のみに頼らず、自分が現場に出向き膨大
な情報を集め自分で情報を解析し判断するのです。それこそが優秀なトップなので
す。
 些細な情報が実は重大な徴候の表れであることは常に現実に起こっているのです。
 日本の敗戦の転換点となったミッドウェーの海戦でも、日本の敗因は色々言われ
ていますが、根本はアメリカ軍のトップが執念を燃やした些細な情報(事実)の積
み上げによって日本海軍の狙いが、実はミッドウェー島であることを事前に7−8
0%確信し待ちかまえていたのです。 
 ところが日本軍は自分たち自身が極秘行動をしていることを過信し、アメリカ軍
を90−100%奇襲できると、勝手に思いこんで油断していたのです。
 アメリカのトップによる情報観つまり些細な事実を重要視する考え方と日本のト
ップの情報観つまり些細な事実を軽視する考え方との大きな格差が決定的な場面で
常に「結果の重大な格差」として表れるのです。


 さて政治の進化システムを実現するには、国家議員が有権者を代表して個人の自
由な意志で、他の国会議員や政党からも影響を受けることなく真に国民に役立つた
めに、対等に平等に賛成、反対を意志表示する真の競争をしなければ進化システム
は作動しないのです。
 そのためには政党や派閥内で行われる現在合法とされている全ての金銭の授受を
公職選挙法が適用されている国民と同じレベルに規制する政治資金規制法の法律改
正が必要なことと党議拘束など全ての国会議員の意志に影響を与える行為の規制や
禁止の立法化を促進しなければなりません。
 政治は特別な事をやっているわけではないのです。国民に役に立つ仕事を、効率
的にドンドンやるべきなのです。失敗があれば素直にやり直し、最善近づく努力を
ドンドンするべきなのです。
 うらやましい事にアメリカの国会議員には「独立性の強い自由と平等が存在し、
さらに法律立案のプロ意識とフェアーな競争における誰にも影響されない純粋に個
人の単純多数決による決着精神が存在するのです。」
 そして「個人消費に対する規制の弱い税制と直接税中心主義」の税制は「元々消
費好きの国民性で個人消費という進化システムに弱い規制しか存在しないため、放
っておいても個人消費は拡大し」また直接税中心主義は高所得の個人、法人から徴
収した税収を国家機関を通じて低、中所得個人、法人へ所得を配分する実質的効果
があり消費性向が低い高所得者から徴収した税収を消費性向が極めて高い低所得者
へ分散し、更に「寄付」という巨大な民間所得分配機構の存在が、国民全体の消費
性向を強く高めている結果、アメリカ経済は不死鳥のようによみがえるのでありま
す。
                                目次へ戻る

NEW(進化システム競争原理の増殖性と成熟経済の競争政策への応用)

 
自然に生まれたシステムを「自然システム」といい、自然生態系の豊かな自己増
殖と進化が実例であり、進化システムはこの機構を人工的にまねたものを言います。

 進化システムでは同一種間(人間社会も)には自由平等(対等)競争の絶対性を
条件として増殖進化性が発揮され、異種間では弱肉強食競争と食物連鎖原則が作動
します。

 さて「科学技術の進化システム性」はノーベル経済学賞を受賞したソローモデル
から「供給側経済成長理論」へ発展し、「個人消費の進化システム性」は本論の
「需要側経済成長理論」へ発展し、両者が合体するときに最大の経済成長効果を発
揮します。
 科学技術と違い「個人消費や設備投資の進化システム性」については、他に文献
が無く個人消費が進化システムであることを次の通り詳細に解説します。
 つまり「個人消費や設備投資」は「市場経済」で繰り広げる「突然変異を伴った」
「商品増殖競争の一環」であり人間文化の表現と理解すれば誤りがありません。
 つまり現在、市場で生き残って進化システム増殖競争を繰広げる商品群は古代か
ら現代までの間に競争に生き残っている商品なのです。
 現代でも使われている土器や陶器は縄文時代に誕生し、米は弥生時代に誕生し、
木工製品は古代に誕生し青銅や鉄製品はその後に誕生し、1760年代以降の産業
革命によって、個人消費の突然変異は無数に発生し、鉄道は1800年代に、内燃
機自動車は1800年代終わりに誕生し、飛行機は1900年初頭に、プラスチッ
クス商品は1900年代に誕生し、更にテレビは1950年代に急速に発達し、パ
ソコンは1980年代に急速に発達し、太陽光発電は1990年代に発達し、携帯
電話は1995年以降急速に発達し、更にサービス商品については歌舞伎は江戸時
代に誕生し、映画は1900年代に全盛を向かえ、野球やサッカー、歌、アニメ、
ゲーム更に医療、教育、介護福祉、環境保護等の「各種サービス産業の誕生など」
時代とともに「内需の個人消費の種類、質、量」の多様な分化と系統が発生し競争
を繰広げながら累積増加の一途をたどり、この経済的な内需の選択肢つまり「個人
消費の種類・質・量の増加」が、その国の過剰性の文化であり経済成長なのです。
 つまり産業のサービス化は必然であり、それに直接課税強化する消費税制は最悪
です。
 所得が増加する経済環境で国民が環境保護に関心を持てば自然に環境保護個人消
費や設備投資が増えるのです。
 資本主義は人間をセンサーとして個人消費増殖性をシステム的に所得増加に結び
つけた、過剰性の人間文化の貨幣経済的表現なのです。
 結局個人消費は人間の意志と意欲の化身であり、自由(無税)に対等競争させれ
ば生き物のように増殖し進化して所得増に変換するのです。
 本論を読み進むうちに、経済成長理論の根拠となる自然生態系の食物連鎖の頂点
に立つ最強生物の増殖繁栄は、地球環境に適応する下層生物の増殖繁栄に完全に依
存し最終的には食物連鎖の最下層、陸上では植物相、海洋では植物プランクトンの
増殖繁栄が鍵を握っているメカニズムと全く同様に、膨大な中低所得者層の高消費
性向を活用する税制改革が必要になります。

 進化システムとは本人の意志意欲の自己決定性があり、その時代の環境に適応し
増殖した方が勝ちの一見競争に見えない「自由平等(対等)大競争」でありDNA
で自己増殖する生物の増殖と同一であり、憲法の「表現競争の自由」の一種の個人
消費、科学技術、民主主義、市場経済、インターネット等を言い参加の自由が不可
欠です。
 故に経済を増殖成長させるには大衆の巨大な意志と意欲の進化システムを絶対に
課税や規制してはならず、経済成長率の高さは個人消費を課税しない税制次第なの
です。
 故に進化システムは国家が、憲法目的の幸福の追求や国民福祉の向上を自己実現
するための最重要な手段となります。
 システム工学で近年確立された進化システムは人間と社会とを結びつける国家シ
ステム(制度法律等)も研究対象にしており「国家の特定分野(科学技術、個人消
費等)の情報単位の種類、質、量」を自由競争の中で自己増殖する大競争過程を持
つものを進化システムと言います。
 進化システムは規制しなければ、必ず現状より大衆の意欲意志で増殖拡大し蓄積
するので、無形の個人消費へ参加の自由によって、預金引き出しや前向き借入金を
自由に行って資金を作り抑圧無く実行させれば、有形の資産や所得貨幣へ等価変換
して強力に国民所得増加と自力経済成長を達成できるのです。
 大競争を促進するには自然システムと同様、自由平等(対等)競争原則が絶対条
件です。
 規制緩和と規制強化の対象を定義して統一すべきです。

(進化システム)は大競争で優劣の決着をつけるので完全自由化の規制緩和が必要。

(非・反進化システム)弱肉強食競争なので平等(対等)競争に役立つ規制強化が
           必要。

 さて「内需の個人消費や設備投資」と「科学技術」の両者が持つ自己増殖性は、
システム工学の「人間の過剰性の本能を活用した進化システムの自己増殖競争」で
す。
 
人間は進化システムを蓄積し、常に現状より、より良いものを必要以上に追い求
める「過剰性の本能」を持ち、地球環境に適応し生き残り繁栄してきた特殊な動物
なのです。
 この人間の本質的特性を素直に理解し活用し、更にシステム的に発展させて人間
が地球や経済環境に適応し全国民が生き残っていくための、進化システムを課税や
規制しない、過去日米で実験済みの強力な税制を推奨しております。
 さて進化システムの個人消費を順調に増加させるには「自己増殖する自然生態系
と全く同一の自由平等(対等)競争条件を保証すると、国民大衆は生き残りと勝つ
ためのチャンスが増加していると感じ、心の中の個人消費の注意を引く、興味を抱
く情報単位の種類、質、量を増加し、個人消費行動の総和を、常に現状より増加累
積し、結果として経済成長と所得増を達成できる強力なシステムなのです。」

 故に進化システムの自由な消費者心理や自由な科学心を、統制しようとする全体
主義や共産主義では決して経済も社会も発展しないのです。
 よって本人の自由意志で増加できる個人消費は絶対に消費税で課税してはならず、
一部エリートが公平、公正、簡素等の思い込みの理念や目的を掲げて、進化システ
ムの個人消費を規制すると個人消費が減少し等価変換される国民所得が減少し「合
成の誤謬に陥り」良かれと思って構築した制度や法律から予想外に悪い結果が生じ
ます。
 逆に非進化システム(所得、当選、受験競争等)は正に競争らしい競争だが自己
決定性が無く他人の意志に決定を委ねて小競争するので自己増殖力も無いため、自
由平等(対等)競争を実現するための課税や規制も全く問題無く、対等競争が実現
するよう課税や規制をすればするほど良い効果が出ます。
 ゆえに両者の区分区別を厳格にして、何をどの位規制するのが正しいかを決める
のは市場経済の第一線で活動している五感の発達した「自由平等(対等)競争」を
日常的に行なっている国民大衆の過半の意志の総和なのです。
 逆に経済の第一線現場に立たず、前提条件をつけて物を言う机上仕事のエリート
は経済現場を不知のため、現実の経済現場を正しくコントロールする判断に間違い
が多いのです。
 よって国民大衆の厳格な代議制民主主義が必ず必要になるのです。
 つまり自然界の自然システムには「時代時代に適応し生き残りを唯一の目的」と
して「生物進化の基本となる自然本来の自由平等(対等)競争ルール」が厳格に存
在し
、これは人工進化システムにも必須条件となり「参加の自由」「同一種内の対
等で平等な増殖繁殖競争(内部大競争原理)」「異種間の弱肉強食競争(外部小競
争原理)」「競争力均衡化原則(強い動物でも自分の生命の維持以上は食料を独り
占めしない原則)」「環境内循環原則(廃棄物の自然分解を含む)」「突然変異の
競争参加」のルールを厳守すれば進化システムが自動的に強力に作動して市場経済
は豊かに無限に繁栄できるのです。
 逆に市場経済において自由平等(対等)競争ルールに反する競争者の所得(食料)
独占を容認する不自然な低累進所得税制と、個人消費の参加の自由を抑圧する消費
税制が極端な経済不況を招いています。

 さて進化システム原理を満たす4つの条件とは日立デジタル平凡社の世界百科事
典から引用すると 
*1.遺伝子を要素とするシステムとして遺伝子型が存在する。
   遺伝子型は対応する個体(表現型)を作りだし、表現型は遺伝子型の複製の
   場になる。

 つまり人間の経済社会に置き換えると国家は誠実で正直な国民を要素(部分)と
するシステム(全体)であり、強制力のある制度や法律は国民大衆の自然な本人の
自由意志や意欲の「行動表現」を制御する、事実上の人間の遺伝子型と全く同様な
作用をするのです。
 極論すれば国家において国民大衆の自然な本人の意欲や自由意志の「行動表現」
を制御する慣習や文化や宗教や国家目的さえも、ドーキンスの述べるミームとして
国民大衆の行動を制御する遺伝子型として作用するのです。
 よって同一問題が発生しても、異なったミームの遺伝子型を持つ国家国民別に反
応は異なってくるのです。
 したがって国家が経済成長や社会進化を果たすには、何が進化システムであるか
を見分けた上、国民の自由意志や意欲に基づく行動を制御する拡大された遺伝子と
して作用する制度や法律等の中核に、自然システムと全く同一の根源的な概念であ
る自由平等(対等)競争というルールを進化システムへ導入する必要があるのです。
「自然科学の分野ではあらゆる要素が自由平等競争で構築されているが」「社会科
学の分野では本人の意志と意欲と行動表現は、慣習や文化や制度法律で制御されが
ちなので自然状態に近づけるため、本人の意志意欲と行動の自由平等(対等)競争
原則を特別に注入する必要があるのです。」
 結局「経済成長は買物意欲という消費者心理に左右されるので自由平等(対等)
競争厳守の税制でなければならないのです。」
 特に成熟経済に達した個人消費行動は本人の自由(無税)意志と意欲を完全に認
めないと増加しない性質があり、税法に自由平等(対等)競争原則を導入すると所
得再配分効果も加わり、個人消費は強力に増殖を開始し、等価変換で創出される国
民所得が大幅増加できるのです。

*2.遺伝子型のシステム構造は変異する機会がある。
   それは遺伝子型と表現型の形質の変異を引き起こす。

 成熟経済に達した市場経済は自然と同じく「常無しの、定めの無い無常の世界で
あり」常に一ヶ所に止まれず、進化しようとする流動性があるので、其の時代の理
念や目的は、其の時代に存在する国民が個別に設定すべきであり「自由平等(対等)
競争ルールと生き残り目的」以外の公平、公正、簡素など固定的理念観念は個人消
費を規制抑圧停滞させるだけなのです。
 課税しなければ変化する経済環境に適応し、その時代の、より良い個人消費とい
う表現型に変異が生じ遺伝子型(従来の個人消費)との競争に表現型が積極的に参
加し、その時代の経済地球環境に適応増殖する全ての表現型(より良い消費)が競
争で生残り、次世代の遺伝子型として強力に増殖普及するのです。

*3.表現型の間に資源獲得競争が存在する。
   競争は「優劣の結果」をもたらす。

 それは遺伝子型の間の「自己複製頻度の競争」に他ならない。

*4.生態系を支える外部資源が存在する。
   経済活動のため国家外からの原材料の輸入や地球資源からの自国採掘に相当
   する。
 
 自力経済成長にとって最重要なのは貿易体制における「輸入であって輸出ではな
い」。
 つまり「外部資源を活用し」「自己複製という構造を持ち」「より良いものへ変
異しながら(過剰性の文化)」「変異も競争へ参入しつつ結果として増殖普及しな
いものが淘汰され、環境に適応し増殖普及するものが生き残り進化する」という4
つの機構を持つ自己増殖システムで、自由平等(対等)競争条件を備えるものが進
化システムです。
 個人消費も進化システムであり、自由平等(対等)競争条件を厳守すると「自己
複製という増殖性」が強まり自己決定性ならびに変異の容認性と市場経済における
競争による優劣の決定機構を持ち、個人消費増殖の無形の意欲から前向きの借入金
等を通じ有形の所得貨幣へ等価変換し資金を創出増殖する手法が資本主義なのです。
 進化システムはシステムがそれ自身を作り出すことから自己組織システム(組織
論)、自己創出システム(生物系)等と言われ現代ではその活用が急速に進んでい
ます。

 さて人工システム(法律制度など)開発上のシステム作成の指導的原理は以下の
5点であります。
 1.初期目的の達成度  2.社会的受容性(分かりやすさと利便性)
 3.環境変化への適応性 4.機能性能の拡張性と柔軟性  5.経済性と信頼性

 そこで国家はシステム的存在であるので膨大な数の国民へ適用する拡大した遺伝
子として作用するシステム(法律、制度等)を作り上げる場合、上記の5点の「シ
ステム作成の指導原理一点一点」について「条件を満たしているか」を常時チェッ
クし、予測してから実行し、実行後はこれを評価し反省し、再度改善し実行し直さ
なければなりません。
(これは経営学でいう計画・実行・評価の無限サイクル)これが膨大な数の国民を
システム的に統治せざるを得ない国家が為すべき最も重要な作業なのです。
 国民全てが生き残る、国民が望む国家遺伝子を作りあげなければ国家は進化成長
しないのです。
 ゆえに自由平等(対等)競争原則に反する制度や法律や思想は、結局進化成長し
ないため、数十年、数百年後には必ず淘汰される運命になってしまうのです。
(進化システム例) <―――――> (非進化システム例)
 1. 個人消費・設備投資         1. 所得(国民所得)                       
 2.市場経済            2.計画経済
 3.大衆主導の民主主義国家      3.真の全体主義・真の共産主義
 4.事実に基づいた科学技術      4.事実と遊離した理念・観念・迷信
  5.インターネット          5.管理主体がある商用情報システム 

 進化システムの作動メカニズム以下の通りであり、真理は単純で機能的なのです。

1.進化システムは生き残り目的以外の目的(理念や観念など)を持たず進化の「過
  程つまりルール」だけを持つ。
  故に人により作られたシステムにもかかわらず特定の個人や組織と言えども自由
  平等競争以外の理念で制御してはいけない構造を持つ。

2.進化は、より良く環境に適応するために変異が起こり、変異が競争に参入し「結
  果」として進化増殖競争が起こる。
  つまり「普及増殖するものが」すべて良しなのです。
  また変異とは「試行錯誤を行って学習し改善するという」意味が含まれています。

3.外部環境、内部状態の変化に対してシステム全体として柔軟に適応して頑健。
  つまり国民大衆という要素(部分)が自由平等(対等)競争原則で組み上げられ、
  経済地球環境へ柔軟に変異適応している結果、そのような全体システム(国家)
  は頑健である。

4.システムの一部が競争による淘汰圧力からはずれたとき、爆発的に増殖する。
  つまり進化システムの市場経済はバブル発生の可能性があり、反対目標設定の要
  あり。

5.分化と系統が発生する。
  人間は
生き残りのために過剰性の文化を創出している。

 つまり進化システムは必ず増殖成長進化し、分化や系統が発生するので、人間の個
性や文化の多様性が発揮されるシステムである。
 したがって増殖成長進化しない場合は、その進化システムのどこかの自由平等競争
に欠陥があると認識して差し支えない。
 市場経済では「主として倒産等の擬似死のルールを持つ民間企業同士の弱肉強食競
争」(組織同士の外部小競争)と「国などの擬似死のルールを持たない独占組織の内
部の自由平等(対等)増殖繁殖競争」(構成員個人による内部大競争)の2種類の重
要な競争方式が存在するのです。
 外部(小)競争方式を包含した内部(大)競争方式が主たる競争方式として、その
国家経済に定着しているときに、その国の市場経済は最も進化繁栄するのです。
 いづれも競争とは現実の経済環境に適応接近しようとするための手段がその本質な
のです。
 そして人工システムは「進化システムであるときに限ってシステムとして強力に進
化する特徴」を有しているのであり、実例と歴史が雄弁に物語っています。
 そして進化システムは時間が掛かっても必ず非進化システムに勝利してゆくのです。

 
さて進化システムにおけるキィーワードは「競争」であります。
 本書は「協同」という概念は「競争」という概念の正反対であるゆえに広義におい
て進化システムにおける競争概念の一部と判断しています。
 国家の最高の目標は「国民全員の幸福の追求」という不可能と思われる生き残り目
的への挑戦であり、これを達成するためには自然システムでの人間が持つ二つの本能
つまり共同体への帰属本能から生ずる利他的な共同体意識と、本人自身(個体)の生
存本能から生ずる利己的な競争意識の同時存在こそが、これを達成するための重要な
手段なのであります。
 つまり人間は「競争意識・利己的意識・営利精神」と「協同意識・利他的意識・ボ
ランティア精神」を本能的に同時に持っており、本書では密接不可分なものとして理
解する調和のとれた競争を提案しているのであります。
 そして国民大衆は「消費者」(需要)であると同時に「労働者」(供給)であり
「個人消費を通じて国家運営の費用の負担者」であると共に「国家政策の受益者」で
あるという二面性を持ち、この場面場面により正反対の均衡の取れた常識ある経済行
動をする存在として把握しています。
 よって国民大衆が組織運営する膨大な数の町内会や自治会では、年会費収入の20
倍の借金をすることなど無いのに、エリートには常に非常識性があり彼らは理屈をつ
けて膨大な借金をする国家運営をしてしまうのです。
 これは日本が第二次世界大戦参入一年も前に、ヨーロッパ大陸を支配下においた、
世界最強のナチスがアメリカ軍の参戦意志のない孤立無援の英国を昭和15年8月、
世界最強の空軍2500機と陸軍で攻めてさえ、わずか35−40キロのドーバー海
峡を乗り越えられなかった事実を軽視したり、更に昭和16年11月にはソ連軍によ
り、ナチスドイツ軍がガッチリ抑止され勝敗の行方が分からない状況で、使用可能の
零戦350機で当時国力10倍のアメリカに戦いを挑み大戦に引きずりこんだ、日本
の国家エリートの非常識性は、現在も全く変わらないのです。

 進化システムは元手不用の自立的な自己拡大システムであり「人間が作る人工進化システ
ムの本質」は人間がより良い生活をするための、個人や集団としての進化能力や増殖能力を
十分に発揮させ活用し手足となるようなシステム(遺伝子としての法律や制度など)を構築
するのが目的であるから、自然人である人間のより進化し、より幸福になろうとする内在す
る強い本能を引き出す心理や意識的、無意識的な感情、嗜好、本性、特質、相互作用など人
間集団内の自然で有機的な自由平等(対等)競争を導入したシステムでなければ効率の良い
遺伝子型の法律や制度などは作り得ないのです。


                             
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(人間の本性から生ずる経済の過剰性と、その過剰性の重要性)

 そこで何故日本では普通に努力している山一証券、拓銀から始まって青木建設、
マイカル、新潟鉄工所等の一流企業、一流銀行、一流保険会社が次々と際限なく会
社更生法等を適用申請し、会社消滅等の道を歩んでいくのでしょうか。
 また何故ちまたの誠実に努力している多くの中小企業や商店街が経済不況に塗炭
の苦しみを味わっているのでありましょうか。
 もし現状が異状であると真剣に思うならば行動を起こさなければなりません。
「知って行なわざれば、知らざるに同じ。」なのです。
 さてこの真の原因は現代経済学では殆ど強調されておりませんが「日本国内の経
済の過剰性が急速に縮小しつつある結果の表れ」なのです。

 それでは「経済の過剰性」とは何なのでしょうか。
 実はこれは現代経済学では与件として研究対象から外されている人間の持つ生物
学的、人間行動学的、心理学的特徴から生じているのです。
 地球上に生息する何百万種の動物・植物の内、唯一人間だけが持っているのが、
この過剰性の本能・特性なのです。
 地球上に生活する人間以外の全生物は、その生物本来の本能に基づく行動、食性
以外に過剰性は、殆ど皆無なのです。
「経済の過剰性」とは個人消費の拡大を通じて人間のみが持つ「単に物理的に生存
する為に必要なもの、以上のものを欲求する性質・特性・本能」を言います。
 我々人類は「個人消費」としてカネを支払って過剰性に彩られた「衣」を身にま
とい、過剰性の「食」に舌鼓を打ち、過剰性の「住」に居を構えて、協同して生活
し、その個人消費の原資となる「所得」を稼得するために過剰性を競争しながら
「生産」し、そして次の所得を得るためそれを「消費」している地球上唯一の社会
的生物なのです。
 したがって戦前の正しいと思っていた「欲しがりません勝つまでは」の標語は経
済的には最悪だったのです。

 つまり人間社会では他の動物と全く異なり「個人消費こそが所得の源泉」なので
す。
 したがって個人消費額が減少すると、給料切り下げ、リストラが生じるのは当然
なのです。
 だからこそ個人消費は規制してはならず「個人消費は自己拡大する性質を持つ進
化システム」であり、生産力はそれを裏打ちする「自己拡大する性質を持つ科学技
術が進化システム」であり、その「両者がシンクロナイズして合体した自己拡大す
る市場経済進化システム」を形作るであり、原則を遵守すれば経済成長は時代時代
に適応し無限に続くのです。
 この経済原理を理解しなければ、経済成長原理は全く理解できないのです。
 したがって人類は一日たりとも、過剰性無しには幸福に生存できない生物なので
す。
 例えば人間以外どの動物がカネを支払って野球の試合を見に行くでしょう。
 人間以外どの動物がカネを支払ってディズニーランドへ行きたがるでしょうか。
 したがって株式市場の発展や金融の発展、年金、高度医療、社会福祉の発展など
は究極の経済の過剰性であり、「個人消費の拡大を通じてのみ達成される」のです。
 人間は常にこれらを欲求として強く追い求める特性、性質があるのです。
 このように生存する為に必要以上の欲求をすることが経済の維持発展を支えてい
るのであり、経済の過剰性という他の生物には無い人間文化の特異性そのものであ
り、「進化システムである個人消費の増大こそがこの人間文化の本質である経済の
過剰性を根本的に支える根源」なのです。
 それなのに「個人消費を減退させると経済の過剰性が急速に縮小し」結果として
個人消費が増加しない以上設備投資が不活発になり、更に土地価格の下落、株式市
場の不振が発生し先行き不安の国民が更に消費を手控えるという悪循環が始まり、
預金ばかりが増加しても、個人消費が増加しない以上、設備投資をする貸出先が無
いので資金ばかりがダブつき更に不況による業績不振から既存の貸付債権も不良債
権化し、結果的に金利で経営を成り立たせる銀行は経営が成り立たなくなり、預金
者に金利も支払えず、自分自身も経営危機に陥っているのが金融不安なのです。
 個人消費の減退は金融不安や資産価値の下落と極めて大きな相関関係があるので
す。
 しかるに何故日本では進化システムである個人消費が本来の進化発展を開始せず、
停滞し後退し不況を発生しているかは、ひとえに「個人消費に課税という規制を加
え、個人消費の増加を抑圧している消費税」による総需要抑制効果と間接税比率を
高め結果として直接税比率を低下させて国家を通じた所得配分が低所得者から低所
得者への所得配分という消費の増加に結びつかないシステムに固定化されてしまっ
た事によるのです。
 消費税の個人消費抑制効果については、巻頭の四表で掲載の通り間接税主導国家
において、選択の余地の無いくらいに全ての消費に対する課税の度合いが高ければ
高いほどその国家の失業率は高く、国民一人当たりの所得が低いことでも実証出来
ますし、私が多くの消費者懇談会に出席し、日本全体の個人消費の70%以上を支
配し、一円二円の価格差で買い物に勝負をかける日本の主力消費者である主婦の実
感を調査した経験では、商品には消費税がついている以上、出来るだけ無駄なく買
い物し、買い物を節約すると回答した人が80−90%に達していたのです。
 つまり「これらの事実」が消費税の個人消費の抑制効果の証拠なのです。  
 逆に商品コストの中に法人税分や従業員分の源泉所得税が含まれているから買い
物を節約する等という意見は聞いたことも無いし、またトヨタ自動車は巨額の利益
を出して法人税を商品コストの中に算入しているのでトヨタの車は買わない等とい
う意見も聞いたことがありません。
 消費税も法人税も源泉所得税もあらゆる税金は消費者から見て企業の生産する商
品のコストに算入されているのは全く変わらないのに、これを意識させず個人消費
の拡大を抑圧せず巧妙に税収を上げるのが法人税、所得税等の直接税なのです。
 したがって消費税だけが消費者が負担している税金ではないのです。
 同時に人間に人件費を支払っている企業は、法人税を一円も支払っていなくても、
従業員を通じて、その生活費を国に代わって(大不況であれば国は失業保険金や生
活保護費を支払わなければならない)支払っている上に従業員の所得税、住民税を
負担しているのでありかつ、法人税を莫大に支払う高収益企業の原価を安く引き下
げ当該高収益企業の多額の法人税を支払うのに貢献しているのです。
 赤字企業はけしからんからという理念観念で現状を良く分析もせず、すぐに外形
標準課税等を持ち出す誤った資本主義的道徳観は考え直さなければなりません。
                                目次へ戻る

(個人消費の70%以上の決定権を女性が持つ、世界で特異な社会慣行を持つ日本
における消費税制は、総需要抑制政策として作用し大きな弊害をもたらす。)

 さて女性が個人消費市場の70%以上を支配している国は世界で日本以外では私
の知る限り1−2国しかなく、この特異な社会慣行はアメリカやヨーロッパ諸国な
どの白人社会にも存在せず、もちろんイスラム教圏にもない特異な社会慣行であり、
よって日本では個人消費を規制する間接税の副作用が極端に表れる国家なのです。
 現代経済学では余り強調されていませんが、男性と異なる脳の構造を持つ女性に
受け入れられる生理的、心理的に抵抗感のない税制にしないと日本では本質的に経
済の悪循環は断ち切れず、経済の良循環は決して達成しないのです。
 個人消費の回復こそ「経済の良循環」の唯一絶対無二の方法なのですから。
 つまり本来人間は時代時代に合わせ、環境環境に合わせて適応するために無常
(常無し)であり、生き残りたい幸福になりたいとする欲求は無限なのであり、個
人消費は時間と共に進化システムにより少しずつ増加するのが人間の本質なのです。
 経済の過剰性はファッション、言論の自由、金融の発展、年金、社会福祉などあ
らゆる場面に表れ、その根源は人間のDNAに刻み込まれた人間の文化そのもので
あり、これを支えているのが経済的には「個人消費の拡大」が起点になり消費を所
得に変換して実現される「個人所得の増大」なのであります。
 したがつて国民所得を増大させるには、その原資となる自己拡大が可能な進化シ
ステムである個人消費を抑圧・規制してはならないのです。
 成熟経済段階に達した経済状態になると労働生産性が機械化により極端に上がり、
少人数でも基本物資の全生産は可能になり大幅に人間が余り、そこに生産とシンク
ロナイズした増加する個人消費が存在すると余った人間が歌手として、野球選手と
して、アニメ製作者として、サッカー選手として消費を吸引する存在として活躍の
場が与えられ新産業が創出されるのです。
 もし個人消費の増加を意図的に抑圧・規制すると余った人間を吸収するゆとりの
ある需要が無く、結果として新産業が創出されず人間の活躍の場が狭まれ大量の失
業が発生するのです。
 如何に個人消費の進化システムによる自然の増加が必要かお分かり頂けたと思っ
ています。
                                目次へ戻る

(理念観念を重要と考える国会議員の後進性と、国民へ決定を任せる先進性)

 さて日本では理念観念に凝り固まった政党などに支配され、国民の幸福のために
満足な行動が出来ない独立性のない国会議員という752人の少数のエリートで決
定した政策などに対しては、一億二千五百万人の国民の大部分は愛着や愛国心など
持てないのです。
 国民の70−80%の反対を押し切り無理矢理に政党の理念観念で国会議員を拘
束し束縛し成立させた個人消費規制税制などは競争社会に生きる現実の国民環境に
は全く適応しなかった結果が現在の大規模な経済不況をもたらしているのです。
 情報公開が十分行われている環境において日本人の経済的愛国心を明確に発揮さ
せるには大多数の国民自身(出来れば2/3以上の)が望む経済政策を一人一人の
国会議員が独立性を持って良心と良識によって、国民の大多数の意志を良く確認し
ながら政策を立案し国会議員の単純表決で議決し実行すれば、それだけで現場で常
に競争(必要なときは協同。以下同じ)しながら生活している感性鋭い国民大衆の
主体性つまり成功も失敗も自分自身の責任体制が確立されることになり、自分自身
の経済に悪影響のあるものは遠慮会釈無く淘汰し、自分自身の経済に良い影響のあ
るものは遠慮なく選択し経済の流れはスムースになり「経済は良循環を回復し」日
本人も経済的愛国心を発揮できるのです。  
 国などの外部淘汰の働かない倒産の危険の無い組織の幹部は「弱い理念や観念し
か持ってはならず機関決定の正しい内部競争ルールの遵守意志が重要となります。」
 さもないと危険な理念観念が淘汰されず、いつまでも生き残るからであります。 
 しかし国家指導者の弱い理念は、国民の支持よってのみ強い理念に変われるので
す。
 これと全く正反対に民間企業経営者は常に外部競争に曝されており、その経営者
の理念観念ですら常に外部競争で淘汰され倒産が発生し不誠実な理念観念は自然に
この世から消滅するので民間経営者は強い理念観念を持とうと一向に差し支えない
のであります。
 理念観念の持ち方さえ民間経営者と国会議員では全く異なるのです。
 そして国家は大多数の国民が望まない政策を強行すると、どんなに努力しても
「望んだ結果は得られず、停滞と後退が開始されるのです。」
 しかし国民にまかせるとバラマキ政治になり、国家財政は破綻すると言う意見が
ありますが、それは全くの間違いなのです。真に国民と国会議員の一人一人が責任
を持って、政治を担当するようになると、国家の運営費である税の負担と国家政策
の受益が同一の国民自身が担っている事実を、良く自覚するようになり、国家財政
に対する目は現状より、はるかに厳しくなり、全ては国民の目線で行われるように
なり、普通の人の家計の財布と同じように国家財政は改善されるのです。
 そして国会議員は国民の為に効率を考えながら真の努力をするようになるのです。
 つまり国家財政を税を負担してもいないエリートに任せる所に自分自身痛みを感
じることなく理念観念を持ちだして他人のカネを使用しているから破綻するのです。
 そして絶対に間違ってはならないのが、国家の全税目の全税収は消費者である国
民が負担しているという現実です。
 人間世界には人間しか存在しない以上、選挙権は人間しか無く、そして実質的に
全ての税は人間が負担するのであり、企業や組織が負担する税などこの世には存在
しないのです。
 消費税だけが消費者が負担している税ではないのです。
 学者の学説にごまかされてはならないのです。現実は全く異なるのです。
 消費税以外に法人税も勤労者の所得税も社会保険料もありとあらゆる税金や負担
金は企業が生産し販売している商品・サービス原価の中へ算入され、消費者が全額
負担しているのです。
 つまり国民は全て消費者でありますので、商品の購入を通じて、実は企業の法人
税も勤労者の所得税も巧妙に全額負担させていたのであって、消費税システムとい
う景気を悪化させ個人消費を減退させ経済のアポドーシス(自滅)招く恐れのある
無用の長物である消費税を特別に並列して創設する必然性は全く無かったのです。
 したがって全ての税金が、全商品の商品コストに算入されて国庫へ回収される性
質がある以上、どのような理論を振りかざしても個人消費の増進無くしては税収の
増加は望めず、財政再建は果たせないのです。
 法人税による法律上の建前の納税者は企業であっても、企業はお札の輪転機を持
っているわけでもなく、天からお金が降って来るわけでもなく、それ以外の儲けが
あるわけでもなく、全ては商品を消費者に購入して貰い原価を負担して貰う以外納
税することなど出来ないのです。
 だから「カネは天下の回りものなのです。」

 成熟経済になれば尚更個人消費の増加力は弱くなるのであるから、少しでも個人
消費の抑制効果のある税制は取ってはならないのです。
 それでは同じ個人消費に納税を依存している法人税は何故滞納が少なく、消費税
はケタ外れに滞納が多いのでしょうか。
 それは法人税の仕組みが人間の特性に巧妙に合致した税制で人間社会に心理的、
生理的にも適応しており、それに比して消費税は単細胞な税制であり、心理も感情
も持つ人間の複雑な特性に適応出来ない結果に過ぎないのです。

 したがって消費税は結果として企業経営という主として男性社会でも事実として
心理的、生理的に適応していない税制なのであり、経済の良循環を阻んでいるので
す。
 なお付け加えれば何故「国税庁統計年報書」や「経済企画庁 経済要覧」の「租
税負担率」が国民所得で割って算出しているかというと、正に租税というものは全
て直接間接、対象納税者の如何を問わず人間である国民一人一人の個人消費を通じ
て形成される国民所得が実質的に負担していることを明確に表しているのでありま
す。

 日本人は目に見える問題を改善するずば抜けた能力を発揮しますが、逆に日本人
の最大の欠点は「目に見えない真実を見抜く追究能力が乏しい国民性」と「大勢に
流されやすい国民性」を強く感じています。
 このために常に日本人は正確な問題点の把握が出来ないために決定的に大きく判
断を誤る時があるのです。
 たとえ目に見えない問題でも事実かどうか常に疑い、徹底して真実を追究する態
度を失ってはならないのです。
                                目次へ戻る

(アメリカを甘く見て親米路線から常に脱線する日本のエリート層の判断ミス)

 親米路線であった明治、大正の日本と比較して、昭和の日本の「軍務官僚など」
によるヨーロッパの全体主義に傾倒し反アメリカ的政策でアメリカを敵に回すとい
う第二次世界大戦の参戦の判断ミスと同様、戦後のアメリカに影響を受けた、親米
路線の成功が頂点に達した瞬間日本人特有の我々は特別であるというおごりが生じ
今度は「内務官僚など」による国民の強い反対を押し切ってヨーロッパ型の消費税
の導入という反アメリカ的経済政策を取るという判断を下した官僚と政治家の判断
ミスによって引き起こされた、この不況は第二次大戦と同じく大規模な人災なので
す。
 消費税導入前には日本経済に良いにしろ悪いにしろ適応していたアメリカ的政策
に基づき対等の経済競争において本家のアメリカを大きく凌駕したにもかかわらず、
第二次世界大戦と同じく反アメリカ的政策(ヨーロッパ型の消費税の導入)を取っ
てから、わずか十数年で決定的に対等な経済競争に敗れたうえに、100年後には
日本では人口が6000万人程度減少し人口が概ね半分になり国内需要も半分にな
り苦労して実施している公共投資も多くが無駄になると言う、このままいけば日本
の歴史上かつて無い事態に見舞われることが予想されているのです。
 これは第二次世界大戦の敗戦の比ではない国家の存亡にかかわる重大な問題を含
んでいるのです。
 しかもこの人口問題や経済問題は実に驚くべき事に、第二次世界大戦の敗戦国で
ある日独伊の旧枢軸国に共通の問題であるのです。
 我々の思想哲学の中に何か基本的に欠けている問題があるのかもしれません。
 なお政策がしっかりしているアメリカの100年後の人口は現状維持が予測され
未来の明るい展望も超大国の地位も安泰なのです。
 これらの事から日本のエリート層による「国家運営の仕組みや考え方」に大きな
問題があることを示しています。
 やらなければならないことは徹底してやり、やらなくても良いことは絶対やら無
いという区分や区別が出来ていないために、ひどい有様が生じているのです。
 まず正確な情報を元に基礎を改善しなければならないのです。

 さて日本は事実として直接税比率を意図的に急速に低下させ、間接税比率を急速
に上昇させるに比例して「当初の未来予測と全く異なり」経済の不況の深刻化が急
速に進展していることが分かります。
 日本ほどではありませんがドイツも同様です。
 それと全く反対にアメリカの好況の原因はアメリカ自身の多民族、多文化、多言
語で且つ地方分権国家という日本と比べて圧倒的に不利な非効率さを「直接税比率
を高く維持して後述の個人消費と所得の変換システムである経済の自己循環拡大シ
ステムを強化」して経済の自己拡大を徹底して維持しているのです。
 つまり日本、ドイツと対極の経済政策をとったアメリカと比較した結論から言え
ば日独のように個人消費に対する間接税率を高めると本書で分析の通り進化システ
ム機能が大幅に低下し、経済の自己拡大機能が低下し経済成長が停滞し不況が必ず
到来するのです。
 第二次世界大戦においてアメリカの政策を程度の低い政策と見てアメリカに戦争
をしかけたエリート層の判断ミスの結果引き起こされた敗戦の憂き目と同じ状況を
二度にわたり今我々は味わっているのです。
 アメリカの政策立案の確かさと奥深さを良く研究し、決して外見の粗雑さを過大
に低評価して甘く見てはいけないのです。
 アメリカ社会はアングロサクソン中心の国家でありながら「出身民族や男女を問
わず国民に等しく厳格な自由と平等の権利」を与え、本人の「人間性と能力を十分
発揮させ」フェアーな競争の結果によってのみ国家の中枢さえも多民族で構成して
いる様子はこれ以外の方法は無いと思うほど将来の地球社会のあり方を先取りして
いると感じています。
 これは長い歴史による社会慣行と大多数の国民の一体化した意識が伴わないと簡
単に出来ることでは無いのです。
 であるからこそ社会的インフラが全くなく現在まで独立後わずか224年しか経
過していないアメリカが何故世界一の超大国になり得たか、研究すべき対象なので
す。

 さて直接税比率を高く維持すると、時間の経過と共に本書の理論により消費性向
が高まり、個人消費が活発化し経済成長が開始し好不況の波がたとえあっても進化
システムが良好に作用し経済成長は無限に続くのです。
 つまり直接税負担は重くなるにしても、間接税負担は軽減し需要は潤沢になり経
済の過剰性は拡大し、国民所得は増大して株式市場は回復し、金融は発展し、年金、
社会福祉、医療制度、環境問題へ対応する経済的余力が生じ、そして普通に努力す
る企業は生き残る経済環境が得られるのです。
「何故そのような結果がもたらされるのかを詳しく解説し理論を完成したのが、本
書であります。」
 また日本ではこの消費税の強引な導入を契機として新政党が乱立し、この十数年
間日本の政治風土に混乱が続き経済にも大きな悪影響を与えた原因は、正しい判断
を下すために個人の良心や良識を必要とする「一人一人の国会議員個人の意志の単
純表決で全てを決定すべき国会への国会議員の参加の自由と対等に平等であるべき
ルール」が与野党を問わず「政党」や「特定の実力者」と言われる国会議員の「目
的のために手段を選ばない政治ルールの曲解を平気で許す日本の社会慣行の存在」
から党派性や理念、観念を優先させる党議拘束や束縛によって権謀術策がまかり通
り国会議員個人の意志が左右されるのを間近に目にした国民の反乱が選挙に表れ混
乱に拍車を掛けたのです。
 日本にはこの様にあらゆる分野に渡り「一人一人の国民と国会議員に対する自由
と平等の厳格な必要性が真に正しく理解がされていない」社会慣行が存在するとこ
ろに「社会経済の進化発展が停滞したり方向が誤ったりする根源的な原因」がある
ことへの理解が遅れているのです。
 特に一人一人の国会議員には形式的にも実質的にも全くフェアーな自由と対等な
平等が保証されていないと強く感じています。
 それと正反対にアメリカの好況の原因と政策の正しさは、「政党の全国組織が無
く党委員長も党代表などの政党エリートが存在しない、党派性が希薄な特異な政治
システムを採用している国家であるために、国民一人一人と国会議員一人一人に参
加の自由と対等に平等があらゆる分野で徹底され、国民環境に良く適応した政策を
フェアーな競争によって選択される」進化システムを強化することでこれを乗り越
えて発展しているのです。
 日本においても、国民が選挙の投票において公職選挙法を適用されるのと同じ程
度で、国会議員の国会における投票活動(採決)においては、憲法にも主要な法律
にも基本規定が存在しない任意団体である政党が国会議員に対して党議拘束や束縛
することを禁止すべきとする筆者の理論(憲法も同趣旨)の正しさを証明していま
す。

 さて選挙民はその独立性を保証するため国会議員からでも、他の選挙民からでも、
1000円を受け取っても買収として徹底的に警察に追求され、罰せられると言う
のに、国会で投票する国会議員が有権者個人からの献金を受けるのは良いとしても、
有権者とは無関係な政党や他の団体や企業や他の国会議員からの莫大な寄付を合法
としている現在の政治資金規制法によって、有権者のみの代理として国会採決を行
う国会議員の行動に寄付者が強い影響を与えフェアーな競争を歪め「カネまみれの
政治を法律が容認し」、さらに政党の人事などによる影響力の行使など各種の方法
で実質的に国会議員を陰に陽に影響を与え束縛し拘束していることは明らかであり、
これらが有権者の意志ではない「政党や他の団体や特定の国会議員の理念観念を優
先させ」国会議員の採決に重大な影響を与え国の進化発展を歪めているのです。
 国会議員は憲法の趣旨に従い、国民と国権の最高機関である国会にのみ忠誠を尽
くさなければならないのです。
 したがって国会議員は間違っても政党や政党の幹部や特定の国会議員その他の利
害関係者の理念観念に忠誠を尽くしてはならないのです。
 そしてそのような国民や国会に対する忠誠心に基づくフェアーなルールの多数決
で採決された時に限って、その法律については強制力が生じ個人的意見が例え反対
であっても、これは遵守しなければならないのがルールなのです。
 もちろん時代と共に反対意見が優勢となり、国会採決で否決されればその法律は
廃止されるのであり、固定的理念無しの無常(常無し)の世界なのであります。
 このような政治慣行が確立するよう規制法規を立案すべくマスコミは啓蒙しなけ
ればならないのです。
 アメリカの独立宣言で述べられているように「政府の権力はそれに被治者(国民
大衆)が同意を与える場合にのみ、正当とされる」という現代民主主義の究極の哲
学が大前提であり「その時々の世論を重視するアメリカの政治スタイル」として確
立されており、本書はこれと極めて似た結果を説いているのです。

 それこそが遠回りのようで最も日本に豊かな社会経済を構築する早道なのです。
 特に日本はしっかりした選挙制度が確立しており、選挙期間が短い欠点を除けば、
国会議員の選挙区も余り広くなく、そのためアメリカと比べて選挙費用は少なくて
済む分、アメリカの選挙制度最大の問題点である経済界や労働界の献金者の大きな
政治に対する影響力は、日本では少なくて済み、逆に日本において大きな問題であ
る政党の影響力とカネを使って他の国会議員の意志や意識に影響を与え、自分の野
心を果たそうとする行為を禁止すれば資金集めも最小限度で済み、政治分野でのフ
ェアー競争が確保され日本の経済は国民という人間環境を的確に反映し通説とは正
反対にアメリカより良い方向へ進化する可能性の方が極めて大きいと考えています。
 政党の影響力は小さいとしても、大口献金者である経済界の意見が大きい影響力
を持つアメリカ政治における経済の方向性のチェック機能の脆弱性の危険は常に感
じています。
 そして日本人の持つ国民性が全体として決してアメリカ人より劣っていないと筆
者は実感しているからであります。
 自国のルールやシステム(法律や制度など)を決定するのは「素粒子と同様に相
互作用を持ち自由な意志と意識」を持つ「国民一人一人」と、国民の声を代弁する
「国会議員一人一人」が完全に独立性を保ち、形式的にも実質的にも「完全な民主
主義」へ近づけば、経済はより一層発展し需要に満ちあふれ失業の少ない社会を実
現できるのです。
 そしてこのような政治改革が早く確立していれば、昭和63年の国民の世論から
して本来ならば消費税法などが国会で成立することはなかったのです。
 そしてそれが実現すればするほど国民一人一人の身近な人間環境、地球環境の変
化に適応しようとする意志や意識が国家政策に素直に反映され、国民環境や地球環
境へ適応し生き残りを目指す良い経済政策が選択され、適応しない生き残れない悪
い経済政策は淘汰され、「経済成長は進化システムによって、人間環境、地球環境
へ適応しながら常無く無限に続くのです。」
 したがって政党の役割は、「秘密結社ではないので一致団結を決して目指しては
ならず、バラバラの国会議員の意志を束縛や拘束してはならず」、「似たような思
想の有能な政治家が党議拘束をしない緩い集合体の政党を作り、そのような政党の
存在の中で国民と国会にのみ忠誠を尽くす良心と良識に基づく国会議員の単純表決
で物事を決する体制を作る」べきなのです。
 政党の役割は、全国組織を保持するのであれば、この「国会議員の意志の束縛拘
束機能を厳しく規制し、これ以外の政党本来の機能の充実を計るべきなのです。」
 この競争条件が遵守される環境で全ての国民と国会議員が参加するフェアーな内
部競争で、国家内の全ての善悪が決定されるのが真の大衆主導の民主主義なのです。
 この「根源的な意義を正確に厳格に理解しなければ成熟経済においては経済も社
会も的確な進化発展は得られないこと」を、まずマスコミ関係者が目を開かなけれ
ばなりません。 
 進化システムでは「国家には自由と平等以外のあらゆる理念、観念は不要であり」
「その時代その時代の問題毎の善悪、適不適の判断は一人一人の国民と国会議員に
対してフェアーな自由と対等に平等が厳格に守られた環境での国民と国会議員の意
志の単純表決で形成される」システムつまり「真の民主主義」が必要なのてす。
 つまり自分のことは自分で決める自己責任原則と自分で決めた結果は自分に戻っ
てくる自己回帰原則が働くところに「国民と国家の反省と進歩」があるのです。
 このように特に国会議員に対するルールが日本では徹底していないところに、中
立を厳然と守っていたアメリカに対する真珠湾奇襲攻撃に始まる第二次世界大戦へ
の日本国の参戦が決定され、また昭和63年当時の世論調査によると国民の70−
80%の反対にかかわらず与野党問わず理念観念を優先し、お互い一致団結するヤ
クザの組織か秘密結社のようにお互い党議拘束を平然と行い国会議員の自由である
べき意志を束縛し政党主導によって国会での国会議員の良識を封じ込め洗脳し党議
拘束して消費税が導入されたのです。
 そして当然のように国民意志に反した決定を怒った国民によって導入直後の参議
院選挙には、政権与党が記録的な大敗を喫し、長年に渡る政治経済の大混乱の始ま
りとなったのです。
 この問題は憲法の第9条問題より、はるかに根源的な真の民主国家として重要な
問題なのであり、第9条問題などは本件が真に解決すれば歴史と国民意識の変化と
共に、その時代時代に適応した解決策が採択される問題なのです。 
 一人一人の国会議員のフェアーな自由と対等な平等の遵守つまり独立性は何にも
増して重要であり、この点マスコミ関係者は徹底して政党批判を行わなければなら
ないのです。
 そこで全ての国民が選挙で投票する時に厳しい公職選挙法を適用されるのと同様
に国会議員にも国会採決という投票行動においては、現状とは全く異なる公職選挙
法と類似の金銭や人事で影響力を行使できない完全にフェアーな自由と対等に平等
が守られる規制を法律化し、政党などの強い影響を受けず誰からも独立した「日本
の最高裁判所の判事や政党の全国組織が無く党委員長も党代表も存在しないアメリ
カの国会議員に近い独立的な性格を持つ税の負担者であると同時に政策の受益者で
ある国民のみに影響を受ける国民の代表者としてふさわしい国会議員一人一人が自
らの良識と良心のみにしたがって判断し行動できる、国会議員の存立基盤」を構築
しなければ、国家の真の進化システムの作動能力は著しく低下するのです。
 国会議員一人一人の独立性を確保する法律整備は緊急を要しますが、政党のあり
方や政党助成の方法、選挙制度を含め極めて広範囲で根本的な作業が必要になりま
す。
 そしてこのような国民や国会議員一人一人に対する自由と平等が形式的にも実質
的にも厳しく守られている国であればあるほど実は経済も社会も発展しているので
す。
 この点はそのような国の実例や経済発展の理由を本文で詳しく解説しております。
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(直接税国家と間接税国家の経済格差の実証的研究)

 さらに元ジョンズホプキンズ大学八田達夫教授が1986年データーをもとに国民一
人当たりGDPと直接税比率の相関関係を自著「消費税はやはりいらない」で表し
ており、人口の多い大国(つまり国内市場が大きく結果として自国のみで総合的な
消費市場を形成し外国の影響が少ない国)では明らかに直接税比率が高い国家ほど
国民一人当たりのGDPが高いことを、明確に指摘している。
 つまり各種の要因があるとしても、意図的に間接税の比率を低く設定し、直接税
の比率を高くすることが本書の指摘通り個人消費と所得の自己循環拡大システムが
良く機能する結果として国民一人当たりのGDPを高める大きな要因になることが
現実の統計的にも証明されているのです。
 消費税導入前の日本が正にその典型だったのです。
 これらのことから日独という何かというと「理念観念に基づく言葉のコンセプト」
を持ち出し、これを「演繹推論で拡張するマクロ思考の強いエリート主導国家」で
ある旧枢軸国は、エリート自らの理念観念を実現しようと、第二次世界大戦の開戦
時の判断と同じく、特に日本は意図的にこの十数年間一貫して国庫収入の直接税比
率を引き下げ間接税比率を引き上げた為に、自らの未来予測と全く反し結果として
自己回帰的に不況に突入しているのに対して、アメリカは自由と平等以外固定的理
念や観念を持たず「現実の諸事実」に基づき国民大衆の判断を優先する「帰納推論
のミクロ思考に基づく多民族、多文化、多言語の地方分権国家という非効率な大衆
主導国家」であるのにかかわらず、自由主義陣営国のリーダーとして成熟経済にお
ける経済成長を達成するためには経済環境つまり人間環境に適応する正しい判断を
下すことが第一義と考え「国民とそれを代表する国会議員一人一人にフェアーな自
由と対等に平等の判断が下せる環境を堅持した競争条件を遵守」し経済成長に良い
効果があり且つ国民一人一人の個別の成果を正しく評価し個人消費と所得の自己循
環拡大システムと変換システムの役割を持ち且つ国民相互に実質的に適正な競争条
件を実現するためハンディキャップを与える税制(強い者の頭を押さえ競争力を平
準化する思想つまり競争力均衡化の思想)として厳しい直接税システムを維持する
のが最善と判断した結果、弱いものも競争に参加しやすく国民が能力を最大限度に
発揮し経済は好転し自己回帰的に経済の回復と記録的な財政再建が図られたのです。

 つまり「景気」と「参加の自由と対等に平等なフェアーな競争と直接税制」は
「自己回帰的な相関関係」があることは明らかであり、したがって因果関係論から、
これらが原因となって「国民へ失業の少ない良好な経済環境と同時に税収の増加」
という結果をもたらし、また目的論からそのような自由と平等と税制を構築する目
的を達成するには、本書のように好況をもたらす「真の原因を徹底して分析」しな
ければならないのです。
 進化システムに適応しやすい世界でも唯一帰納推論を主として駆使して論理を構
成し、物事の判断を決定するアングロサクソン民族の本家であるイギリスとその分
身が建国したアメリカの経済発展の違いは、正に「人間個人個人の自由と平等」と
「直接税比率の高さ」をどれだけ徹底しているかに掛かっているのであります。
 つまりイギリスはアメリカより民族的に遥かに単一性を保ち国家の存立基盤とし
て、有利な条件を持っているのにかかわらず多くの貴族やそれらに類似の身分制度
を維持し、微弱とは言え人間個人の自由と平等に反し、実質的に生まれながら差異
を認めている社会であるため、人間個人の能力が十分競争によって切磋琢磨され開
花する社会でないことと、またイギリスでは全国組織の政党が存在し党首が率いる
党中央が国会議員を管理統制する仕組みが出来上がっているため、独立性のある国
会議員個人の自由と平等が遵守されて各々の競争(協同)によって物事を決着する
システムが出来上がっていないので国民環境に良く適応した政策を立案する国会議
員の能力が開花する機会が少ないこと、直接税比率が低く個人消費と所得の自己循
環拡大システム能力が低い間接税重視の税制システムが原因となる等、アメリカと
の間に大きなシステムギャップが存在し、これがアメリカとの格差を生じる原因と
なっているのです。
 アメリカが建国時に「自由と平等の徹底」を掲げたことは、進化システムを意識
して行ったわけではないが、これが偶然にも進化システムの基本概念だったのです。
 進化システムは自然システムと全く同一な「無常(常無し)」と固定的理念無し
で「輪廻」という自己回帰原則のシステムであり、人間の幸福を追求するという不
可能な事を実現するために「参加の自由と対等に平等にフェアーな競争の結果」で、
これを実現しようとするシステムなのです。  
 そしてそれこそが自然の生態系がそうであるように、自然システムが素直に働く
ところに、豊かな自然が形成されるのと同様に、進化システムが素直に作動する環
境こそ豊かな社会を築く基本となるのです。   
 この様な哲学で日本を改善できれば、科学技術や生産技術ならびに社会システム
である教育面や医療福祉面などの点で日本は潜在的にアメリカより良い面を多く持
っており、経済面でも必ず再度アメリカとフェアーに対等に競争し追いつく時代が
来ることを私は確信しているのです。

 さて本文で詳しく指摘していますように「日本は女性が家計支出の大部分を実質
的に支配している世界でも希な特殊な社会慣行を有する国家」であり、日本経済を
アポドーシス(自滅)から救い、再度経済成長を開始させ財政再建と本格的景気回
復を同時に達成するには個人消費の回復を図る以外に方法は無く、したがって人間
に内在する幸福になりたいとする強い意志に基づく本能的な力で個人消費を自由に
拡大増進させる進化システムの力を活用しながら、直感力に優れた女性に受け入れ
られる個人消費を規制しない経済税制システムが必要であるという事実認識が必要
なのです。
 私は日本に存在するこの特異な女性主導の個人消費システムは今後将来とも世界
の中で経済競争に勝ち抜くには、その文化のオリジナル性と特異性のゆえにこれを
踏まえて政策を立案すれば非常に有利な点であると考えているのです。
                                目次へ戻る

(経験不足の未来予測と、消費に回らない過剰貯蓄が問題であり、それには経済学
において与件として研究対象から外されている分野の研究が重要です。)

 さて既存の経済理論は後段記載の六分野の与件(P283参照)の上に成りたっ
ており「財政政策」「金融政策」は現状の経済の微調整手段に過ぎないのです。
 したがって現代経済学の欠点を大きく補完し与件無しの現実の競争社会において、
経済成長を実現するには現代経済学の与件(前提条件)として研究対象から外され
ている分野にこそ、経済停滞の真の原因が潜みこれにメスを入れ抜本的に進化シス
テムへ改善する手法が今求められており、それが実現してはじめて1億2500万人の
国民自ら個人消費の創造を開始し個人消費を自己回帰的に拡大しながら、これを国
民所得へ自動変換し、本格的景気回復と財政再建を達成することが出来るようにな
るという事実認識が必要なのです。
 今回の不況はエリートによるこのような事実認識の不足に基づく経済の微調整手
段にしか過ぎない「財政政策」と「金融政策」という小手先の経済政策に大きく頼
ったために引き起こされた度重なる失敗と当然のことながら政策の未来予測が全く
誤っていた結果に過ぎないのです。
 そしてエリートという人達の最も不得意の分野が、「問題点の把握という現場の
たたき上げが持っている索敵能力」と「経験豊かな未来予測」なのであります。
「日本人の国民性や現状を苦労して良く調査もせず、税制理論の基本を自ら徹底し
て追求もせず、手軽に見た目の良い海外の手法や理念ばかりを良く研究し、快適な
机上で仕事をしているエリートの方々の、厳しい現実における前提条件無しでの経
済競争の中では、現実の分析からかけ離れたこのような手法と演繹的論理で政策を
立案した場合どのような結果がもたらされるかの、未来予測の正確性に全く欠けて
いる」のです。
 未来予測の正確性に欠ける政策など立案する意味すらありません。
 したがってエリートの方々は現実の政策を立案する時に日本人のあるべき「理性
的、合理的、理念的」な精神部分のみを取りだし都合の良い演繹推論だけで論理構
成するのではなく現場で厳しい経験を積んで人間の社会動物的側面である「利己的
遺伝子」によって発現する、日本人独特の社会慣行に根ざす「利己的意識、利他的
意識」の意志を持ち個々別々に判断し、さらに「相互作用」を発揮しながら行動す
る「人間の現実の利己的行動や利他的行動の入り混じった現実の心理や行動を予測
し帰納推論しなければ実効ある経済政策を立案し未来を予測するなど出来ない」の
です。
                                目次へ戻る

(貿易黒字を貯め込む弊害について)

 また同様に国家が貿易黒字を貯め込むことも、日本が金持ちになったと錯覚して
いるだけで為替相場を通じて経済学の基本である購買力平価以上の円高になってお
り国家経営的には「商品・サービスの販売において適正な価格形成という産業政策
の根本において大きな弊害」つまり輸入品と国産品さらに外国人件費と国内人件費
の大幅な為替差による価格差を日本の産業界へもたらし国内経済や雇用の空洞化と
輸出採算性の悪化や安い輸入原料に対抗できない新製品や新規産業の創出まで阻害
しているのです。
 まず「国家は結果として国民を幸福にするために存在するのであるという大目的
を正確に認識し」、その上で経済構造を適正に保つためには、経済学や経営学の基
本である「企業経営にとって国内外のフェアーな競争条件を保つ根本的な条件とな
る為替相場を購買力平価に近づける必要」があり貿易収支ゼロ目標値を定め基本に
忠実な輸出入政策、為替政策を取るべきなのです。
 自由貿易体制であるからコントロール不可能であるという言い訳は常に不可能と
戦って利益の追求を行っている民間企業や競争社会で常に困難と闘っている国民に
は全く通用しない論理なのです。
 不可能であるからこそ、その実現に努力する国家が必要なのです。
 輸出入に関する個別企業の情報公開や啓蒙活動や国内需要を大幅に上回る生産設
備増強は規制し出来る限り現地生産を奨励し、それらの個別企業の情報公開や規制
など国際ルールを破らないで貿易収支ゼロ政策を国民や企業へ協力を依頼する方法
はいくらでも存在するのです。 
 貿易政策の基本は輸入代価を支払うための輸出に原則として限定するべきであり、
それ以上の他国への輸出は、直接投資で当該他国への民間の経済協力と当該他国の
国家と国民の努力と協力して行うことが結果として日本文化や生産技術や経営技術
の伝播や当該他国への身になる援助となると考えています。
 さらに今回の「ニューヨークのテロ事件で明からになった教訓」は経済の安全保
障問題です。 
 5000万人が戦死した第二次世界大戦と比較すると遥かに小規模なしかもテロ
事件においてさえ「航空路の安定性が破壊され」これによって海外からの物流(部
品や製品輸入など)に支障が発生したことを考えると日本周辺で万一事変が起こっ
た場合「航空路ルートならびに海路ルートの物流が完全に遮断されることは明らか
であり」「日本国民の生命を維持する生産を安全確実に行えるのは、国内に残留し
ている国内産業だけ」なのであるという認識が重要となります。
 しかし筆者は国内産業を保護しろとか有利にしろとか主張するつもりは全くあり
ません。
 言うなれば「不利にするな」と言うことであり「国の内外を問わず」競争条件を
平等にしろ、競争力を均衡させろ、そのために為替相場は購買力平価を実現するた
めに貿易収支ゼロ政策を推進すべきだとする当たり前の主張をしているのです。
 私の主張は「国内産業には国民への所得配分機能と雇用の確保機能があり、さら
に国の安全保障機能がある」のであるから、少なくとも「国内産業をそのような機
能の無い輸入(海外産業)より不利に陥れてはならないという原則」
を国家は遵守
しなければならず、成熟経済に達し且つ基軸通貨でない円の為替相場では国家は海
外産業と自国産業の競争力を平準化する貿易収支ゼロ政策を確実に実行し、経済学
の基本である購買力平価を実現し国内産業が長期に渡って海外産業と正しい競争が
出来る「競争力の平準化環境」を遵守する事が自由貿易の理念より重要なのです。
                                目次へ戻る

(税制改革による自動循環型自己拡大経済システムが未来の日本を築く基礎)

 そこでこれらの点を踏まえて生命維持装置のような消費と所得の自動自己拡大循
環型の巧妙な経済システムが必要になるのです。  
 まず国民にとって真に役に立つ進化システムである日本の市場経済機能を完全に
回復し、結果として日本経済を自動的に自己進化拡大する真の市場経済体制へ再構
築することを基本命題とします。
(1)市場経済における「需要の自己増加エンジン」である進化システムの「個人
   消費」は自己決定性や反復性や人間のより幸福になりたいとする本能などに
   よる自己拡大性を持つので規制しなければ自動的に増加しようとする本質的
   な特性がある。
   これと進歩しようとする特性がある進化システムである「供給の自己増加エ
   ンジン」の「科学技術」が供給力の拡大と増大をもたらし、両者がシンクロ
   ナイズして自動的に自己拡大進化する需要と供給の合体した進化システムで
   ある市場経済システムを構築しているのです。
   したがって左脳である論理脳を活用する男性が消費の主導権を握っている白
   人のキリスト教社会などと全く異なり右脳の直感脳を併用する女性が消費の
   主導権を握っている特殊な社会構造を持つ日本では、「次々と強化される個
   人消費への規制が原因」となり、これを直感的に総需要抑制政策と見抜き、
   過敏に反応し、供給力の増大にもかかわらず個人消費が過剰に規制抑圧され、
   需要が極端に不足して経済成長が実現せず国民所得が低下し、失業が増加し
   ているのです。
(2)そこで「経済成長の出発点」となる、進化システムである「個人消費」に対
   する「徹底した規制緩和」を行い心理的や経済的負担を課する現状の規制を
   全廃し、個人消費(その商品の生産に携わった人々への、所得を得さしめる
   利他的行為)の増加を規制しない女性にやさしい抵抗感のない経済税制体制
   を実現し進化システムにより自動的に増加する本質を持つ個人消費の自然な
   増加を図る。
   また個人消費は表現の自由の一形態でもあり本質的に規制してはならないの
   です。
(3)さらに「個人消費と設備投資が所得へ変換される原理」から「個人消費」の
   増加は「所得」の増加をもたらすので、「税収の確保」を図るため自己決定
   性も自己拡大性も無い非進化システムである「所得」に超過累進課税の直接
   税を強化し税収の増加を図る。
   他人から得るしか方法がない自己決定性も自己拡大性も無い非進化システム
   である「所得」に課税を強化しても需要や経済成長へ悪影響を与えず、やり
   方次第で経済成長の促進作用さえある。
   これによって結果として「消費性向の低い」高額所得者や法人から徴収した
   税収を国家機関を通じて「消費性向の高い」中低所得者や赤字法人へ、実質
   的な所得分配が実現し「国全体の消費性向を高める個人消費の拡大循環シス
   テム」が完成する。
   これによって消費市場は更に拡大し力の強い高額所得者は納税に見合う更に
   大きなチャンスを得ると同時に中低所得者も普通の生活が送れるようになる。
   副次的効果として超過累進課税により、個人、法人の競争力の平準化効果も
   ある。
   それに対して現状の間接税制による消費性向の高い膨大な数の中低所得者層
   より、消費を削減させて得た税収を、国家という非効率機関の莫大なエネル
   ギーを使用して再度同じ中低所得者に所得を再配分する現状のシステムは
   「経済的に何の意味があるか意味不明な非進化システム」であり「消費性向
   の低い高額所得者の膨大な余剰所得をそのまま取り残してしまうため」個人
   消費の拡大循環には全く役に立たないのであります。
   「個人消費」が活発にならなければ設備投資は活発化せず、それが不況をも
   たらし貯蓄ばかり増加しても企業業績は悪化し銀行に国内の貸出先が無く、
   預金金利は低下し銀行経営は不安定になり日本の資金は海外の投資先に流れ
   日本国内の資金需要は細るばかりで経済の回復は全く実現しないのでありま
   す。 
   これらの結果は統計書や学者や専門家が発表している直接税国家の方が間接
   税国家より国民所得が高い事実でも立証されている。
(4)このように需要側の個人消費自動拡大システムと供給側の科学的生産自動拡
   大システムの並立こそ市場経済の根本であり、このシステムが完成すれば個
   人消費は自動的に拡大を開始し設備投資も活発化し「結果として人間は消費
   を所得へ変換して経済生活を営んでいる」ので、これによって国民所得の自
   動的な増大システムが完成し、少し時間が掛かっても「経済成長と財政再建
   の同時達成」が実現されるのです。
   そして国内経済は自ら国内で生産したものを自ら大部分国内で消費するとい
   う原則つまり人間は消費者であると同時に生産者であるという自己回帰原則
   が維持されるときにのみ他国に影響されること無く「経済の循環と拡大が適
   切に達成される」のであります。
   これは進化システムを十分活用すれば人類の経済発展の歴史が他の天体から
   隔絶された地球という完全閉鎖系の経済環境でも十分発展している事実で証
   明されており、一部輸出入が生じる不完全閉鎖系である国家経済もまた地球
   環境における資源や原料の偏在による貿易を除けば、国家の置かれている実
   状や地域に適応した個別の発展が十分可能なことを示しているのです。
   これはまるで自然環境における生物が「競争を通じて」その環境環境に応じ
   て独自の進化発展を遂げて分化と系統に分かれ豊かな自然を形成するのと極
   めて類似しており、経済も生物の進化も同じ進化システムの流れの中に存在
   しているのです。
(5)しかし国民の真の幸福を追求するために「地球の有限性」や「熱力学エント
   ロピーの法則」からの実質的制限が経済に付されるのはやむを得ない事実で
   あり、時代時代に合わせた個人消費の選択肢の無限の拡大を担保すべく個人
   消費の方向性を確定する、その時代に適応しようとする「真の進化システム
   が機能する政治改革」つまり生き残ろうとする国民意志の総和を正しく反映
   することが必要になるのです。
(6)この日本の「市場経済と政治」の自動拡大進化システムの完成により、天下
   の大軍である1億2500万人の膨大な国民が一人残らず進化システムに基
   づくこの市場経済システムによって活動を始め、日本の市場経済は少しずつ
   拡大発展を開始し、加速がつきはじめ同時に国民の自由な意志による、その
   方向性も試行錯誤しながら最適化へ動き出すのです。
   日本人の国民性や社会的雰囲気から判断すると一見組織に流されているよう
   に見えて、実は「努力する人間個人を重視する思想、いわゆる個人主義の重
   視」は進化システムを構築するのに極めて有利な国民性の条件であり、さら
   に国民意識として高額所得者の莫大な寄付が社会基盤になっている、民間社
   会福祉が発達しているキリスト教圏やイスラム教圏と異なり、日本国民の利
   他的意識は任意の篤志家による寄付に頼る協同体意識より、直接税を強化し
   ても国民全体の協力に基づく国家による強制的な相互扶助的な公平な協同体
   意識を重視しているので、その経費に相当する部分は他国より税率が少し高
   くても直接税の強化を受け入れやすい土壌が存在しています。

 つまり以上の結論は1987年ノーベル経済学賞を受賞したロバート・ソロー博
士(アメリカ)の「供給側の科学技術の進歩」こそ経済成長の唯一の根源であると
するソローモデルの考え方を、本書では更に発展させ経済成長を説明するのに進化
システムの概念を取り入れ「科学技術」が進化システムであるところから成熟経済
に達した日本では「需要側の進化システムの本質を持つ個人消費の完全な規制緩和
つまり個人消費の進化システムへの再構築」もあわせて重要であり、さらに「需要
と供給を結びつける本来は進化システムの本質を持つべき形式的民主主義体制を更
に強化し一人一人の国会議員の意志の総和が素直に反映できる、大衆主導の進化シ
ステムによる真の政治改革」を実現することを、ソローモデルに付加すれば個人消
費の力強い増加と、進化システムによって消費の方向性を政治が定めることが同時
に可能となり「成熟経済でも力強く適切な方向性を持つ国民の幸福に役立つ経済成
長が可能」となる基本を発見したのです。
 このシステムは一見アメリカのシステムに似ているように見えますが、得られる
結果は必ず日本的な結果になるのです。
 それはルールは似ていても我々日本国民はアメリカ人ではなく、日本人であり日
本人に適応した結果のみが選択され、淘汰されるからであります。  

 さて戦後43年間かけて焼け野原の無一文から民主主義や市場経済などの進化シ
ステムの絶大な力により「日本国民の内在する力を顕在化させる」ことによって

不況を繰り返しながら「本当の無」から3200兆円の「有」の国富を産み出し世
界一の経済大国に成長した日本が44年目(平成元年)以降、進化システムの作動
が衰え景気の循環を失い不況の連続で経済が瀕死の状態が続いている理由は以上の
通りなのです。
 本書では、システム工学が「国民を対象とした制度や法律をシステムとして認識」
することが出来ますので、このシステム的概念を徹底して解決策に活用するべく、
「実用的で確実に効果の出る進化システム」を提案しているのです。
 そしてシステムを理解する上で重要なポイントは、システムには「進化条件を備
えた進化システム」と、そのような条件を備えていない「非進化システム」の区別
が存在することです。
 そして法律や制度などの「人間社会のルールは遺伝子のような役目をする」ので、
これを進化システムへ大改善すると、法律や制度へ進化システムが注入され、良い
遺伝子として作動し「結果として国家経済は自動的に良好に進化発展する」のです。

 戦後43年間の経済を分析すると、この時期細部は別にして基本的な部分は世界
で唯一と言っていいほど日本の経済システムに完全に近い形で実質的に進化システ
ムが作動していた時期であることが本書は詳しく指摘しているのです。
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(シングル・スタンダードの重要性について)

 日本の現代社会において、「国民一人一人、国会議員一人一人につき参加の自由
と対等に平等とフェアーな競争(協同)原理」と「不合理にならない範囲内で国家
は国民一人一人(企業一社一社)、国会議員一人一人の競争力の均衡を図る原則」
とが正確に理解されているかどうか、色々な法律、制度を徹底して検証してみると、
国会議員に参加の自由と対等に平等な競争条件が整備されていないため「政党の理
念観念によって」それらの法律、制度の競争ルールが多くの点で意図的に強くゆが
められているのが放置されたままになっていることが分かります。 
 人間は大人になり異性と付き合い、結婚して未来の国家を託す子供をもうけ扶養
し教育し独り立ちさせ、いづれ老いて老後を送るのであり、そして人生は無常でリ
スク(危険)が伴うことを、全ての人間が知りうる故に、人間はどの段階を進むに
しても「勇気と覚悟」が必要になるのです。
 したがって国家の重要な機能としては「国民一人一人につき切迫した危機が生じ
た、あらゆる異常時には、無条件で危機の内容に応じてサポート(応援)の体制」
を設けて、国民の「次代の国家を支える国民を育てる最小単位である家族」を維持
する「勇気と覚悟」に答えなければならないのです。
「切迫した危機でない問題」に莫大な国費を使用する政策を立案し、「切迫した危
機」に対して充分な対策を立案してこなかった不平等さが問題なのです。  
 更に「家族」を形成するシステムを保有している利己的意識と利他的意識を持っ
た社会的動物としての根源的な人間の生態を遵守して誠実で正直で勤勉に生きてい
る「大多数の普通の家族を形成している国民を公正であるべき通常時の生存競争や
経済競争において不利にしているあらゆる政策」が日本を経済不況に陥らせたり1
00年後に人口が半減させたりしている現実をもたらしているのです。
 つまり家族というライフスタイルを取るか取らないかという家族的要素によって、
本人に有利不利を国が作ってはならない、という公正競争条件が必要なのです。

 同じように直接税で行われている、健常高齢者本人への税の各種減税制度は、普
通の成年労働者と比較して「弱者救済的理念観念」によって異状に手厚く減税され
ており、税制上本来は競争ルールを同一にすべきなのに「事実」として成年労働者
と比べて特に個別的な理由なく公正な競争条件が保たれていないことが、結果とし
て成年労働者の負担を重くしており、競争条件の大きな歪みとして表れてきていま
す。
 この健常高齢者を含めた税制における全国民統一の競争条件の均一化の方向(個
々の所得に対しては超過累進課税)は重要な課題になるのです。
 しかしながら逆に健常者と比べて競争条件が極めて問題のある特別障害者などへ
の配慮が税制上充分でなく、ここにも生活する上での競争条件という、事実として
の「個別対応政策」が充分ではないのです。
 つまり国家は人間の生命に切迫した危機等の「異常時に対応する個別対応政策」
と通常の「正常時に対応する一般政策」とを常に区別して異常時の個別対応対策は
手厚く、正常時の一般対策は広く薄く政策を立案する必要があるのです。
 つまり社会を歪めず進化発展させるためには「本人の選択意志が関与できる正常
時に対応する一般政策については対象一人毎の同一基準で競争する環境」つまり
「シングルスタンダード化」を徹底して計ることが、最も財政需要を最小限度に止
め、且つ適正な社会経済の進化発展が期待できる方法なのです。
 そして本書では高齢者の税の負担が多くなるので、その反対給付として人間にと
って死に至るまでの過程で、安心して本人の意志により色々な選択肢を選べるよう
に、現在非常に不足している選択肢は何であるかを高齢者の本音を徹底的に調査し、
人間の本性に合致した個別対応策を立案し実現することが、新規需要の創出と高齢
者の安心が求められるのです。
 自由主義経済でこれを実施するには納税者番号制と公的扶助で行われているミー
ンズ・テスト(資力調査)の整備が不可欠なのです。

 さて刑法が比較的良く機能しているのは、全国民に対して聖域を設けず全国民一
律に法を犯した本人一人のみの「同一基準」のみによって本人に刑罰を科す体制が
出来上がっているシングルスタンダードだからなのです。
 特別の役職とか、家族の有無とか、年齢とかで何ら刑には影響がないのです。
 同様に国政選挙に適用される公職選挙法は本人一人以外誰にも影響されない独立
性を尊重するため、役職の有無や家族の有無や年齢などに全く関係なくシングルス
タンダードの規制が強化されており、これこそが日本の公正な選挙の実現に役立っ
ているのであります。
 したがって法律を立案するときに最も考慮すべき事は、その法律がどの分野であ
っても、参加の自由と対等に平等のフェアー競争を遵守するものであり、理由なく
他の理念観念を持ちだして、これを侵害してはいけないこと、さらにその法律が国
民大衆を規制する同一分野の他の法律とシングルスタンダード(同一基準)である
ことが社会経済と国民感情に合致する法律になるのであります。 
 したがって日本の現状につき上記の「参加の自由と対等に平等の競争基準を守る
ための規制を強化」し「進化システム部分については徹底して規制緩和を行う」正
しく区分区別した変革をすることが、成熟経済における経済社会の進化発展をもた
らし、そしてこの様な哲学を持つ政党が正に国民政党であり、この様な哲学思想を
持つ団結の緩い政党が登場し日本で多数を占めれば、成熟経済に達した日本におい
ても今後とも良き未来に向かい、その時代時代に適応した良き政策を選択し、適応
出来ない悪い政策を淘汰する進化システムである社会経済システムが完成するので
す。
 つまり「民は足らざるを憂えず、等しからざるを憂える」のです。
 そしてこの様な公正な競争で国民の幸福を目指す政党は国民政党として必ず国民
へ迎えられ選挙に勝利すると確信しています。
 したがって副次的には「参加の自由と対等に平等な条件でフェアーな競争を展開
するための条件を整備するための規制強化」を行わないと進化システムは良好に作
動しないのであるし、そして進化システムそれ自身に対しては直接的にも間接的に
も規制を強化すると人間の特性、本性に反し、社会経済の進化発展に強い悪影響が
あるので、これは徹底して規制を除去する規制緩和を行わなければならないのです。
 また非進化システムに対しては、国民の幸福の追求に反するものについては規制
を強化しても、社会経済の進化発展に何ら悪影響が無く、競争基準を明示する上で
極めて良い影響があるからであります。
 したがって成熟経済に達した段階において、経済成長を実現するためには、これ
らの区分区別をしっかりした上で強い生存本能を根源的に持つ人間である国民の本
性を信頼し、既に述べた指針によって規制緩和と強化をすれば経済の無限の成長と
社会の無限の発展が達成できることを提案しているのであります。
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(資本主義経済における純資産増加額課税の検討について)

 さて最後に税制について若干述べたいと思います。
 本書の経済成長税制理論さらに日本の時代時代の税制の経済効果を総合的に検討
すると、資本主義経済社会においては全くの私見でありますが「企業会計原則」に
基づく「純資産増加課税の法人税制」が最も基本的な姿であると実感しています。
 出来れば個人所得税にも完全にこの考え方を取り入れ、全収入−全消費=純資産
増加額(個人利益)に対する課税こそ最も優れた方法と考えています。
 この場合の費用にあたる全消費には「必要経費はもちろんのこと食料品や衣服や
住居(減価償却費)や教育費など全ての生活出費」を経費と見なし、複式簿記で経
理して「個人家計の純資産増加額を把握し、法人と全く同じように課税すること」
が、「資本主義社会」においては個人も企業も国も「競争力均衡化の環境における
参加の自由と対等に平等な競争による自己拡大原理による経済の過剰性が最も順調
に増進し且つ三者の財務内容の適正化が最も保たれると予測しています。」
 つまり純財産の増加があった人に課税するので課税された人は所得分配を行った
人であり、課税の少ない人や課税されなかった人は実質的に国家を通じて有形無形
に所得分配を受けた人になるのであります。
 そして課税が少ないか課税されなかった大多数の人は個人消費の多かった人であ
り、実は個人消費の増加が純資産の増加という経済成長を支えている根源であるの
で、課税の少ない人や課税が無かった人が、実は純財産の増加を支えている人とな
る「パラドックス(逆説)」と「輪廻」と「因果関係」になるのです。
 しかしこの様な考え方に基づく所得税制は実際問題として技術上無理が伴うため、
日本の高度成長時代に取られた消費税が無く高累進所得税率の税制は、この考え方
を実質的に焼き直し、変換し、事実上簡素化した税制であったのです。
 また現状法人税制において「企業会計原則の利益」と「税法の法人所得」の乖離
は企業を管理統括する資本主義経済のシステム上、非常に望ましくなく人間社会に
おいて道徳的に望ましくない経費や支払先が明確でない経費以外は全額経費として
認めるべきと考えています。   
 真理は常に単純で美しい姿をしているものなのです。 
 さらに相続税は相続し、財産をタダで貰った人に課税するのです。
 特に資本主義社会ですので「生存競争においては現実問題として資産所有者有利
の社会」でありますので、相続税の課税を大幅減税すると大金持ちの莫大な財産を
相続した子供が有利な社会となり、生まれながらにして不平等な社会となり教育の
機会均等などが妨げられ、優秀な人間が社会で認められる機会が減少し「参加の自
由と対等に平等なフェアーな競争」は行われなくなり、優秀な人間の輩出率が著し
く衰え「競争力均衡化の原則」に反する上、人間の本性、特性から更に加えて所得
分配機能が大幅に落ち個人消費が低迷し経済成長は急激に衰え、国家税収も国家発
展も急速に低迷状態となるのです。  
 日本のような厳しい相続税制が無く大金持ちが幅を利かす特権階級を形作る国家
は世界中にたくさんあり、そのような国家は決して日本のように経済が発展出来な
かったのです。
 日本が高度成長を達成出来た大きな原因は、敗戦によって全ての人が、本当の無
からの自由と平等の出発になったことと、マッカーサー元帥による「財閥解体」
「農地解放」による特権的な経済的存在を全て破壊した結果と、厳しい所得税と相
続税が存在し、所得分配機能が個人消費性向の高い所得階層(低所得階層)へ良好
に作動しため、個人消費の増加は常時順調であり変換される国民所得も順調に推移
し、貧富の格差の少ない豊かな中産階級である大量の良質な消費者と大量の良質な
生産者を生みだした結果がすばらしい平和で豊かな経済国家を作り上げたのです。  
 この無意識に作り上げられた税制が世界一の経済大国を生みだしたのであり、日
本人や官僚が優秀だったわけでは無かったのです。
 現代の税制は消費税を5%に増税し、所得税、相続税を大幅減税し、生まれなが
らに不平等の社会、特権グループの存在する社会、社会階層を固定化する社会を作
り続け、所得分配機能を大幅に低下させた結果、当然の事ながら個人消費の増加率
は大幅に落ち、それにつれて国民所得は停滞し、貧富の格差は広がり貧しい消費者
が大量に増加し、安売りに群がり全産業の企業経営者を苦境に陥れているのです。
 つまりこのような国家政策を立案した政策担当者の残念ながら自業自得なのです。
 つまり「相続税」は平時におけるマッカーサーの役割をする税制であり、不合理
にならない範囲内で人間を生まれながらに実質的に平等に保つ社会を実現すること
が、「真の競争によって勝ち残る真に強く逞しい人間を作る秘訣であり」「国家は
税収が上がり」「経済成長には極めて良い効果が上がり」「自由と平等とフェアー
競争が実質的に保証される結果をもたらし」「多くの財産を相続し強制的な利他的
行為を強いられる痛みを伴う納税者以外の多くの国民が喜びを分かちあえる」極め
て資本主義経済には有用な税制なのです。 
 ただ納税については痛税感を和らげるため金銭納税を強制するのは望ましくなく、
徹底した物納の拡充(出来れば全ての財産につき)が必要となります。    
 実は相続税については、アメリカでは敗戦の経験がないため、理論研究がなされ
ていない分野であり、アメリカでも相続税の減税問題が良く検討もされず度々議論
されている経緯があるのです。
 アメリカでこの相続税の大幅減税が実施された暁には、アメリカの進化システム
は実質的な競争条件の不平等化つまり生まれながらにして資本保有の不平等が顕在
化し、必ず社会の進歩に悪影響を与えるようになるでしょう。       
 たまにはアメリカの失点も望まれる所です。 
 さて日本で直接税率の累進強化が実現した時には、これによって納税する税額は、
強制的な利他的行為であるので、これが極めて高額である場合は、これを経済的特
典を与えるのではなく名誉として表彰する制度が出来れば良いと考えています。 
 また納税額の新聞発表は所得額と国税、地方税を含めた全納税額(現状は国税の
み)を全て情報公開し納税という利他的努力に国民は敬意を表すべきであります。
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